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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成19年9月

日本放送協会における不祥事に関する事項について


3 検査の結果

(1) 関連団体の決算の分析

ア 関連団体の決算の状況

(ア) 17年度決算の状況

関連団体34団体の17年度決算の状況は、表3-6のとおりであり、関連団体の売上高及び収入額の総額は2952億余円となっている。

表3ー6 関連団体の平成17年度決算の状況
(単位:百万円)
団体名
売上高
(収入額)
協会支払額
利益剰余金
(内部留保額)
注(2)  協会の副次収入額
17年度決算に基づく配当金
 
うち協会の受取額
1
(株)NHKエンタープライズ
42,383
23,071
15,591
1,661
2,580
2,082
2
(株)NHKエデュケーショナル
13,470
7,422
4,521
1,530
507
339
3
(株)NHK情報ネットワーク
16,572
12,810
8,470
660
1,351
944
4
(株)NHKプロモーション
注(2)  7,178
552
1,269
141
33
19
5
(株)NHKアート
12,897
7,883
548
3
6
(株)NHKテクニカルサービス
15,981
10,257
6,347
37
48
33
7
(株)日本放送出版協会
22,887
54
12,762
963
7
3
8
(株)NHKきんきメディアプラン
3,029
1,202
739
169
10
5
9
(株)NHK中部ブレーンズ
2,935
548
226
6
2
1
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
610
290
80
0
11
(株)NHK九州メディス
688
326
205
6
2
1
12
(株)NHK東北プランニング
438
307
312
2
2
1
13
(株)NHK北海道ビジョン
650
520
67
5
14
(株)NHK共同ビジネス
6,754
2,891
4,854
51
15
2
15
(株)NHKアイテック
44,739
11,431
11,478
80
204
102
16
(株)NHK文化センター
9,919
63
1,475
95
14
1
17
(株)NHKコンピューターサービス
5,742
4,814
1,424
0
13
9
18
NHK営業サービス(株)
8,304
6,381
2,574
0
140
112
19
(株)NHKオフィス企画
3,029
1,917
1,540
20
4
(子会社19社小計)
218,214
92,750
74,492
5,417
4,954
3,664
20
NHK Enterprises America,Inc.  注(1)注(5)
1,809
0
943
21
NHK Enterprises Europe Limited  注(1)注(5)
664
512
(子会社21社小計)
220,688
92,750
75,948
5,417
4,954
3,664
22
(株)日本文字放送
1,758
1,266
644
145
20
2
23
(株)放送衛星システム
7,235
2,405
3,323
245
24
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
718
444
61
22
25
(株)総合ビジョン  注(1)
1,999
943
798
175
10
(関連会社4社小計)
11,712
5,060
4,828
588
30
2
(子会社・関連会社25社小計)
232,401
97,811
80,776
6,006
4,984
3,666
26
(財)NHKサービスセンター
(13,266)
6,122
注(3)  (3,027)
662
27
(財)NHKインターナショナル
(1,124)
567
注(3)  (454)
15
28
(財)NHKエンジニアリングサービス
注(2)  (1,965)
348
注(3)  (659)
339
29
(財)NHK放送研修センター
注(2)  (1,818)
1,077
注(3)  (359)
66
30
(学)日本放送協会学園
注(2)  (4,777)
247
注(4)  (1,094)
31
(財)NHK交響楽団
注(2)  (3,133)
1,339
注(3)  (487)
4
32
(福)NHK厚生文化事業団
注(2)  (474)
129
注(4)  (200)
3
33
(財)日本放送協会共済会
注(2)  (25,806)
7,181
注(3)  (1,627)
関連公益法人(8団体)小計
(52,369)
17,014
(7,911)
1,093
関連団体(33団体)合計
284,770
114,825
88,688
7,099
34
日本放送協会健康保険組合
注(2)  (10,455)
関連団体(34団体)合計
295,226
 斜体字は協会の直接出資がない会社である。
 計数は消費税込みである。
 計数は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)を準用して会計検査院が試算したものである。
 計数は流動資産から流動負債を差し引いたものである。
 海外子会社の計数は、利益剰余金は1ドル=117.47円,1ポンド=205.20円(決算日直物為替レート)、売上高、当期純利益は1ドル=113.32円,1ポンド=202.13円(期中平均レート)により換算したものである。

 そして、関連団体34団体のうち、健康保険法(大正11年法律第70号)に基づく健康保険組合であり、貸借対照表が作成されないなど他の関連団体とは作成する決算書類が異なるなどのため集計が困難な日本放送協会健康保険組合を除く、関連団体33団体の売上高及び収入額の総額は2847億余円、このうち協会が関連団体に支払った額の総額は1148億余円となっている。
 また、上記関連団体33団体の剰余金等に関して、子会社等の利益剰余金及び「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定。以下「公益法人指導監督基準」という。)を準用するなどして会計検査院が試算した関連公益法人の内部留保額の合計は886億余円となっている。
 一方、協会が関連団体から受けた副次収入額は70億余円となっており、子会社等が17年度決算に基づき行った配当総額49億余円のうち協会の受取額は36億余円となっている。
 なお、関連団体の売上高及び収入額の総額は、関連団体間の取引額を控除せず各団体の決算書上の数値を単純に合計した額である。また、以下では、集計が困難な日本放送協会健康保険組合を除く、子会社21社、関連会社4社、関連公益法人8法人、計33団体について記述することとする。

(イ) 財政状況の推移

 協会の子会社等及び関連公益法人33団体の15年度から17年度までの財政状況の推移をみると、以下のとおりである。

a 資産等の状況

 関連団体の資産等の状況は、表3-7のとおりである。
 資産総額及び負債総額については増減があるものの、子会社等の自己資本、関連公益法人の正味財産の総額は毎年度増加している。

表3ー7 関連団体の資産等の状況
 
15年度末
16年度末
17年度末
(百万円)
構成比(%)
(百万円)
構成比(%)
(百万円)
構成比(%)
子会社(21社)注(1) 注(2)
資産総額
129,466
100.0
141,268
100.0
138,321
100.0
 
流動資産
91,138
70.3
99,542
70.4
99,245
71.7
固定資産
38,327
29.6
41,725
29.5
39,076
28.2
負債総額
59,808
100.0
63,583
100.0
58,320
100.0
 
流動負債
42,416
70.9
45,580
71.6
42,921
73.5
固定負債
17,392
29.0
18,002
28.3
15,399
26.4
自己資本
69,657
100.0
77,684
100.0
80,001
100.0
 
うち資本金
3,951
5.6
3,959
5.0
3,986
4.9
うち利益剰余金
65,577
94.1
73,671
94.8
75,948
94.9
関連会社(4社)
資産総額
46,214
100.0
41,925
100.0
43,077
100.0
 
流動資産
12,255
26.5
13,747
32.7
14,956
34.7
固定資産
33,944
73.4
28,162
67.1
28,108
65.2
繰延資産
13
0.0
14
0.0
12
0.0
負債総額
27,168
100.0
22,282
100.0
22,620
100.0
 
流動負債
6,075
22.3
5,617
25.2
5,431
24.0
固定負債
21,092
77.6
16,664
74.7
17,188
75.9
自己資本
19,045
100.0
19,642
100.0
20,456
100.0
 
うち資本金
15,620
82.0
15,620
79.5
15,620
76.3
うち利益剰余金
3,425
17.9
4,022
20.4
4,828
23.6
関連公益法人(8団体)
資産総額
75,824
100.0
77,711
100.0
75,898
100.0
 
流動資産
13,702
18.0
13,418
17.2
13,099
17.2
固定資産
62,122
81.9
64,293
82.7
62,798
82.7
負債総額
60,560
100.0
61,656
100.0
59,402
100.0
 
流動負債
7,037
11.6
6,862
11.1
5,974
10.0
固定負債
53,523
88.3
54,793
88.8
53,427
89.9
正味財産
15,263
100.0
16,055
100.0
16,495
100.0
 
うち基本金
6,283
41.1
7,296
45.4
7,275
44.1
うち当期正味財産増加額
1,389
9.1
790
4.9
461
2.7
 子会社の数は、平成17年4月に統合があったため、15及び16年度は23社、17年度は21社である。
 海外子会社の計数は、平成15年度、1ドル=105.63円、1ポンド=193.07円、16年度、1ドル=107.41円、1ポンド=202.07円、17年度、1ドル=117.47円、1ポンド=205.20円(決算日の直物為替レート)により換算したものである。

b 売上高及び収入額等の状況

 子会社等の売上高及び関連公益法人の収入額等の状況は、表3-8のとおりである。
 17年度の子会社等の売上高及び関連公益法人の収入額は、いずれも16年度に比べ減少している。このうち子会社については、映像ソフト等の販売やアナログ周波数変更対策の前倒し実施に伴う協会以外との取引による大幅な売上増が17年度にピークを越えたこと及び協会の受信料収入の大幅な減少に伴う協会との取引額の減少等が影響していると思料される。

表3-8 関連団体の売上高及び収入額等の状況
(単位:百万円)
   
15年度
16年度
17年度
  対前年度比   対前年度比
子会社(21社)注(2)注(3)
売上高
226,746
240,669
13,922
220,688
△19,980
当期純利益
5,957
8,308
2,351
3,173
△5,135
関連会社(4社)
売上高
12,940
12,347
△592
11,712
△634
当期純利益
1,031
626
△404
775
148
関連公益法人(8団体)
当期収入額
58,644
58,999
354
52,369
△6,630
当期収支差額
718
△257
△976
226
484
 計数は各団体の決算の数値の単純合計である。 
 子会社の数は、平成17年4月に統合があったため、15及び16年度は23社、17年度は21社である。
 海外子会社の計数は、平成15年度、1ドル=113.19円、1ポンド=191.07円、16年度、1ドル=107.55円、1ポンド=198.43円、17年度、1ドル=113.32円、1ポンド=202.13円(期中平均レート)により換算したものである。

c 利益剰余金及び内部留保額の状況

 子会社等の利益剰余金及び関連公益法人の内部留保額の状況は、表3-9のとおりであり、17年度末の総額は886億余円となっている。
 そして、17年度末の子会社、関連会社の利益剰余金及び関連公益法人の内部留保額のそれぞれの総額759億余円、48億余円及び79億余円は、16年度の736億余円、40億余円及び74億余円と比べ、いずれも増加している。
 また、17年度末の関連団体の利益剰余金等の合計額に占める団体区分別の割合は、子会社85.6%、関連会社5.4%、関連公益法人8.9%となっていて、利益剰余金等の大部分は、子会社21社に留保されていると認められる。

表3-9 関連団体の利益剰余金及び内部留保額の状況
区分
15年度末
16年度末
17年度末
団体数 注(1)
利益剰余金(内部留保額)
団体数 注(1)
利益剰余金(内部留保額)
団体数 注(1)
利益剰余金(内部留保額)
(百万円)
構成比
(%)
(百万円)
構成比
(%)
(百万円)
構成比
(%)
子会社 注(2)
23
65,577
85.3
23
73,671
86.5
21
75,948
85.6
関連会社
4
3,425
4.4
4
4,022
4.7
4
4,828
5.4
関連公益法人
8
(7,789)
10.1
8
(7,403)
8.6
8
(7,911)
8.9
合計
35
76,793
100.0
35
85,096
100.0
33
88,688
100.0
 対象団体数は日本放送協会健康保険組合を除く団体数である。
 海外子会社の計数は、15年度、1ドル=105.63円、1ポンド=193.07円、16年度、1ドル=107.41円、1ポンド=202.07円、17年度、1ドル=117.47円、1ポンド=205.20円(決算日の直物為替レート)により換算したものである。

