平成18年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第11 農林水産省
不当事項
補助金
1 補助金の概要
農林水産省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、この事業に要する経費について、直接又は間接に事業主体に対して補助金を交付している。
2 検査の結果
本院は、45都道府県及びその管内の2,006市町村等並びに176団体において、合規性、有効性等の観点から会計実地検査を行った。その結果、6県、13道府県管内の23町村等及び2団体計31事業主体が実施した麦・大豆品質向上対策事業、森林環境保全整備事業等の30事業に係る国庫補助金963,369,613円が不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
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〔1〕 補助金の交付額の算定が適切でないもの
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9事業 不当と認める国庫補助金 44,754,743円
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〔2〕 補助対象事業費を過大に精算しているもの
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5事業 不当と認める国庫補助金 101,877,974円
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〔3〕 補助金を過大に受給しているもの
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5事業 不当と認める国庫補助金 16,420,981円
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〔4〕 工事の設計が適切でないもの
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5事業 不当と認める国庫補助金 15,371,772円
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〔5〕 補助の対象とならないもの及び補助金の交付額の算定が適切でないもの
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2事業 不当と認める国庫補助金 81,471,949円
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〔6〕 補助の目的外に使用しているもの
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2事業 不当と認める国庫補助金 15,358,194円
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〔7〕 予算・法令に違反しているもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 444,574,000円
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〔8〕 補助の目的を達していないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 243,540,000円
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また、これを個別に示すと次のとおりである。
(211) 自給飼料増産総合対策事業の実施に当たり、地盤改良の施工数量が設計数量を下回っていたのに契約額の減額の処置を執っていなかったため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、新得町農業協同組合(以下「農協」という。)が、自給飼料増産総合対策事業の一環として、平成16、17両年度に、自給飼料の生産から完全混合飼料(Total Mixed Ration。以下「TMR」という。)の調製及び農家への供給までをシステム化したTMRセンターを整備するため管理棟1棟、飼料調整棟1棟、飼料タンク10基(以下「管理棟等」という。)の建設等を事業費433,503,000円(国庫補助金190,000,000円)で実施したものである。
農協では、上記のうち管理棟等の建設工事等を系統施行(注1)によることとし、ホクレン農業協同組合連合会(以下「ホクレン」という。)と施設建設契約を締結し、これを建設費224,794,500円で委託している。この契約において、建設工事についてはホクレンが建設業者(以下「請負業者」という。)に工事費220,500,000円で請け負わせることとなっている。そして、建設工事の施工管理業務についてはホクレンが自ら行うこととされ、完成後に外から見ることのできない地中の工事等は、工事請負契約約款(以下「約款」という。)に基づきホクレンの立会い又は検査を経て施工することとなっている。
本件工事の設計図面によれば、管理棟等の建設地が軟弱地盤であることから、基礎地盤の支持力を確保するため現地盤を切込砕石で置き換える地盤改良を2.1mから2.9mの厚さで施工することとし、ホクレンでは、その直接工事費を1,615m3で8,898,650円と積算していた(参考図参照)。また、上記の契約によれば、工事費の変更が生じた場合は契約額を変更することとなっている。
2 検査の結果
本院は、北海道、上川郡新得町及び農協において、合規性等の観点から補助事業に係る契約等が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、施工写真等の書類により検査したところ、補助対象事業費の精算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本院では、管理棟等の施工箇所における地盤改良の施工厚が、施工写真等の書類により確認できなかったことから、農協に対して管理棟等における地盤改良の施工厚等が実際にどのようになっているかの詳細な報告を求めた。そして、農協が実施したボーリングによる調査結果を確認するなどしたところ、管理棟等のすべてにおいて、地盤改良の施工厚は設計厚の半分以下の1.0mから1.1mとなっていて設計と大きく相違していたことが判明した。
上記のように、施工厚が設計と大きく相違していたことについて、請負業者は、地盤改良の施工後に平板載荷試験(注2)を行った結果、所要の許容応力度が得られたとしていたが、ホクレンでは、試験の結果は確認したものの、約款で規定されている立会いなどを行っておらず、上記の事態を把握していなかった。このため、農協では、請負業者が設計図面どおりの地盤改良を行ったものとして補助対象事業費を精算していた。
しかし、前記のとおり、施工厚が設計の半分以下であることから、地盤改良の施工数量が770m3と設計数量の1,615m3を845m3下回っていたのに契約額の減額の処置を執っていなかったため、工事費が過大となっており、その結果、補助対象事業費が過大に精算されていた。
このような事態が生じていたのは、施工管理業務を行ったホクレンにおいて地盤改良の施工についての監督及び検査が十分でなかったこと、事業主体である農協において、補助対象事業費の算定についての確認が十分でなく同事業費を過大に算定したまま実績報告書を作成し提出したこと、北海道及び新得町において農協に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、適正な工事費により補助対象事業費を修正計算すると427,632,450円となる。これに基づき国庫補助金相当額を算定すると187,301,572円となり、交付額190,000,000円との差額2,698,428円が過大となっていて不当と認められる。
系統施行 農業協同組合等の事業主体が、事業施行管理能力を有する全国農業協同組合連合会及び都道府県経済農業協同組合連合会に対し、施設の基本設計及び実施設計書の作成、工事の施行、施工管理(工事の監理を含む。)等の業務を一括して委託する施設建設契約を締結し、これに基づき両連合会は予定期日までに実施設計書に基づく工事を完成して事業主体に引き渡し、施行の責任を負う方式 |
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平板載荷試験 地盤に設置した直径30cmの平らな載荷板に荷重を加え、この荷重と沈下量の関係から地盤の許容応力度を求める土質試験 |
地盤改良断面図(管理棟の例)(設計)
地盤改良断面図(管理棟の例)(施工)
(212)−(214) 森林環境保全整備事業等の実施に当たり、実態と異なる内容の交付申請を行っていたため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助事業の概要
(1) 制度の概要
林野庁では、森林の有する多面的機能の維持・増進を図り、森林環境の保全に資するなどのため、森林環境保全整備事業及び森林居住環境整備事業の一環として、一定の要件を満たす植栽、下刈、間伐等の造林関係補助事業を実施した森林所有者、森林組合等の事業主体に対して都道府県が補助する場合等に、その費用の一部として、都道府県に森林環境保全整備事業費補助金及び森林居住環境整備事業費補助金(以下、これらを合わせて「補助金」という。)を交付している。
森林環境保全整備事業実施要領(平成14年13林整整第885号林野庁長官通知。以下「要領」という。)等によれば、事業主体は、事業の終了後、都道府県に対して補助金の交付申請を行い、都道府県は、交付申請を受けて当該事業のしゅん工検査を行い、これに基づいて補助金の査定を行い、補助金の交付決定及び額の確定を同時に行うこととなっている。このように、事業終了後に交付申請を行うこととしているのは、1件当たりの事業規模が零細でかつ極めて件数が多いことなどによるものである。
そして、補助事業の実施方法としては、〔1〕森林所有者が事業主体となり、自ら又は他の林業者(林業を営む個人又は会社をいう。以下同じ。)に請け負わせて作業を実施し、補助金の交付申請及び受領を森林組合等に委任して行う方法、〔2〕森林組合が森林所有者から事業を受託して事業主体となり、自ら又は他の林業者に請け負わせて作業を実施し、補助金の交付申請及び受領を自ら行う方法等がある。
(2) 事業規模の要件
要領等によれば、森林環境保全整備事業の中の流域公益保全林整備事業等のうち、育成単層林整備の保育(植栽型)、人工造林及び特定間伐に係る事業(以下、これらの事業を「面積要件事業」という。)については、森林所有者が事業主体となる場合には、当該森林所有者による事業実施面積の合計が0.5ha以上でないと補助対象とならないこととなっている。一方、森林組合が事業主体となる場合には、森林所有者ごとの事業実施面積が0.5ha未満であっても当該森林組合による事業実施面積の合計が4ha以上であれば補助対象となることとなっている。
(3) 補助金額の算定
補助金の額は、事業区分ごとに定められた標準単価に事業実施面積を乗じるなどした額を補助対象事業費とし、この補助対象事業費に補助率を乗じて算定することとなっている。そして、森林組合が事業主体である場合には、次のように標準単価を適用するなどし、更に標準単価に諸掛費を加算することとなっている。
ア 標準単価の適用
(ア) 森林組合が自ら作業を実施した場合(以下「受託直営」という。)には、受託直営単価を標準単価として適用する。この単価は、単位面積当たりの労務費、機械損料及び資材費に、資材費の消費税相当額が加算されたものである。
