平成18年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第13 国土交通省
不当事項
補助金
1 補助金の概要
国土交通省(平成13年1月5日以前は、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省)所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、この事業に要する経費について、直接又は間接に事業主体に対して補助金を交付している。
2 検査の結果
本院は、46都道府県及びその管内の877市区町村等並びに54団体において、合規性、経済性、有効性等の観点から会計実地検査を行った。その結果、11府県、12都府県管内の13市区町及び3団体計27事業主体が実施した公営住宅家賃対策補助、道路改築事業等の29事業に係る国庫補助金342,859,374円が不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
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〔1〕 工事の設計が適切でないもの
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10事業 不当と認める国庫補助金 179,312,558円
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〔2〕 補償費の算定が適切でないもの
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6事業 不当と認める国庫補助金 36,854,325円
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〔3〕 補助金の交付額の算定が適切でないもの
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6事業 不当と認める国庫補助金 32,600,604円
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〔4〕 補助の目的を達していないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 40,786,000円
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〔5〕 工事の設計及び管理が適切でないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 17,572,500円
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〔6〕 補助対象事業費を過大に精算しているもの及び補助対象施設の管理が適切でないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 10,930,155円
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〔7〕 補助の対象とならないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 10,000,000円
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〔8〕 補助対象施設の管理が適切でないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 8,129,774円
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〔9〕 補助対象事業費を過大に精算しているもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 4,814,792円
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〔10〕 工事の設計及び施工が適切でないもの
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1事業 不当と認める国庫補助金 1,858,666円
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また、これを個別に示すと次のとおりである。
(256) 特定環境保全公共下水道事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、反応タンク等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、青森県が、つがる市特定環境保全公共下水道事業の一環として、平成15、16両年度に、同市富萢町地内の富萢(とみやち)浄化センターの敷地内において、汚水を処理するための反応タンク1基、その上部の機械室1棟及び最終沈殿池1基の建設を工事費126,488,250円(国庫補助金69,193,530円)で実施したものである。
このうち反応タンクは、全長37.1m、全幅9.1m、高さ4.0mの長円形の鉄筋コンクリート構造となっていて、その中央上部には機械室(平屋建て、床面積42.4m2)を設置している(参考図参照)。
本件反応タンクの設計は、「下水道施設の耐震対策指針と解説−1997年版」、「下水道施設耐震計算例−処理場・ポンプ場編−2002年版」(いずれも社団法人日本下水道協会編。以下、これらを合わせて「設計指針」という。)等に基づき行っている。設計指針によると、下水道施設の構造物は、想定地震動に対してあらかじめ定めた耐震性能目標を満足するよう設計することとされている。そして、反応タンク等の土木構造物の耐震性能目標は、レベル1地震動(注1)に対しては、構造面としては構造物に損傷を生じさせず、機能面としては処理場等の本来の機能を確保するものとし、レベル2地震動(注2)に対しては、構造面としてはある程度の構造的損傷は許容するが構造物全体としての破壊を防ぎ、機能面としては一時的な停止はあっても復旧に時間を要しないものとされている。
そして、本件反応タンクの設計計算書によると、レベル2地震動時において作用する荷重条件を基に、限界状態設計法(注3)による照査を行った結果、頂版や底版等の部材に作用する曲げモーメント(注4)が設計上の耐荷力を下回ることなどから耐震設計上安全であるとして、構造図、配筋図等を作成し、これにより施工していた。一方、常時(注5)及びレベル1地震動時においては、許容応力度法(注6)による応力計算を行わなくても応力計算上安全であるとして、常時及びレベル1地震動時についての応力計算を省略していた。
2 検査の結果
本院は、青森県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、本件反応タンクの設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、前記のとおり本件反応タンクについては常時及びレベル1地震動時の応力計算を省略していたが、常時及びレベル1地震動時とレベル2地震動時では、耐震性能目標が違うことにより設計法が異なることなどから、レベル2地震動時について耐震設計上安全とされたとしても、常時及びレベル1地震動時について応力計算上安全となるとは限らないものである。このため、設計指針に示された耐震設計のフローチャートでは、許容応力度法による常時及びレベル1地震動時の検討を行った上で限界状態設計法によるレベル2地震動時の照査を行うこととされている。
そこで、本件反応タンクについて、省略していた常時及びレベル1地震動時の応力計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、レベル1地震動時においては、応力計算上安全とされる範囲に収まっているものの、常時においては、頂版端部の外側主鉄筋に生ずる引張応力度(注7)が216.77N/mm2、また、底版中央部の上面側主鉄筋に生ずる引張応力度が238.56N/mm2、上部に機械室がある部分では242.83N/mm2となり、いずれも許容引張応力度(注7)180N/mm2を大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件反応タンクは設計が適切でなかったため、反応タンク及びその上部の機械室(これらの工事費相当額59,146,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額32,155,300円が不当と認められる。
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レベル1地震動 施設の供用期間内に1〜2度発生する確率を有する地震動をいう。
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レベル2地震動 施設の供用期間内に発生する確率は低いが大規模なプレート境界型地震や直下型地震による地震動のような大きな強度を持つ地震動をいう。
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限界状態設計法 構造物又は部材が破壊するなどして、その機能を果たさなくなり、設計の目的を満足しなくなる限界状態を設定し、その安全性を検討する設計法をいう。
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曲げモーメント 外力が材に作用し、これを曲げようとする力の大きさをいう。
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常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。
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許容応力度法 材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさである応力度が設計上許される上限である許容応力度以下であることを検討し、部材の安全を確かめる設計法をいう。
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引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったときの応力度をいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
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反応タンク概念図
反応タンクの主鉄筋の配置概念図
(257) 通常砂防事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋りょう上部工等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、宮城県が、通常砂防事業の一環として、気仙沼市赤岩羽田地内において、普通河川羽田川に架かる市道羽田線の橋りょうを新橋(橋長16.14m、幅員5.5m)に架け替えるため、平成17、18両年度に、橋台2基の築造及び橋りょう上部工としてプレストレストコンクリート桁(以下「PC桁」という。)の製作、架設等を工事費108,770,550円(うち国庫補助対象額108,723,300円、国庫補助金54,361,650円)で実施したものである。そして、この橋りょうは、橋軸と支承の中心線とのなす角が60度の斜橋となっている(参考図参照)。
この橋りょうの設計は、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づいて行っている。そして、示方書によると、設計で想定されない地震動が作用するなどした場合でも上部構造の落下を防止することができるように、落橋防止システムを設けることとされている。この落橋防止システムの構成は、落橋防止構造、桁かかり長(注)等の中から、橋りょうの形式、地盤条件等に応じ適切に選定することとされている。
このうち落橋防止構造は、上部構造の両端が剛性の高い橋台に支持され、上部構造の長さが25m以下の橋りょうについては、橋軸方向の変位が生じにくい橋りょうに該当し、その設置を省略することができることとされている。
同県では、本件橋りょうは、PC桁の両端が剛性の高い橋台に支持されていること、PC桁の長さが16.08mであることから、橋軸方向の変位が生じにくい橋りょうに該当するので、落橋防止構造の設置を省略しても耐震設計上安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、宮城県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、落橋防止システムの設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、示方書によると、落橋防止構造を省略することができるとされている橋りょうであっても、斜橋の場合には、予期しない大きな変位が生じることがあるためその必要性を所定の判定式により判定しなければならないとされている。しかし、本件橋りょうの設計に当たっては、この判定を行っていなかった。
そこで、この判定式に本件橋りょうのPC桁の長さや幅員の条件を当てはめて計算すると落橋防止構造を設置する必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、同県との協議により本件橋りょうの設計業務を行うことになった本件橋りょうの管理者である気仙沼市が委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、同県において、同市から引渡しを受ける際、これに対する確認が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件橋りょう上部工等(これらの工事費相当額14,561,000円)は、設計が適切でなかったため落橋防止構造が設置されておらず、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額7,280,500円が不当と認められる。
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落橋防止構造、桁かかり長 桁と橋台の胸壁をPC鋼材で連結するなどして、上下部構造間に予期しない大きな相対変位が生じた場合に、これが桁かかり長(桁端部から下部構造頂部縁端までの長さ)を超えないようにする構造
