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補助金


(300) 国際林業協力事業の実施に当たり、事業に要した実支出額によることなく人件費及び電子計算機使用料を算出していたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費
部局等の名称
林野庁
補助の根拠
予算補助
補助事業者
(事業主体)
社団法人日本森林技術協会(平成16年6月10日以前は社団法人日本林業技術協会)
補助事業
国際林業協力
補助事業の概要
開発途上地域における持続可能な森林経営の推進に資するなどのための必要な調査等を行うもの
事業費
790,977,590円
(平成13年度〜17年度)
上記に対する国庫補助金
785,261,000円
 
不当と認める事業費
79,311,547円
(平成13年度〜17年度)
不当と認める国庫補助金交付額
73,594,957円
(平成13年度〜17年度)

1 補助事業の概要

 この補助事業は、社団法人日本森林技術協会(平成16年6月10日以前は社団法人日本林業技術協会、以下「協会」という。)が、国際林業協力事業の一環として、開発途上地域における持続可能な森林経営の推進に資するなどのため、13年度から17年度までの各年度において、アジア東部地域の森林政策の立案を支援するために必要な調査等を実施したものである。
 国際林業協力事業費補助金交付要綱(平成2年2林野計第382号農林水産事務次官依命通達)等(以下「要綱等」という。)によれば、補助事業に要する経費に対する国の補助率は定額とされており、さらに、毎年度、補助事業に要した経費の実支出額と、国庫補助金交付決定額とのいずれか低い額を算出し、補助金の確定額とすることとされている。
 協会では、本件補助事業において、補助対象事業費として、技術料、使用料及び賃借料、旅費、諸謝金等の経費を計790,977,590円要したとして林野庁に実績報告書を提出し、これに対して国庫補助金計785,261,000円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 本件補助事業について、実績報告書等により検査したところ、次のとおり適切でないと認められる事態が見受けられた。

(1)技術料について

 協会では、補助事業に従事した協会職員の人件費を技術料に計上していた。人件費の額については、林野庁等が治山・林道事業に係る調査・測量・設計等を外注する場合の予定価格の積算に用いる技術者基準日額の職種単価を適用し、これに協会職員が補助事業に従事した日数(以下「補助事業従事日数」という。)を乗ずるなどして算出していた。そして、13年度から17年度までの間の補助事業従事日数を計10,601.5日とし、これに職種単価を乗じて計467,870,442円とする実績報告を行っていた。
 しかし、補助事業従事日数について精査したところ、協会職員が補助事業に従事したとしている日に他の業務に従事するなどしており、13年度から17年度までの補助事業に従事した実際の日数は計10,565.5日となっていた。
 また、実支出額の算出に当たって、適用する人件費単価は、技術者基準日額によるのではなく、実際に職員に支払われた基本給、諸手当、賞与、社会保険料等事業主負担の合計額を各職員の年間勤務日数で除して算出すべきであった。
 このため、13年度から17年度までの人件費を修正計算すると、計432,034,895円となり、前記の実績報告の額との差額計35,835,547円が過大となっていた。

(2)使用料及び賃借料等について

 協会では、補助事業で使用した電子計算機の使用等に係る経費(以下「電算機使用料」という。)を使用料及び賃借料等に計上していた。そして、電算機使用料は、電子計算機の減価償却費に、電算機諸経費、電算機技術料、保守料等を加算した額を基に月額使用料を決定し、これに年間稼働月数を乗ずるなどして、13年度から17年度までの合計で80,688,000円と算出していた。
 しかし、上記のうち減価償却費、電算機諸経費、電算機技術料については、事業に要した実支出額とはなっていなかった。すなわち、減価償却費は、協会の会計処理に基づく金額ではなく、償却期間を一律5年とするなど実際とは異なる方法により算出した額となっていた。また、電算機諸経費、電算機技術料は、支出の実績がないのに減価償却費等に一定率を乗じて算出した額を計上していた。
 このため、13年度から17年度までの電算機使用料を修正計算すると、計37,212,000円となり、前記の実績報告の額との差額計43,476,000円が過大となっていた。
 このような事態が生じていたのは、協会において補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったことなどから事実と相違する内容の実績報告を行っていたこと、これに対する林野庁の審査、確認及び協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件補助事業に係る13年度から17年度までの適正な補助対象事業費は、次表のとおり、計711,666,043円となり、前記の補助対象事業費計790,977,590円との差額計79,311,547円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金計73,594,957円が不当と認められる。

(単位:円)


年度
補助対象事業費
国庫補助金交付額
適正な補助対象事業費
過大となっていた補助対象事業費
左に係る国庫補助金
13
203,140,263
202,219,000
188,191,857
14,948,406
14,027,143
14
169,378,820
167,838,000
147,648,583
21,730,237
20,189,417
15
150,546,937
149,986,000
132,620,035
17,926,902
17,365,965
16
135,750,967
134,590,000
118,481,988
17,268,979
16,108,012
17
132,160,603
130,628,000
124,723,580
7,437,023
5,904,420
790,977,590
785,261,000
711,666,043
79,311,547
73,594,957

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