 なお、関連団体の剰余金に関して、18年4月24日の参議院決算委員会において協会が答弁した「17年4月1日現在の34団体の剰余金の額848億円」は、16年度末現在の36団体から福利厚生団体である財団法人日本放送協会共済会及び日本放送協会健康保険組合の2団体を除いた34団体の剰余金の額である。また、その際に関連公益法人の剰余金としたものは、便宜的に正味財産額から基本金を差し引くなどして算定した額である。今回、会計検査院は、17年度末の関連団体数34団体のうち、内部留保額が算出できない日本放送協会健康保険組合を除いた33団体を検査の対象としていることなどから、表3-9の850億余円は協会が答弁した剰余金の額848億円とは一致しない。

イ 子会社の決算

 協会の子会社21社のうち、NHK Enterprises America,Inc.及びNHK Enterprises Europe Limitedの2社は、いずれも株式会社NHKエンタープライズ(以下「エンタープライズ」という。)の海外子会社であること、また、17年度における同2社に対する協会の支払額は百万円未満であるなど少額であること、協会の直接出資がないことから協会への配当も行われないことから、本項で用いる国内企業の経営指標や配当に関する分析等になじまず、他の子会社と同列に扱うことが適当でないため、分析は同2社を除いた子会社19社について行い、海外子会社2社については関係数値を参考として記載するにとどめることとした。

(ア) 17年度末の総資産、自己資本等の状況

 17年度末現在の子会社の総資産、自己資本、自己資本比率(総資産に占める資本金と利益剰余金等の合計額の割合)、総資産に対する利益剰余金の割合及び当座比率(短期的に支払を要する流動負債に対する現金預金等の当座資産の割合)等を会社別にみると、表3-10のとおりである。
 子会社19社の自己資本比率は、平均で59.2%となっており、3社が40%未満となっているものの、残る16社は40%以上、うち13社は50%を超えていて、全体として財務面での健全性は高いと認められた。
 中小企業庁が18年9月に公表した「中小企業の財務指標(平成16年1月〜12月決算期)(概要版)」(以下「中小企業財務指標」という。)によれば、16年決算期における中小企業の自己資本比率は、協会の子会社の業務が主に該当する映画・ビデオ制作業の平均が15.7%であることから、自己資本比率が15.5%と最も低くなっている協会の子会社についても、財務面での健全性が損なわれている状況にはないと思料された。
 また、自己資本の一部である利益剰余金の総資産に対する割合をみると、平均は52.3%となっており、19社中13社が40%以上、うち10社は60%以上となっていて、利益剰余金の額によっては、十分な財務上の余力があることが思料された。
 そして、子会社19社の当座比率をみると、平均は284.4%となっていて、19社中18社が100%以上、うち13社は200%を超えていた。当座比率は、すぐに現金化できる資産と短期の負債との比率であることから100%を超えた程度が目安とされている。
 したがって、それぞれの子会社の経営方針にもよるが、利益剰余金額、当座資産額等の資産状況等から、子会社の中には十分な財務上の余力がある会社が見受けられ、それが後述する17年度決算後の特例配当等につながったこと、及び今後とも新規投資等に向けられないのであれば、子会社において一定以上の規模での配当が十分可能であることが思料された。

表3-10 子会社の平成17年度決算における会社別の総資産、自己資本等の状況
会社名
総資産
(a)
(百万円)
自己資本
自己資本比率
(b)/(a)
(%)
総資産に対する利益剰余金の割合
(d)/(a)
(%)
当座資産 注(1)
(e)
(百万円)
流動負債
(f)
(百万円)
当座比率
(e)/(f)
(%)
(b)
(百万円)
うち資本金
(c)
(百万円)
うち利益剰余金
(d)
(百万円)
1
(株)NHKエンタープライズ
23,493
16,841
1,250.0
15,591
71.6
66.3
15,634
5,737
272.4
2
(株)NHKエデュケーショナル
6,608
4,621
100.0
4,521
69.9
68.4
4,756
1,856
256.2
3
(株)NHK情報ネットワーク
11,171
8,752
300.0
8,470
78.3
75.8
5,279
2,126
248.2
4
(株)NHKプロモーション
2,922
1,374
100.0
1,269
47.0
43.4
2,582
1,476
174.8
5
(株)NHKアート
4,803
748
200.0
548
15.5
11.4
3,164
1,940
163.1
6
(株)NHKテクニカルサービス
10,106
6,647
300.0
6,347
65.7
62.8
4,430
1,827
242.3
7
(株)日本放送出版協会
19,967
12,829
64.8
12,762
64.2
63.9
12,782
4,578
279.1
8
(株)NHKきんきメディアプラン
1,190
839
100.0
739
70.5
62.0
1,024
293
348.6
9
(株)NHK中部ブレーンズ
841
284
58.5
226
33.8
26.9
702
505
138.9
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
216
130
50.0
80
60.1
37.1
181
70
255.4
11
(株)NHK九州メディス
296
255
50.0
205
85.9
69.0
278
27
1,014.6
12
(株)NHK東北プランニング
395
362
50.0
312
91.4
78.9
129
24
517.7
13
(株)NHK北海道ビジョン
184
117
50.0
67
63.7
36.7
155
53
290.7
14
(株)NHK共同ビジネス
9,985
5,009
155.0
4,854
50.1
48.6
1,465
970
151.0
15
(株)NHKアイテック
28,976
11,804
300.0
11,478
40.7
39.6
22,158
15,105
146.6
16
(株)NHK文化センター
5,591
1,675
200.0
1,475
29.9
26.3
3,461
3,664
94.4
17
(株)NHKコンピューターサービス
3,390
1,504
80.0
1,424
44.3
42.0
2,814
1,201
234.2
18
NHK営業サービス(株)
3,745
2,724
150.0
2,574
72.7
68.7
2,803
805
348.1
19
(株)NHKオフィス企画
2,331
1,630
50.0
1,540
69.9
66.0
967
426
226.5
19社合計(平均)
136,219
78,156
3,608.3
74,492
(59.2)
(52.3)
84,771
42,694
(284.4)
(参考)
20
NHK Enterprises America,Inc.  注(2)
1,462
1,237
293.6
943
84.6
64.5
1,146
193
591.8
21
NHK Enterprises Europe Limited  注(2)
640
607
84.1
512
94.8
79.9
623
32
1,900.2
21社合計(平均)
138,321
80,001
3,986.1
75,948
86,542
42,921
 当座資産の計数は各社の流動資産のうち、現金、預金、有価証券、受取手形、売掛金を合計したものである。
 海外子会社の計数は1ドル=117.47円,1ポンド=205.20円(決算日直物為替レート)により換算したものである。

(イ) 過去3箇年度の利益剰余金とその内訳の推移

 子会社の利益剰余金とその内訳について、15年度から17年度までの推移をみると表3-11のとおりである。

表3-11 子会社19社の会社別の利益剰余金とその内訳の推移
(単位:百万円)
会社名
利益剰余金
 
利益準備金
任意積立金
当期未処分利益
15年度末
16年度末
17年度末
15年度末
16年度末
17年度末
15年度末
16年度末
17年度末
15年度末
16年度末
17年度末
1
(株)NHKエンタープライズ
15,591
25
9,000
6,566
 
(株)NHKエンタープライズ21
7,994
8,591
4,500
5,000
3,494
3,591
(株)NHKソフトウェア
4,223
6,509
0
2
2,000
2,000
2,222
4,506
2
(株)NHKエデュケーショナル
3,506
4,010
4,521
4
5
13
2,600
3,100
3,500
902
904
1,008
3
(株)NHK情報ネットワーク
6,935
7,787
8,470
19
19
26
5,000
5,000
6,000
1,916
2,768
2,444
4
(株)NHKプロモーション
1,021
1,113
1,269
11
11
12
300
300
300
710
802
957
5
(株)NHKアート
557
490
548
50
50
50
410
410
410
97
30
88
6
(株)NHKテクニカルサービス
5,655
6,108
6,347
5
5
5
4,620
4,770
5,220
1,030
1,333
1,122
7
(株)日本放送出版協会
14,093
14,231
12,762
16
16
16
13,155
13,755
13,305
921
459
△559
8
(株)NHKきんきメディアプラン
564
674
739
1
2
2
400
500
600
163
172
136
9
(株)NHK中部ブレーンズ
162
195
226
0
0
1
161
194
225
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
72
75
80
72
75
80
11
(株)NHK九州メディス
219
228
205
1
1
1
170
180
190
48
46
13
12
(株)NHK東北プランニング
314
321
312
1
1
1
285
295
300
28
25
11
13
(株)NHK北海道ビジョン
73
85
67
1
1
1
20
20
20
52
64
46
14
(株)NHK共同ビジネス
4,854
35
3,650
1,169
 
(株)NHK総合ビジネス
704
782
10
10
500
600
194
172
共同ビルヂング(株)
3,639
4,023
25
25
2,250
2,950
1,364
1,048
15
(株)NHKアイテック
8,963
10,770
11,478
75
75
75
6,720
7,220
7,720
2,168
3,475
3,683
16
(株)NHK文化センター
1,320
1,376
1,475
26
28
30
1,170
1,270
1,320
123
77
124
17
(株)NHKコンピューターサービス
1,281
1,359
1,424
0
0
0
700
800
900
581
559
523
18
NHK営業サービス(株)
1,724
2,194
2,574
0
3
1,370
1,710
2,160
354
484
411
19
(株)NHKオフィス企画(注)
1,364
1,444
1,540
3
4
4
605
655
705
755
785
831
19社合計
64,395
72,376
74,492
251
259
303
46,776
50,536
55,300
17,367
21,580
18,887
構成比(%)
100.0
100.0
100.0
0.3
0.3
0.4
72.6
69.8
74.2
26.9
29.8
25.3
 (株)NHKオフィス企画の平成15年度及び16年度の社名は、(株)NHKプリンテックスである。


 子会社19社の利益剰余金の内訳は各年度とも、その70%程度が任意積立金、30%程度が当期未処分利益となっている。
 そこで、子会社19社全体について、15年度から17年度までの各年度の当期未処分利益に係る利益処分計算書の内訳の推移をみると、表3-12のとおりとなっており、利益配当金については、15年度は決算利益処分金額の0.9%、16年度は同4.1%に過ぎず、両年度とも利益処分金額の約70%を次期繰越利益、20%強を任意積立金とするなど、95%以上が社内に留保されていた。これに対し17年度決算の利益処分では、次期繰越利益額はおおむね70%程度のままで、任意積立金がそれまでの20%強から6.1%へと大幅に減少し、25.2%が利益配当金となっている。これは後述するとおり、子会社に関する配当の考え方が変更されたこと、及び子会社3社について協会の要請による従来より大きな配当(以下「特例配当」という。)が実施されたことによるものである。
 なお、海外子会社2社については、適用される会計制度の違いから、利益処分計算書は作成されていない。