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(参考例)

(258)−(261) 道路改築事業等の実施に当たり、建物移転料の算定が適切でなかったなどのため、事業費が過大となっているもの
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1 建物移転料の概要
都道府県等の事業主体(以下「各事業主体」という。)では、道路改築事業等の一環として、道路を改築するなどのため、道路用地の取得に伴い支障となる建物等の移転補償を行っている。
公共事業の施行に伴う損失の補償については、各事業主体では、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)に準じて制定するなどした損失補償基準等に基づくなどして行うこととしている。
各事業主体では、損失補償基準等に基づき、残地又は残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築することが合理的と認められる場合、従前の建物の推定再建築費に、建物の耐用年数や経過年数等から定まる再築補償率を乗ずるなどして建物移転料を算出することとしている。そして、鉄骨造り建物の建物移転料については、各事業主体がそれぞれ制定するなどした「非木造建物〔I〕調査積算要領」及び中央用地対策連絡協議会監修の「非木造建物調査積算要領の解説」(以下、これらを「要領等」という。)により、次のとおり算出している。
〔1〕 延床面積に統計数量値(注)を乗ずるなどしてく体の鉄骨重量を計算する。
〔2〕 く体の鉄骨重量に鋼材費などの単価を乗ずるなどしてく体の工事費を算出する。
〔3〕 建物のく体、電気設備等の工事費を積み上げるなどして推定再建築費を算出する。
〔4〕 推定再建築費に再築補償率を乗ずるなどする。
上記の算出において、く体の鉄骨重量及び耐用年数は、柱、梁等の建物の主要な構造部分に使用されている鉄骨の厚さの区分に応じて算出することとされている。そして、その区分には、「肉厚9mm以上のもの」、「肉厚4mmを超え9mm未満のもの」、「肉厚4mm以下のもの」がある。
また、鉄骨のうちH形鋼の構成部位にはウェブとフランジがあり、それぞれの厚さは異なっている(参考図参照)。
各事業主体では、建物移転料に建物以外の工作物等の移転料等を加算して補償費を算出し、土地の取得が必要な場合は、土地代金を補償費に加算して事業費を算定している。
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統計数量値 多数の鉄骨造り建物の補償事例等から統計処理して得られた延床面積1m2当たりの鉄骨重量
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概念図
H形鋼の構成部位
2 検査の結果
本院は、25都道府県及びその管内の123市町村において会計実地検査を行った。そして、合規性、経済性等の観点から、建物移転料の算定が適切に行われているかなどに着眼して補償金額の内訳書等の書類により検査したところ、4事業主体が事業費計727,351,667円(うち国庫補助対象額715,802,146円、国庫補助金393,691,179円)で実施した建物等の移転補償等において、建物移転料の算定が次のとおり適切でなかった。
すなわち、4事業主体では、建物移転料の算定に当たり、建物の主要な構造部分に使用されているH形鋼の構成部位であるウェブとフランジのうち、ウェブより厚いフランジの厚さによって区分を決定し、これに応じてく体の鉄骨重量及び耐用年数を決定していた。
しかし、要領等によれば、フランジの厚さではなく、ウェブの厚さによって区分を決定することとされていることから、前記の4事業主体が計算した鉄骨重量及び再築補償率は過大に算出されている。
したがって、上記の方法により適正な建物移転料を算出し、これによるなどして事業費を算定すると、計693,841,955円となり、計33,509,712円(うち国庫補助対象額33,112,361円)が過大に算定されており、これに係る国庫補助金相当額18,211,798円が過大に交付されていて不当と認められる。
上記の事態について、一例を示すと次のとおりである。
<事例>
A事業主体では、平成17年度に、鉄骨造り2階建て倉庫等5棟(延床面積130.38m2、179.34m2、79.24m2、499.09m2及び90.82m2)の移転補償等を事業費269,140,019円(国庫補助金148,027,010円)で実施している。
しかし、これらの建物について、誤ってウェブの厚さ(3.2mm、7.0mm及び7.5mm)ではなく、フランジの厚さ(4.5mm、10.0mm及び11.0mm)によって区分を決定し、これに応じてく体の鉄骨重量及び耐用年数を決定していた。
したがって、適正な建物移転料を算出し、これによるなどして事業費を算定すると256,314,122円となり、12,825,897円が過大に算定されており、これに係る国庫補助金相当額7,054,243円が過大に交付されている。
このような事態が生じていたのは、4事業主体において、委託した補償費算定業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
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県名
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事業主体
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年度
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事業費
(国庫補助対象事業費)
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左に対する国庫補助金交付額
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不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
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不当と認める国庫補助金
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千円
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千円
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千円
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千円
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(258)
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山形県
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山形県
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17、18
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103,332
(103,332)
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56,832
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5,377
(5,377)
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2,957
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(259)
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神奈川県
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藤沢市
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17
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291,105
(279,555)
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153,755
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10,774
(10,377)
|
5,707
|
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(260)
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島根県
|
島根県
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17
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269,140
(269,140)
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148,027
|
12,825
(12,825)
|
7,054
|
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(261)
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福岡県
|
福岡県
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17、18
|
63,774
(63,774)
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35,075
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4,531
(4,531)
|
2,492
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| (258)−(261)の計 |
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727,351
(715,802)
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393,691
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33,509
(33,112)
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18,211
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(262) 街路事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、埼玉県入間市が、都市計画道路3.4.9号久保稲荷線の街路事業の一環として、同市大字下藤沢地内において、不老川に架かる橋りょうを新橋(橋長13.5m、幅員16.6m)に架け替えるため、平成17、18両年度に、橋台2 基の築造、プレストレストコンクリート桁の製作、架設等を工事費89,250,000円(うち国庫補助対象額89,000,000円、国庫補助金44,500,000円)で実施したものである。
このうち橋台は、掘削した地盤上に直接築造する逆T式橋台であり、左岸側橋台は高さ5.9m、底版幅5m、右岸側橋台は高さ5.2m、底版幅4.5mの鉄筋コンクリート構造となっている。
本件橋台の設計に当たっては、「道路橋示方書・同解説」(平成14年3月社団法人日本道路協会編)等に基づき、基礎底面地盤の許容鉛直支持力(注1)の計算等を行っている。これによると、この基礎底面地盤の許容鉛直支持力の計算の際には、基礎底面より上部の長期的に安定している地盤面から基礎底面まで(以下、この深さを「基礎の有効根入れ深さ」という。)の基礎前面側の土の重量を上載荷重として考慮して良いこととされている。
そして、本件橋台の設計の基となっている設計計算書によると、基礎の有効根入れ深さを左岸側橋台で2.4m、右岸側橋台で2.6mとして上載荷重を算出するなどして安定計算を行った結果、地震時(注2)における橋台の基礎底面地盤の許容鉛直支持力が地盤に対して作用する鉛直力(注1)を上回っていることから、安全であるとして、これにより施工していた(参考図参照)。
2 検査の結果
本院は、埼玉県入間市において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、本件橋台の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本件工事における長期的に安定している地盤面は河川改修計画上設定された計画河床面となることから、本件橋台の安定計算に当たり用いるべき基礎の有効根入れ深さは、計画河床面から基礎底面までの深さであり、これによると基礎の有効根入れ深さは、左岸側橋台で0m、右岸側橋台で0.1mとなるが、同市では、計画高水位から基礎底面までの深さを誤って基礎の有効根入れ深さとしていた(参考図参照)。
そこで、基礎の有効根入れ深さを正しい深さとして改めて安定計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、橋台の基礎底面地盤の許容鉛直支持力は、地震時において、左岸側橋台で4,336.8kN、右岸側橋台で4,042.8kNとなり、地盤に対して作用するそれぞれの鉛直力10,033.9kN、8,268.8kNを大幅に下回っている。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件橋台は設計が適切でなかったため、橋台2基及びこれに架設されたプレストレストコンクリート桁等(これらの工事費相当額53,167,000円、うち国庫補助対象額52,917,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額26,458,500円が不当と認められる。