(イ) 森林組合が他の林業者に請け負わせて作業を実施した場合(以下「受託請負」という。)には、受託請負単価を標準単価として適用する。この単価は、単位面積当たりの労務費、機械損料及び資材費に、労務費、機械損料及び資材費の総額の消費税相当額が加算されたものである。
イ 諸掛費の加算
森林組合が事業主体である場合は、標準単価に、10%から30%までの範囲内で、事業に携わる作業員の社会保険料等の経費相当額である諸掛費を加算することができる(森林所有者が事業主体となる場合には、諸掛費を加算できない。)。
2 検査の結果
(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法
本院は、合規性等の観点から、補助金の交付申請の内容が実態に即した適切なものとなっているかなどに着眼し、17道府県及び管内の63事業主体において、補助金の交付申請書、しゅん工検査調書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適切でないと思われる事態があった場合には、更に県に事態の詳細について調査及び報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
(2) 検査の結果
検査したところ、3県の3森林組合において、実態と異なる内容の補助金交付申請を行っていた。このため、補助対象事業費計290,526,587円が過大になっていて、これに係る国庫補助金計87,189,079円の交付が過大となっており不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、森林組合において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたり、補助事業の制度の理解が十分でなかったりしていたこと、県において 森林組合に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。
これを県別に示すと次のとおりである。
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県名
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事業主体
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年度
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補助対象事業費
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左に対する国庫補助金
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不当と認める補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金
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摘要
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千円
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千円
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千円
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千円
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(212)
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秋田県
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本荘由利森林組合
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14〜17
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2,231,717
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685,594
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180,425
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54,149
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補助の対象外及び補助金の過大交付
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上記の森林組合では、森林所有者から事業を受託し、森林組合自らが事業主体となって事業を実施したとして、7,139件の造林関係補助事業について補助金の交付申請を行い、標準単価に諸掛費を加算して算定した額により補助金の交付を受けていた。
しかし、このうち4,293件(事業費計887,475,069円、国庫補助金計266,421,733円)については、実際は、森林所有者が自ら又は他の林業者に請け負わせて作業を実施していて、実質的な事業主体は森林所有者であると認められた。
そして、上記4,293件のうち1,137件(事業費計66,698,190円、国庫補助金計20,008,953円)は、面積要件事業に該当するが、森林所有者が事業主体となる場合の事業規模の要件(事業実施面積の合計が0.5ha以上)を満たしていないため、補助の対象とはならないものであった。
また、これらを除く3,156件(事業費計820,776,879円、国庫補助金計246,412,780円)については、森林所有者が事業を実施したものであることから、標準単価に諸掛費を加算できないものであった。
したがって、前記の1,137件に係る事業費計66,698,190円については補助の対象とは認められず、また、標準単価に諸掛費を加算していた3,156件については、適正な事業費を算定すると計707,049,516円となり、上記の事業費計820,776,879円との差額計113,727,363円が過大に算定されており、これらの事業費計180,425,553円に係る国庫補助金計54,149,447円が過大に交付されていた。
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(213)
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三重県
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中勢森林組合
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14〜17
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816,847
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245,053
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91,075
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27,322
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補助の対象外及び補助金の過大交付
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上記の森林組合では、森林所有者から事業を受託し、森林組合自らが事業主体となって事業を実施したとして、2,268件の造林関係補助事業について補助金の交付申請を行い、標準単価に諸掛費を加算して算定した額により補助金の交付を受けていた。
しかし、このうち1,583件(事業費計537,710,942円、国庫補助金計161,312,557円)については、実際は、森林所有者が自ら又は他の林業者に請け負わせて作業を実施していて、実質的な事業主体は森林所有者であると認められた。
そして、上記1,583件のうち293件(事業費計28,519,560円、国庫補助金計8,555,731円)は、面積要件事業に該当するが、森林所有者が事業主体となる場合の事業規模の要件(事業実施面積の合計が0.5ha以上)を満たしていないため、補助の対象とはならないものであった。
また、これらを除く1,290件(事業費計509,191,382円、国庫補助金計152,756,826円)については、森林所有者が事業を実施したものであることから、標準単価に諸掛費を加算できないものであった。
したがって、前記の293件に係る事業費計28,519,560円については補助の対象とは認められず、また、標準単価に諸掛費を加算していた1,290件については、適正な事業費を算定すると計446,635,008円となり、上記の事業費計509,191,382円との差額計62,556,374円が過大に算定されており、これらの事業費計91,075,934円に係る国庫補助金計27,322,502円が過大に交付されていた。
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(214)
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山口県
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山口県東部森林組合
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14〜18
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2,372,793
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715,967
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19,025
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5,717
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補助金の過大交付
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上記の森林組合では、補助金の交付申請を行った6,504件の造林関係補助事業のうち、4,425件については、受託請負により実施したとして交付申請を行っており、受託直営単価と比べ労務費等に係る消費税相当額が加算され高い単価となっている受託請負単価を標準単価とし、これにより算定した額により補助金の交付を受けていた。
しかし、このうち1,299件(事業費計630,365,100円、国庫補助金計189,486,770円)については、実際は、作業の全部又は一部を森林組合が自ら実施していた。このため、これら1,299件については、作業の全部又は一部について、受託請負ではなく受託直営により実施したとして交付申請をすべきであり、これに基づき、受託直営単価が標準単価として適用されるべきであった。
したがって、これら1,299件に係る適正な事業費を算定すると計611,340,000円となり、上記の事業費計630,365,100円との差額計19,025,100円が過大に算定されており、これに係る国庫補助金計5,717,130円が過大に交付されていた。
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(212)−(214)の計