表3-12 子会社19社の利益処分計算書の内訳の推移
内訳
15年度
16年度
17年度
(百万円)
構成比(%)
(百万円)
構成比(%)
(百万円)
構成比(%)
未処分利益
17,367
100.0
21,580
99.7
18,887
96.0
積立金取崩額
0
0.0
50
0.2
768
3.9
利益処分対象額計
17,367
100.0
21,631
100.0
19,656
100.0
利益準備金
8
0.0
44
0.2
347
1.7
利益配当金
160
0.9
905
4.1
4,954
25.2
役員賞与金
69
0.4
49
0.2
30
0.1
任意積立金
3,760
21.6
5,315
24.5
1,202
6.1
次期繰越利益
13,368
76.9
15,317
70.8
13,122
66.7

(ウ) 協会の支払額と子会社の営業利益率

 子会社の17年度売上高に対する協会の支払額、営業利益等の状況は、表3-13のとおりとなっている。

表3-13 子会社の会社別の平成17年度売上高に対する協会の支払額、営業利益等の状況
会社名
売上高
営業利益
 
(c)
(百万円)
営業利益率
 
(c)/(a)
(%)
売上高に対する協会支払額の割合
 
(b)/(a)
(%)
(a)
(百万円)
うち協会の支払額
(b)
(百万円)
1
(株)NHKエンタープライズ
42,383
23,071
1,624
3.8
54.4
2
(株)NHKエデュケーショナル
13,470
7,422
1,003
7.4
55.1
3
(株)NHK情報ネットワーク
16,572
12,810
1,085
6.5
77.3
4
(株)NHKプロモーション注(1)
7,178
552
289
4.0
7.6
5
(株)NHKアート
12,897
7,883
69
0.5
61.1
6
(株)NHKテクニカルサービス
15,981
10,257
358
2.2
64.1
7
(株)日本放送出版協会
22,887
54
△738
△3.2
0.2
8
(株)NHKきんきメディアプラン
3,029
1,202
116
3.8
39.6
9
(株)NHK中部ブレーンズ
2,935
548
48
1.6
18.7
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
610
290
6
1.1
47.6
11
(株)NHK九州メディス
688
326
△21
△3.1
47.3
12
(株)NHK東北プランニング
438
307
△9
△2.1
69.9
13
(株)NHK北海道ビジョン
650
520
△14
△2.2
80.0
14
(株)NHK共同ビジネス
6,754
2,891
851
12.6
42.8
15
(株)NHKアイテック
44,739
11,431
1,726
3.8
25.5
16
(株)NHK文化センター
9,919
63
203
2.0
0.6
17
(株)NHKコンピューターサービス
5,742
4,814
109
1.9
83.8
18
NHK営業サービス(株)
8,304
6,381
660
7.9
76.8
19
(株)NHKオフィス企画
3,029
1,917
54
1.7
63.3
19社合計(平均)
218,214
92,750
7,423
(2.6)
(48.1)
(参考)
20
NHK Enterprises America,Inc.  注(2)
1,809
0
71
3.9
0.0
21
NHK Enterprises Europe Limited  注(2)
664
4
0.7
21社合計
220,688
92,750
7,500
 (株)NHKプロモーションの売上高及び営業利益の計数は消費税込みである。
 海外子会社の計数は1ドル=113.32円,1ポンド=202.13円(期中平均レート)により換算したものである。

 協会が17年度に子会社19社に支払った額の総額は927億余円で、その子会社の売上高に対する割合は平均で48.1%となっており、19社中10社が50%以上、うち4社は70%以上となっていて、子会社の多くにとって、協会は主要な取引先となっている。
 また、子会社19社の営業利益の売上高に占める割合(以下「営業利益率」という。)をみると、平均で2.6%となっている。中小企業財務指標における16年の産業別営業利益率によれば、映画・ビデオ制作業は1.9%、情報サービス業は2.0%となっていることなどから、子会社19社の営業利益率の平均は、おおむね標準的な水準にあると思料される。

(エ) 原価率、販管費率及び営業利益率

 子会社の15年度から17年度までの原価の売上高に占める割合(以下「原価率」という。)、販売費及び一般管理費の売上高に占める割合(以下「販管費率」という。)及び営業利益率の推移をみると表3-14のとおりとなっている。

表3-14 子会社の会社別の原価率、販管費率及び営業利益率の推移
会社名
原価率(%)
販管費率(%)
営業利益率(%)
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
1
(株)NHKエンタープライズ
84.7
11.3
3.8
 
(株)NHKエンタープライズ21
92.6
92.4
3.8
4.1
3.5
3.4
(株)NHKソフトウェア
59.8
60.1
27.6
18.8
12.4
21.0
2
(株)NHKエデュケーショナル
90.6
90.5
89.1
3.6
3.1
3.4
5.7
6.3
7.4
3
(株)NHK情報ネットワーク
90.8
89.1
89.3
4.8
4.5
4.1
4.2
6.2
6.5
4
(株)NHKプロモーション
92.8
91.7
91.3
5.5
5.5
4.6
1.6
2.7
4.0
5
(株)NHKアート
91.8
93.1
91.9
6.9
7.4
7.5
1.2
△0.6
0.5
6
(株)NHKテクニカルサービス
91.7
89.5
91.8
5.9
5.9
5.9
2.3
4.5
2.2
7
(株)日本放送出版協会
73.1
73.6
77.8
23.5
24.2
25.3
3.3
2.1
△3.2
8
(株)NHKきんきメディアプラン
89.6
89.1
91.8
4.4
4.3
4.2
5.8
6.5
3.8
9
(株)NHK中部ブレーンズ
91.0
90.2
93.3
7.7
6.6
4.9
1.2
3.0
1.6
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
89.4
89.0
88.8
9.8
10.1
9.9
0.6
0.7
1.1
11
(株)NHK九州メディス
87.0
86.4
94.4
8.5
10.2
8.7
4.3
3.2
△3.1
12
(株)NHK東北プランニング
91.3
85.8
89.3
8.6
11.6
12.8
0.0
2.4
△2.1
13
(株)NHK北海道ビジョン
91.0
90.3
93.3
8.3
7.2
8.9
0.6
2.4
△2.2
14
(株)NHK共同ビジネス
82.4
4.9
12.6
 
(株)NHK総合ビジネス
92.8
91.7
3.4
4.3
3.6
3.8
共同ビルヂング(株)
21.5
23.4
15
(株)NHKアイテック
83.8
83.7
86.4
9.4
9.5
9.6
6.6
6.6
3.8
16
(株)NHK文化センター
86.6
87.5
87.5
10.6
10.7
10.4
2.7
1.7
2.0
17
(株)NHKコンピューターサービス
93.1
93.1
92.3
4.8
4.9
5.7
2.0
1.9
1.9
18
NHK営業サービス(株)
91.4
87.6
86.8
5.5
5.2
5.2
2.9
7.1
7.9
19
(株)NHKオフィス企画注(2)
92.1
93.7
93.0
4.6
4.8
5.1
3.2
1.3
1.7
19社平均
88.1
87.4
89.2
8.3
8.1
8.0
4.2
5.2
2.6
(参考)
20
NHK Enterprises America,Inc.
77.7
75.1
78.0
15.5
18.3
17.9
6.6
6.4
3.9
21
NHK Enterprises Europe Limited
79.1
84.1
83.1
13.3
13.7
16.1
7.4
2.1
0.7
 共同ビルヂング(株)は損益計算書に売上原価と販売費及び一般管理費の表記がないため数値を算出していない。
 (株)NHKオフィス企画の平成15年度及び16年度の社名は、(株)NHKプリンテックスである。

 営業利益率が上昇する要因は、原価率又は販管費率が低下することによるが、その際、原価率の低下の影響が大きい場合は労務費等の売上原価の削減以外にも営業利益率が高い事業の増加があったと考えることができ、一方、販管費率の低下の影響が大きい場合は営業経費又は本社経費の削減等の業務の効率化等があったと考えることができる。
 17年度の営業利益率が6%を超えていて子会社のうち営業利益率が高い株式会社NHKエデュケーショナル(以下「エデュケーショナル」という。)、株式会社NHK情報ネットワーク(以下「情報ネットワーク」という。)、NHK営業サービス株式会社(以下「営業サービス」という。)の3社について、15年度からの営業利益率の推移をみると、3社とも上昇している。このうち営業サービスは、原価率が3箇年で4.6ポイント低下する一方、営業利益率は3箇年で5.0ポイント上昇していて、同社において売上原価の削減や営業利益率が高い事業の増加があったと思料される。
 なお、17年度決算に基づく配当としてこれら3社のうちエデュケーショナル及び情報ネットワークの2社は、後述する特例配当を、また、営業サービスは35.0%の配当性向(当期純利益に対する配当金の割合)による配当を実施し、協会もここから約14億円の配当を受けている。
 また、前記のとおり、20年4月を目途に1社に統合されることが計画されている地域会社6社(表3-14のNo.8からNo.13の会社)についてみると、営業利益率は1社を除いて低い数値で推移しているが、原価率も他の1社を除いてあまり変化がないことから、営業利益率が低いのは他の子会社に比べて高い販管費率が利益を圧迫していると思料される。
 このように、子会社の原価率、販管費率、営業利益率の関係又は推移が特徴的な場合には、以上のような分析手法によっても営業利益の増減の要因をある程度推測することができる。しかし、より詳細な分析に必要な事業の種類別の財務情報等が協会の子会社の財務諸表に添付されていないため、協会との取引が子会社の営業利益にどのように寄与しているかなどについては、決算上の分析によるのではなく、後述する「(2)関連団体との契約」において、協会と子会社との間の個々の取引の状況をみることにより分析、調査することとする。

(オ) 配当の状況

 子会社19社の15年度から17年度までの決算に基づく配当状況については表3-15のとおりである。

表3-15 子会社19社の会社別の配当状況
会社名
当期純利益(百万円)
各年度決算に基づく配当額(百万円)
左のうち協会の受取額(百万円)
配当性向(%)
普通配当
特例配当
普通配当
特例配当
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
1
(株)NHKエンタープライズ
925
189
2,390
153
1,929
278.6
 
(株)NHKエンタープライズ21
564
596
(株)NHKソフトウェア
902
2,306
20
411
13
308
2.2
17.8
2
(株)NHKエデュケーショナル
411
518
586
15
75
117
390
10
50
78
261
3.6
14.4
86.5
3
(株)NHK情報ネットワーク
448
852
757
75
151
1,200
52
106
838
8.7
178.3
4
(株)NHKプロモーション
44
91
166
10
33
5
19
10.9
20.0
5
(株)NHKアート
△224
△67
58
6
(株)NHKテクニカルサービス
158
452
239
48
33
20.0
7
(株)日本放送出版協会
247
175
△1,442
7
7
7
3
3
3
3.1
4.4
8
(株)NHKきんきメディアプラン
99
120
69
10
5
10
5
2
5
10.0
4.1
14.3
9
(株)NHK中部ブレーンズ
15
35
34
2
2
2
1
1
1
18.5
8.1
8.5
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
1
3
4
11
(株)NHK九州メディス
16
11
△20
2
2
2
1
1
1
14.9
22.6
12
(株)NHK東北プランニング
17
9
△6
2
2
2
1
1
1
14.0
26.8
13
(株)NHK北海道ビジョン
3
12
△17
14
(株)NHK共同ビジネス
51
15
2
30.1
 