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基礎底面地盤の許容鉛直支持力・鉛直力 「鉛直力」とは、構造物の自重等が地盤に対し鉛直方向に働く力をいい、鉛直力を基礎底面地盤が支えることのできる設計上許される限度を「基礎底面地盤の許容鉛直支持力」という。
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地震時 橋りょうの供用期間中に発生する確率が高い地震を考慮する場合をいう。
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橋りょう概念図
(263) 街路事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、千葉市が、街路事業の一環として、同市稲毛区穴川地内において、都市計画道路新港横戸町線(起点美浜区新港、終点花見川区横戸町)を整備するため、平成17、18両年度に、擁壁工、舗装工等を工事費164,757,600円(うち国庫補助対象額164,667,600円、国庫補助金90,567,180円)で実施したものである。
本件道路を整備するに当たっては、既存道路の下に立体交差させる必要があることから、地中に並行した連続の壁面を構築した上で、壁面間の道路となる部分を掘削等することとしている。
本件補助事業のうち擁壁工は、等辺四角柱状の高強度プレストレストコンクリート杭(縦、横ともに0.6m、長さ13m又は14m。以下「PC−壁体(注1)」という。)を道路の右側(起点から終点に向かって右側をいう。以下同じ。)に56本(延長34.1m)、左側(起点から終点に向かって左側をいう。以下同じ。)に33本(延長20.1m)、計89本連続して地中に打ち込み、上記の壁面を構築するものである。上記の壁面間の道路となる部分の掘削については、19年度に発注を予定している別途工事において行うこととしている(参考図参照)。
そして、PC−壁体については、設計図面によると、右側、左側いずれもB種のPC−壁体を使用することとしており、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、千葉市において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、本件擁壁の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本件擁壁の設計の基礎となっている設計計算書によれば、本件擁壁については、壁面間の道路となる部分を路床下面まで掘削したとき(以下「路床掘削時」という。)に壁高が最大となるため、路床掘削時においてPC−壁体に生ずる曲げ引張応力度(注2)を算出していた。そして、路床掘削時の壁高は、右側で6.83mから7.89m、左側が6.81mから7.36mであり、このうち7.30m未満の区間については、B種のPC−壁体を、7.30m以上となる区間については、B種より強度の高いC種のPC−壁体をそれぞれ使用すれば、路床掘削時においてPC−壁体に生ずる曲げ引張応力度が許容曲げ引張応力度(注2)を下回ることなどから、応力計算上安全であるとしていた。
しかし、設計図面を作成する際、路床掘削時の壁高が7.30m以上となる区間について、誤ってB種のPC−壁体を使用することとしていた。
そこで、PC−壁体を上記の区間で実際に使用したB種のPC−壁体として改めて応力計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、当初の設計では考慮していなかったPC−壁体と背面側の土砂との摩擦力による土圧の減少を考慮するなどしても、壁高が7.47m以上となる右側の28本(延長17.0m)は、路床掘削時において、PC−壁体に生ずる曲げ引張応力度が許容曲げ引張応力度を上回り、応力計算上安全とされる範囲に収まらないこととなる。特に、壁高が最大となる7.89mの箇所では、PC−壁体に生ずる曲げ引張応力度が−2.9N/mm2(曲げ引張応力度の数字のマイナス表示は引張が生じていることを示している。)となり、B種の許容曲げ引張応力度−1.5N/mm2を大幅に上回ることとなる。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件擁壁の延長17.0m(工事費相当額18,953,000円、うち国庫補助対象額18,943,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額10,418,650円が不当と認められる。
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PC−壁体 壁体の引張強度を高めるため、あらかじめ緊張したPC鋼材を配置することにより、コンクリートに圧縮応力を与え、引張応力を打ち消すように設計された等辺四角柱状のコンクリート杭。A種、B種及びC種の3種類がある。
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曲げ引張応力度・許容曲げ引張応力度 「曲げ引張応力度」とは、材の外から曲げようとする力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力のうち引張側に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容曲げ引張応力度」という。
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擁壁概要図
(264)−(268) 公営住宅家賃対策補助金の経理が不当と認められるもの
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1 補助金の概要
公営住宅家賃対策補助金(以下「家賃対策補助金」という。)は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸等することを目的として、公営住宅法(昭和26年法律第193号)の規定に基づき建設された公営住宅を管理する地方公共団体に対し国が交付するものである。
家賃対策補助金の交付額は、公営住宅の団地別、管理開始年度別、入居者の収入の区分別等に次のとおり補助基本額を算定し、これらを合計した後に2分の1を乗ずるなどして算定することとなっている。
このうち、近傍同種の住宅の家賃の額(以下「近傍住宅家賃」という。)及び入居者負担基準額は、それぞれ次により毎年度算定することとなっている。
(1) 近傍住宅家賃
近傍住宅家賃は、建物・土地部分の複成価格、公課等により構成されており、「公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について」(平成8年建設省住総発第135号建設省住宅局長通知)等により、次のとおり算定することとなっている。
この場合において、土地部分の複成価格については、次のとおり算出することとなっている。
また、公課については、固定資産税と都市計画税があり、各地方公共団体において実際に条例で規定されている税率等により算出した税額に相当する額となっている。また、近傍同種の住宅が税制上の特例の対象となる場合には、特例を適用した後の税額に相当する額とすることとなっている。
税制上の特例としては、地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2における住宅用地に対して課する固定資産税の課税標準の特例や、同法附則第16条における新築住宅に対して課する固定資産税の減額措置、同法第367条における地方公共団体独自の固定資産税の減免措置等がある。そして、近傍住宅家賃の公課の算出における税制上の特例の適用開始時期については、当該住宅の管理開始の時点とされている。
(2) 入居者負担基準額
入居者負担基準額は、入居者の収入、当該公営住宅の立地条件及び規模等に応じて算定するほか、次の場合には所定の加算を行うこととなっている。
すなわち、公営住宅の建設に係る土地の取得費については補助対象外となっているが、平成10年12月から15年3月までの間に事業主体が取得した公営住宅の建設に係る土地の取得費については、公営住宅等供給促進緊急助成事業費補助金交付要綱(平成10年建設省住備発第150号建設省住宅局長通知)により、特例的に公営住宅等供給促進緊急助成事業費補助金(以下「緊急助成事業費補助金」という。)の対象とされた。そして、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅については、後年度において家賃対策補助金の額から緊急助成事業費補助金に相当する額を、家賃対策補助金の対象となる期間(20年間)にわたって減額することとされ、この減額の方法として、補助基本額の算定要素である入居者負担基準額に、次のとおり、土地の取得費などから算出した額(以下「加算額」という。)を加算したものを入居者負担基準額とすることにより、補助基本額を減額することとなっている。
2 検査の結果
本院は、25都道府県及び管内の133市区町村、計158事業主体において、合規性等の観点から、補助基本額の算定が適正に行われているかに着眼して、家賃対策補助金の交付申請書及び実績報告書等の書類等により会計実地検査を行った。
検査したところ、4都県の5事業主体において、補助基本額の算定に当たり、近傍住宅家賃における土地部分の複成価格や公課の算出を誤っていたり、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅について、誤って入居者負担基準額に加算額を加算していなかったりなどしていた。このため、補助基本額が過大に算定されており、これに係る国庫補助金計19,576,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上記の5事業主体において近傍住宅家賃及び入居者負担基準額の算定についての理解が十分でなかったこと及び交付申請書等の受理、審査を行う都県の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
これを態様別・事業主体別に示すと次のとおりである。
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都県名
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事業主体
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年度
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国庫補助金交付額
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不当と認める国庫補助金交付額
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(1) 近傍住宅家賃の算定を誤っていたもの
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千円
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千円
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(264)
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東京都
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文京区
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17
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31,007
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1,275
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文京区では、補助基本額の算定に当たり、公課を算出する際に、新築住宅に対して課される固定資産税等については、地方税法第367条の規定に基づく東京都都税条例の規定等により、住宅の管理開始時から3年は全額減免とすべきところ、誤って、この減免を考慮していなかった。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により家賃対策補助金の額を算定すると29,732,000円となり、交付額との差額1,275,000円が過大に交付されていた。
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(265)
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奈良県
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御所市
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13〜17
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120,411
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4,233
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御所市では、補助基本額の算定に当たり、公課を算出する際に、200m2以下の住宅用地に対して課される固定資産税の課税標準については、地方税法第349条の3の2の規定等により、6分の1の額とすべきところ、誤って、この特例を考慮していなかったり、新築住宅のうち中高層耐火建築物に対して課される固定資産税については、地方税法附則第16条の規定等により、住宅の管理開始時から5年は2分の1に相当する額を減額すべきところ、誤って、この減額を考慮していなかったりしていた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により家賃対策補助金の額を算定すると計116,178,000円となり、交付額との差額、計4,233,000円が過大に交付されていた。
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(266)
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鳥取県