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5,421,358
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1,646,614
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290,526
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87,189
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(215) トレーサビリティシステム導入促進対策事業で導入した機器等によるシステムが構築されておらず、補助の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、東日本ユビキタストレーサビリティ推進協議会(山形県東置賜郡高畠町)が、トレーサビリティシステム(注)導入促進対策事業として、消費者の食品に対する信頼や安心を確保するため、青果及び米(以下「青果等」という。)の生産から加工流通、販売までのトレーサビリティシステム(以下「システム」という。)を構築することとし、平成15年度に、これに必要なサーバ、電子チップリーダ、処理用携帯端末等の端末装置40セット等及びデータベースサーバ一式を事業費490,062,000円(国庫補助金243,540,000円)で導入したものである。
同協議会は、山形県産の青果等を対象として、その生産者2,500名の出荷拠点18箇所及び加工流通・販売業者2者の配送センター等に端末装置各2セットを設置し、出荷拠点においては生産者が入力した生産履歴情報を、配送センター等においては加工流通・販売情報をそれぞれ蓄積し、これらの情報を消費者に提供することとしていた。
2 検査の結果
本院は、山形県及び同協議会において、有効性等の観点からシステムは計画どおり導入され稼動しているかなどに着眼して会計実地検査を行った。同協議会では、本件補助事業に係る帳簿、契約書、領収書等の書類の所在が不明であるとしているため、関係者から別途提出を受けた書類等により検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、生産者の出荷拠点18箇所においては、上記の端末装置が4箇所にしか設置されていなかった。また、加工流通・販売業者2者は実際には本件補助事業に参加していなかったことから、当該業者の配送センター等においては端末装置が全く設置されていなかった。そして、出荷拠点等に設置されなかった端末装置は、梱包されたまま倉庫に保管されていたり、所在不明となっていたりしていた。
これらのことから、生産履歴情報については、上記の生産者2,500名のうち4名分の情報が蓄積されていたにすぎず、また、加工流通・販売情報については全く入力できない状況であった。このように、本件補助事業で導入した端末装置等及びデータベースサーバによるシステムは構築されておらず、生産履歴情報等は消費者に提供されないままとなっていた。
このような事態が生じていたのは、同協議会において、補助事業の適正な実施に対する認識が欠如していたこと、同県において、本件補助事業の審査、確認及び同協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件補助事業は、消費者の食品に対する信頼や安心を確保するためのシステムが構築されないままとなっていて補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金243,540,000円が不当と認められる。
トレーサビリティシステム 食品の生産、加工、流通等の各段階で原材料の出所や食品の製造元、販売先等の記録を記帳・保管し、食品とその情報とを追跡及び遡及できるようにする仕組み |
(216) 経営多角化等施設整備事業の実施に当たり、補助対象外施設との共用部分に係る費用をあん分していなかったため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、山形県西置賜郡小国町が、経営多角化等施設整備事業の一環として、地域食材供給、担い手育成支援等を図るため、平成16年度(17年度に一部繰越し)に総合交流拠点施設265.0m2を整備したものである。
同町では、上記の施設と補助対象外である同町単独事業の集会施設101.0m2を合体して整備し、補助対象事業である総合交流拠点施設に係る事業費を133,000,000円、補助対象外である集会施設に係る事業費を35,058,328円とし、総事業費168,058,328円として山形県に実績報告書を提出していた。そして、これにより国庫補助対象事業費133,000,000円に対して、国庫補助金66,500,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
本院は、山形県及び同県西置賜郡小国町において、合規性等の観点から、補助対象事業費は適正に算定されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、補助対象事業費の精算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、同町では、廊下等の共用部分に係る費用を、共用部分を除いた補助対象施設と補助対象外施設の延床面積の割合等によりあん分すべきであったのに、あん分せずにすべて補助対象事業費に含めていた。
このような事態が生じていたのは、同町において、補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、また、同県において、本件補助事業の審査、確認及び同町に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、適正な国庫補助対象事業費は124,015,150円となり、前記の国庫補助対象事業費133,000,000円との差額8,984,850円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額4,492,425円が不当と認められる。
(217) 果樹共済事業の実施に当たり、虚偽の申込みに対する引受けが行われていて、共済掛金国庫負担金等が過大に交付されているもの
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1 果樹共済事業の概要
果樹共済事業は、農業災害補償制度(後掲「農業災害補償制度(農作物共済)の運営に当たり、国がその一部を負担している共済掛金から生ずる多額の剰余の発生を防止するなどして、制度をより適切に運営するよう意見を表示したもの」参照)の一環として、ぶどう、りんご、なし等の果樹を対象とし、暴風雨、凍傷等の災害により被害を受けた農業者の損失を補てんするために実施されているものである。
そして、市町村などの各地域ごとに設立される農業共済組合又は市町村(以下「組合等」という。)は、農業共済組合員又は市町村との間に共済関係の存する者(以下、これらの者を「組合員等」という。)に対して支払う共済金の支払責任の一部を都道府県ごとに設立される農業共済組合連合会(以下「連合会」という。)の保険に付し、連合会は、組合等に対して支払う保険金の支払責任の一部を国の再保険に付することとなっている。
また、国は、組合員等の負担軽減を図るため、組合員等が組合等に支払うべき共済掛金の一部を共済掛金国庫負担金(以下「掛金負担金」という。)として負担している。そして、掛金負担金の交付事務の合理化を図るため、国は、掛金負担金から徴収すべき再保険料を差し引いた額(以下「掛金交付金」という。)を連合会に交付することができるなどとされている。
果樹共済の共済関係は、組合員等が組合等に対して共済責任期間開始前の共済規程等で定める期間内に申込みをし、組合等がこれを引き受けることによって成立することとなっている。
また、国は、毎会計年度予算の範囲内において、組合等及び連合会の行う共済事業及び保険事業に関する事務費に対し、その共済事業及び保険事業の事業規模等に応じて農業共済事業事務費負担金(以下「事務費負担金」という。)を交付することとなっている。
山形県管内の置賜農業共済組合(以下「組合」という。平成12年3月31日に旧西置賜農業共済組合と合併。)では、11年度に、果樹共済事業のうち、収穫共済(注1)に係る減収暴風雨方式(注2)及び減収凍霜害方式(注3)において、ぶどう261戸(引受面積14,092a)を共済の対象として引き受けている。この共済に係る共済掛金は5,653,074円で、このうち国の掛金負担金は2,826,535円となっている。そして、前記のとおり、再保険料を差し引いて交付することとなっていることから、国は山形県農業共済組合連合会(以下「県連合会」という。)に対し、1,294,833円の掛金交付金を交付している。
また、組合及び県連合会に対しては、12年度に事務費負担金がそれぞれ286,386,000円及び149,691,000円交付されている。
収穫共済 果樹の永年性作物としての特性にかんがみ、年々の果実の減収による損害を対象とするもので、果樹共済の種類としては、他に、将来にわたって果実を生む資産としての樹体そのものの損害を対象とする樹体共済がある。 |
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減収暴風雨方式 暴風雨(農林水産大臣が定める一定基準以上の暴風雨)による果実の減収による損害のみを共済の対象とする収穫共済 |
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減収凍霜害方式 凍傷又は降霜による果実の減収による損害のみを共済の対象とする収穫共済 |
2 検査の結果
本院は、山形県、組合及び県連合会において会計実地検査を行った。そして、果樹共済事業を対象に、合規性等の観点から、共済掛金の負担は適切かなどに着眼して、収穫共済(ぶどう)引受通知書等の書類により検査し、また、同県に調査を求め、その調査結果の報告を受けたところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
すなわち、前記の組合における11年度のぶどうに係る261戸の果樹共済の引受けのうち、105戸については、組合職員が農業者の名前を使用して虚偽の申込みをしたものに対して、組合において引受けが行われたものであった。
したがって、当初の261戸の引受けに係る掛金交付金額計1,294,833円から正規の引受けに係る掛金交付金相当額791,216円を差し引いた虚偽の引受けに係る掛金負担金相当額503,617円が過大に交付されていて、不当と認められる。
また、12年度の事務費負担金は、組合等の11年度共済引受実績等に基づき交付されているが、虚偽の引受け105戸を除いて適正な額を再計算すると、組合分286,174,000円、県連合会分149,654,000円となり、前記の交付額組合分286,386,000円、県連合会分149,691,000円との差額、組合分212,000円、県連合会分37,000円がそれぞれ過大に交付されていて、不当と認められる。
(218) 集落環境整備事業で整備された親水施設等が補助の目的外に使用されているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、群馬県利根郡新治村(平成17年10月1日以降は利根郡みなかみ町)が、集落環境整備事業の一環として、都市との交流及び老人や子供が自然の中で安心して遊びコミュニケーションを深める場を設けるため、同村恋越地区において、9、10両年度に事業費計61,456,500円(国庫補助金計30,728,250円)で、大小二つの池等の親水施設、養魚池、管理棟等から成る集落水辺環境施設である公園(以下「公園」という。)を整備したものである。
