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補助金の概要



(274) 交通安全施設等整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、護岸工が工事の目的を達していないもの

会計名及び科目
道路整備特別会計
(項)道路環境整備事業費
部局等
大阪府
補助の根拠
交通安全施設等整備事業の推進に関する法律(昭和41年法律第45号)
補助事業者
(事業主体)
大阪府
補助事業
主要地方道富田林太子線交通安全施設等整備
補助事業の概要
歩道を設置するため、平成17、18両年度に橋りょう下部工、護岸工等を施工するもの
事業費
44,927,400円
(うち国庫補助対象額40,909,900円)
上記に対する国庫補助金交付額
20,454,950円
 
不当と認める事業費
8,589,000円
(全額国庫補助対象額)
不当と認める国庫補助金交付額
4,294,500円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、大阪府が、主要地方道富田林太子線の交通安全施設等整備事業の一環として、富田林市北大伴町及び南河内郡河南町大字山城地内において、一級河川千早川に架かる供用中の橋りょうの下流側に、歩道橋(橋長37.7m、幅員3.3m)を新設するため、平成17、18両年度に橋台2基、橋脚1基及び護岸の築造等を工事費44,927,400円(うち国庫補助対象額40,909,900円、国庫補助金20,454,950円)で実施したものである。
 このうち護岸工は、堤防に橋台を設けることから、歩道橋の下の河岸及び堤防を保護するため、左右両岸について橋台の前面及び下流側等にブロック張護岸(法勾配1:1.5、施工延長29.2m)を施工するものである。
 本件護岸の設計に当たっては、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編。以下「技術基準」という。)等に基づき同府が制定した「ブロック積(石積)護岸工の設計運用」(以下「設計運用」という。)によることとし、計画河床高から護岸の基礎下端までの深さ(以下「根入れ深さ」という。)は、設計運用で定めている1.5mとし、これにより施工することとしていた(参考図1参照)
 そして、本件護岸の施工に当たり、護岸の基礎を設置するための掘削作業を行っていたところ、計画河床高から0.53m掘削した位置で湧水が生じた。このため掘削作業を中断し、その原因について調査したところ、水道水の水源となっている地下水脈からの湧水であることが判明した。同府では、このまま根入れ深さを1.5mとして施工すると地下水脈を遮断するおそれがあると判断し、湧水が生じている高さまで土砂を埋め戻し左右両岸の根入れ深さを0.32mとすること及び左岸の護岸については常時水が流れている低水路に近接していることからその前面に基礎付近の河床洗掘に対する応急対策としてふとんかご(延長15.6m、幅4.0m、高さ0.5m)を計画河床高より上に設置することとする設計変更を行い、これにより施工していた(参考図2参照)

2 検査の結果

 本院は、大阪府において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計変更図面等の書類により検査したところ、本件護岸の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件護岸の根入れ深さについては、前記の設計変更で0.32mとしたことにより、設計運用で定められている根入れ深さ1.5mに比べ著しく不足することとなる。そして、このような場合、技術基準によれば、洪水時、河床洗掘により護岸の基礎が浮き上がり裏込材の吸出しなどが生じ、護岸全体の被災を引き起こすことがあることから、基礎の前面に根固工として根固ブロック等を設置して洗掘に対処しなければならないとされており、本件護岸の場合には、敷設幅5.6m以上の根固工を設置する必要がある。さらに、根固工の設置高について、設計運用では敷設天端高を基礎の天端高と同じ高さにすることとされている。
 しかし、本件護岸は前記のとおり設計運用で定められている根入れ深さが不足しているのに、右岸の護岸については、所定の根固工等を施工するなど、洗掘に対処するための対策が行われていなかった。また、左岸の護岸については、基礎の前面にふとんかごが設置されているものの、根固工として必要な所定幅5.6mより大幅に短い4.0mであったり、敷設天端高が基礎の天端高より上になっていたりしており、根固工として適切な設計となっておらず、洪水時にふとんかごが流失するおそれがあることになる。これらのことから、左右両岸の護岸いずれも、洪水時において、基礎地盤が洗掘されることによる基礎の浮き上がりを防止できない状況となっており、護岸としての安全性が確保されていない状態となっていた。
 このような事態が生じていたのは、同府において、設計変更時の検討が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件護岸工(工事費相当額8,589,000円)は、設計が適切でなかったため、護岸全体の被災を引き起こすおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額4,294,500円が不当と認められる。

(参考図1

当初設計

当初設計

(参考図2)

変更設計

変更設計

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