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鳥取県
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16、17
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508,836
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7,501
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鳥取県では、補助基本額の算定に当たり、土地部分の複成価格を算出する際に、誤って、当該補助基本額の算定対象と異なる棟の総床面積を用いて容積率を過小に算出するなどしていたり、公課を算出する際に、新築住宅に対して課される固定資産税については、地方税法附則第16条の規定等により、住宅の構造等に応じて管理開始時から3年又は5年は2分の1に相当する額を減額すべきところ、誤って、減額する期間を1年短くしていたりしていた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により家賃対策補助金の額を算定すると計501,335,000円となり、交付額との差額、計7,501,000円が過大に交付されていた。
(2) 入居者負担基準額の算定を誤っていたもの
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(267)
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長野県
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東御市
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17
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12,433
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4,805
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東御市では、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る補助基本額の算定に当たり、誤って、入居者負担基準額に加算額を加算していないなどしていた。このため、入居者負担基準額が過小に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な入居者負担基準額により家賃対策補助金の額を算定すると7,628,000円となり、交付額との差額4,805,000円が過大に交付されていた。
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(268)
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奈良県
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磯城郡川西町
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15、16
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29,370
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1,762
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川西町では、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る補助基本額の算定に当たり、誤って、土地の取得費を実際よりも過小に算出し、入居者負担基準額に加算すべき加算額を過小にしていた。このため、入居者負担基準額が過小に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な入居者負担基準額により家賃対策補助金の額を算定すると計27,608,000円となり、交付額との差額、計1,762,000円が過大に交付されていた。
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(264)-(268)の計
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702,057
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19,576
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(269) 災害関連緊急砂防等事業の実施に当たり、鉄線籠型多段積護岸の設計及び施工が適切でなかったため、工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、新潟県が、小千谷市真人町地内の小真人沢において、土砂が下流域に流出するのを防止するため、平成15年度から17年度までに、えん堤工、護岸工等を工事費94,862,250円(国庫補助金62,572,825円)で実施したものである。
このうち、護岸工は、洪水時に流水が河岸に強く当たる左岸側に、割栗石を中に詰めて製作した鉄線籠(縦0.5m、横1.0m、長さ1.0m又は2.0m)を多段に積み重ねるなどして連結した一体構造とし、高さ0.5m〜2.0mの鉄線籠型多段積護岸(延長34.0m。以下「多段積護岸」という。)を築造するものである。
同県では、多段積護岸の設計及び施工については、「河川災害復旧護岸工法技術指針(案)」(社団法人全国防災協会編)及び同県制定の「鉄線籠型多段積護岸工法設計施工の留意事項」(以下、これらを「技術指針等」という。)等によることとしている。そして、技術指針等に基づき、多段積護岸の基礎部の前面河床が洗掘されると、護岸全体の安定が損なわれるおそれがあることから、基礎部の保護工法については、鉄線籠を多段積護岸本体の前面に並べて接するように設置する並列式として設計し、施工していた。
また、多段積護岸本体の鉄線籠各段の連結の方法は、コイル(らせん状に巻いた鉄線)式として施工していた。
2 検査の結果
本院は、新潟県において、合規性等の観点から、設計及び施工が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図書、設計計算書等の書類により検査したところ、多段積護岸の設計及び施工が、次のとおり適切でなかった。
すなわち、技術指針等では、多段積護岸の基礎部の保護工法を並列式とする場合には、多段積護岸本体に影響を与えないために前面に並べて設置する鉄線籠と多段積護岸本体との連結を避け、分離して設けることとされていた(参考図1参照)。しかし、同県では設計図書において誤って連結する構造としていた(参考図2参照)。
また、技術指針等では、多段積護岸本体の鉄線籠各段の連結の方法はコイル式とし、接続する長さは鉄線籠の全延長とされていた(参考図1参照)。しかし、同県では設計図書において連結方法を明確に示しておらず、さらに、請負人は多段積護岸についての理解が十分でなかったため、多段積護岸本体の鉄線籠各段の接続する長さについて同県に確認を行わず、鉄線籠の全延長の2分の1の長さしか接続していなかった(参考図2参照)。
このため、基礎部の保護工である鉄線籠と多段積護岸本体とが一体となっていたり、多段積護岸本体の鉄線籠各段の接続する長さが十分でなかったりしている状況であることから、河床が洗掘を受け基礎部の保護工である鉄線籠に沈下等の変状が生ずると、多段積護岸本体に影響を及ぼし、護岸全体の安定が損なわれるおそれがあると認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計図書作成の際に多段積護岸の基礎部の保護工法等についての検討が十分でなかったこと及び設計図書に多段積護岸の連結方法を明確に記載していなかったこと、また、請負人が多段積護岸についての理解が十分でないまま施工していたのに、これに対する同県の監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件多段積護岸(工事費相当額2,788,000円)は設計及び施工が適切でなかったため、その安定が損なわれるおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額1,858,666円が不当と認められる。
技術指針等による多段積護岸の基礎部の保護工法(並列式)及び多段積護岸本体
実際の施工図

(270) 雪国快適環境総合整備事業で整備したファミリースキー場が一度も供用されておらず、補助の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
雪国快適環境総合整備事業費補助金は、豪雪地帯において、地域の実情に即した住民主体の克雪活動を推進するために必要な施設(以下「克雪施設」という。)とともに、雪と親しむ親雪活動を推進するために必要な施設(以下「親雪施設」という。)又は冬期の健康増進、各世代間の交流を総合的に推進するのに必要な施設(以下「交流施設」という。)を整備する市町村に対して補助するもので、平成7年度までは、克雪施設とともに親雪施設又は交流施設を整備することをその補助の要件としている。
そして、福井県足羽郡美山町(18年2月1日以降は福井市)では、5年度に、同町所谷地区等5地区において克雪施設として消雪パイプ等の整備を事業費32,978,540円(国庫補助金12,794,000円)で、同町所谷地区において親雪施設としてファミリースキー場の整備を事業費103,211,150円(国庫補助金40,786,000円)で、計136,189,690円(国庫補助金計53,580,000円)でそれぞれ実施している。
2 検査の結果
本院は、福井県及び福井市において会計実地検査を行った。そして、有効性等の観点から、本件補助事業について、補助の対象となった施設が有効に使用され、補助目的を達成しているかなどに着眼して、実績報告書等の書類及び現地の状況を検査したところ、克雪施設については有効に活用されているものの、補助の要件に基づいて克雪施設とともに整備した親雪施設について、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同町では、本件補助事業の実施に際し、昭和60年3月に策定した美山町総合振興計画において同町内にスキー場の整備を計画していたことなどから、平成5年度に雪国快適環境総合整備事業費補助金の交付を申請し、親雪施設としてのファミリースキー場(以下「スキー場」という。)の整備のために、ゲレンデ13,400m2の造成、休憩所1棟の建設等を実施し、6年3月に整備が完了したとして実績報告書を提出していた。そして、同町では、6年度に同町の単独事業費で実施したスキー場までの道路(以下「アクセス道路」という。)の整備が6年10月に完了したことをもって、スキー場の整備が完成したとしていた。
しかし、同町では、7年1月に、スキー場を供用するためにアクセス道路の除雪を行ったが、倒木等により一部区間の除雪が行えなかったため、冬期における車両運行の安全確保の点からアクセス道路が使用できず、当該年度のスキー場の供用を断念した。そして、このアクセス道路は、適地の確保ができなかったため極めて急勾配となっており、同町では別ルートによるスキー場への道路整備を検討したものの財源的な問題から実現に至らなかったこともあり、スキー場は現在に至るまで一度も供用されていない状況となっている。
このような事態が生じていたのは、同町において、本件補助事業で自らが必要であるとして克雪施設とともに親雪施設として整備したスキー場を供用するための努力が十分でなかったこと及び同町に対する福井県の指導が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件補助事業において、補助の要件に基づいて整備された本件親雪施設(事業費103,211,150円)は、整備完了後一度も供用されていないことから、本件補助事業の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金40,786,000円が不当と認められる。
(271) 道路改築事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、山梨県南アルプス市が、市道古屋敷沓沢線道路改築事業の一環として、同市芦安芦倉地内において、道路を拡幅するため、平成17年度に、土工、擁壁工等を工事費15,540,000円(国庫補助金7,770,000円)で実施したものである。
このうち、擁壁工は、盛土部の土留壁として、下部が高さ0.8mから5.0mの重力式コンクリート擁壁(以下「重力式擁壁」という。)、上部が高さ5.0mのブロック積擁壁からなる全高5.8mから10.0mの混合擁壁(施工延長32.6m。以下「本件擁壁」という。)を築造するものである。そして、本件工事完了後、本件擁壁の背後地に、全延長にわたり高さ2.4mから3.8mの盛土を施工することになっている(参考図参照)。
本件擁壁の設計に当たっては、下部の重力式擁壁について、全高が8.0mの地点では常時(注1) の転倒及び基礎地盤の支持力に対する検討を、また、全高が10.0mの地点では常時のほか地震時の転倒及び基礎地盤の支持力に対する検討をそれぞれ行い、安定計算上安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、山梨県南アルプス市において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類及び現地の状況を検査したところ、本件擁壁の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、道路工事における混合擁壁の安定計算については、「道路土工擁壁工指針」(社団法人日本道路協会編)に基づき行うこととされており、これによると、下部の重力式擁壁の設計においては、上部のブロック積擁壁を介して伝わる荷重及び土圧も考慮の上、常時及び全高が8mを超える場合の地震時における滑動、転倒及び基礎地盤の支持力に対する検討を行うこととなっている。
しかし、本件擁壁の設計の基礎となっている設計計算書では、上記の指針で行うこととされている下部の重力式擁壁における転倒及び基礎地盤の支持力に対する検討は行っていたが、滑動に対する検討を行っていなかった。さらに、本件擁壁の背後地に施工されることになっている盛土の土圧についても考慮していなかった。
