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  • 平成17年度|
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補助金


(332) 除雪事業の実施に当たり、共通仮設費等の積算を誤ったなどのため、工事費が割高となっているもの

会計名及び科目
道路整備特別会計 (項)道路事業費
部局等の名称
兵庫県
補助の根拠
積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法(昭和31年法律第72号)
補助事業者
(事業主体)
兵庫県
補助事業
一般国道312号等除雪
補助事業の概要
一般国道等の道路除雪のため、平成16年度に凍結防止剤を散布するなどのもの
事業費
82,422,033円
(うち国庫補助対象額28,790,000円)
上記に対する国庫補助金交付額
19,193,333円
 
不当と認める事業費
9,320,190円
(うち国庫補助対象額3,255,000円)
不当と認める国庫補助金交付額
2,170,000円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、兵庫県が、一般国道312号ほか10路線の除雪事業の一環として、養父市、及び朝来郡朝来、生野両町(両町は平成17年4月1日以降は合併により朝来市)内において、冬期間(12月〜3月)における交通を常時確保するために、16年度に、凍結防止剤(塩化ナトリウム)を路面に散布(散布延長85.6km)するなどの凍結防止剤散布工事を工事費82,422,033円(うち国庫補助対象額28,790,000円、国庫補助金19,193,333円)で実施したものである。
 本件凍結防止剤散布工事は、凍結防止剤散布車(ホッパ容量2.5m から4.0m )又は凍結防止剤散布装置(同県が装置を請負人に貸与)を搭載した積載量2tのトラックにより、別途契約で購入した凍結防止剤を路面に散布したり、車両によりパトロールを行ったりなどするものである。
 同県では、本件工事費の積算に当たり、県制定の土木工事標準積算基準書(以下「積算基準」という。)等により、次のとおり、各工費の直接工事費を算定していた。
 すなわち、凍結防止剤散布工費については、凍結防止剤散布車の規格等に応じて1時間当たりの直接工事費を9,613円から32,984円とし、また、パトロールに係る工費については、巡回距離に応じて1回当たりの直接工事費を4,117円から20,968円などとしていた。
 また、同県では、上記各工費の直接工事費に対応する共通仮設費率、現場管理費率及び一般管理費等率(以下「共通仮設費率等」という。)については、工種区分を「道路維持工事」とし、共通仮設費率22.71%、現場管理費率28.14%、一般管理費等率14.38%としていた。
 そして、本件工事が単価契約となっていることから、前記のそれぞれの直接工事費に上記の共通仮設費率等を乗ずるなどして共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等を算出し、これらを含めて凍結防止剤散布工1時間当たりの積算単価を18,581円から59,320円、パトロール1回当たりの積算単価を7,402円から37,709円などと算定していた。
 同県では、上記の積算単価を基にした契約単価に実績数量(凍結防止剤散布工計1,811時間、パトロール計180回等)を乗ずるなどして、本件工事費を支払っていた。

2 検査の結果

 この補助事業について、積算関係資料等により検査したところ、本件工事費の積算が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、前記の共通仮設費率等の算出に当たり、同県では、本件工事は、凍結防止剤散布、パトロール等の作業が1日ごとに完了する工事と考えていた。そして、1日に係る直接工事費が600万円以下であることから、共通仮設費率については、共通仮設費の対象額が600万円以下の場合に対応する上限値である22.71%を適用していた。また、現場管理費率及び一般管理費等率についても、同様に考え、それぞれの率の上限値である28.14%及び14.38%をそれぞれ適用していた。
 しかし、本件凍結防止剤散布工事は、数箇月にわたりほぼ毎日連続して行われる工事であり、作業が1日ごとに完了する工事として1日に係る直接工事費に対応する共通仮設費率等を適用していることは適切ではなく、数箇月にわたる工事全体を一つの工事として共通仮設費率等を算出すべきであったと認められる。
 本件工事全体を一つの工事として算出すると、直接工事費は計43,230,714円となることなどから、共通仮設費率等は、共通仮設費率13.93%、現場管理費率25.12%、一般管理費等率11.55%となり、それぞれ、本件工事に適用した率を大幅に下回ることとなる。
 また、凍結防止剤散布装置を貸与する場合の凍結防止剤散布工費の積算についても、トラックの機械損料を運転1時間当たり換算損料879円とすべきであるのに、機械の損料表を読み誤って供用1日当たり損料2,210円を適用したため、過大に積算されていた。
 このような事態が生じていたのは、同県において、積算基準の共通仮設費率等の算定方法に対する理解が十分でなかったこと及び積算内容に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
 上記により、本件工事の工事費を修正計算すると、労務単価の誤りなどによる積算過小を考慮しても、工事費総額は73,101,843円となり、本件工事費はこれに比べて9,320,190円(うち国庫補助対象額3,255,000円)割高になっており、これに係る国庫補助金相当額2,170,000円が不当と認められる。

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