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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第9 独立行政法人情報通信研究機構|
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  • 役務

業務委託契約に係る委託費の精算に当たり、労務費の計上が適切を欠いたため、委託費の支払が不当と認められるもの


(384)業務委託契約に係る委託費の精算に当たり、労務費の計上が適切を欠いたため、委託費の支払が不当と認められるもの

科目
一般勘定 (項)委託費
部局等の名称
独立行政法人情報通信研究機構本部
契約名
ブロードバンド・プラットフォームにおける異機種混在システムの資源統合連携の動作状況モニタリング技術および自律制御技術の研究開発
業務委託契約の概要
ブロードバンド・プラットフォームにおける異機種混在システムの資源の動作状況をモニタリングし、負荷分散により限られたICT資源をより有効に活用できるようにするもの
契約の相手方
日本アイ・ビー・エム株式会社
契約
平成16年12月 随意契約
支払
平成17年3月、7月 2回
支払額
52,408,440円
不当と認められる支払額
52,408,440円

1 業務委託契約の概要

 独立行政法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)では、平成16年度に、「ブロードバンド・プラットフォームにおける異機種混在システムの資源統合連携の動作状況モニタリング技術および自律制御技術の研究開発」に係る業務委託契約を日本アイ・ビー・エム株式会社との間で契約金額52,408,440円で締結している。この契約金額は、委託研究開発の実施に要する経費の額とされ、労務費等の直接経費の額と直接経費以外に必要となる間接経費の額等の合算額となっている。
 本件業務委託契約によれば、委託費の支払額は、契約金額と受託者が委託業務の実施に要した経費の額(以下「経費発生額」という。)のいずれか少ない額とすることとなっている。そして、経費発生額のうち、労務費については、健康保険法(大正11年法律第70号)の標準報酬の等級区分に基づく労務費標準単価に委託業務従事日誌により証明された研究開発に従事した時間数を乗じた額とし、間接経費については、労務費の額に一定の率を乗じた額とすることとなっている。
 機構では、本件業務委託契約について、同会社から提出された実績報告書等に基づき経費発生額を52,506,482円と審査・確認し、その金額が契約金額を上回っていることから、契約金額を支払額として確定している。

2 検査の結果

 この業務委託契約について実績報告書等により検査したところ、労務費に係る経費発生額の算出の根拠とした委託業務従事日誌は委託業務の実態に基づいて作成されたものではなく、また、同会社では、同日誌のほかに本件委託業務に係る従事時間を説明する書類は存在しないとしていたため、本件業務委託契約に係る支払の実態を確認することができない状況となっていた。
 このような事態が生じていたのは、同会社において本件委託研究開発制度に対する基本的な認識が不足していたため事実と相違した内容の実績報告を行っていたことにもよるが、機構において同会社から提出された実績報告書等の審査・確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件業務委託契約にあっては、労務費の計上が適切を欠いたため、本件業務委託契約に係る労務費の確認ができず、委託費52,408,440円の支払が不当と認められる。