(株)NHK総合ビジネス
98
78
共同ビルヂング(株)
747
413
10
1.3
15
(株)NHKアイテック
1,615
1,896
1,008
60
270
204
30
135
102
3.7
14.2
20.2
16
(株)NHK文化センター
121
76
112
20
14
14
2
1
1
16.4
18.4
12.4
17
(株)NHKコンピューターサービス
85
78
68
4
13
2
9
5.1
20.0
18
NHK営業サービス(株)
353
477
402
7
22
140
6
18
112
2.1
4.7
35.0
19
(株)NHKオフィス企画(注)
109
82
98
2
2
20
0
0
4
2.2
3.0
20.4
合計
5,838
8,221
3,096
160
905
974
3,980
75
585
636
3,028
2.7
11.0
159.9
 (株)NHKオフィス企画の平成15年度及び16年度の社名は、(株)NHKプリンテックスである。


 15、16年度の合併前の子会社21社の配当状況をみると、無配の会社が15年度9社、16年度7社ある。このうち15年度3社、16年度2社は、1億円以上の当期純利益を計上していながら売上高に対する協会の支払額の割合が7割を超えていた。
 これは、協会では、16年度決算に基づく配当までは、子会社の財務体質の健全化等を図ることを目的として、売上高に対する協会の支払額の割合が高い子会社については配当を求める対象から除外していたためである。
 このように、子会社の財務体質の健全化を図るとして、利益に比して配当を抑制し、利益を内部に留保してきたことが、利益剰余金の蓄積につながっていると思料された。
 しかし、協会は、企業の一般的な増配傾向や協会の厳しい財政状況及び子会社に一定の財務体力がついてきたことなどから、17年9月に、これまでの配当に関する考え方を転換し、協会が直接出資する子会社には、原則として、当該期純利益又は当該期末資本金のそれぞれに所定の率を乗じた額のうち高額なものを下限として配当を求めることとした。
 その結果、子会社19社の17年度決算に基づく配当は、総額49億余円となり、前年度の配当と比べ金額では40億余円、配当性向では14倍の大幅な伸びとなった。このうち協会の受取配当額は36億余円で、前年度と比べ30億余円の増額となっている。これは、配当を実施した16社の普通配当額9億余円に加え、特に経営が安定して財務上の余力があるエンタープライズ、エデュケーショナル及び情報ネットワークの3社が特例配当を実施して、これによる配当額が39億余円であったことによる。
 特例配当を実施した上記3社の18年度末の利益剰余金は、前年度末に比べ合計で20億余円減少しているものの、その内訳をみると、エンタープライズ及び情報ネットワークの2社は、それぞれ14億余円、5億余円減少しているのに対し、エデュケーショナルは約2000万円増加していた。
 そして、協会は、直接出資している子会社の利益剰余金を積極的に協会に還元してもらうため、以上のような配当に関する考え方を今後とも継続していくとしている。

(カ) 子会社の利益剰余金の推移

 子会社の会社別利益剰余金の推移と18年度末の増減をみると、表3-16のとおりである。

表3-16 子会社の会社別の利益剰余金の推移と平成18年度末増減
会社名
利益剰余金
15年度末
 
(百万円)
16年度末
 
(百万円)
17年度末
 
(百万円)
18年度末
 
(百万円)
対17年度比
(百万円)
(%)
1
(株)NHKエンタープライズ注(1)
15,591
14,131
△1,459
△9.36
 
(株)NHKエンタープライズ21
7,994
8,591
(株)NHKソフトウェア
4,223
6,509
2
(株)NHKエデュケーショナル注(1)
3,506
4,010
4,521
4,542
20
0.44
3
(株)NHK情報ネットワーク注(1)
6,935
7,787
8,470
7,881
△589
△6.95
4
(株)NHKプロモーション
1,021
1,113
1,269
1,358
88
6.97
5
(株)NHKアート
557
490
548
815
266
48.52
6
(株)NHKテクニカルサービス
5,655
6,108
6,347
6,866
519
8.18
7
(株)日本放送出版協会
14,093
14,231
12,762
12,855
93
0.73
8
(株)NHKきんきメディアプラン
564
674
739
804
65
8.89
9
(株)NHK中部ブレーンズ
162
195
226
254
28
12.39
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
72
75
80
100
19
24.38
11
(株)NHK九州メディス
219
228
205
223
18
8.82
12
(株)NHK東北プランニング
314
321
312
318
5
1.84
13
(株)NHK北海道ビジョン
73
85
67
85
17
25.88
14
(株)NHK共同ビジネス
4,854
5,245
390
8.04
 
(株)NHK総合ビジネス
704
782
共同ビルヂング(株)
3,639
4,023
15
(株)NHKアイテック
8,963
10,770
11,478
11,546
67
0.59
16
(株)NHK文化センター
1,320
1,376
1,475
1,543
68
4.62
17
(株)NHKコンピューターサービス
1,281
1,359
1,424
1,509
85
6.00
18
NHK営業サービス(株)
1,724
2,194
2,574
2,756
182
7.07
19
(株)NHKオフィス企画注(2)
1,364
1,444
1,540
1,619
78
5.10
19社合計
64,395
72,376
74,492
74,458
△33
△0.04
(参考)
20
NHK Enterprises America,Inc.注(3)
732
803
943
1,010
66
7.03
21
NHK Enterprises Europe Limited注(3)
449
490
512
601
89
17.51
21社合計
65,577
73,671
75,948
76,070
122
0.16
 特例配当を実施した会社である。
 (株)NHKオフィス企画の平成15年度及び16年度の社名は、(株)NHKプリンテックスである。
 海外子会社の計数は、平成15年度、1ドル=105.63円、1ポンド=193.07円、16年度、1ドル=107.41円、1ポンド=202.07円、17年度、1ドル=117.47円、1ポンド=205.20円(決算日の直物為替レート)により換算したものである。

 子会社19社の利益剰余金の総額は、15年度末約643億9500万円、16年度末約723億7600万円、17年度末約744億9200万円と増加してきたが、上記の配当に関する考え方により特例配当を実施したことなどから、18年度末においては約744億5800万円となっていて、わずかではあるが17年度末に比べ約3300万円、0.04%減少している。
 なお、上記に海外子会社2社を加えた子会社21社の18年度末の利益剰余金の総額は約760億7000万円となっていて、17年度末に比べ約1億2200万円、0.16%増加している。

ウ 関連会社の決算

 協会の関連会社は、協会又は子会社の出資(議決権)割合が20%以上50%以下の会社であり、子会社より資本関係が薄く、衛星放送事業のため協会を含む同事業の関係者が共同で出資して設立した株式会社放送衛星システムなど、子会社とは出資構成や目的等に違いが見られる。

(ア) 平成17年度末の総資産、自己資本等の状況

 17年度末現在の関連会社の総資産、自己資本、自己資本比率、総資産に対する利益剰余金の割合、当座比率等の状況は、表3-17のとおりである。

表3-17 関連会社の平成17年度決算における会社別の総資産、自己資本等の状況
会社名
総資産
(a)
(百万円)
自己資本
自己資本比率
(b)/(a)
(%)
総資産に対する利益剰余金の割合
(d)/(a)
(%)
当座資産(注)
(e)
(百万円)
流動負債
(f)
(百万円)
当座比率
(e)/(f)
(%)
(b)
(百万円)
うち資本金
(c)
(百万円)
うち利益剰余金
(d)
(百万円)
1
(株)日本文字放送
1,419
1,053
400
644
74.1
45.4
1,109
334
331.6
2
(株)放送衛星システム
39,911
18,323
15,000
3,323
45.9
8.3
11,829
4,468
264.7
3
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
156
81
20
61
51.8
39.1
70
67
104.0
4
(株)総合ビジョン
1,589
998
200
798
62.8
50.2
1,038
560
185.1
合計(平均)
43,077
20,456
15,620
4,828
(58.6)
(35.7)
14,048
5,431
(221.3)
 当座資産の計数は各社の流動資産のうち、現金、預金、有価証券、受取手形、売掛金を合計したものである。


 関連会社の自己資本比率の平均は58.6%であり、子会社19社の平均59.2%と同程度となっている。そして、自己資本比率が最も低い会社でも40%を超えていることから、総じて財務面での健全性は高いと考えられる。
 また、自己資本の一部である利益剰余金の総資産に対する割合をみると、4社中2社が40%以上となっていて、その平均は35.7%となっていた。
 そして、関連会社の当座比率をみると、平均は221.3%となっていて、4社すべてが100%以上、うち2社は200%を超えていた。
 したがって、それぞれの関連会社の経営方針にもよるが、利益剰余金額、当座資産額等の資産状況等から、関連会社の中には財務上の余力のある会社が見受けられた。

(イ) 過去3箇年度の利益剰余金とその内訳の推移

 関連会社の利益剰余金とその内訳の状況は、表3-18のとおりとなっている。

表3-18 関連会社の会社別の利益剰余金とその内訳の推移
(単位:百万円)
会社名
利益剰余金
 
利益準備金
任意積立金
当期未処分利益
15年度末
16年度末
17年度末
15年度末
16年度末
17年度末
15年度末
16年度末
17年度末
15年度末
16年度末
17年度末
1
(株)日本文字放送
417
491
644
2
4
4
300
300
300
115
187
340
2
(株)放送衛星システム
2,335
2,796
3,323
2,335
2,796
3,323
3
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
58
59
61
58
59
61
4
(株)総合ビジョン
615
675
798
4
5
6
611
670
792
合計
3,425
4,022
4,828
6
9
10
300
300
300
3,119
3,713
4,518

 関連会社の利益剰余金のほとんどは当期未処分利益となっている。

(ウ) 協会の支払額と営業利益率

 関連会社の17年度売上高に対する協会の支払額、営業利益等の状況は、表3-19のとおりである。

表3-19 関連会社の会社別の平成17年度売上高に対する協会の支払額、営業利益率等の状況
会社名
 
 
売上高
営業利益
(c)
(百万円)
営業利益率
(c)/(a)
(%)
売上高に対する協会支払額の割合
(b)/(a)
(%)
(a)
(百万円)
うち協会の支払額
(b)
(百万円)
1
(株)日本文字放送
1,758
1,266
238
13.5
72.0
2
(株)放送衛星システム
7,235
2,405
1,002
13.8
33.2
3
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
718
444
△1
△0.2
61.9
4
(株)総合ビジョン
1,999
943
170
8.5
47.1
合計(平均)
11,712
5,060
1,410
(8.9)
(53.5)

 売上高に対する協会の支払額の割合が50%を超えている会社は2社である。また、営業利益率は、マイナスとなっている1社を除き、10%前後の高い率となっている。

(エ) 売上高に対する原価、販管費及び営業利益の割合

 関連会社の15年度から17年度までの原価率、販管費率及び営業利益率の推移をみると表3-20のとおりとなっている。

 株式会社日本文字放送の営業利益率は、15年度から17年度まで毎年度上昇しているが、3箇年度の原価率はほぼ一定で、販管費率が大幅に低下していることから、同社の営業利益率の上昇は専ら販管費率の低下によるものと考えることができる。