そこで、下部の重力式擁壁における滑動、転倒及び基礎地盤の支持力について、全延長における安全を確認するため、全高が5.8m(常時)、6.5m(常時)、8.0m(常時)及び10.0m(常時及び地震時)の4地点における安定計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、次のとおり、4地点すべてにおいて、安定計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
〔1〕 滑動に対する安定については、その安全率が、常時では0.70から0.92となり、許容値1.5をすべて大幅に下回っていた。また、地震時では0.58となり、許容値1.2を大幅に下回っていた。
〔2〕 転倒に対する安定については、水平荷重及び鉛直荷重の合力の作用位置が、常時では、擁壁の底版幅の中央よりそれぞれ0.333m、0.476m、0.698m、0.827mの位置となり、転倒に対して安全である範囲0.218m、0.360m、0.527m、0.750mをすべて逸脱していた。また、地震時では、同様に1.897mの位置となり、転倒に対して安全である範囲1.500mを逸脱していた。
〔3〕 基礎地盤の支持力に対する安定については、常時では地盤反力度(注2)が2地点において224.03kN/m2及び257.66kN/m2となり、基礎地盤の許容支持力度である200.00kN/m2を上回っていた。また、地震時では地盤反力度が1,042.93kN/m2となり、基礎地盤の許容支持力度である300.00kN/m2を大幅に上回っていた。
なお、本件工事完了後8箇月経過した会計実地検査時(18年11月)において、本件擁壁の背後地の盛土が施工されていないにもかかわらず、本件擁壁の目地部において最大20mmの隙間が生じている状況であった。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件擁壁(工事費15,540,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金7,770,000円が不当と認められる。
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常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。
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地盤反力度 構造物を介して地盤に力を加えたとき、地盤に発生する単位面積当たりの抵抗力をいう。この地盤反力度がその地盤の許容支持力度を上回っていなければ、構造物は基礎地盤の支持力に対して安定した状態にあるとされている。
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道路完成時の断面概念図

(272) 河川等関連公共施設整備促進事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋りょう上部工等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、大阪府東大阪市が、河川等関連公共施設整備促進事業の一環として、東大阪市善根寺町地区において、一級河川大川に架かる市道孔舎衛西7号線の橋りょうを新橋(橋長10.5m、幅員9.2m)に架け替えるため、平成15、16両年度に、橋台2基の築造及び橋りょう上部工としてプレストレストコンクリート桁(以下「PC桁」という。)の製作、架設等を工事費41,924,400円(国庫補助金13,974,800円)で実施したものである。
この橋りょうの設計は、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づいて行っている。そして、示方書によると、設計で想定されない地震動が作用するなどした場合でも上部構造の落下を防止することができるように、落橋防止システムを設けることとされている。この落橋防止システムの構成は、落橋防止構造、桁かかり長(注1)等の中から、橋りょうの形式、地盤条件等に応じ適切に選定することとされている。
このうち落橋防止構造は、上部構造の両端が剛性の高い橋台に支持され、上部構造の長さが25m以下の橋りょうについては、橋軸方向の変位が生じにくい橋りょうに該当し、その設置を省略することができることとされている。ただし、橋軸方向の変位が生じにくい橋りょうであっても、地震時に液状化が生じる砂質土層等の不安定となる地盤がある場合には、予期しない大きな変位が生じることがあるため、落橋防止構造の設置を省略してはならないとされている。
同市では、本件橋りょうは、PC桁の両端が剛性の高い橋台に支持されていること、PC桁の長さが10.46mであることから橋軸方向の変位が生じにくい橋りょうに該当し、また、地震時において液状化は生じないので、落橋防止構造の設置を省略しても耐震設計上安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、大阪府東大阪市において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、落橋防止システムの設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、示方書によると、地盤の液状化の判定は、レベル2地震動(注2)に対して行うものとされているが、同市では誤ってレベル1地震動(注3)の計算結果から液状化は生じないとしていた。
そこで、改めてレベル2地震動に対する液状化の判定を行うと、本件橋りょうを設置する地盤のうち3層の砂質土層(参考図参照)は、地震時に橋りょうに影響を与える液状化が生じると判定され、地震時に不安定となる地盤がある場合に該当することから、本件橋りょうは落橋防止構造を設置する必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件橋りょう上部工等(工事費相当額12,914,000円)は、設計が適切でなかったため落橋防止構造が設置されておらず、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額4,304,666円が不当と認められる。
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落橋防止構造、桁かかり長 桁と橋台の胸壁をPC鋼材で連結するなどして、上下部構造間に予期しない大きな相対変位が生じた場合に、これが桁かかり長(桁端部から下部構造頂部縁端までの長さ)を超えないようにする構造
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(参考例)
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レベル2地震動 橋りょうの供用期間中に発生する確率が低いプレート境界型の大規模な地震や内陸直下型地震を想定した地震動をいう。
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レベル1地震動 橋りょうの供用期間中に発生する確率が高い地震動をいう。
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橋りょうを設置する地盤の概念図
(273) 道路改築事業の実施に当たり、設計及び管理が適切でなかったため、植生工の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、大阪府が、一般国道423号の道路改築事業の一環として、箕面市下止々呂美地内において、道路を新設するため、平成15年度から18年度までに土工、法面保護の植生工等を工事費966,000,000円(うち国庫補助対象額941,927,700円、国庫補助金518,060,235円)で実施したものである。
このうち、植生工(植生基材吹付工8,367.0m2等)は、切土法面等に植物を繁茂させることによって侵食や風化等を防止するために施工するものである。
この植生工の設計は、「道路土工のり面工・斜面安定工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)等に基づき行うこととし、法面の土質等を考慮し、切土等の整形した法面に種子、肥料、基盤材等を混合した植生基材を吹き付けて緑化する植生基材吹付工(厚さ3cm〜10cm、中間部に金網を設置)等により行うこととしていた(参考図参照)。
また、指針によれば、植生工の設計に当たっては、環境等を十分考慮し病虫害等の外的要因が発生しないよう設計することとされており、管理に当たっては、植物の生育基盤の損傷が原因で法面の植生に支障が生じた場合、早期の発見と手当てにより損傷を防止しなければならないとされている。
そして、本件工事の施工箇所は、鹿の生息数が多い地域であることから農林業被害の対策として同府が制定した「シカ保護管理計画」(管理期間は14年度から23年度まで)の対象地域になっている。
2 検査の結果
本院は、大阪府において、合規性等の観点から、設計及び管理が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、契約図書等の書類及び現地の状況を検査したところ、植生工の設計及び管理が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本件切土法面等における植物の生育状況を確認したところ、周辺に生息する鹿により植物が食害を受けたり植生基材が踏み荒らされたりしていたため、多くの箇所で植物が消滅していて、これらの面積は3,924.0m2に及んでいた。また、なかには植生基材が滑落し、その中間部に設置した金網が露出しているものも見受けられた。
このような状態になっていたのは、次のようなことによると認められる。
ア 指針によれば、植生工の設計に当たっては、病虫害等の外的要因が発生しないよう設計することとされている。しかし、本件工事の施工箇所は、前記のとおり「シカ保護管理計画」の対象地域になっており、食害等に対する対策として防鹿柵の設置が有効であるとされているのに、これを実施する設計としていなかった。さらに、同府では、植生工の着工直後に、鹿による食害を確認しているにもかかわらず、これを防止するための十分な対策を執っていなかった。
イ 同府では、会計実地検査時点(19年2月)では、別途工事により、本件法面外周に防鹿柵を設置することとし、これに着手していた。しかし、この工事は、本件植生工の完了後約8箇月が経過してからの着手であり、早期の対応となっていなかった。また、上端部のみの設置としていたことから、鹿は法面下端部の道路側からの進入も可能であり、対策としては十分なものではなかった。
このような事態が生じていたのは、同府において、植生工における鹿の食害等に対する理解及び対策が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件植生基材吹付工3,924.0m2(工事費相当額31,950,000円)は、設計及び管理が適切でなかったため、植物が十分に生育しておらず、切土法面に植物を繁茂させることによって侵食や風化等を防止する効果が期待できないものとなっており、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額17,572,500円が不当と認められる。
(274) 交通安全施設等整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、護岸工が工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、大阪府が、主要地方道富田林太子線の交通安全施設等整備事業の一環として、富田林市北大伴町及び南河内郡河南町大字山城地内において、一級河川千早川に架かる供用中の橋りょうの下流側に、歩道橋(橋長37.7m、幅員3.3m)を新設するため、平成17、18両年度に橋台2基、橋脚1基及び護岸の築造等を工事費44,927,400円(うち国庫補助対象額40,909,900円、国庫補助金20,454,950円)で実施したものである。
このうち護岸工は、堤防に橋台を設けることから、歩道橋の下の河岸及び堤防を保護するため、左右両岸について橋台の前面及び下流側等にブロック張護岸(法勾配1:1.5、施工延長29.2m)を施工するものである。
本件護岸の設計に当たっては、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編。以下「技術基準」という。)等に基づき同府が制定した「ブロック積(石積)護岸工の設計運用」(以下「設計運用」という。)によることとし、計画河床高から護岸の基礎下端までの深さ(以下「根入れ深さ」という。)は、設計運用で定めている1.5mとし、これにより施工することとしていた(参考図1参照)。
そして、本件護岸の施工に当たり、護岸の基礎を設置するための掘削作業を行っていたところ、計画河床高から0.53m掘削した位置で湧水が生じた。このため掘削作業を中断し、その原因について調査したところ、水道水の水源となっている地下水脈からの湧水であることが判明した。同府では、このまま根入れ深さを1.5mとして施工すると地下水脈を遮断するおそれがあると判断し、湧水が生じている高さまで土砂を埋め戻し左右両岸の根入れ深さを0.32mとすること及び左岸の護岸については常時水が流れている低水路に近接していることからその前面に基礎付近の河床洗掘に対する応急対策としてふとんかご(延長15.6m、幅4.0m、高さ0.5m)を計画河床高より上に設置することとする設計変更を行い、これにより施工していた(参考図2参照)。
2 検査の結果
本院は、大阪府において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計変更図面等の書類により検査したところ、本件護岸の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本件護岸の根入れ深さについては、前記の設計変更で0.32mとしたことにより、設計運用で定められている根入れ深さ1.5mに比べ著しく不足することとなる。そして、このような場合、技術基準によれば、洪水時、河床洗掘により護岸の基礎が浮き上がり裏込材の吸出しなどが生じ、護岸全体の被災を引き起こすことがあることから、基礎の前面に根固工として根固ブロック等を設置して洗掘に対処しなければならないとされており、本件護岸の場合には、敷設幅5.6m以上の根固工を設置する必要がある。さらに、根固工の設置高について、設計運用では敷設天端高を基礎の天端高と同じ高さにすることとされている。
