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補助金


(301) 不要漁船・漁具処理対策事業の実施に当たり、事業の要件とされている残存漁業者等の資金負担が行われていないものに対して補助金が交付されているもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)水産庁 (項)水産業振興費
部局等の名称
水産庁
補助の根拠
予算補助
補助事業者
社団法人大日本水産会
間接補助事業者(事業主体)
北部太平洋まき網漁業協同組合連合会
補助事業
不要漁船・漁具処理対策
補助事業の概要
資源水準に見合った漁業の体制を構築するため、漁船及び漁具のスクラップ処分等を行った者に対し助成金を交付するもの
事業費
(助成金)
(1)
129,105,900円
(平成15年度)
(2)
434,920,949円
(平成16年度)
564,026,849円
 
上記に対する国庫補助金交付額
(1)
57,380,400円
 
(2)
193,298,199円
 
250,678,599円
 
不当と認める事業費
(助成金)
(1)
129,105,900円
(平成15年度)
(2)
434,920,949円
(平成16年度)
564,026,849円
 
不当と認める国庫補助金交付額
(1)
57,380,400円
(平成15年度)
(2)
193,298,199円
(平成16年度)
250,678,599円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、資源水準に見合った漁業の体制を構築するため、漁船及び漁具のスクラップ処分等(以下「減船」という。)を行った者に対して助成金の交付を行う事業(不要漁船・漁具処理対策事業。以下「減船事業」という。)で、国は、漁業協同組合連合会等の事業主体に事業資金助成金を交付する社団法人大日本水産会(以下「水産会」という。)に補助金を交付している。
 減船事業の実施に当たって、事業主体は、資源回復推進等再編整備事業費補助金交付要綱(平成14年13水漁第2926号農林水産事務次官依命通知)等(以下「要綱等」という。)に基づき、減船を行った者に対する助成金の交付に充てるため、事業資金を造成することとされている。この事業資金の造成割合は、漁業者が営む漁業の許可等の区分に応じ、残存漁業者等(注) の拠出金が事業資金の9分の5、水産会の事業資金助成金が事業資金の9分の4以内などとされている。また、事業主体は、減船対象漁船の概要、助成総額、助成金の交付に充てる事業資金の負担者、負担金額等を記載した事業計画を水産庁に提出し、水産庁は、事業計画の内容が残存漁業者等が事業資金を負担することなどの要件を満たしている場合に当該事業計画を承認することとされている。
 このように、減船事業において残存漁業者等が事業資金を負担することが要件とされているのは、減船に伴い、将来、資源回復の利益を受ける残存漁業者等が、減船を行う者の漁船等の資産の滅失額を補償することが前提とされているためである。そして、事業資金を造成する事業主体に対して水産会が交付する事業資金助成金は、残存漁業者等の負担の軽減措置として交付されるものであり、国は、水産会に対し、事業資金助成金の全額を補助している。
 事業主体は、水産会から事業資金助成金の交付を受けようとするときは、減船を行った者が作成した助成金の交付申請書をとりまとめて水産会に提出し、水産会は、事業主体に対し事業資金助成金の交付を行っている。

 残存漁業者等 漁業協同組合連合会等が作成する事業計画の対象漁業を営む漁業者のうち当該漁業から撤退する者以外の者、地方公共団体、漁業協同組合連合会等


2 検査の結果

 北部太平洋まき網漁業協同組合連合会(以下「連合会」という。)が事業主体となり、減船を行い漁業から撤退したA、B両会社に係る平成15、16両年度の減船事業について、連合会の経理関係書類等により検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。

(1)A会社に係る減船事業について

 連合会は、15年度のA会社に係る減船事業の実施に当たり、16年3月、助成金の額を129,105,900円(減船による資産の滅失額)とした事業計画を水産庁に提出し、承認を受けていた。そして、同年6月に水産会に対し交付申請を行い、事業資金助成金57,380,400円(事業資金の9分の4)の交付を受け、これに残存漁業者等に該当する宮城県旋網(まきあみ)漁業協同組合(以下「宮城県旋網漁協」という。)から送金された71,725,500円(事業資金の9分の5)を合わせて事業資金129,105,900円を造成し、同額を助成金として同年同月に宮城県旋網漁協を通じてA会社に交付したとしていた。
 しかし、宮城県旋網漁協から連合会に送金された71,725,500円は、連合会がA会社から助成金の交付を条件に返済する旨の借用証書を徴した上で、連合会が金融機関から借り入れた資金であり、いったん宮城県旋網漁協に送金したものであった。そして、A会社は、助成金の交付を受けて、上記の借用証書に基づき71,725,500円を連合会に返済し、連合会は金融機関に返済していた。このため、連合会及び宮城県旋網漁協はいずれも事業資金を実質的に負担しておらず、また、その他の残存漁業者等も事業資金を負担していないことから、本件事業は、減船事業の要件を満たしていなかった。

(2)B会社に係る減船事業について

 連合会は、16年度のB会社に係る減船事業の実施に当たり、17年2月、助成金の額を434,920,949円(減船による資産の滅失額)とした事業計画を水産庁に提出し、承認を受けていた。そして、同年5月に水産会に対し交付申請を行い、事業資金助成金193,298,199円(事業資金の9分の4)の交付を受け、これに残存漁業者等に該当する千葉県旋網漁業協同組合(以下「千葉県旋網漁協」という。)から送金された241,622,750円(事業資金の9分の5)を合わせて事業資金434,920,949円を造成し、同額を助成金として同年6月に千葉県旋網漁協を通じてB会社に交付したとしていた。
 しかし、千葉県旋網漁協から連合会に送金された241,622,750円は、B会社が所属していた銚子市漁業協同組合(以下「銚子市漁協」という。)がB会社から回収することを前提として千葉県旋網漁協に送金したものであった。そして、B会社は、助成金の交付を受けて、241,622,750円を銚子市漁協に送金していた。このため、連合会、千葉県旋網漁協及び銚子市漁協はいずれも事業資金を実質的に負担しておらず、また、その他の残存漁業者等も事業資金を負担していないことから、本件事業は、減船事業の要件を満たしていなかった。
 このような事態が生じていたのは、連合会において、事業の適正な実施に対する基本認識が欠けていたこと、水産庁において、事業計画の審査、連合会に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、連合会が実施したA、B両会社に係る減船事業(助成金計564,026,849円)は、事業の要件を満たしておらず、これに係る事業資金助成金15年度57,380,400円、16年度193,298,199円、計250,678,599円(国庫補助金同額)が不当と認められる。

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