表3-20 関連会社の会社別の原価率、販管費率及び営業利益率の推移
会社名
原価率(%)
販管費率(%)
営業利益率(%)
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
1
(株)日本文字放送
51.7
53.6
53.4
42.8
35.7
33.0
5.4
10.5
13.5
2
(株)放送衛星システム
24.2
14.4
13.8
3
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
77.1
77.1
77.5
21.6
22.6
22.6
1.2
0.1
△0.2
4
(株)総合ビジョン
87.4
87.1
85.0
7.8
7.1
6.3
4.6
5.6
8.5
 (株)放送衛星システムは損益計算書に売上原価と販売費及び一般管理費の表記がないため数値を算出していない。


(オ) 配当の状況

 関連会社の15年度から17年度までの決算に基づく配当状況については表3-21のとおりである。

表3-21 関連会社の会社別の配当状況
会社名
当期純利益
(百万円)
各年度決算に基づく配当額
(百万円)
左のうち協会の受取額
(百万円)
配当性向
(%)
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
15年度
16年度
17年度
1
(株)日本文字放送
54
94
152
20
20
2
2
36.4
13.0
2
(株)放送衛星システム
916
460
527
3
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
0
1
2
4
(株)総合ビジョン
59
70
92
10
10
10
16.8
14.2
10.7
合計(平均)
1,031
626
775
30
10
30
2
2
(26.6)
(14.2)
(11.8)

 17年度決算に基づく配当を実施したのは株式会社日本文字放送(配当性向13.0%)及び株式会社総合ビジョン(同10.7%)の2社となっている。なお、後者には協会の直接出資がないことから、協会の受取配当額はない。

(カ) 関連会社の利益剰余金の推移

 関連会社の会社別の利益剰余金の推移と18年度末の増減をみると、表3-22のとおりである。

表3-22 関連会社の会社別の利益剰余金の推移と平成18年度末の増減
会社名
利益剰余金
15年度末
 
(百万円)
16年度末
 
(百万円)
17年度末
 
(百万円)
18年度末
(百万円)
対17年度比
(百万円)
(%)
1
(株)日本文字放送
417
491
644
832
188
29.17
2
(株)放送衛星システム
2,335
2,796
3,323
3,969
645
19.42
3
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
58
59
61
58
△2
△4.31
4
(株)総合ビジョン
615
675
798
868
69
8.75
合計
3,425
4,022
4,828
5,729
901
18.66

 関連会社の利益剰余金の総額は、15年度末約34億2500万円、16年度末約40億2200万円、17年度末約48億2800万円と増加してきている。そして、18年度末の利益剰余金は約57億2900万円となっていて、17年度末に比べ約9億0100万円、18.66%増加している。

エ 子会社等再編時の特別損益

 協会は、前記表3-3のとおり、10年度末に65団体となっていた関連団体について、11年度以降、いわゆる孫会社を中心に統廃合を進めてきた結果、31社が統廃合され、17年度末には34団体となっている。
 統廃合された31社の内訳は、子会社等との合併により事業を関連団体にとどめたものが17社、保有株式の売却又は第三者割当増資により持株(議決権)割合を低下させ事業を関連団体の外のものとしたものが、それぞれ6社及び1社、解散により事業を廃止(ただし、一部は事業を他の存続会社に移行)したものが7社となっている。
 上記の統廃合のうち、保有株式の売却と解散の場合には、出資額に対して、株式の売却額又は清算による分配額との間に差額が発生しており、その状況は表3-23のとおりである。

表3-23 統廃合に伴う協会及び子会社の出資額と売却額又は分配額との差額
(単位:百万円)
 
処分対象出資金額
(a)
売却額又は分配額
(b)
差額
(b)-(a)
 株式売却6社計
84
372
288
 
協会出資分
0
0
0
子会社出資分
84
372
288
 解散7社計
350
169
▲181
 
協会出資分
40
40
0
子会社出資分
310
129
▲181
 合計
435
542
107
 
協会出資分
40
40
0
子会社出資分
395
502
106

 保有株式を売却した6社については、売却損はなく、売却した株式に係る出資額約8400万円に対して売却額は約3億7200万円となっていて、約2億8800万円の売却益が発生していた。
 また、解散した7社については、分配額が出資額を若干上回った会社もあったものの、解散が事業の廃止又は集約に伴うものであったことなどから、出資額約3億5000万円に対して分配額は約1億6900万円にとどまっていて、約1億8100万円の損失が発生していた。
 このように、協会が実施した子会社等の統廃合は、株式の売却においては利益が発生している一方、解散においては損失が発生しており、これらを合わせると1億0700万円の利益となっていた。
 そして、この利益は、各子会社に特別利益として計上され、ひいては子会社の利益剰余金の一部となっている。

オ 関連公益法人の決算

(ア) 公益法人の内部留保

 営利法人の場合の内部留保とは、営業活動により獲得した利益のうち、株主等に分配せずに内部に留保したものであり、旧商法に基づく財務諸表上では、貸借対照表の資本の部に利益剰余金として計上されることとなっている。
 しかし、公益法人の場合は、利益の分配が禁止されていることなどから、営利法人と同様の内部留保の定義を行うことができないため、公益法人の内部留保については、公益法人指導監督基準において、総資産額から、〔1〕財団法人における基本財産の額、〔2〕公益事業を実施するために有している基金の額、〔3〕法人の運営に不可欠な固定資産の額、〔4〕将来の特定の支払に充てる引当資産等の額及び〔5〕負債相当額を差し引いた額と定義されている。

(イ) 過去3箇年度の内部留保額の推移

 17年度末現在の関連公益法人8団体について、協会より提出された決算報告等の書類により会計検査院において内部留保額を試算し、15年度から17年度までの内部留保額の推移をみると、表3-24のとおりとなっている。
 なお、内部留保額の試算に当たっては、財団法人6法人については、公益法人指導監督基準等に基づき内部留保額を算出したが、適用される会計基準等の違いから公益法人指導監督基準等に基づく算出ができない学校法人と社会福祉法人の2法人については、会計検査院が便宜的に流動資産から流動負債を差し引いた額を内部留保額とした。

表3-24 関連公益法人の法人別の内部留保額の推移
(単位:百万円)
法人名
 
15年度末
16年度末
17年度末
1
(財)NHKサービスセンター
総資産(a)
6,580
6,725
6,678
基本金(b)
300
300
300
事業資産・負債等(c)
3,432
3,343
3,351
内部留保額 (a)-(b)-(c)
2,847
3,082
3,027
2
(財)NHKインターナショナル
総資産(a)
1,355
1,501
1,304
基本金(b)
100
100
100
事業資産・負債等(c)
880
952
750
内部留保額 (a)-(b)-(c)
375
448
454
3
(財)NHKエンジニアリングサービス
総資産(a)
1,340
1,348
1,127
基本金(b)
30
30
30
事業資産・負債等(c)
734
705
437
内部留保額 (a)-(b)-(c)
576
612
659
4
(財)NHK放送研修センター
総資産(a)
1,248
1,210
1,178
基本金(b)
100
100
100
事業資産・負債等(c)
831
781
718
内部留保額 (a)-(b)-(c)
317
329
359
5
(財)NHK交響楽団
総資産(a)
679
1,027
1,226
基本金(b)
8
8
8
事業資産・負債等(c)
337
748
730
内部留保額 (a)-(b)-(c)
333
270
487
6
(財)日本放送協会共済会
総資産(a)
57,083
58,256
56,560
基本金(b)
1,743
2,754
2,754
事業資産・負債等(c)
52,654
53,837
52,177
内部留保額 (a)-(b)-(c)
2,685
1,664
1,627
6財団法人 小計
総資産(a)
68,287
70,068
68,075
基本金(b)
2,281
3,292
3,292
事業資産・負債等(c)
58,870
60,368
58,166
内部留保額 (a)-(b)-(c)
7,135
6,407
6,616
7
(学)日本放送協会学園
流動資産(a)
2,770
2,978
3,087
流動負債(b)
2,136
2,100
1,993
内部留保額 (a)-(b)
633
878
1,094
8
(福)NHK厚生文化事業団
流動資産(a)
44
137
219
流動負債(b)
24
20
19
内部留保額 (a)-(b)
19
117
200
合計
内部留保額
7,789
7,403
7,911

(ウ) 内部留保の水準

 公益法人の内部留保の水準については、公益法人指導監督基準において、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることとされ、具体的には、「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」(平成8年12月19日公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ)において、原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない。)の30%程度以下であることが望ましいとされている。そして、「公益法人白書-公益法人に関する年次報告〈平成17年版〉」によれば、全国の約6割の法人は内部留保の水準が30%以下となっている。
 そこで、財団法人6法人について、15年度から17年度までの内部留保の水準の推移をみると、表3-25のとおりとなっている。

表3-25 財団法人の法人別の内部留保の水準の推移
(単位:%)
団体名
15年度
16年度
17年度
(財)NHKサービスセンター
22.2
23.3
24.0
(財)NHKインターナショナル
29.8
30.2
41.0
(財)NHKエンジニアリングサービス
33.1
36.4
34.4
(財)NHK放送研修センター
14.1
16.1
20.2
(財)NHK交響楽団
10.3
9.1
16.7
(財)日本放送協会共済会
16.9
10.7
12.6
平均
21.1
21.0
24.8

 6財団法人の内部留保の水準をみると、17年度は、6財団法人のうち2団体の内部留保の水準が30%を超えていた。しかし、上記の白書において、内部留保の水準は一つの指標であり法人の事業規模等により妥当な水準が異なるとされている。そして、両団体の内部留保の水準の推移をみると、17年度において、ともに内部留保額は増加しているが、事業規模等の減少により内部留保の水準が大きく上昇していたり、事業規模等の増加により内部留保の水準が低下していたりしていて、両団体の内部留保の水準は事業規模等の増減の影響が少なくない。したがって、両団体の内部留保額の多寡については、今後の両団体の事業規模等の動向を見ながら判断する必要があると思料された。

カ 関連団体の役職員の状況

(ア) 関連団体と協会の職員数の推移

 昭和55年度から平成17年度までの協会及び関連団体の職員数の推移は図3-1 及び表3-26のとおりである。この間に協会の業務は、衛星放送の開始、放送の24時間化等により拡大しているが、協会の職員数は約5,000人減少している。ただし、関連団体においては職員数が約3,800人増加しており、このため、協会及び関連団体の職員数の計は漸減となっている状況である。

図3-1 関連団体と協会の年度末職員数の推移

図3-1関連団体と協会の年度末職員数の推移

(注)
 平成13年度以前は、関連会社及び福利厚生団体2団体等を除く数値である。


表3-26 関連団体と協会の年度末職員数の推移
(単位:人)
年度
関連団体職員数
協会職員数
関連団体職員数+協会職員数
 
出向者
転籍者等
プロパー職員
昭和55
1,647
51
230
1,366
16,743
18,390
昭和60
2,357
232
520
1,605
15,876
18,233
平成2
3,516
675
812
2,029
14,301
17,817
平成7
4,669
1,005
927
2,737
12,918
17,587
平成12
4,896
622
1,243
3,031
12,192
17,088
平成17
5,435
591
1,081
3,763
11,664
17,099
(注)
 平成13年度以前は、関連会社及び福利厚生団体2団体等を除く数値である。