同村では、11年7月に同村の行政組織である恋越区との間に公園の管理委託契約を締結し、同区に公園の管理を委託するなどしていた。そして、同区では、同月以降、同区住民により設立された恋越水産組合(以下「組合」という。)に、公園の実際の維持管理を行わせるなどしていた。
2 検査の結果
本院は、群馬県及び利根郡みなかみ町において、合規性等の観点から、公園の管理が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について事業計画書等の書類及び現地の状況を検査したところ、公園の管理が次のとおり適切ではなかった。
すなわち、公園の実際の維持管理を行う組合では、当初から、公園の名称を「恋越フィッシングパーク」とするとともに、公園内の親水施設である大小二つの池のうち小さい池(面積190m2)を浮釣り用とし、大きい池(同1,810m2)をルアー釣り用として運営し、その利用に際しては、利用者からそれぞれ1時間1,300円又は1,500円の利用料を徴収していた。また、大きい池については、ルアー釣り用であることから、事故防止などのために一般入場者の立入りを規制する旨の看板を設置しており、住民等の自由な散策等が制限されていた。
そして、新治村では、組合が上記のようにこれら施設を住民の憩いの場を提供するなどのための親水施設としてではなく、料金を支払った者のみが釣りを楽しむ有料の釣り堀施設として管理を行うことを了承していた。
このような事態が生じていたのは、同村において、国庫補助事業により整備した親水施設等の適切な管理に対する認識が十分でなかったこと、また、同県において、同村に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件親水施設、池に放流する魚を一時的に保管するための養魚池及び料金収受、釣り道具保管等有料の釣り堀施設のために直接使用されている管理棟(建築面積54.6m2)の一部(同19.8m2)(これらに係る工事費相当額計23,908,500円)は、補助金の交付の目的に反して使用されており、これらに係る国庫補助金相当額計11,954,250円が不当と認められる。
(219) 農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業として実施している土地改良事業が土地改良法に定める要件を満たしておらず、事業の実施が適切とは認められないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、埼玉県が、平成9年度から18年度までの間に、農業生産の近代化及び農業生産物の流通の合理化を図ることなどを目的として、深谷市、大里郡川本町及び同郡花園町(これらの3市町及び同郡岡部町は18年1月1日に合併して深谷市となった。)にまたがって所在する大里中央地区において、事業費計889,148,000円(国庫補助金計444,574,000円)で農道(延長1,734m)を整備したものである。
本件補助事業は、土地改良法(昭和24年法律第195号)に基づく土地改良事業として実施されるもので、同法第85条の2の規定によれば、市町村は、農業振興地域整備計画(注)の中から必要と認める土地改良事業を都道府県が行うべきことを都道府県知事に申請することができるとされている。そして、上記の申請に当たっては、同法第3条により規定されている土地改良事業の施行に係る地域内にある農用地等の所有者等(以下「3条資格者」という。)のうち、あらかじめ3分の2以上の同意を得なければならないなどとされている。
そして、前記の3市町では、本件土地改良事業の申請に当たり、10年2月に、深谷市の317名、川本町の204名、花園町の110名、計631名の3条資格者に対してそれぞれ本件土地改良事業への同意の確認を行い、深谷市の306名、川本町の202名、花園町の103名、計611名(96.8%)の3条資格者の同意を得たとしていた。
農業振興地域整備計画 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)に基づき、市町村等が、農用地等として利用すべき土地の区域等について定める計画 |
2 検査の結果
本院は、埼玉県において、合規性等の観点から、事業が法令に基づき適正に実施されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、県営土地改良事業施行申請書等の書類及び現地の状況を検査したところ、次のとおり事業の実施が適切でなかった。
すなわち、川本町が3条資格者202名の同意を得たとして同県に提出していた同意書は原本の写しであり、これに原本と相違ないことを川本町長が証明したものであった。
しかし、上記の同意書の原本を確認したところ、これは本件土地改良事業に係る同意書ではなく、これとは別途に同県が7年度に開始した県営土地改良事業に係る同意書を川本町が加工するなどして作成したものであり、川本町は、本件土地改良事業の申請に当たって本来行うべき3条資格者に対する同意の確認を行っていなかった。
以上のことから、本件土地改良事業に同意した3条資格者は、深谷市の306名、花園町の102名、計408名(64.7%)であり、これは631名の3条資格者の3分の2を下回ることとなり、土地改良法に定める申請のための要件を満たしていない。
このような事態が生じていたのは、川本町において虚偽の同意書を作成するなど土地改良事業を適正に実施するという認識が十分でなかったこと、埼玉県において川本町から提出された同意書に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件補助事業は、土地改良法に定める要件を満たしておらず、これを補助対象事業として国に申請しその採択を得て実施しているのは適切とは認められず、これに係る国庫補助金計444,574,000円が不当と認められる。
(220) 農道環境整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、法面緑化工が工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、千葉県が、農道環境整備事業の一環として、いすみ市(平成17年12月4日以前は夷隅郡夷隅町)須賀谷地内において、農道を拡幅するため、地山を掘削した後の法面緑化工等を17年度に工事費47,302,500円(国庫補助金21,286,125円)で実施したものである。
このうち法面緑化工は、地山を掘削した切土法面に植物を繁茂させることによって風化及び侵食を防止するため、種子散布工を5,944m2施工するものである。この種子散布工は、ポンプを用いて植物種子を含んだ木質繊維等の基盤材を厚さ1cm未満に散布する工法である。
同県では、上記の地山の掘削前において調査したところ、土質が軟岩であることから当該切土法面の勾配を1:0.8と設計し、また、切土法面の土壌硬度(注)が30mm以上と想定されることなどから「道路土工−のり面工・斜面安定工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)に基づき、法面緑化工の工法として、植物種子を含んだ人工土壌である植生基材をポンプ等を用いて厚さ5cmに吹き付ける植生基材吹付工を選定していた。しかし、地山の掘削後、事業費の節減が図れることなどから、本件法面緑化工の工法を植生基材吹付工から種子散布工に変更することとして設計し、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、千葉県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、仕様書等の書類及び現地の状況を検査したところ、法面緑化工の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、指針によると、法面緑化工の工法の選定に当たっては、切土法面の土壌硬度等の地質・土質条件、法面勾配等を考慮するなどの必要があるとされている。そして、法面緑化工の工法として種子散布工を選定するのは、切土法面が1:1.0より緩勾配であり、土壌硬度が23mm以下の土砂である場合とされている。
しかし、同県では、当該切土法面は勾配が1:0.8と1:1.0より急勾配であること、土質が軟岩であること及び土壌硬度が30mm以上と想定されていたことを把握していたにもかかわらず、法面緑化工の工法として種子散布工を選定していた。このため、会計実地検査時(19年6月)において、切土法面における草本類等の生育が十分なものとはなっておらず、風化及び侵食が進んでいる箇所が多数見受けられ、中には草本類等が全く生育していなかったり、軟岩であった切土法面の表層がはく離して土砂となって流出したりしている状況が見受けられた。
また、当該切土法面の土壌硬度を調査したところ、20箇所の調査箇所のうち10箇所については、指針において根系の伸長がほとんど不可能とされている30mm以上の土壌硬度であり、他の10箇所についても、ほとんどの植物の根系の伸長が妨げられるとされている23mmを超える土壌硬度となっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、法面緑化工の工法の選定に係る検討が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件法面緑化工(工事費相当額9,341,785円)は、設計が適切でなかったため、切土法面の風化及び侵食を防止するという効果が十分に期待できないものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額4,203,803円が不当と認められる。
土壌硬度 土壌の硬さを示す指標であり、その硬度は使用される計測機器に表示される長さの単位で表示され、その数値が高いほど硬い土壌とされている。 |
(221) 水土保全林整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、土留工の安定が損なわれるおそれがあり、工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、神奈川県が、水土保全林整備事業の一環として、足柄上郡松田町寄地内において、林道を開設するため、平成16年度に橋りょう工、法面保護工、土留工等を工事費101,230,500円(国庫補助金45,553,725円)で実施したものである。
このうち、土留工は、橋りょう上部工を架設する際の足場の基礎として使用した掘削残土の一部を渓間に残置することとしたことから、その流出防止を目的として、重力式コンクリート擁壁1基(延長16m、高さ5m)を築造するものである(参考図1参照)。
同県では、本件土留工の設計に当たって、林道の路体を防護するために設置する林道擁壁を設計する際の基準となっている「森林土木構造物標準設計擁壁I」(財団法人林業土木コンサルタンツ作成。以下「標準設計」という。)に基づき、土留工の天端厚を0.4m及び底版幅を2.06mなどとし、天端部に放水路(1.2m×1.2m)を設けるとともに盛土部に素掘の水路工を設けることとして設計し、これにより施工していた(参考図2参照)。
2 検査の結果
本院は、神奈川県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類及び現地の状況を検査したところ、本件土留工の設計が、次のとおり適切でなかった。
すなわち、標準設計は流水の影響についての考慮を必要としない林道擁壁に適用する設計の基準であり、本件土留工のように、常時水が流下し、降雨時には最大高水流量8.3m3/sと相当の流水量が見込まれる渓間に構造物を設置する場合には、流水の影響等を考慮している「治山技術基準解説」(林野庁監修)の重力式治山ダム(以下「治山ダム」という。)の基準によることとなっている(参考図3参照)。
そして、これによれば、天端厚を0.8m以上等とし、下流法先が洗掘されるおそれがある場合にはその防止を図ること、浸透水圧を軽減するなどのため水抜きを設置することなどとされている。
