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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第41 東日本電信電話株式会社、第42 西日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

管理対象電柱について、点検方針等の周知徹底を図るとともに、点検の進ちょく管理等のチェック体制を整備することなどにより、適切に点検を行うよう改善させたもの


(1)(2) 管理対象電柱について、点検方針等の周知徹底を図るとともに、点検の進ちょく管理等のチェック体制を整備することなどにより、適切に点検を行うよう改善させたもの

会社名
(1)
(2)
東日本電信電話株式会社
西日本電信電話株式会社
科目
(1)
 
(2)
 
固定資産市内線路設備
固定資産市外線路設備
固定資産市内線路設備
固定資産市外線路設備
部局等
(1)
(2)
東日本電信電話株式会社本社
西日本電信電話株式会社本社
管理対象電柱の管理の概要
管理対象電柱について、管理規程に基づく点検方針等に従い、目視及びポールテスタによる点検を行い、その点検結果に基づき建替え等を実施するもの
管理対象電柱の本数
(1)
(2)
861,843本
1,016,570本
(平成18年度)
(平成18年度)
平成18年度に点検すべき管理対象電柱のうち、年度内に点検が完了していなかった本数
(1)
(2)
33,140本
41,294本
 
点検管理システムに適切に入力されていなかった管理対象電柱の本数
(1)
(2)
5,796本
2,498本
 
管理対象電柱の固定資産価額相当額
(1)
(2)
130億1422万円
260億2927万円
 


1 管理対象電柱の概要

(1) 管理対象電柱の概要

 日本電信電話株式会社(昭和60年4月から平成11年6月まで。以下「NTT」という。)では、昭和62年に発生したコンクリートポールの折損事故を契機に、その原因を分析したところ、遅れ破壊(注1) が発生しやすいコンクリートポールがあることが判明した。このため、NTTでは、平成元年から、未然に折損等の事故の発生を防止するため、遅れ破壊が発生しやすいコンクリートポールを特定して、これを管理対象電柱(以下「管理CP」という。)として管理することとした。

 遅れ破壊  何らかの外的要因(不平衡荷重、強風等)によってコンクリートポールにひび割れが発生して、そこから浸水し、コンクリートの強度を補強するための鉄筋が腐食して発生した水素の作用により、時間的経過とともに鉄筋が破断する現象


 そして、NTTが東西に分社した11年7月以降、東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」という。)第44条第1項に基づいて両会社がそれぞれ定めた事業用電気通信設備管理規程(平成11年社長達東第81号及び平成11年西サ企第4号。以下、これらを合わせて「管理規程」という。)において、事業用電気通信設備を法第41条の総務省令で定める技術基準に適合するよう維持し、かつ、事故を未然に防止するため、監視、点検、試験及び検査を行うものとすると規定して、引き続き管理CPを管理している。
 しかし、昭和62年度から平成18年度までに、NTT東日本管内で32件(折損等本数32本、うち地中部における折損本数9本)、NTT西日本管内では23件(折損等本数29本、うち地中部における折損本数5本)の折損等が発生している状況である。
 管理CPの管理について、NTT東日本では、遅れ破壊の可能性の高い管理柱と比較的可能性の低い追加管理柱とに区分して管理している。また、NTT西日本でも、同様に可能性の高い管理対象柱と比較的可能性が低い調査管理柱とに区分して管理している。
 18年度の管理CPの現況は、表1のとおり、NTT東日本861,843本(固定資産価額相当額130億1422万円)、NTT西日本1,016,570本(固定資産価額相当額260億2927万円)で、NTT東日本が保有している電柱569万本の約15.1%、NTT西日本が保有している電柱618万本の約16.4%をそれぞれ占めている。

表1 管理CPの現況(平成18年度)
(単位:本)
遅れ破壊の可能性
NTT東日本
NTT西日本
管理区分
本数
管理区分
本数
可能性が高い
管理柱
667,003
管理対象柱
258,754
可能性が低い
追加管理柱
194,840
調査管理柱
757,816
861,843
1,016,570

(2) 管理対象電柱の管理内容

 前記の管理規程に従い、NTT東日本では、会議資料「H18年度コンクリートポール折損対策の進め方について(18年4月作成)」等を、NTT西日本では、会議資料「特定CPの平成17年度実施結果および平成18年度当初計画について(18年5月作成)」等(以下、両会議資料等を「点検方針等」という。)を作成して、これにより点検、建替え等を行うこととしている。点検方針等によれば、ひびの発生から鉄筋の破断に至るまでの最短期間が約3年であることから、3年ごとに点検を実施すれば、折損を回避することができるとしているが、表2のとおり、NTT東日本では過去の折損数、比率などから折損等の危険の高い柱種、設置形態となっている管理柱のうち引留柱、曲柱(注2) については2年ごとに、NTT西日本では同様の趣旨で管理対象柱については1年ごとに点検することとしている。

表2 管理CPの点検周期(平成18年度)
NTT東日本
NTT西日本
管理区分
周期
管理区分
周期
管理柱
引留柱、曲柱
2年
管理対象柱
1年
中間柱(注3)
3年
追加管理柱
調査管理柱
3年
 引留柱、曲柱  引留柱は線路の起終点にある電柱で、曲柱は線路が屈曲する地点にある電柱を指す。
 中間柱  直線的な線路の中間にある電柱