(イ) 関連団体の職員及び役員の構成

 関連団体34団体の17年度末の職員構成をみると、表3-27のとおり、職員5,435人のうち、協会からの出向・転籍者等は1,672人、30.7%となっている。

表3-27 平成17年度末の関連団体の職員構成
関連団体の職員数(a)
占有率
d/a
 
うち協会出向者数
(b)
うち協会転籍者等数
(c)
出向・転籍者等計
(d)=b+c
5,435人
591人
1,081人
1,672人
30.7%

 また、常勤役員の構成をみると、表3-28のとおり、17年度末現在の常勤役員161人のうち協会退職者は140人、86.9%を占めており、このうち社長又は理事長はすべて協会の退職者となっている。

表3-28 平成17年度末現在の関連団体の常勤役員の構成
常勤役員数(a)
占有率
 
うち協会退職者数
(b)
b/a
161人
140人
86.9%

 このように、協会の関連団体は、その職員として、協会から多数の出向者、転籍者等を、また、その役員のほとんどに協会の退職者を受け入れていて、協会との出資関係、取引関係のみならず、人的関係においても協会の強い影響下にあると考えることができる。そして、このうち関連団体職員の30.7%を占めている協会からの出向者、転籍者等は、「(2)関連団体との契約」において記述するように、協会と関連団体との間の業務委託契約において主要な業務従事者となっている。

(2) 関連団体との契約

ア 契約に関する規定

 協会では、経理に関する一般準則として、経理規程を定めており、関連団体を含めた外部との取引に当たっては、経理規程に基づき、契約等の事務を行うこととしている。そして、具体的な事務手続については、この規程に基づき「経理事務手続き」を定めており、業務委託以外の契約(以下「一般調達」という。)に適用することとしている。
 また、協会では、前記のとおり、必須業務等の一部を外部に委託する場合については、業務委託基準に従い契約等の事務を行うこととしており、業務委託を行う際の具体的な事務手続については、別に「業務委託事務手続き」(平成14年経理局長指示)を定めている。
 すなわち、協会では、外部との取引に関する具体的な事務手続について、一般調達と業務委託とで、それぞれ異なる手続を定めている。
 関連団体との契約に関する規程等及びその主な内容は、以下のとおりである。

(ア) 経理規程等

 経理規程では、予算決算、資金出納、会計帳簿、調達及び固定資産等について、その種類や管理等の基本的事項を定めており、「経理事務手続き」では、経理事務の具体的な手続等を定めている。
 これら経理規程及び「経理事務手続き」によれば、契約に当たっては、競争を原則とし、予定価格を定めた上で入札その他の適切な方法をもって競争を行うこととされ、随意契約とすることができるのは、〔1〕契約の性質等が競争を許さない場合、〔2〕緊急の必要により競争に付す時間がない場合、〔3〕法令その他これに準ずるものにより価格が明らかな場合、〔4〕金額が20万円以下である場合等とされている。
 また、「経理事務手続き」では、業務委託を行う場合の事務は、別に定める「業務委託事務手続き」によるとされている。

(イ) 予定価格算定基準書

 協会では、物件・役務の調達に当たり定める予定価格の算定に関する手続について予定価格算定基準書(昭和58年経理局長指示)を定めている。この予定価格算定基準書では、予定価格の積算は市場価格方式を原則とし、契約を締結したときは、必要に応じて実績原価の分析を行うこととされている。

(ウ) 業務委託基準

 業務委託基準は、元年の放送法改正を受け制定されたが、その後、14年3月に総務省からガイドラインが示されたことを受けて、同年4月に改正されており、現在の主な内容は次のとおりである。

〔1〕 業務委託基準は、必須業務等の一部を委託する場合に適用すること
〔2〕 業務委託は、協会自らが実施するより経済性等において有利であること
〔3〕 受託者の選定は、原則、競争とすること
〔4〕 契約金額は、社会的に公正かつ妥当なものであること
〔5〕 協会は、必要に応じて受託者から委託業務の進行状況等の報告を受けるなど、委託業務の実施管理上必要な措置を講じること
〔6〕 受託者の選定及び契約金額の算定方法は、具体要領を別に定めること

 そして、14年の業務委託基準改正に合わせ、協会では、受託者の選定及び契約金額算定の具体要領として、同年4月に業務委託契約要領及び業務委託費算定要領を制定している。
 なお、任意業務の委託については、業務委託基準の適用範囲に含まれていないが、協会では、任意業務の委託についても、この基準の主旨を尊重して実施するとしている。

(エ) 業務委託契約要領

 前記のとおり、業務委託契約要領によれば、受託者の選定は原則として競争によることとし、随意契約とすることができる場合は、次のとおりとしている。

〔1〕 公共放送サービスの質を確保するため、当該業者のノウハウを活用することが不可欠な場合
〔2〕 効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合(この規定は19年1月に削除)
〔3〕 著作権、特許権等の排他的権利の保護や既存設備との関連等で業者が限定される場合
〔4〕 緊急の必要により競争に付している時間がない場合

(オ) 業務委託費算定要領

 業務委託費算定要領によれば、業務委託費は、適正な原価に適正利益を加えた額を基礎として定め、その積算は各経費の項目を積み上げて算定する原価計算方式を原則とするとされている。
 なお、18年3月の「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」を受け、19年1月に業務委託費算定要領が改正され、現在は、積算は市場価格方式を原則とすることとされている。

(カ) 「業務委託事務手続き」

 協会では、前記のとおり、「経理事務手続き」において、業務委託する場合の事務は、「業務委託事務手続き」によるとしており、業務委託基準及び業務委託契約要領等の制定に合わせ、14年4月、「業務委託事務手続き」を制定している。
 「業務委託事務手続き」に定める主な内容は次の〔1〕から〔8〕のとおりである。

〔1〕 関連団体との随意契約による業務委託契約は、金額の多寡にかかわらず、当該業務委託の調達要求部局単位で契約を行い、この「業務委託事務手続き」を適用する。
〔2〕 競争による業務委託契約及び関連団体以外の者との業務委託契約は、「経理事務手続き」及び予定価格算定基準書を適用する。
〔3〕 業務委託の契約締結に向けた調達手続は、調達要求部局が、業務委託基本計画案(委託業務の内容、随意契約事由、当該業務に従事する要員数等を具体的に記載したもの)を策定することで開始される。
〔4〕 業務委託の調達要求部局は、契約締結に先立ち、経理局の助言・指導を受け確定した業務委託基本計画等を委託予定の関連団体に対して提示し、当該団体から年間の業務実施計画書及び受託経費見積書を受領する。
〔5〕 新規又は委託予定の業務量に変更のある業務委託については、当該業務委託の調達要求部局が作成した当該部局の翌年度の要員計画案(協会の業務実施体制の案)に基づき、当該部局と経理局の間で競争契約に向けた協議を行う。
〔6〕 既存(継続)の業務委託については、競争契約の推進等を図るため、各調達要求部局において、毎年度の予算要求策定時に競争契約に移行できないかなどの契約方法や契約内容・仕様、当該委託業務に携わる要員体制等の点検・見直しを行う。
〔7〕 契約金額の積算に当たっては、人件費を協会からの出向者、協会からの転籍者、関連団体の社員等に区分し、別に定める単価及び関連団体ごとの管理費率等を適用して算定する。
〔8〕 関連団体への番組制作の業務委託については、一部の事項を除き、「業務委託事務手続き」を適用しない。

 したがって、「業務委託事務手続き」が定める具体的な契約の実施手順をみると、競争による業務委託契約及び関連団体以外の者との業務委託契約は、「経理事務手続き」及び予定価格算定基準書を適用するとしているため、実質的に関連団体と随意契約を行うことを前提としたものになっていると思料された。
 このように、協会では、関連団体を含めた外部との取引等に当たっては、経理規程を原則とし、「経理事務手続き」や業務委託基準、「業務委託事務手続き」等の関連規程類を制定しているが、各規程類は法令改正等による要請を受けてその都度制定したり、業務の実態を基に制定したりしたものであったために、業務委託に関する手続の一部が明文化されていないこと、規程類の適用範囲に不明確な部分があることなど、関係規程類を体系的に整理する必要があると思料された。

イ 関連団体との随意契約の状況

 前記のとおり、協会では、経理規程等において、契約の相手方の選定は原則として競争によることとしているが、15年度から17年度までの協会における1件3000万円を超える契約の状況についてみると、表3-29のとおり、関連団体以外との契約については、件数で70%前後、契約金額で80%弱が競争契約によっているのに対し、関連団体との契約については、競争契約による契約は、件数で10%前後、契約金額でわずか2%程度しかなく、件数で90%前後、金額で97%以上が随意契約によるものとなっていた。
 このように、1件3000万円を超える契約の15年度から17年度までの競争契約の構成比をみると、件数では17年度は62.2%と16年度に比べ約10%上昇しているが、金額では3箇年度を通して38%前後で推移しており、大きな変化はみられない状況であった。

表3-29 1件3000万円を超える契約の状況
契約相手方
契約方式
15年度
16年度
17年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
(件)
(構成比)
(%)
(億円)
(構成比)
(%)
(件)
(構成比)
(%)
(億円)
(構成比)
(%)
(件)
(構成比)
(%)
(億円)
(構成比)
(%)
全体
競争契約
511
(53.1)
745
(38.3)
499
(52.3)
722
(37.8)
614
(62.2)
696
(38.6)
随意契約
451
(46.8)
1,198
(61.6)
454
(47.6)
1,185
(62.1)
373
(37.7)
1,106
(61.3)
合計
962
(100.0)
1,943
(100.0)
953
(100.0)
1,908
(100.0)
987
(100.0)
1,803
(100.0)
関連団体
競争契約
11
(6.0)
15
(1.4)
13
(6.5)
16
(1.5)
29
(14.9)
20
(2.1)
随意契約
172
(93.9)
988
(98.4)
185
(93.4)
988
(98.4)
165
(85.0)
921
(97.7)
合計
183
(100.0)
1,004
(100.0)
198
(100.0)
1,004
(100.0)
194
(100.0)
942
(100.0)
関連団体以外
競争契約
500
(64.1)
729
(77.6)
486
(64.3)
706
(78.1)
585
(73.7)
676
(78.5)
随意契約
279
(35.8)
209
(22.2)
269
(35.6)
197
(21.8)
208
(26.2)
185
(21.4)
合計
779
(100.0)
939
(100.0)
755
(100.0)
903
(100.0)
793
(100.0)
861
(100.0)
 金額は単位未満切り捨て、構成比は小数第二位以下切り捨てのため、合計は一致しないことがある。


 そして、上記の1件3000万円を超える関連団体との随意契約について、業務委託契約の場合と一般調達の場合とに区分して、15年度から17年度までの状況をみると、表3-30のとおり、17年度の実績で契約件数の76.3%、契約額の88.8%を業務委託契約が占めるなど、関連団体との随意契約の大半は、業務委託契約によるものとなっていた。