しかし、本件護岸は前記のとおり設計運用で定められている根入れ深さが不足しているのに、右岸の護岸については、所定の根固工等を施工するなど、洗掘に対処するための対策が行われていなかった。また、左岸の護岸については、基礎の前面にふとんかごが設置されているものの、根固工として必要な所定幅5.6mより大幅に短い4.0mであったり、敷設天端高が基礎の天端高より上になっていたりしており、根固工として適切な設計となっておらず、洪水時にふとんかごが流失するおそれがあることになる。これらのことから、左右両岸の護岸いずれも、洪水時において、基礎地盤が洗掘されることによる基礎の浮き上がりを防止できない状況となっており、護岸としての安全性が確保されていない状態となっていた。
このような事態が生じていたのは、同府において、設計変更時の検討が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件護岸工(工事費相当額8,589,000円)は、設計が適切でなかったため、護岸全体の被災を引き起こすおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額4,294,500円が不当と認められる。
当初設計
変更設計

(275) 都市公園事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、植生工が工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、高知県宿毛市が、都市公園事業の一環として、同市山奈町地内の宿毛市総合運動公園において、遊歩道(延長1,357.8m、幅員3.0m)を新設するため、地山を掘削した後の法面の植生工等を平成17年度から19年度までに工事費48,827,100円(うち国庫補助対象額48,818,350円、国庫補助金24,409,175円)で実施したものである。
このうち植生工は、地山を掘削した切土法面に植物を繁茂させることによって侵食や風化等を防止するため、植生マット工を9,983m2施工するものである。この植生マット工は、不織布等で種子や肥料等を挟み込んだ基材とこれを法面に押さえつけるためのネットで構成された植生マットを敷き並べ、アンカーピン等で地山に固定する工法である(参考図参照)。
同市では、植生工の設計に当たっては「道路土工−のり面工・斜面安定工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)に基づき行っている。指針によると、切土法面においては、植物の根系が土中に伸長できるか否かは土の硬さが関係しているため、土壌硬度(注)について調査を行うこととなっている。そして、土壌硬度が30mm未満の切土法面では、植物の根系が伸長するために必要な土や肥料等の植生基材を厚さ2cmから3cmに吹き付ける吹付工や植生マット工を採用し、土壌硬度が30mm以上の硬い土壌の切土法面では、植物の根系の伸長がほとんど不可能であり植物の生育に適さないため、土壌硬度が30mm未満の場合より、植生基材を3cmから10cmと厚く吹き付ける吹付工を採用することとなっている。
同市では、切土法面の土壌硬度は植生マット工に適していると判断して設計し、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、高知県宿毛市において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図書等の書類及び現地の状況を検査したところ、本件植生マット工の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、指針では土壌硬度を調査し、植生工の工法を選定することとなっているのに、同市では、土壌硬度を調査することなく植生マット工を選定していた。
そして、指針によると、植物生育による成績の判定の目安は、法面を植物が被覆している面積率(以下「植被率」という。)が70%から80%以上の状態となっているものを可としているが、前記9,983m2のうち2,922.3m2では、植被率が70%未満の状態となっていた。このため、基材が降雨により流出しネットのみが残って地山が露出していたり、植物が十分生育していなかったりしていた。
そこで、植被率が70%未満となっている上記の法面について土壌硬度を調査したところ、調査した151箇所のうち80箇所が30mm以上となっていて、このように土壌硬度が30mm以上の硬い土壌の切土法面の場合、植被率が70%以上を確保するためには、土壌硬度に応じた工法を採用すべきであった。
このような事態が生じていたのは、同市において、植生工の工法の選定に当たり、法面の土壌硬度を調査すべきであったのにこれを行うことなく植生マット工を採用したことによると認められる。
したがって、本件植生工(工事費相当額8,488,000円、うち国庫補助対象額8,483,000円) は、設計が適切でなかったため、植物が十分に生育しておらず、切土法面に植物を繁茂させることによって侵食や風化等を防止する効果が期待できないものとなっており、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額4,241,500円が不当と認められる。
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土壌硬度 土壌の硬さを示す指標であり、その硬度は使用される計測機器に表示される長さの単位で表示され、その数値が高いほど硬い土壌とされている。
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植生マット工概念図
(276) まちづくり交付金による既存建造物活用事業の実施に当たり、対象経費とならない消耗品等の購入費を含めて交付額を算出していたため、同交付金が過大に交付されているもの
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1 交付金事業の概要
この交付金事業は、北九州市が、小倉都心地区において、小倉都心部の魅力を高め、集客活性化を図るため、北九州200万都市圏の中核に相応しい高次な都市機能の充実と都心部の賑わいづくりを推進することを目標として、都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)に基づいて、平成16年度に都市再生整備計画を策定し、16年度から20年度までの5年間に、まちづくり交付金による事業として既存建造物活用事業、街路事業等を実施するものである。このうち、本件地区の既存建造物活用事業は、既存のビルの一画に子育てを支援し地域の交流を図るための地域交流センターとして「子育てふれあい交流プラザ」(以下「交流プラザ」という。)を整備するものである。
そして、同市では、17年5月に、交流プラザの整備の一環として交流プラザ展示物製作等業務を専門業者に444,298,890円(うち交付金対象額440,656,000円、これに対する交付金176,262,400円)で委託し、18年4月までに同額を同業者に支払っている。
まちづくり交付金の交付対象となる経費は、まちづくり交付金交付要綱(平成16年国都事第1号、国道企第6号、国住市第25号国土交通事務次官通知)により、財政法(昭和22年法律第34号)第4条の規定に基づく公債の発行対象となる経費に該当するものとされている。この経費は、公共事業費、出資金及び貸付金の財源について、国会の議決を経た範囲で公債を発行し又は借入金をなすことができる経費であり、一般に、資産を形成するもので、通常、当該資産からの受益も長期にわたることから、その財源に充てるため公債を発行することができるとされている。
2 検査の結果
本院は、北九州市において会計実地検査を行った。そして、合規性等の観点から、本件事業について、交付金の算定に当たり対象事業費を基準に従って適正に算出しているかなどに着眼して、契約書等の書類及び現地の状況を検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同市では、前記のとおり、交流プラザ内に展示内装工事、施設内設置遊具造作等を行う業務を専門業者に委託し、同業者に対する支払額のうち440,656,000円を対象経費として交付金の額を算出していたが、その中には積み木、絵本、ペン、スタンプ等の備品、消耗品(以下、これらを「消耗品等」という。)の購入費が含まれていた。
しかし、まちづくり交付金の交付の対象となる経費は、前記のとおり公債の発行対象となる経費に該当するものとされており、消耗品等の購入費を対象経費に含めて交付金の額を算出していたのは適切とは認められない。
このような事態が生じていたのは、同市において、まちづくり交付金の制度に対する理解が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件契約における適正な交付金の対象となる経費は、消耗品等の購入費を控除した411,468,194円(うち交付金対象額408,094,489円)となり、前記の事業費444,298,890円(うち交付金対象額440,656,000円)との差額32,830,696円(うち交付金対象額32,561,511円)に係る交付金相当額13,024,604円が過大に交付されていて、不当と認められる。
(277) 公共下水道事業の実施に当たり、損失の補償の対象とならない消費税額を補償費に計上していたなどのため、補償費が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
(1) 補助事業の概要
この補助事業は、北九州市が、北九州市公共下水道事業の一環として、下水道管きょを築造するため、八幡東区中央地内に所在する工業用水用送水管(径1,200mm、延長89.0m。以下「送水管」という。)の移設に要する費用(以下「移設費用」という。)として、平成18年度(17年度事業を繰越し)に247,258,000円(うち国庫補助対象額240,858,000円、国庫補助金120,429,000円)を当該送水管の所有者である会社に補償したものである。この補償金の算定に当たっては、移設費用235,484,620円に、これに係る消費税相当額として11,773,380円を加算している。
(2)補助事業における消費税の取扱い
消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
そして、土地等の権利者等が、補償金により建設業者等から資産の譲渡等を受けることも課税仕入れに該当し、上記の仕組みにより確定申告の際に補償金により譲渡等を受けた資産に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、土地等の権利者等は当該資産に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
このため、国土交通省都市・地域整備局所管の国庫補助事業の施行に伴う損失の補償においては、消費税について、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成9年建設省経整発第67号の3)に準じ、土地等の権利者等が消費税法(昭和63年法律第108号)上の事業者である場合においては、補助事業の事業主体は、土地等の権利者等から、消費税の確定申告書を収集するなどにより、個別に調査の上、補償金に係る消費税が確定申告時に仕入税額控除の対象となると判断される場合は、消費税は補償金の積算上考慮しないこととされている。
そして、消費税法によれば、事業者の課税売上割合(注)が95%以上となっている場合、事業者は、課税仕入れに係る消費税の全額を仕入税額控除することができることとなっている。
2 検査の結果
本院は、北九州市において、合規性等の観点から、補償金の算定が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について、補償契約書等の書類により検査したところ、補償金の算定が次のとおり適切でなかった。
すなわち、この会社は、16年4月から17年3月までの課税期間分の消費税の確定申告書等において、課税売上割合が95%以上であることから、課税仕入れに係る消費税の全額を仕入税額控除することができる消費税法上の事業者となる。したがって、会社は送水管の移設に係る消費税を実質的に負担しないこととなるのに、同市の補償金の算定に当たり消費税相当額を加算していたのは適切とは認められない。なお、この消費税相当額11,773,380円は、その算定過程において、端数処理するなどしていたため、会社が実質的に負担しないこととなる消費税額より少額となっていた。
このような事態が生じていたのは、同市において、補償金の算定に当たり消費税の取扱いについての理解が十分でなかったことによると認められる。
上記により、本件事業に要する適正な移設費用は235,483,810円(うち国庫補助対象額229,388,571円)であり、これに係る消費税額11,774,190円(うち国庫補助対象額11,469,429円)が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額5,734,714円が不当と認められる。
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課税売上割合 総売上高に占める課税売上高の割合
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(278) 入居者の公募等を行わずに特定地元企業等の従業員を入居させていて、公営住宅の管理が適切に行われていないもの
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1 補助事業の概要
(1) 西海市の公営住宅
長崎県西海市(平成17年3月31日以前は西彼杵郡大島町)では、公営住宅法(昭和26年法律第193号。以下「法」という。)の規定に基づき、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸するなどのため公営住宅を整備し、管理している。
そして、同市は、公営住宅建設事業により、昭和50年度に真砂団地A−1棟(鉄筋コンクリート造5階建、管理戸数30戸)を事業費137,062,000円(国庫補助金68,531,000円)で整備し、51年度から管理を開始しており、さらに、平成16年度には外壁改修等を行う公営住宅ストック総合改善事業を事業費13,366,000円(国庫補助金6,683,000円)で実施している。
(2) 公営住宅の管理