しかし、同県では、設計に当たり、上記の治山ダムの基準によることなく、標準設計により設計し、施工していた。
このため、本件土留工下流法面側の埋戻し部分が、土留工の放水路からの落下水等により会計実地検査時(19年2月)において既に洗掘されていて、フーチング部分が露出している状況であり、このまま洗掘が進行すると、土留工の安定が損なわれるおそれがあると認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、本件土留工が、常時水が流下している渓間に構造物を設置するものであるのに、流水の構造物に及ぼす影響についての検討が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件土留工(工事費相当額4,497,681円)は、設計が適切でなかったため、土留工の安定が損なわれるおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額2,023,956円が不当と認められる。
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(222) 海岸保全施設整備事業の実施に当たり、被覆石の設計が適切でなかったため、護岸の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、福井県が、海岸保全施設整備事業の一環として、大飯郡高浜町宮尾第2地区において、波浪により侵食されるなどした既設の護岸を改修するため、平成17、18両年度に、基礎工、護岸工等を工事費計42,559,456円(国庫補助金計21,279,728円)で実施したものである。
上記の工事は、既設の護岸(天端高は東京湾平均海面+3.5m)の海側に新たな護岸(以下「新設護岸」という。)を築造するため、基礎部として基礎捨石を敷き均し、その上に延長計159.4mの護岸本体(17年度工事対象延長66.1m、18年度工事対象延長93.3m)を築造するものである。そして、新設護岸の前面には、波力を受ける基礎捨石を保護するなどのため、基礎捨石の上に被覆材として大型の石(以下「被覆石」という。)を設置することとしている(参考図参照)。
同県では、新設護岸の設計に当たり、その天端高を既設護岸と同じとすることとし、この天端高を越えることのない波について調査したところ、3年間の再現期間に対する確率波であれば、波が新設護岸の天端高を越えることはないことが判明した。そして、被覆石の設計に当たり、この確率波を設計波(波高1.6m)として用いて被覆石の所要質量を算定したところ、算定値が0.47t/個となり、0.5t/個の質量のものを使用すれば、設計計算上安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、福井県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、被覆石の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、「海岸保全施設の技術上の基準を定める省令」(平成16年農林水産省・国土交通省令第1号)では、海岸保全施設の設計を行うための設計波については、海岸管理者が定めるものとされており、同県では、30年間の再現期間に対する確率波(以下「30年確率波」という。)を設計波として用いることとなっている。
そこで、30年確率波を設計波(波高2.0m)として用いて被覆石の所要質量を改めて算定したところ、新設護岸の一部区間(延長20.1m)については、被覆石の所要質量が0.67t/個から0.92t/個となり、施工された被覆石の質量は上記の区間において設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。このため、被覆石が散乱した場合には、基礎捨石、新設護岸本体等に影響が及ぶおそれがあると認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、被覆石の所要質量の算定に用いる設計波に対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件新設護岸は被覆石の設計が適切でなかったため、前記の延長20.1mに係る区間(工事費相当額計5,161,064円)について所要の安全度が確保されていない状態となっており、これに係る国庫補助金相当額計2,580,532円が不当と認められる。
(223) 漁協等経営基盤強化対策事業等の実施に当たり、補助等の対象とならない経費を事業費に含めていたため、補助対象事業費等の精算が過大となっているもの
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1 補助事業等の概要
この補助事業及び交付金事業(以下「補助事業等」という。)は、京都府漁業協同組合連合会(以下「連合会」という。)が、漁協等経営基盤強化対策事業及び水産業振興等推進交付金事業として漁業協同組合(以下「漁協」という。)の合併を計画的に推進するため、平成16、17両年度に合併予定漁協の財務分析・評価等に係る検討会、合併後の経営計画の策定指導に係る指導員派遣及び合併予定漁協の役員等の資質向上を図るための研修会を実施したものである。
連合会では、16年度は水産業振興総合対策事業実施要領(平成10年10水漁第944号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、また、17年度は補助金の交付金化に伴い、強い水産業づくり交付金実施要綱(平成17年16水港第3235号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、本件補助事業等を16年度8,209,285円、17年度8,213,186円、計16,422,471円(補助対象事業費等同額)で実施したとして、京都府に実績報告書を提出し、これに対して国庫補助金等16年度4,000,000円、17年度4,000,000円、計8,000,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
本院は、京都府及び連合会において、合規性等の観点から、補助事業等に係る経理が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業等について、実績報告書、総勘定元帳等の書類により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、連合会では、16、17両年度の実績報告書の補助対象事業費等に、ふるさと海づくり大会に要する経費や、青壮年及び女性漁業者が水産業の抱える問題点等について討議する交流大会に要する経費などの連合会に係る各種の経費計12,349,335円を含めていた。しかし、これらの経費は、本件補助事業等の目的である漁協合併の計画的な推進に必要な経費と認められず補助等の対象とならないことから、補助対象事業費等が過大に精算されていた。
このような事態が生じていたのは、連合会において、補助事業等の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、同府において、実績報告書に対する審査、確認が十分でなかったり、連合会に対する指導、監督が十分でなかったりしたことによると認められる。
したがって、本件補助事業等に係る16、17両年度の適正な補助対象事業費等は、次のとおり、計4,073,136円となり、前記の補助対象事業費等計16,422,471円との差額計12,349,335円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金等計6,015,837円が不当と認められる。
年度 |
補助対象事業費等
(円)
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国庫補助金等交付額
(円)
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適正な補助対象事業費等
(円)
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過大に精算されていた補助対象事業費等
(円)
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左に係る国庫補助金等
(円)
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16 |
8,209,285 |
4,000,000 |
2,025,062 |
6,184,223 |
3,013,289 |
17 |
8,213,186 |
4,000,000 |
2,048,074 |
6,165,112 |
3,002,548 |
計 |
16,422,471 |
8,000,000 |
4,073,136 |
12,349,335 |
6,015,837 |
(224) 漁港施設用地に整備した駐車場兼多目的広場が補助の目的外に使用されているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、鳥取県が漁港改修事業として気高郡気高町(平成16年11月1日以降は鳥取市)に所在する酒津漁港において、6、7両年度に、公有水面及び国有海浜地を埋め立てて、漁港施設用地として漁港環境整備施設用地、漁具保管修理施設用地等計6,601m2を造成するなど(漁港施設台帳価格計383,369,000円)したものである。同漁港の管理者は12年4月に、鳥取県から気高町に変更されている。
そして、漁港施設用地を整備した同県では、地元自治会の要望により上記の漁具保管修理施設用地に施工されていたアスファルト舗装をグラウンドとして使用するために撤去するとともに、撤去するアスファルト舗装の代替施設として、漁港環境整備施設用地のグラウンドとして使用していた部分912m2に、漁港環境整備施設を利用する者のための駐車場兼多目的広場としてアスファルト舗装を施工することを内容とする財産の処分申請を農林水産省に対して行い、13年11月に承認を得ていた。
その際、農林水産省では、鳥取県に対し、補助金交付時に付した処分する施設に係る条件を代替施設にも継承させることとし、その結果、代替施設として整備するアスファルト舗装に対しては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第22条の規定が適用され、財産の処分が制限されることとなった。
前記の承認を受けて、地元自治会では、13年12月に自らの負担で前記の漁具保管修理施設用地に施工されていたアスファルト舗装の撤去を行うとともに、漁港環境整備施設用地のグラウンドとして使用していた部分912m2に駐車場兼多目的広場としてアスファルト舗装を施工している。
2 検査の結果
本院は、鳥取県において、合規性等の観点から、補助事業により取得した施設がその目的どおりに使用されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、同県が実施した補助事業について、事業計画書等の書類により検査するとともに、漁港管理者である気高町において漁港施設の管理状況を調査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、地元自治会では、近隣住民による路上駐車が問題となっていたことから、代替施設としてアスファルト舗装を施工していた駐車場兼多目的広場912m2のうち526m2を、同県に無断で特定の住民のための専用駐車場及びその通路として利用させていた。
しかし、上記の駐車場兼多目的広場は、漁港環境整備施設を利用する者のために整備したものであるから、特定の住民のための専用駐車場等として使用されている事態は、補助対象施設の目的外使用であって適切とは認められない。