表3-30 1件3000万円を超える関連団体との随意契約の状況
契約種類
15年度
16年度
17年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
(件)
(構成比)
(%)
(億円)
(構成比)
(%)
(件)
(構成比)
(%)
(億円)
(構成比)
(%)
(件)
(構成比)
(%)
(億円)
(構成比)
(%)
業務委託契約
112
(65.1)
885
(89.5)
131
(70.8)
884
(89.4)
126
(76.3)
818
(88.8)
一般調達
60
(34.8)
103
(10.4)
54
(29.1)
103
(10.4)
39
(23.6)
103
(11.1)
合計
172
(100.0)
988
(100.0)
185
(100.0)
988
(100.0)
165
(100.0)
921
(100.0)
 計数は単位未満切り捨て、構成比は小数第ニ位以下切り捨てのため合計が一致しないことがある。


 そこで、関連団体との業務委託契約に係る随意契約事由の審査等に関して、随意契約とすべきかについての協会における審査、検討方法の実態をみると、次のとおりとなっていた。
 前記のとおり、「業務委託事務手続き」では、新規又は委託予定の業務量に変更のある業務委託は、各調達要求部局が作成した翌年度の要員計画案に基づき、当該部局と経理局の間で競争契約に向けた協議を行うこととしている。また、既存(継続)の業務委託は、各調達要求部局が毎年度の予算要求策定時に競争契約への移行等を検討することとしており、いずれの場合も、協会の予算が国会で承認される以前の段階で審査、検討が行われることとなっていた。
 このように、業務委託についての競争契約に向けた審査、検討が、協会の予算が国会で承認される以前の段階で行われているのは、19年1月の業務委託契約要領の改定により削除されるまで、随意契約とすることができる場合として「効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合」があったように、削減される職員とその人数に応じた量の業務が一体となって関連団体に移行することとなる場合が多いことなどから、協会の要員計画と関連団体への業務委託が密接な関係にあるためであると認められた。
 以上のことから、関連団体との契約のほとんどが随意契約によるもので、その大半が業務委託契約によるものとなっているのは、関連団体は協会の業務の一部を委託するために設立された側面があること、及び委託業務が協会職員とともに関連団体へ移行した経緯があることなどが要因であると認められた。
 しかし、協会職員の削減を契機とした業務委託契約が長期にわたり継続している場合には、契約の競争性の確保を図る観点からも、契約の在り方について、一般調達への移行を含めた見直しを行っていく必要があると認められた。
 関連団体との契約について、職員削減を契機として継続的に業務委託契約が行われている事例をみると次のとおりである。

<事例1> 職員削減を契機として継続的に業務委託契約が行われているもの

 A放送局では、局舎等の見学受付や各種案内、見学用展示機器類の管理等の業務について、もともと職員削減に伴い関連団体と業務委託を開始した経緯があることなどから、17年度においても、「業務委託事務手続き」に定める手続に則って、関連団体と業務委託契約を締結していた。
 一方、B放送局では、A放送局のような経緯はないため、ほぼ同様の内容の業務について、A放送局と同一の関連団体と「経理事務手続き」に定める手続に則った一般調達による業務請負契約を締結していた。
 すなわち、同種の業務で契約相手方も同一であるのに、A放送局では、一般調達によることなく、職員削減に伴い業務委託を開始した経緯があることを理由として、業務委託契約を継続していた。

ウ 関連団体との業務委託契約の状況

(ア) 「業務委託事務手続き」に基づく業務委託費の積算
 前記のとおり、「業務委託事務手続き」は、関連団体との随意契約を前提としたものとなっており、業務委託費の標準的な積算構成は、人件費及び物件費からなる業務委託原価に管理費等を加えたものとし、このうち、人件費は、協会からの出向者及び転籍者並びに関連団体の社員等の3つに区分して積算することとしている。そして、区分ごとの人件費、物件費、管理費の具体的な算定方法は以下のaからeのとおりとなっている。

a 出向者に係る人件費の積算

 出向者に係る人件費は、出向者ごとに算定することとなっており、当該出向者の前年度の給与支給実績額及び社会保険料等の事業主負担額の合計額に経理局が別に定める当年度改定率を乗じるなどして年間給与概算額を算出し、これを12で除して月額にしたものに従事月数を乗じて積算することとなっている。そして、従事月数は実質的に12箇月を基本としており、上記の年間給与概算額と実績額との間に差額が生じた際には、毎年度末に精算することとしている。
 また、出向者の給与等に関して、運営基準では、協会と関連団体の間で出向者の処遇等を定めた出向契約を締結し、出向者の給与等は出向先の関連団体が負担することとしている。出向者に対する具体的な給与等の支給方法については、出向契約等により、次の〔1〕、〔2〕のとおりとされている。

〔1〕 出向者の給与、賞与、諸手当等は、協会が立て替えて出向者本人に支給し、社会保険料事業主負担分も協会が立て替える。
〔2〕 毎月1日における出向者に係る上記①の経費については、協会は毎月末までに当該関連団体に請求し、当該関連団体は翌月末までに請求額を協会に支う。
 そして、出向者への給与の支給水準等については、当該出向者の協会在籍時と同等の水準となっており、委託業務に従事する出向者に対する給与等の支給に関する流れを図示すると、図3-2 のとおりで、最終的には出向者の給与等に管理費を加えた額が、協会から関連団体へ支払われることとなっている。

図3-2 委託業務に従事する出向者に対する給与等の支給に関する流れ

図3-2委託業務に従事する出向者に対する給与等の支給に関する流れ


 すなわち、業務委託契約の出向者に係る人件費は、出向者の給与等の水準が協会職員と同等であることから、当該出向者の人件費相当額については、職員給与等を業務委託費として支払っているものとなっていた。このため、現在の協会の業務委託費の積算方法では、委託業務の直接従事者に出向者を指定している限り、当該出向者の人件費相当額は協会の経費削減にはならない。
 したがって、当面、関連団体と随意契約による業務委託を継続せざるを得ない場合であっても、例えば委託業務の直接従事者に占める出向者の割合を減少させるなどして、委託費を削減させる必要があると認められた。
 委託業務の直接従事者に占める出向者の割合を減少させた結果、委託人件費が減少した事例は、次のとおりである。

<事例2> 委託業務の従事者に占める出向者の割合を減少させた契約

 17年度の業務委託基本計画において、要員8名のうち出向者が7名で、全員が1年間受託業務に従事することとなっている契約についてみると、委託人件費は約1億0700万円となっていた。
 そして、同契約の18年度の業務委託基本契約では、要員8名は変わらないものの出向者を1名減じ、出向者が6名となっており、委託人件費は約9800万円となっていた。
 この結果、出向者を社員等に1名置き換えることで、委託人件費は約900万円減少していた。

b 転籍者に係る人件費の積算

 転籍者に係る人件費は、転籍者ごとに算定することとされており、当該転籍者の協会退職時の役職区分に応じて、協会が定め関連団体に通知している退職時の給与水準より低く設定した所定の年間給与水準を基準とし、これを12で除すなどして月額の給与相当額を算出して従事月数を乗じた額に、所定の率を乗じて算出した福利厚生費を加えて積算することとされている。
 なお、転籍者の人件費については、積算に給与相当額を使用していることなどから、出向者の場合と異なり、精算は行わないこととなっている。

c 社員等に係る人件費の積算

 関連団体の社員等の人件費は、委託する業務内容及び委託先における雇用実態に応じ、人事院が毎年公表している「職種別民間給与実態調査」、厚生労働省が毎年公表している「賃金構造基本統計調査」等の客観的資料等を基に給与月額を算定した上で、これに従事月数を乗じた額に、所定の率を乗じて算定した福利厚生費を加えることとしている。
 なお、社員等に係る人件費についても、転籍者の場合と同様、積算に給与相当額を使用していることなどから、実費精算は行わないこととなっている。

d 物件費の積算

 物件費は、委託業務の実施に直接必要とする材料、消耗品等や再委託に要する経費で、その規格、品質等を明確にした上で必要とする数量を算定し、その数量に応じた市場価格の調査結果等の客観的資料による単価を乗じるなどして積算することとしている。

e 管理費の積算

 管理費は、一般管理費、販売費及び利益に相当する経費で、人件費に物件費を加えて算定した業務委託原価に、関連団体ごとに定められた所定の管理費率を乗じて積算することとしている。上記aからeのように、「業務委託事務手続き」に定める業務委託費の積算は、管理費率の設定が関連団体についてのみとなっているなど、契約相手方を関連団体に限定したものとなっており、特に出向者、転籍者に係る人件費は、業務従事者を特定した上で積算している。一方で、関連団体の社員等に係る人件費は、業務従事者を特定したり当該団体の給与水準等を適用したりすることなく、一般調達と同様に外部の客観的資料により積算している。
 また、協会では、業務委託基本計画の策定に当たり、委託業務量は委託する業務の年間の全体量とし、これに見合う要員数を計上することとなっており、17年度における関連団体との業務委託契約に係る業務委託基本計画に基づく要員数をみると、各要員は、それぞれ1年間委託業務に従事することとなっているものが多数見受けられた。
 したがって、業務委託契約に当たっての人件費の積算は、人月単位で算定されているものの、実質的には、協会の要員計画に基づき、委託業務量が「人年」単位で決定されていることから、人年単位で積算したことと等しい積算結果となっていると認められた。
 業務委託基本計画において、各要員が全員1年間委託業務に従事することとなっているため、人件費の積算において、全要員の従事月数が12箇月となっている事例は、次のとおりである。

<事例3> 人件費の積算において、全要員の従事月数が12箇月となっている事例

 17年度の業務委託基本計画において、出向者8名、社員等8名、計16名が従事することとなっている契約についてみると、各要員の従事月数は、全員が4月から翌年の3月までの12箇月となっていた。
 このため、この基本計画に基づく委託人件費の積算をみると、出向者は前年度の給与支給実績等に基づく年間給与概算額、社員等は「職種別民間給与実態調査」より算出した月額給与に12箇月を乗じた額となっていて、実質的には、人年単位で積算したものと等しい結果となっていた。

(イ) 番組制作委託に係る業務委託費の積算

 協会では、前記のとおり、番組制作委託については、「業務委託事務手続き」を一部事項を除き適用しないこととしており、番組制作委託の積算は、基本的に「業務委託事務手続き」に基づく積算とは異なる積算方式を採っている。
 協会における番組制作委託費の積算は、従来、番組制作に要するスタッフ等の要員費を年度当初に1年分まとめて積算し、これを12等分して毎月関連団体に支払うこととする一方、大道具等の美術費や出演料等からなる直接費は番組ごとに個別に積算し、その都度関連団体に支払うこととする方式を採っていた。
 この積算方式では、1年間分の番組制作委託に必要な要員を事前に積算する点で、要員費の積算単位が「人年」となり、現在の「業務委託事務手続き」に基づく人件費の積算と実質的に同じ考え方となるものの、要員費と直接費を分離して積算するため、1番組当たりの要員費と制作費との関係が分かりにくいなどの欠点があった。
 こうしたことから、協会では、11年度以降、番組ごとに要員費と直接費を積算して1番組ごとのコストが把握し易い積算方式(以下「トータルコスト方式」という。)を導入し、関連団体への番組制作委託の積算に適用している。
 現在、協会では、トータルコスト方式の積算に関する明文化された規程類を策定中であるとしているが、運用上、職員に周知しているトータルコスト方式の積算に関する主な考え方は、以下の〔1〕から〔3〕のとおりであるとしている。