公営住宅の管理において、入居者の募集方法については、法第22条の規定により、原則として公募によらなければならないとされており、入居者資格については、法第23条の規定により、現に同居し又は同居しようとする親族があること、入居者の1箇月当たりの収入が公営住宅法施行令(昭和26年政令第240号)第6条で定める基準を超えないことなどとされている。
2 検査の結果
本院は、長崎県及び西海市において、合規性等の観点から、公営住宅の管理が適切であるかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、公営住宅の管理及び現存する入居状況等に関する書類等により検査したところ、前記の真砂団地A−1棟の管理において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同市では、昭和59年4月以降、管理戸数全30戸のうち26戸について法第22条に定める公募を行わず、地元企業及びその関係企業等(以下「特定地元企業等」という。)からの申請により、法第23条の規定に定める入居者資格の審査を行わないまま、順次その従業員を入居させていた。そして、この26戸については、特定地元企業等が入居名義人となり、家賃も特定地元企業等から納付されていたことから、特定地元企業等の専用住戸と同様の実態となっていた。
このような事態が生じていたのは、同市において、公営住宅の管理に関し、法等の趣旨を十分理解していなかったこと、同県において、同市に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件真砂団地A−1棟の公営住宅建設事業及び公営住宅ストック総合改善事業に対し交付された国庫補助金計75,214,000円のうち、26戸について入居者の公募等を行わずに管理していた59年4月以降からの期間に係る国庫補助金相当額計8,129,774円が不当と認められる。
(279) 道路改築事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、軽量盛土の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、長崎県が、主要地方道有川新魚目線の道路改築事業の一環として、南松浦郡新上五島町曽根郷地内において、上記県道の一部(延長300m)を拡幅するため、平成17年度に、軽量盛土工、路盤工等を工事費123,102,000円(国庫補助金67,706,100円)で実施したものである。
このうち、軽量盛土工(延長133.8m、高さ1.9mから6.0m)は、支柱(H形鋼)及び壁面材(コンクリートパネル)により構成される保護壁と整形した地山(傾斜角度45度、延長115.8m)又は既設のブロック積擁壁(傾斜角度63.4度、延長18.0m)(以下、これらを「背面地盤」という。)との間の盛土材として、軽量盛土用大型発泡スチロールブロック(厚さ0.25m又は0.5m。Expanded Poly−Styrol Block。以下「EPSブロック」という。)を所定の高さまで層状に積み重ねるなどして築造するものである(参考図参照)。
この軽量盛土の設計は、14年6月に建設コンサルタント会社に設計業務を委託し、15年7月に成果品を検査の上、受領しているもので、「発泡スチロール土木工法技術資料設計マニュアル」(発泡スチロール土木工法開発機構5年編)等(以下「マニュアル」という。)に基づき行っている。そして、マニュアルによると、使用するEPSブロックについては、路盤等の荷重により、各層のEPSブロックに生ずる圧縮応力度(注)を所定の算定式により計算した後、許容圧縮応力度(注)がこの圧縮応力度を上回るEPSブロックを選定することとされている。
本件工事で使用するEPSブロックについては、1層目(最上層)及び2層目には許容圧縮応力度70kN/m2のEPSブロックを、また、3層目から10層目までには許容圧縮応力度50kN/m2のEPSブロックをそれぞれ選定すれば、応力計算上安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
本院は、長崎県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、軽量盛土の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、14年5月に、軽量盛土の設計の基礎としたマニュアルが廃止され、新たに「EPS工法設計・施工基準書(案)」(同機構編。以下「基準」という。)が制定されていた。基準によると、EPSブロックの設計については、前記の所定の算定式による設計に加え、背面地盤の傾斜角度が45度より急な場合、荷重が下層のEPSブロックに集中して作用することから、この点についても照査して設計することと追加されていた。
そして、本件工事についてみると、背面地盤の傾斜角度が45度より急な箇所(傾斜角度63.4度、延長18.0mの区間)があり、この箇所については、上記の照査をすべきであったのに、これを行っていなかった。
そこで、上記の箇所に施工したEPSブロックについて、基準に基づく再計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、7層目及び8層目の一部、並びに、9層目及び10層目の全部のEPSブロックに生ずる圧縮応力度は50.1kN/m2 から87.7kN/m2となり、許容圧縮応力度50kN/m2を上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件軽量盛土延長18.0m区間(工事費相当額19,028,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額10,465,400円が不当と認められる。
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圧縮応力度・許容圧縮応力度 「圧縮応力度」とは、材に外から圧縮力がかかったとき、材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいい、その数値が設計上許される上限を「許容圧縮応力度」という。
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(280) 緊急地方道路整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、熊本県が、市道五和中央線(起点天草市五和町城河原、終点同町鬼池)の緊急地方道路整備事業の一環として、天草市五和町地内において、橋りょう(橋長39.5m、幅員7.7m〜8.0m)を新設するため、平成17、18両年度に、下部工として橋台2 基の築造、基礎杭の打設等及び上部工としてプレストレストコンクリート桁の製作・架設等を工事費計158,881,077円(国庫補助金87,384,592円)で実施したものである。
このうち、橋台の基礎杭は、杭径100cmのオールケーシング工法による場所打ち鉄筋コンクリート杭(以下「場所打杭」という。)とし、起点側の橋台(以下「A1橋台」という。)については杭長8.0mで12本、終点側の橋台(以下「A2橋台」という。)については杭長8.5mで8本、計20本打設するものである(参考図参照)。
本件場所打杭の設計については、「道路橋示方書・同解説」及び「杭基礎設計便覧」(いずれも社団法人日本道路協会編)等(以下、これらを「示方書等」という。)に基づき、コンクリートの設計基準強度(注1)を一般に採用されている24N/mm2とし、これを基に設計計算を行い、曲げ圧縮応力度(注2)が許容曲げ圧縮応力度(注2)を下回ることなどから、応力計算上安全であるとしていた。
2 検査の結果
本院は、熊本県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計計算書、契約図書等の書類により検査したところ、本件場所打杭の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、示方書等によると、泥水中などでコンクリートの打込みが行われるオールケーシング工法による場所打杭において使用するコンクリートは、打込みの際にある程度分離するのは避けられず、また、打込み後の締め固め作業も困難であることから、大気中で施工するコンクリートに比べ強度のばらつきが大きく平均強度も低くなるため、設計基準強度を24N/mm2とする場合は呼び強度(注1)30のコンクリートを使用することとされている。そして、同県では、設計基準強度を24N/mm2とし、呼び強度を30とする設計計算書を建設コンサルタントより受領していた。
しかし、同県では、契約図書等のうち、工事に使用する材料の数量、仕様等を請負人に示す総括情報表に、場所打杭のコンクリートの呼び強度を誤って24と記載していた。そして、請負人はこれにより施工していた。
そこで、改めて本件場所打杭について、示方書等に基づく再計算等の詳細な報告を求め、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、地震時において、A2橋台の場所打杭に生ずる曲げ圧縮応力度は10.9N/mm2となり、許容曲げ圧縮応力度9.0N/mm2を大幅に上回り、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。また、A1橋台においても許容値を上回っていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、示方書等についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件橋りょうは、設計が適切でなかったため、両橋台及びこれらに架設された上部工等(工事費相当額130,770,077円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額71,923,542円が不当と認められる。
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設計基準強度・呼び強度 「設計基準強度」とは、応力計算上でのコンクリート強度である。「呼び強度」とは、使用するコンクリートの強度を示す呼称である。
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曲げ圧縮応力度・許容曲げ圧縮応力度 「曲げ圧縮応力度」とは、材の外から曲げようとする力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力のうち圧縮側に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容曲げ圧縮応力度」という。
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(281) 河川改修事業の実施に当たり、建物等移転補償に要する費用の算定が適切でなかったなどのため、補償費が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、鹿児島県が、稲荷川基幹河川改修事業の一環として、放水路等を新設するため必要となる土地の取得に当たり、支障となる鹿児島市稲荷町地内の鉄筋コンクリート造り4階建ての共同住宅を移転させるため、平成14、15両年度に(1)47,464,066円、(2)35,150,920円、(3)36,811,061円、計119,426,047円(国庫補助金59,713,024円)で、その所有者3人に建物等移転補償を行ったものである。
同県では、公共事業の施行に伴う損失の補償については、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)に基づき同県が制定した「公共用地の取得に伴う損失補償基準」(昭和39年告示第130号)及び「損失補償基準標準書」(平成14年九州地区用地対策連絡会)等(以下、これらを「損失基準等」という。)に基づいて行うこととされている。
損失基準等によれば、事業者が事業の実施に当たって取得する土地の上に存在する建物等を補償するに際しては、事業者が当該建物等を取得せず又は使用しないときは、当該建物等を通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償するものとされている。
そして、同県では、本件建物等移転補償費(以下「補償費」という。)について、損失基準等に基づき調査、積算することを補償コンサルタントに委託して、その成果品を検査して受領し、補償費を算定していた。
補償費のうち補償の対象となった建物の基礎杭に係る補償費についてみると、外径1.5m、杭長33.1mの場所打杭10本であるとして、専門業者からの見積書により杭1本当たりの単価を2,107,000円とし、これに基礎杭の本数、諸経費率等を乗じ、同県は基礎杭の補償費を28,466,555円としていた。
2 検査の結果
本院は、鹿児島県において、合規性等の観点から、補償費の算定が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件建物等移転補償について、建物等移転補償契約書等の書類により検査したところ、補償費の算定が次のとおり適切でなかった。
すなわち、同県が検査して受領した成果品によれば、本件建物の基礎杭は、前記の外径1.5m、杭長33.1mの場所打杭10本ではなく、外径0.4m、杭長4.0mの既製杭24本であり、その補償費は3,032,802円となっていて、本件の基礎杭の補償費は25,433,753円過大となっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、用地交渉の公正を確保するため原則として2人以上の職員で用地交渉に当たらせることとしているのに本件では担当者1人で用地交渉に当たらせていて、この担当者が、成果品の検査を終えた後、早期に建物等の移転補償を実現するため補償費の水増しを図り、成果品を水増しした補償内容のものに差し替えていたのに、これを看過していたことなどによると認められる。
したがって、本件建物等移転補償に要する適正な費用は93,610,421円となり、前記契約額119,426,047円との差額25,815,626円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額12,907,813円が不当と認められる。
(282) 鉄道駅総合改善事業(移動円滑化事業)の実施に当たり、消費税相当額の取扱いが適切でなかったため補助金が過大に交付されていたり、完成した施設が補助事業者の資産となっていなかったりしているもの
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1 補助事業の概要
