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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(211)  自給飼料増産総合対策事業の実施に当たり、地盤改良の施工数量が設計数量を下回っていたのに契約額の減額の処置を執っていなかったため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)農林水産本省
(項)牛肉等関税財源畜産振興費
部局等
農林水産本省
補助の根拠
予算補助
補助事業者
北海道
間接補助事業者
北海道上川郡新得町
間接補助事業者
(事業主体)
新得町農業協同組合
補助事業
自給飼料増産総合対策
補助事業の概要
自給飼料の生産からTMRの調製及び供給までをシステム化したTMRセンターを整備するため平成16、17両年度に管理棟等の建設等を実施するもの
事業費
433,503,000円
 
上記に対する国庫補助金交付額
190,000,000円
 
不当と認める事業費
5,870,550円
 
不当と認める国庫補助金交付額
2,698,428円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、新得町農業協同組合(以下「農協」という。)が、自給飼料増産総合対策事業の一環として、平成16、17両年度に、自給飼料の生産から完全混合飼料(Total Mixed Ration。以下「TMR」という。)の調製及び農家への供給までをシステム化したTMRセンターを整備するため管理棟1棟、飼料調整棟1棟、飼料タンク10基(以下「管理棟等」という。)の建設等を事業費433,503,000円(国庫補助金190,000,000円)で実施したものである。
 農協では、上記のうち管理棟等の建設工事等を系統施行(注1) によることとし、ホクレン農業協同組合連合会(以下「ホクレン」という。)と施設建設契約を締結し、これを建設費224,794,500円で委託している。この契約において、建設工事についてはホクレンが建設業者(以下「請負業者」という。)に工事費220,500,000円で請け負わせることとなっている。そして、建設工事の施工管理業務についてはホクレンが自ら行うこととされ、完成後に外から見ることのできない地中の工事等は、工事請負契約約款(以下「約款」という。)に基づきホクレンの立会い又は検査を経て施工することとなっている。
 本件工事の設計図面によれば、管理棟等の建設地が軟弱地盤であることから、基礎地盤の支持力を確保するため現地盤を切込砕石で置き換える地盤改良を2.1mから2.9mの厚さで施工することとし、ホクレンでは、その直接工事費を1,615m3 で8,898,650円と積算していた(参考図参照) 。また、上記の契約によれば、工事費の変更が生じた場合は契約額を変更することとなっている。

2 検査の結果

 本院は、北海道、上川郡新得町及び農協において、合規性等の観点から補助事業に係る契約等が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、施工写真等の書類により検査したところ、補助対象事業費の精算が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本院では、管理棟等の施工箇所における地盤改良の施工厚が、施工写真等の書類により確認できなかったことから、農協に対して管理棟等における地盤改良の施工厚等が実際にどのようになっているかの詳細な報告を求めた。そして、農協が実施したボーリングによる調査結果を確認するなどしたところ、管理棟等のすべてにおいて、地盤改良の施工厚は設計厚の半分以下の1.0mから1.1mとなっていて設計と大きく相違していたことが判明した。
 上記のように、施工厚が設計と大きく相違していたことについて、請負業者は、地盤改良の施工後に平板載荷試験(注2) を行った結果、所要の許容応力度が得られたとしていたが、ホクレンでは、試験の結果は確認したものの、約款で規定されている立会いなどを行っておらず、上記の事態を把握していなかった。このため、農協では、請負業者が設計図面どおりの地盤改良を行ったものとして補助対象事業費を精算していた。
 しかし、前記のとおり、施工厚が設計の半分以下であることから、地盤改良の施工数量が770m3 と設計数量の1,615m3 を845m3 下回っていたのに契約額の減額の処置を執っていなかったため、工事費が過大となっており、その結果、補助対象事業費が過大に精算されていた。
 このような事態が生じていたのは、施工管理業務を行ったホクレンにおいて地盤改良の施工についての監督及び検査が十分でなかったこと、事業主体である農協において、補助対象事業費の算定についての確認が十分でなく同事業費を過大に算定したまま実績報告書を作成し提出したこと、北海道及び新得町において農協に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、適正な工事費により補助対象事業費を修正計算すると427,632,450円となる。これに基づき国庫補助金相当額を算定すると187,301,572円となり、交付額190,000,000円との差額2,698,428円が過大となっていて不当と認められる。

 系統施行  農業協同組合等の事業主体が、事業施行管理能力を有する全国農業協同組合連合会及び都道府県経済農業協同組合連合会に対し、施設の基本設計及び実施設計書の作成、工事の施行、施工管理(工事の監理を含む。)等の業務を一括して委託する施設建設契約を締結し、これに基づき両連合会は予定期日までに実施設計書に基づく工事を完成して事業主体に引き渡し、施行の責任を負う方式
 平板載荷試験  地盤に設置した直径30cmの平らな載荷板に荷重を加え、この荷重と沈下量の関係から地盤の許容応力度を求める土質試験

(参考図)

地盤改良断面図(管理棟の例)(設計)

地盤改良断面図(管理棟の例)(設計)


地盤改良断面図(管理棟の例)(施工)

地盤改良断面図(管理棟の例)(施工)


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