このような事態が生じていたのは、漁港管理者である同町が補助事業の趣旨を十分理解していなかったことにもよるが、同県において本件補助事業の趣旨に関して同町に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、前記の特定の住民のための専用駐車場等として使用されていた526m2の駐車場兼多目的広場(これに対する事業費相当額は、公有水面埋立部分の用地については土地鑑定評価額、国有海浜地埋立部分の用地については同県の積算基準に基づくなどして算出した造成事業費相当額、アスファルト舗装については駐車場兼多目的広場912m2の舗装工事費のうち526m2に係る額の合計6,807,890円)は補助の目的外に使用されており、これに係る国庫補助金相当額3,403,944円が不当と認められる。
(225) 農村振興総合整備統合補助事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、重力式コンクリート擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、徳島県三好郡東みよし町(平成18年2月28日以前は三好郡三好町)が、農村振興総合整備統合補助事業の一環として、同町法市(ほいち)地区において、集落道を整備するため、17年度に、擁壁工、土工等を工事費17,348,100円(国庫補助金8,674,050円)で実施したものである。
このうち擁壁工は、集落道の路体等の安定を図るため重力式コンクリート擁壁(高さ2.2m〜6.5m、延長64.2m。以下「擁壁」という。)を築造するものである。
そして、本件擁壁については、その高さ等に応じて1号擁壁から4号擁壁に区分し、それぞれについていずれもその背後の地形の断面形状が水平であるとして作用する土圧を算定し、滑動、転倒及び基礎地盤の支持力に対する安定計算を行い、安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、徳島県三好郡東みよし町において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、安定計算書等の書類により検査したところ、擁壁の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、実際の擁壁背後の地形の断面形状は、擁壁が築造された全区間にわたり、擁壁から道路幅員(4m)の部分についてはほぼ水平であるものの、それより先の部分については傾斜地となっていた。そして、このような場合には、擁壁に作用する土圧が擁壁背後の地形の断面形状が水平である場合より増加する可能性がある。
そこで、実際の地形形状に基づき擁壁に作用する土圧を算定するため、改めて安定計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどしたところ、本件擁壁のうち4号擁壁(高さ6.5m、延長4.8m)については、作用する土圧が当局設計の197.62kN/mから385.16kN/mに増加することとなり(参考図参照)、このため安定計算の数値は、次のとおり、安定計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
ア 滑動に対する安定については、安全率が1.03となり、許容値である1.5を大幅に下回っている。
イ 転倒に対する安定については、水平荷重及び鉛直荷重の合力の作用位置が擁壁の底版幅の中央より0.816mの位置となり、安全な範囲の上限値である0.608mを大幅に逸脱している。
ウ 基礎地盤の支持力に対する安定については、地盤反力度(注)が352kN/m2となり、基礎地盤の許容支持力度である300kN/m2を上回っている。
このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのにこれに対する検査が十分でなかったこと、同町に対する徳島県の指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件擁壁のうち4号擁壁等(工事費相当額3,010,390円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額1,505,195円が不当と認められる。
地盤反力度 構造物を介して地盤に力を加えたとき、地盤に発生する単位面積当たりの抵抗力をいう。この地盤反力度がその地盤の許容支持力度を上回っていなければ、構造物は基礎地盤の支持力に対して安定した状態にあるとされている。 |
4号擁壁背後の地形の断面形状と擁壁に作用する土圧の概念図
(226) 畑地帯総合整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、調整池の洪水吐の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、長崎県が、畑地帯総合整備事業の一環として、雲仙市愛野町(平成17年10月10日以前は南高来郡愛野町)甲地内において、区画整理に伴う排水計画の変更により雨水の排水流量が増加するため、16、17両年度に、雨水を一時貯留するなどのための調整池、管理用道路等の整備を工事費101,241,000円(国庫補助金50,620,500円)で実施したものである。
このうち調整池には、逆T型擁壁(高さ5.6m、幅8.9m)、前面壁(高さ5.1m、幅6.8m)、側面壁(高さ5.1m、幅2.4m)等から構成される洪水吐(注1)が設置されている(参考図1参照)。
同県では、当初、この洪水吐については、前面壁、側面壁及び逆T型擁壁に囲まれた空間(以下「洪水吐内部」という。)に、各壁面に垂直に接続するコンクリート版、中詰材(砕石)及びL字型の排水管を設置することとしていた(参考図2の(当初設計)参照)。そして、次のとおり設計すれば応力計算上安全であるとして、これにより施工することとしていた。
ア 洪水吐の前面壁には、調整池に一時貯留した雨水の水圧並びに洪水吐内部に設置されるコンクリート版及び中詰材により曲げモーメント(注2)が生じ、その数値を算定すると28.472kN・mとなる。
イ 上記により、主鉄筋として径16mmの鉄筋を縦方向に25cm間隔で配置し、配力鉄筋として径13mmの鉄筋を横方向に25cm間隔で配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注3)は118.3N/mm2となり、鉄筋の許容引張応力度(注3)157N/mm2を下回る。
しかし、当該工事の実施期間中に、本件事業完了後に調整池の維持管理を行うこととなる地元の土地改良区から、洪水吐内部にL字型の排水管を設置した場合には当該排水管の清掃等が困難となる旨の申出があったことから、同県では、洪水吐内部にコンクリート版、中詰材及びL字型の排水管の設置を行わず、排水管は洪水吐内部の最下部から接続する形状とする設計変更を行い、これにより施工していた(参考図2の(変更設計)参照)。
2 検査の結果
本院は、長崎県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、洪水吐の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、洪水吐についてはその内部にコンクリート版、中詰材及びL字型の排水管の設置を行わないこととする設計変更を行っていることから、調整池に一時貯留した雨水の水圧により洪水吐の前面壁に生ずる曲げモーメントが当初設計に比べて増加することが見込まれるのに、応力計算の再検討を行っていなかった。
そこで、洪水吐の前面壁について、改めて応力計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、前面壁に生ずる曲げモーメントは当初設計の28.472kN・mから80.190kN・mに増加するなどし、このため主鉄筋に生ずる引張応力度は332.3N/mm2、配力鉄筋に生ずる引張応力度は240.6N/mm2となり、鉄筋の許容引張応力度157N/mm2をそれぞれ大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
このような事態が生じていたのは、同県において、洪水吐の設計変更に当たり、応力計算の再検討の必要性に対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件洪水吐等(工事費相当額10,116,572円)は設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額5,058,286円が不当と認められる。
洪水吐 調整池の越流水を下流へ放流するための施設 |
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曲げモーメント 外力が材に作用し、これを曲げようとする力の大きさをいう。 |
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引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。 |
調整池の概念図
洪水吐の断面図
(227) ITフードチェーン確立事業の実施に当たり、補助対象事業費を水増ししていたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、市場施設高度化プロジェクト推進協議会(大分県大分市)が、ITフードチェーン確立事業の一環として、ITを活用した物流システムを構築するため、平成15年度に、花き(注)のせり時に入荷情報や販売単価等を表示盤に表示させたり、生産者、卸売業者、仲卸業者及び小売業者の間の取引を電子データで行ったりするための市場物流高度化システムの設計、プログラムの開発、機器の整備等を実施したものである。
同協議会では、本件事業を103,075,000円(国庫補助対象事業費同額)で業者に請け負わせて実施したとする実績報告書を大分県に提出し、国庫補助金34,358,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
本院は、大分県及び同協議会において、合規性等の観点から、事業の契約、経理等は適正に実施されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
すなわち、同協議会では、契約金額103,075,000円で業者に請け負わせ、同協議会の構成員である一会社(代表者は同協議会と同一)から本件補助事業に係る同協議会の自己負担金に相当する68,717,000円を受け入れ、国庫補助金と併せて16年3月に支払ったとしていた。しかし、実際には、この契約金額は水増しされたもので、同月に同会社が契約金額のうち56,116,900円の返金を業者から受けていたため、同協議会は46,958,100円で本件補助事業を実施していたこととなる。
このような事態が生じていたのは、同協議会において補助事業の適正な実施に対する認識が欠如していたこと、同県において本件補助事業の審査、確認及び同協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、同協議会は、実績報告書記載の事業費より低額な46,958,100円で本件補助事業を実施したことになり、前記の国庫補助対象事業費103,075,000円との差額56,116,900円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額18,705,457円が不当と認められる。
花き 食品流通構造改善促進法(平成3年法律第59号)において、食品に含まれ、ITフードチェーン確立事業の補助対象となる。 |
(228)−(231) 経営体質強化施設整備事業等の実施に当たり、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していないもの