(1) 補助事業の概要
この補助事業は、高齢者、身体障害者等の移動の円滑化を図るため、交通エコロジー・モビリティ財団(以下「財団」という。)が、鉄道駅にエレベーター等の移動円滑化施設を整備する事業である。国は、その工事に要する経費の一部について、鉄道駅総合改善事業費補助(移動円滑化事業)(以下「国庫補助金」という。)を財団に交付している。
そして、財団が行う鉄道駅総合改善事業(移動円滑化事業)は、次のとおり実施されている(次図参照)。
図 移動円滑化事業の実施概念図
〔1〕 財団は鉄道事業者と協定書を締結して工事を委託する。この委託工事は、エレベーター、障害者対応型トイレ等の設置に係る工事(以下「移動円滑化施設工事」という。) と、移動円滑化施設の設置に伴って必要となる既存施設を移設等する工事(以下「補償金工事」という。)からなっている。
〔2〕 委託工事完了後、財団は、エレベーター等の移動円滑化施設の引渡しを受け、財団の資産として鉄道事業者にこれを貸し付ける。また、補償金工事により移設等された施設は鉄道事業者の資産となる。
〔3〕 財団は、国庫補助金、地方公共団体からの補助金及び鉄道事業者からの預託金を原則としてそれぞれ3分の1ずつの割合で受け入れ、鉄道事業者に委託工事費を支払う。鉄道事業者の預託金は、〔2〕の貸付けに係る貸付料と相殺することにより精算される。
(2) 補助事業における消費税の取扱い
消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
鉄道事業者は、消費税法(昭和63年法律第108号)上の事業者に当たり、課税対象となる取引に対して消費税を納付する義務を負っている。そして、財団から受け入れる委託工事費のうち、移動円滑化施設工事に要する費用(以下「移動円滑化施設工事費」という。)については、工事の対象が移動円滑化施設であり資産の帰属が財団となることから資産の譲渡等の対価に該当し、消費税の課税対象として処理することとなるが、補償金工事に要する費用(以下「補償金工事費」という。)については、工事の対象が既存の鉄道施設の移設等であり資産の帰属が鉄道事業者となることから資産の譲渡等の対価に該当せず、消費税の課税対象外として処理することとなる。
2 検査の結果
本院は、財団が13鉄道事業者に委託して施行した延べ60駅の移動円滑化事業について、合規性等の観点から、委託工事が適切に実施されているか、委託工事費に係る国庫補助金の精算は適切に行われているかなどに着眼して、協定書、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、財団が平成15年度から17年度(15年度は16年度に繰越し)までの各年度に、相模鉄道株式会社及び近畿日本鉄道株式会社に委託して実施した3駅の移動円滑化事業(事業費計730,636,850円。うち国庫補助金計231,133,000円)において、消費税相当額の取扱いが適切でなかったため補助金が過大に交付されていたり、完成した施設が補助事業者の資産となっていなかったりしていた。このため、上記3駅の移動円滑化事業のうち事業費計35,270,286円、これに係る国庫補助金計10,930,155円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、補助金が過大に交付されていた事態については、両会社において、移動円滑化事業の委託工事に係る消費税相当額の適切な取扱いに関する認識が欠けていたこと、財団において、本件補助事業に係る委託工事に対する審査、確認及び両会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。また、完成した施設が補助事業者の資産となっていなかった事態については、近畿日本鉄道株式会社及び財団において、移動円滑化事業の委託工事に対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。
上記の事態を態様別に示すと次のとおりである。
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(1) 消費税相当額の取扱いが適切でなかったため補助金が過大に交付されていたもの
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3駅 不当と認める国庫補助金交付額 4,140,804円
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財団では、15年度(16年度に繰越し)から17年度までの各年度に、エレベーター、障害者対応型トイレ等を設置する移動円滑化事業を和田町駅については相模鉄道株式会社に、高の原駅及び向島駅については近畿日本鉄道株式会社にそれぞれ委託して実施している。
これらの委託工事費について、両会社では、委託工事完了後、賃貸借契約締結等の必要上、移動円滑化施設工事費と補償金工事費のそれぞれの金額を算出していた。そして、確定申告において、補償金工事費に係る消費税額を仕入税額控除する一方、補償金工事費に対応する委託工事費は、資産の譲渡等の対価に該当せず、消費税の課税対象外であるとして、課税売上げに計上しないなどしていた。
このように、両会社は、補償金工事費に対応する委託工事費を消費税の課税対象外としているのに、消費税相当額を含めた委託工事費の金額で財団に精算報告したため、財団では補償金工事費に対応する委託工事費に係る消費税相当額を含めた金額で委託工事費を精算していて、精算額に係る国庫補助金のうち、消費税相当額4,140,804円が財団に過大に交付されていた。
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(2) 完成した施設が補助事業者の資産となっていなかったもの
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1駅 不当と認める国庫補助金相当額 6,789,351円
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財団では、17年度に、向島駅にエレベーター3基、障害者対応型トイレ等を設置する移動円滑化事業を近畿日本鉄道株式会社に委託して実施している。
この委託工事の完了後、同会社は移動円滑化施設工事費と補償金工事費のそれぞれの金額を算出した際、移動円滑化施設と認められる障害者対応型トイレ等の設置に要した費用22,276,700円(消費税込み。うち国庫補助金相当額6,789,351円)を補償金工事費に含めていた。このため、上記の障害者対応型トイレ等は、同会社の資産に計上されていて、補助事業者である財団に引き渡されておらず、国庫補助金の交付条件に違背していた。
(283) 地域観光振興事業の実施に当たり、ボランティアにより無償で実施された事業に係る経費を補助対象事業費に計上するなどしていたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、国際競争力のある観光地づくりを促進するため、地域観光振興事業費補助金交付要綱(平成17年国総観振第49号)に基づき、地域イベント活性化事業、観光交流施設等の整備等を実施するもので、国土交通省では、これらの事業を実施する者に対し、当該事業に要する経費の一部として、地域観光振興事業費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。
特定非営利活動法人たきどぅん(以下「法人」という。)では、平成17年度に竹富島どぅゆくい(癒し)観光推進事業として、生活体験プログラム開発事業、平成17年度前與那國屋(マイユヌンニャ)施設整備事業(以下「施設整備事業」という。)及びPR関係事業を実施したものである。
そして、法人では、補助対象事業費計27,950,000円で事業を実施したとする実績報告書を、沖縄総合事務局長を経由して国土交通大臣に提出し国庫補助金10,000,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
本院は、国土交通省、沖縄総合事務局及び法人において、合規性等の観点から補助事業の経理が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について実績報告書等の書類により検査したところ、次のとおり適切でないと認められる事態が見受けられた。
(1) 生活体験プログラム開発事業の実施について
法人は、本件事業として宿泊体験イベント、伝統的島料理試食体験イベント等を実施し、寝具一式、島料理材料等を460,000円で購入するなどしたとして実績報告を行っていた。しかし、実際には、法人は、業者から無償で寝具一式等の提供を受けていた。
(2) 施設整備事業の実施について
ア 法人は、竹富島の伝統的建造物である前與那國屋の石積修復工事を実施し、石積修復作業に従事した作業員等に計6,675,000円を支払ったとして実績報告を行っていた。しかし、実際には、法人は、石積修復作業に従事した作業員等に対し、計130,000円を支払っているにすぎず、残額の6,545,000円は、島の住民等によるボランティアにより無償で実施された石積修復作業を金額換算した人件費相当額であった。
また、上記工事の施工に当たり、機械使用料1,350,000円、補足石購入費480,000円、敷地整地工事費2,310,000円、計4,140,000円を要したとして実績報告を行っていた。しかし、実際には、法人は、業者から施工に係る機械や資材の提供等を無償で受けていた。
イ 法人は、前與那國屋の豚便所復原工事及び公衆便所建設工事について、法人の理事が代表を務める請負業者とそれぞれ3,654,000円、10,521,000円で契約を締結し、計14,175,000円で実施したとして実績報告を行っていた。しかし、実際に法人が支払ったのは、豚便所復原工事費3,654,000円、公衆便所建設工事費9,379,020円、計13,033,020円であった。さらに、法人は、請負業者である法人の理事から上記の工事費計13,033,020円のうち2,700,000円の返金を受けていた。このため、豚便所復原、公衆便所建設両工事は、計10,333,020円で実施していたこととなる。
このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められる。
ア 法人において、補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと
イ 沖縄総合事務局において、ボランティアにより無償で実施された作業等は補助金交付の対象として認められないことについての認識が十分でなく、適切な指導を行っていなかったこと及び実績報告書等の審査が十分でなかったこと
ウ 国土交通省において、ボランティアにより無償で実施された作業等は補助金交付の対象として認められないことを明確に示していなかったこと及び実績報告書等の確認が十分でなかったこと
したがって、適正な補助対象事業費は12,963,020円となり、前記の補助対象事業費27,950,000円との差額14,986,980円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金4,814,792円が不当と認められる。
(284) 衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システム整備事業の実施に当たり、システムの対象車両数が補助要件を下回ることから補助の対象とならないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、都市交通の安全・円滑化に資するため、衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システムを整備するもので、国土交通省では、配車センターの中央制御装置、タクシーの車載装置等の機器を購入する無線共同配車センター等に対し、購入に要する経費の一部として、自動車事故対策費補助金を交付している。
この補助要件として、導入するシステムは、衛星を利用してタクシーの運行状況を配車センターで地図画面により自動管理するとともに、配車依頼の電話番号から依頼人の位置を特定し、その付近を走行しているタクシーに車載装置の画面表示と合成音声によって配車指示を行うまでの一連の作業を自動的に行う機器及び機能を有するシステム(以下「高度配車システム」という。)であること、補助事業としての一定の効果を確保するため、同システムの対象車両数は70両以上であることなどとされている。
有限会社須賀川交通(以下「須賀川交通」という。)では、平成17年度に、グループ会社3社と共同で事業を実施している。そして、4社共同の配車センターに設置する中央制御装置等及びタクシー71両の車載装置として、配車センターからの配車指示を画面表示と合成音声によって行う操作器(以下「液晶型操作器」という。)を65機、液晶型操作器にカーナビゲーション装置を追加した操作器(以下「カーナビ付操作器」という。)を6機、計71機の操作器等を計41,336,000円で購入したとして国土交通省に実績報告書を提出し、補助金10,000,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
本院は、須賀川交通等において、合規性等の観点から、補助事業の経理が適正に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、須賀川交通が実際に購入した車載装置の操作器は、液晶型操作器が51機、カーナビ付操作器が4機となっており、残りの16機は配車センターのオペレーターからの無線による音声で配車指示を行う操作器(以下「簡易型操作器」という。)で、高度配車システムの車載装置には該当しないものであった。
このため、本件事業における高度配車システムの車載装置は55機となり、これらが搭載される55両のタクシーでは補助要件である対象車両数70両を下回ることから、本件事業は補助の対象とは認められない。
なお、須賀川交通では、高度配車システムの機器を41,336,000円で購入したとしていたが、実際には、実績報告書で購入先としていた業者とは別の業者から、簡易型操作器を含めて26,500,000円で購入しており、実績報告書に添付されていた請求書、領収書等は架空のものであった。
このような事態が生じていたのは、事業主体において、補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、国土交通省において、本件事業に対する調査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件事業は、補助の対象と認められないことから、これに係る国庫補助金10,000,000円が不当と認められる。