 点検には、地上部のコンクリート部分のひび割れの有無を目視で確認する目視点検と、地中部等のコンクリート部分のひび割れの有無を超音波により診断することができる装置(以下「ポールテスタ」という。)による点検があり、これらの点検業務は子会社に委託して実施している。そして、点検に当たっては、目視点検によって不良の程度の高いものから順にAからDランクに分類した上で、NTT東日本ではC及びDランクと判定された引留柱、曲柱について、NTT西日本ではCランクと判定された管理CPの一部について、それぞれポールテスタにより地中部等の劣化状況を点検することとしている。
 また、両会社では、点検結果は、これを管理するためのシステム(以下「点検管理システム」という。)に入力され、この入力データは、点検周期に従った次の点検年度を決定したり、不良ランクに従って建替えを行う管理CPを選定したり、現況を把握したりすることなどに利用されている。
 さらに、この点検結果を踏まえた建替えについては、NTT東日本では、A及びBランクの管理CPについては発見の都度、C及びDランクについては優先順位を定め、各支店で年度当初に計画を策定した上で、17年度以降年間約6万本を建て替えることとしている。また、NTT西日本では、Aランク等については速やかに、B、C及びDランクについては優先順位を定め、各支店で年度当初に計画を策定した上で、17年度以降年間約10万本を建て替えることとしている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 近時においても管理CPの折損等が発生している状況を踏まえ、本院は、両会社の本社及び29支店(NTT東日本11支店(注4) 、NTT西日本18支店(注5) )において、合規性等の観点から、管理CPの点検等は点検方針等に従い適切に行われているかなどに着眼し、会計実地検査を行った。そして、18年度において管理することとされているNTT東日本の管理CP861,843本及びNTT西日本の管理CP1,016,570本を対象として、両会社から点検状況の調書及び各種資料の提出を受けて検査するとともに、29支店において点検業務の実態を確認するなどした。

 11支店  東京、千葉、埼玉、茨城、群馬、山梨、長野、新潟、宮城、青森、北海道各支店
 18支店  大阪、大阪南、和歌山、兵庫、名古屋、金沢、富山、広島、岡山、鳥取、愛媛、香川、徳島、福岡、長崎、佐賀、大分、沖縄各支店

(検査の結果)

 検査したところ、点検の実施状況及びポールテスタの配備等について、次のような事態が見受けられた。

(1) 点検の実施状況

 NTT東日本における18年度の引留柱、曲柱に係る点検対象本数120,361本の目視点検の実施状況についてみたところ、点検が年度内に完了していなかったものが33,140本見受けられた。また、点検が完了したものの、点検データが点検管理システムに入力されていないため、建替えが適切に行われないなどのおそれがあるものが5,796本見受けられた。
 また、NTT西日本における18年度の管理対象柱及び調査管理柱に係る点検対象本数527,212本の目視点検の実施状況についてみたところ、点検が年度内に完了していなかったものが41,294本見受けられた。また、既に建て替えられていたにもかかわらず、この情報が点検管理システムに入力されていなかったため、誤って点検の対象としていたものが2,498本見受けられた。

(2) ポールテスタの配備等

 NTT東日本では、前記のとおり、目視点検によって判定された不良ランクがC及びDランクの引留柱、曲柱について、地中部の劣化状況をポールテスタにより点検することとしている。
 しかし、18年度におけるポールテスタの各支店の配備状況についてみると、表3のとおり、ポールテスタの配備数が支店ごとに区々となっていて、いまだ配備されていない支店も2支店見受けられた。このため、支店ごとの18年度のポールテスタによる点検実施本数は、目視点検の対象であるC及びDランクの引留柱、曲柱の本数と対比しても必ずしも十分なものとなっておらず、また、いまだポールテスタが配備されていない2支店については点検の実績は無く、点検方針等に従った点検が行われていない状況となっていた。

表3 ポールテスタの配備数等
支店
東京
神奈川
千葉
埼玉
茨城
栃木
群馬
山梨
ポールテスタ (台)
3
0
1
5
2
2
3
1
目視点検の対象であるC及びDランクの引留柱、曲柱 (本)
31,702
711
2,160
3,892
6,929
2,188
5,343
302
ポールテスタによる点検実績 (本)
557
0
937
3,635
1,501
935
3,489
90
長野
新潟
宮城
福島
岩手
青森
山形
秋田
北海道
3
1
0
4
2
1
1
1
5
35
6,842
15,250
10,907
3,352
1,550
2,112
917
813
25,391
120,361
8,212
321
0
1,489
408
341
70
390
1,388
23,763

 このように、点検方針等に従って点検が年度内に完了していなかったり、点検管理システムに点検データ等が適切に入力されていなかったり、ポールテスタの配備が適切でなかったりしている事態は管理CPの折損等を防ぐという安全性の点からみて適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のようなことなどによるものと認められた。
ア 両会社の各支店において、点検方針等に従って点検することの重要性を十分認識していなかったり、点検の進ちょく管理や点検管理システムへの点検データ等の入力、確認が十分でなかったりしていたこと
イ NTT東日本において、ポールテスタの各支店の必要配備台数についての検討を十分行っていなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、両会社では、本社において各支店に対して指示文書を発することにより、次のような処置を講じた。
ア 両会社の各支店において、点検周期に従って当該年度の点検対象となる管理CPについて確実に点検を実施するよう周知徹底を図るとともに、点検の進ちょく管理や点検管理システムへ点検データ等の入力、確認を適切に行うようチェック体制を整備した。
イ NTT東日本において、ポールテスタが未配備となっている支店については配備し、他の支店についても配備台数の見直し等を実施した。