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1 補助事業の概要
(1) 補助事業の概要
これらの補助事業は、次のとおり、施設等を整備するなどしたものである。
補助事業名 |
補助事業の概要 |
(1)家畜排せつ物利活用施設整備 |
家畜排せつ物等有機性資源の再生資源としての有効利用等を促進することにより、環境と調和のとれた資源循環型農業を推進するため、堆肥舎等を整備するもの |
(2)経営体質強化施設整備等 |
農業経営の規模拡大及び農産物の高付加価値化を図るため、農畜産物処理加工施設としてぶどう加工場の整備等を行うもの |
(3)輸入急増農産物対応特別対策 |
輸入品との競争にも耐えうる野菜産地を形成するなどのため、野菜栽培用の温室施設を設置するもの |
(4)農業・食品産業強化対策整備 |
高品質で付加価値の高い野菜の生産・供給等を行い産地の競争力の強化を行うため、野菜栽培用の温室施設を設置するもの |
そして、事業主体は、これらの補助事業を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含め、事業費計746,185,740円(国庫補助金計372,972,000円)で実施している。
(2) 補助事業における消費税の取扱い
消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
そして、補助事業の事業主体が補助対象の施設等を取得することも課税仕入れに該当し、上記の仕組みにより確定申告の際に補助事業で取得した施設等に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は当該施設等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
また、事業主体が、民法(明治29年法律第89号)上の組合契約による組合(以下「民法上の組合」という。)の場合には、民法上の組合を構成する事業者にその持分等に応じて納税義務が生じることとなることから、上記と同様に、事業者が持分等に応じた課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合、事業者は当該消費税額を実質的に負担していないことになり、事業主体である民法上の組合も同様に負担していないことになる。
このため、補助事業の事業主体は、「農業経営対策事業費補助金等交付要綱」(平成12年12構改B第350号農林水産事務次官依命通知)等により、実績報告書の提出に当たり仕入税額控除した消費税額に係る補助金の額が明らかな場合には、これに相当する額を減額して報告しなければならないこと、また、実績報告書の提出後に消費税の申告をして仕入税額控除した消費税額に係る補助金の額が確定したときには、その金額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととなっている。
2 検査の結果
本院は、3県、3市町及び4事業主体において、合規性等の観点から、事業の経理等は適正に実施されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、前記の補助事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、上記の4事業主体では、消費税の確定申告等を行い、補助事業に係る消費税額計31,348,550円を仕入税額控除するなどして消費税の還付を受けていた。
しかし、上記の仕入税額控除した消費税額計31,348,550円に係る補助金の額計15,668,364円を報告、返還しておらず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において、補助事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、県及び市町において、本件補助事業の消費税の取扱いについての指導及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを、補助事業者別、間接補助事業者別に示すと次のとおりである。
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補助事業者
|
間接補助事業者
|
間接補助事業者
(事業主体)
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補助事業
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年度
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事業費
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左に対する国庫補助金
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不当と認める事業費
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不当と認める国庫補助金
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円
|
円
|
円
|
円
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(228)
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熊本県
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上益城郡御船町
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有限会社駒城
|
家畜排せつ物利活用施設整備
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16
|
78,166,500
|
39,083,000
|
3,722,214
|
1,861,095
|
上記の会社では、本件補助事業を消費税を含め、事業費78,166,500円(国庫補助金39,083,000円)で実施して、平成17年4月に御船町に実績報告書を提出し、これにより国庫補助対象事業費の精算を受けていた。
そして、同会社は17年10月に消費税の確定申告を行い、本件補助事業に係る消費税額3,722,214円を仕入税額控除し、同年同月に消費税の還付を受けていた。
しかし、同会社では、上記の仕入税額控除した消費税額3,722,214円に係る補助金の額1,861,095円を報告、返還していなかった。
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(229)
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大分県
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大分郡湯布院町
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有限会社由布院ワイナリー
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経営体質強化施設整備等
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12、13
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380,862,090
|
190,312,000
|
18,136,288
|
9,062,345
|
上記の会社では、本件補助事業を消費税を含め、事業費計380,862,090円(国庫補助金計190,312,000円)で実施して、平成13年10月及び14年4月に湯布院町に実績報告書を提出し、これにより国庫補助対象事業費の精算を受けていた。
そして、同会社は14年9月に消費税の確定申告を行った後、15年5月に消費税の更正の請求を行って、本件補助事業に係る消費税額18,136,288円を仕入税額控除し、同年同月に税務署の更正通知を受け、同年6月に消費税の還付を受けていた。
しかし、同会社では、上記の仕入税額控除した消費税額18,136,288円に係る補助金の額9,062,345円を報告、返還していなかった。
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(230)
|
宮崎県
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西都市
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一ツ瀬園芸組合
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輸入急増農産物対応特別対策
|
17
|
127,483,650
|
63,741,000
|
4,386,141
|
2,193,024
|
上記の組合では、本件補助事業を消費税を含め、事業費127,483,650円(国庫補助金63,741,000円)で実施して、平成17年8月に西都市に実績報告書を提出し、これにより国庫補助対象事業費の精算を受けていた。
そして、同組合は民法上の組合に該当することから、同組合を構成する個人事業者8名が18年3月に消費税の確定申告を行い、個人事業者8名のうち、簡易課税制度(注)の適用を選択した1名を除いた7名は、本件補助事業に係る消費税額計4,386,141円を仕入税額控除し、同年5月に消費税の還付を受けていた。
しかし、同組合では、上記の仕入税額控除した消費税額計4,386,141円に係る補助金の額2,193,024円を報告、返還していなかった。
簡易課税制度 実際の課税仕入れに係る消費税額にかかわらず、課税売上高に対する消費税額に業種ごとに定められた率を乗じて得られた金額を課税仕入れに係る消費税額とみなして納付税額を計算する方法 |
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(231)
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宮崎県
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西都市
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丸一園芸組合
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農業・食品産業強化対策整備
|
17
|
159,673,500
|
79,836,000
|
5,103,907
|
2,551,900
|
上記の組合では、本件補助事業を消費税を含め、事業費159,673,500円(国庫補助金79,836,000円)で実施して、平成18年4月に西都市に実績報告書を提出し、これにより国庫補助対象事業費の精算を受けていた。
そして、同組合は民法上の組合に該当することから、同組合を構成する個人事業者6名のうち、納税義務のない1名を除いた5名が実績報告書提出前の18年3月に消費税の確定申告を行っていた。また、上記消費税の確定申告を行っていた個人事業者5名のうち、簡易課税制度の適用を選択した1名を除いた4名は、本件補助事業に係る消費税額計5,103,907円を仕入税額控除し、同年5月に消費税の還付を受けていた。
しかし、同組合では、上記の仕入税額控除した消費税額計5,103,907円に係る補助金の額2,551,900円を実績報告書において減額して報告しておらず、また、返還していなかった。
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(228)−(231)の計
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746,185,740
|
372,972,000
|
31,348,550
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15,668,364
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(232)−(239) 麦・大豆品質向上対策費補助金が過大に交付されているもの
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1 補助金の概要
(1) 補助金交付の目的
麦・大豆品質向上対策費補助金(以下「補助金」という。)は、水田農業構造改革対策実施要綱(平成16年15生産第7999号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要綱」という。)等に基づき、市町村の区域を基本に設置される地域水田農業推進協議会(以下「地域協議会」という。)が実施する麦・大豆品質向上対策に対して、都道府県水田農業推進協議会(以下「協議会」という。)が補助する場合に、国がこの補助に要する経費を補助するものである。麦・大豆品質向上対策は、平成16年度から18年度までの3年間を実施期間とし、需要に即した高品質の麦・大豆の生産に取り組む担い手を支援することを目的として、一定の品質等の要件を満たす麦又は大豆の生産を行った認定農業者等の助成対象者に、地域協議会が助成金を交付するものである。そして、この補助金については、実施要綱等により、麦と大豆の別に、品質等の要件及び補助金交付額の算定方法が定められている。
(2) 大豆の品質等の要件
補助金の交付対象となる大豆の品質等の要件は、実施要綱等により、農産物規格規程(平成13年農林水産省告示第244号)の普通大豆1等及び2等の品位に適合する大豆又は生産局長が定める契約栽培の方法により販売された大豆であることなどとされている。
そして、上記の生産局長が定める契約栽培の方法は、以下の要件を満たすものとされている。
ア 農産物規格規程の普通大豆1等から3等までの品位及び特定加工用大豆の合格の品位に適合する大豆であること
イ 生産者等の売り手と大豆を原料とした加工品、製品等の製造を業としている者等の買い手との間で、大豆の播種(はしゅ)の前に、栽培面積の契約(以下「播種前契約」という。)が締結されていること
(3) 大豆の補助金交付額の算定方法
協議会に対する大豆の補助金交付額は、実施要綱等により、地域協議会が実施する品質向上対策に要する経費に対して、協議会が補助を行うのに必要な経費とされている。
そして、地域協議会は、品質等の要件を満たす大豆の生産割合に応じて、助成対象者に次の算式で算定した額を助成することとされている。
ア 助成対象面積は、助成対象者が大豆の栽培を行った面積のうち出荷を行った面積をいい、契約栽培の方法によるものとそれ以外のもの(入札による取引等をいう。以下「一般栽培」という。)の別に分けた面積とする。
イ 品質等要件クリア数量は、一般栽培の場合は普通大豆1 等及び2等の品位に適合する大豆の数量とし、契約栽培の場合は普通大豆1等から3等までの品位及び特定加工用大豆の合格の品位に適合する大豆の数量とする。
ウ 全出荷数量は、助成対象者が出荷した大豆の全量とする。
2 検査の結果
本院は、31道県協議会及びその管内の119地域協議会において、合規性等の観点から助成金の交付に妥当性を欠いているものはないかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について実績報告書等の書類により検査したところ、大豆に係る助成額の算定が適切でない事態が見受けられた。
すなわち、4道県協議会管内の8地域協議会では、助成対象面積のうち播種前契約が締結されていない面積を契約栽培の面積としたり、全出荷数量に農産物規格規程の規格外となった大豆の出荷数量を含めていなかったりするなどして、大豆に係る助成額の算定を行っていた。
このため、大豆に係る助成額が過大に算定されており、補助金交付額計532,919,568円のうち計39,037,613円が過大に交付されていて、不当と認められる。
上記の事態について、一例を示すと次のとおりである。
<事例>
A地域協議会では、平成17年度に、助成対象者Bの助成対象面積計902,712m2をすべて契約栽培の面積とし、品質等要件クリア率を1として大豆に係る助成額を算定し、補助金計11,735,256円の交付を受けていた。
しかし、大豆に係る助成額の算定に当たり、助成対象者Bの助成対象面積のうち播種前契約が締結されていない面積計527,712m2を契約栽培の面積としたり、全出荷数量に農産物規格規程の規格外となった大豆の出荷数量計3,360kgを含めていなかったりなどしていた。
したがって、上記の面積計527,712m2を契約栽培ではなく一般栽培の面積とし、上記の規格外となった大豆の出荷数量計3,360kgを全出荷数量に含めるなどして、品質等要件クリア率を再計算すると、1を下回る(0.06291から0.84437)こととなり、これにより適正な補助金交付額を算定すると計5,668,338円となり、計6,066,918円が過大に交付されていた。
このような事態が生じていたのは、8地域協議会において本件補助制度に対する理解等が十分でなかったこと、4道県協議会において8地域協議会に対する指導監督が十分でなかったことによると認められる。
これを協議会別・地域協議会別に示すと次のとおりである。
|
|
協議会名
|
地域協議会名
|
年度
|
国庫補助金交付額
|
不当と認める国庫補助金
|
|
|
|
|
|
千円
|
千円
|
|
(232)
|
北海道協議会
|
士別市地域協議会
|
17
|
211,717
|
4,628
|
|
(233)
|
同
|
富良野市地域協議会
|
17
|
73,230
|
1,885
|
|
(234)
|
同
|
中富良野町地域協議会
|
17
|
68,508
|
11,431
|
|
(235)
|
同
|
和寒町地域協議会
|
17
|
43,620
|
4,808
|
|
(236)
|
同
|
朝日町地域協議会(注1)
|
17
|
27,189
|
6,031
|
|
(237)
|
栃木県協議会
|
小山市地域協議会
|
18
|
93,092
|
1,269
|
|
(238)
|
熊本県協議会
|
一の宮町地域協議会(注2)
|
17
|
11,735
|
6,066
|
|
(239)
|
鹿児島県協議会
|
高尾野町地域協議会(注3)
|
17
|
3,825
|
2,914
|
|
(232)−(239)の計
|
|
|
532,919
|
39,037
|
|
平成19年4月1日以降は士別市地域協議会
|
|
平成19年3月22日以降は阿蘇市地域協議会
|
|
平成18年4月1日以降は出水市地域協議会
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(240) 木材需給安定対策事業の実施に当たり、補助事業以外の業務に従事していた日数を含めて人件費を算出していたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの
|
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1 補助事業の概要
この補助事業は、財団法人日本木材総合情報センター(以下「センター」という。)が、木材需給安定対策事業の一環として、木材需給の安定、流通の効率化等を図るため、平成14年度から18年度までの各年度において、国内外の木材需給に関する情報の収集・分析等を実施したものである。
木材需給安定対策事業費等補助金交付要綱(昭和49年49林野産第313号農林事務次官依命通知)等によれば、補助事業に要する経費に対する国庫補助金交付額は定額(一部の事業については定率補助となっていて経費の2分の1以内)とされている。そして、毎年度、補助事業に要した経費ごとに国庫補助金の交付決定額と実支出額(定率補助分については、実支出額に補助率を乗じて得た額)とのいずれか低い額を算出し、補助金の確定額とすることとされている。
センターでは、本件補助事業において、補助対象事業費として、情報収集費、技術者給、役務費等の経費を計1,527,970,245円要したとして林野庁に実績報告書を提出し、これに対して国庫補助金計1,462,959,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
本院は、林野庁及びセンターにおいて、合規性等の観点から、補助対象事業費の精算が適正に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、実績報告書、業務報告書等の書類により検査したところ、次のとおり適切でないと認められる事態が見受けられた。
センターでは、補助事業に従事したセンター役職員である技術者の人件費を技術者給として計上していた。そして、この人件費の額については、14年度から18年度までの間の補助事業従事人日数を計9,826人日とし、これに各々の人件費単価を乗じて計431,883,778円を要したとして、実績報告を行っていた。
しかし、補助事業従事人日数を精査したところ、センターでは、技術者が補助事業以外の業務に従事していた日を人日数に含めており、補助事業に従事した実際の人日数は計8,985人日であり、計841人日が過大となっていた。
このため、14年度から18年度までの人件費を修正計算すると計361,917,951円となり、前記の実績報告額との差額計69,965,827円が過大となっていた。
このような事態が生じていたのは、センターにおいて、補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったことなどから事実と相違した内容の実績報告を行っていたこと、これに対する林野庁の審査、確認及びセンターに対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、14年度から18年度までの間における適正な補助対象事業費は、次表のとおり、計1,458,004,418円となり、前記の補助対象事業費計1,527,970,245円との差額計69,965,827円が過大に精算されており、これに係る国庫補助金計69,965,827円が不当と認められる。
| 表 過大となっていた補助対象事業費及び国庫補助金交付額
(単位:円) |
年度 |
補助対象事業費 |
国庫補助金交付額 |
適正な補助対象事業費 |
適正な国庫補助金交付額 |
過大となっていた補助対象事業費及び国庫補助金交付額 |
平成14 |
353,360,205 |
337,681,000 |
338,630,781 |
322,951,576 |
14,729,424 |
15 |
315,297,410 |
296,521,000 |
300,373,792 |
281,597,382 |
14,923,618 |
16 |
275,071,901 |
260,484,000 |
262,173,250 |
247,585,349 |
12,898,651 |
17 |
297,519,729 |
283,698,000 |
284,043,097 |
270,221,368 |
13,476,632 |
18 |
286,721,000 |
284,575,000 |
272,783,498 |
270,637,498 |
13,937,502 |
計 |
1,527,970,245 |
1,462,959,000 |
1,458,004,418 |
1,392,993,173 |
69,965,827 |