〔1〕 トータルコスト方式の標準的な積算構成は、美術費(大道具料等)、制作経費 (出演料等)等で構成する「直接費」、プロデューサー等の人件費である「制作要員費」、カメラマン等の人件費である「技術要員費」及び「管理費」とする。
〔2〕 制作要員費及び技術要員費は、番組制作に必要な能力ごとに業務量を算定し、協会が別に定める能力別単価表を使用して、適用単価にそれぞれの業務量を乗 じて積算する。
〔3〕 管理費は、制作要員費及び技術要員費に直接費を加えた額に、所定の管理費率を乗じて算定する。

 また、番組は1本1本のテーマ、ジャンル、演出手法が異なるという特殊性を持つことから、画一的な積算基準の設定、適用が困難であるため、協会では、番組制作委託費の積算、査定の方法について、当該番組の予算を検討する段階において精査することとしている。その上で、契約段階では、関連団体から提出されたトータルコスト方式による見積書を基に専門的な知識や経験を持つ番組担当者、協会経理担当者及び編成局計画管理部(計画)担当者による合同査定会議により詳細に査定することとしている。
 そして、協会では、直接費に関する積算、査定に当たっての留意点は、以下の〔1〕から〔4〕のとおりであると説明している。

〔1〕 項目及び経費の内容が番組の演出に必要な内容と経費になっているか。
〔2〕 経費が妥当な経費配分と数量になっているか。
〔3〕 制作に要する業務量とスタジオやカメラの使用量は見合っているか。
〔4〕 市場性のある項目については、経理局等の過去の実績額等を参考に妥当な額となっているか。
 また、制作要員費及び技術要員費に関しては、以下の〔5〕から〔7〕のとおりであるとしている。
〔5〕 過去の実績や専門的な知識と経験から適用単価・業務量が妥当なものとなっているか。
〔6〕 内容が全体的に整合が取れているか。
〔7〕 内容に説明性、透明性が確保されているか。

 以上のことにより、協会では、1番組当たりの制作コストが明確となり、標準的な見積金額を算出することができるとしている。
 また、協会では、予算、積算段階での委託経費の査定は、協会内部の経験者のみで行うもので、番組制作の特殊性から外部の客観的資料等による検討や比較が可能な経費も限られることから、委託費の客観的な妥当性を検証するため、必要に応じて、美術費関係の現物確認や関係者から所要額の聞き取り調査をしたり、ロケスケジュールや確定版の放送台本等により、宿泊料等の必要経費や出演料、制作要員費等の適用単価及び業務量の妥当性を検証したりしているとしている。

(ウ) 実績原価の検証

 協会では、契約額の妥当性等の検証に関して、一般調達の場合、予定価格算定基準書において、必要に応じて、製造原価等の実績原価の分析を行うこととしているものの、実務上、一般的な積算資料等によりその製造原価を算定することができない特殊な放送設備機器の製造、製作、工事等にのみ適用しているとしている。
 一方、業務委託の場合は、「業務委託事務手続き」等において、該当の規定は定められていないが、実務上、番組制作を除く業務委託については、必要に応じて、関連団体から、社員等の給与支給実績や受託業務に要した見積書、契約書等を徴取して契約額の妥当性等の検証を行っているとしている。また、番組制作委託については、前記のとおり、美術費関係の現物確認や放送台本等で制作要員費等の適用単価等の妥当性を検証するとしている。
 しかし、これら業務委託額の妥当性等についての検証は、関連団体が実際に要した経費について、番組制作を除く業務委託で出向者に係る人件費等、契約上精算条項が付された一部の経費を除き、必要に応じて、見積書、契約書等で確認するにとどまり、その場合でも、支払証拠書類等により実際に関連団体が支払った金額の確認を行うまでには至っていなかった。このため、特に、個々に仕様等が異なり、いわゆる特注品となる番組制作委託の美術費等については、見積書等の確認では実際の製作原価の検証は十分でなく、その金額の妥当性や取引の透明性を十分に担保するため、必要に応じ、支払証拠書類等による関連団体の支払額の確認を行うべきであると思料された。
 番組制作委託の美術費について、支払証拠書類等による製作原価の検証を行っていない事例は、次のとおりである。

<事例4> 支払証拠書類等による製作原価の検証を行っていないもの

 協会では、協会主催の有料イベントを収録して放送するに当たり、当該イベントの舞台で使用する大道具等のうち、番組演出上必要な部分については、番組制作委託費に美術費を計上して関連団体に番組制作委託をしている。
 また、この団体は、下請け業者として当該イベントの舞台製作を請け負っており、実質的に当該イベントの舞台で使用する大道具等は、すべてこの団体が製作することになっていた。
 そこで、この団体が当該イベントの舞台で使用する大道具等の製作に要した経費について、協会における検証状況をみると、この団体が下請けとして作成した舞台製作費の見積書や成果物の確認を行っていたものの、番組制作委託の美術費について、同団体が有する支払証拠書類等による実際の製作原価の確認は行っていなかった。
 このようなことから、協会の主たる財源が受信料であることにもかんがみ、特に各関連団体が協会から受注した業務で実際に要した経費の検証については、委託契約の経費、経理処理の妥当性、透明性の確保を図るため、委託契約に必要に応じて原価の確認を行う旨の条項を付して、実績原価を確認する機会を増やすなど、より積極的に行う必要があると認められた。

(3) 副次収入の状況

ア 副次収入の概要

 協会では、協会業務の補完、支援としての番組ビデオ、テキスト等の販売、協会の番組の二次使用、番組に関連したイベントの実施、協会の設備、施設の活用等により、著作権使用料等の副次収入を得ている。そして、13年度から17年度までの関連団体からの副次収入額の推移をみると、表3-31のとおり、58億余円から76億余円となっていて、協会の副次収入の約8割を占めている。また、関連団体からの副次収入額は、協会の収入全体(17年度6343億余円)の1%程度となっている。

表3-31 過去5箇年度の協会の副次収入額の推移
年度
13
14
15
16
17
副次収入額
(百万円)
7,943
7,367
6,911
9,434
8,933
 
うち関連団体からの収入
(百万円)
6,815
6,223
5,810
7,622
7,099
比率
(%)
85.7
84.4
84.0
80.7
79.4
表3-32 17年度の関連団体からの副次収入額の内訳
(単位:百万円)
事項
収入額
総額
7,099
番組活用収入
4,772
 
二次使用料
2,300
メディアミックス収入
2,326
イベント収入等
144
テキスト出版収入
727
技術協力収入
408
施設利用料収入等
1,190

 この関連団体からの副次収入の内訳をみると、表3-32のとおり、放送番組の多角的活用による番組活用収入、放送番組テキストの出版によるテキスト出版収入、技術支援や特許料等による技術協力収入、施設の賃貸料等の施設利用料収入等があり、その大半を占める番組活用収入には、主なものとして、二次使用料収入、メディアミックス収入及びイベント収入等がある。そして、二次使用料収入とは、協会の所有する番組、素材、音楽、キャラクター等をCDやDVD、キャラクターグッズなどで二次展開する際に、利用者から徴収する権料収入であり、メディアミックス収入とは、これらの様々な二次展開に必要な権利についての許諾権を番組ごとに一つにまとめて関連団体に付与し、その権料等として、当初に想定期間内の予想利益に所定の割合を乗じた額及び予想利益を超える利益が生じた時にその超えた額に所定の計算により算出した額を関連団体から徴収する収入である。また、イベント収入とは、協会主催の有料イベントにおいて、利益が生じた際の収入である。

イ 関連団体からの副次収入の収納

 協会では、協会の所有する番組や特許等を外部に提供する場合、その使用許諾等の申請受付や権料等の徴収等に関する窓口業務を関連団体に行わせている。
 このように関連団体が窓口となり、関連団体を通して協会が収納する副次収入のうち、二次使用料収入及び技術協力収入の収納額の算定や収納は、以下の(ア)及び(イ)のように行っている。

(ア) 二次使用料収入の収納

 協会では、各関連団体と「放送番組の頒布の委託に関する契約書」を交わし、協会外部の利用者に対する協会所有の番組、素材等の提供等の業務を各関連団体に行わせている。そして、各関連団体が協会に納める二次使用料の算定基準等については、この契約書に基づき協会が各関連団体と交わした「放送番組の頒布に伴う番組使用料等についての確認書」(以下「番組使用料の確認書」という。)において定められている。
 「番組使用料の確認書」によると、各関連団体が協会に納める二次使用料は、外部の利用者から関連団体が徴収した額等を基準にして、その額に、二次使用の形態等に応じた所定の料率(以下「二次使用料率」という。)を乗じて算定することとされている。また、関連団体は、四半期ごとに、この算定結果を集計して協会へ報告するとともに、二次使用料を協会へ支払うことになっている。
 したがって、関連団体は、外部の利用者から徴収した額から所定の割合を控除した額を協会へ二次使用料として支払うことになっており、外部の利用者が支払った額のすべてが協会の副次収入として収納されているわけではない。
 なお、協会では、各関連団体が外部に協会番組等を提供等する際に行う権利確認や番組の複製等の事務処理費用等を考慮して、二次使用料率を定めており、毎年、当該関連団体の二次使用料関連業務の収支状況を確認しながら、見直しを行っているとしている。
 しかし、現在、協会が設定している二次使用料率の適用条件は多岐にわたっており、協会は、個々の適用条件ごとに当該関連団体の収支状況を確認しているわけではないことから、個々の二次使用料率が、当該関連団体の事務処理費用等に見合う料率として、実際に妥当なものとなっているかの判断は困難であると思料された。
 二次使用料率の設定事例は、以下のとおりである。

<事例5> 二次使用料率の設定事例

 協会がある関連団体と交わしている「番組使用料の確認書」によると、二次使用の形態等に応じて、3%から100%まで数種類の二次使用料率が定められており、このうち、映像素材を外部の者へ提供する際の二次使用料率は、50%となっていた。
 そして、当該関連団体は、映像素材を外部の者に提供した際には、協会が別途定めた「国内素材提供料金表」に基づき算定した額を利用者から徴収し、この額に上記の二次使用料率50%を乗じた額を協会へ納付していた。
 前記のように、映像素材の提供に係る二次使用料率を50%に設定した理由について、協会では、毎年度、当該関連団体から二次使用料関連業務全体の収支状況の報告を受け、事業全体の収支差が妥当な範囲であることを確認することで、複数ある二次使用料率の設定が適正な範囲となっていることを確認しているとしているが、個々の二次使用料率の適用条件ごとの収支状況を確認しているわけではなかった。

(イ) 技術協力収入の収納

 協会では、協会が保有する特許等の実施許諾や外部の者に対する技術協力等を行っている。そして、協会では、協会の特許・技術協力等に関する業務について、関連団体と業務委託契約を締結しており、当該関連団体は、この業務委託契約に基づき、協会の特許等の権利取得、権利維持の手続、外部の者が協会の保有する特許等の利用等をする場合の受付窓口及び特許料等の徴収に関する業務等を行っている。
 一方、協会では、特許等の実施許諾に関して「特許権および実用新案権の通常実施権の許諾規程」(昭和37年達第11号)を定めており、同規程に基づいて特許料等の算定及び徴収を行うこととしている。また、技術協力に関しても同様に「放送技術の調査研究および技術援助に関する受託規程」(昭和34年達第39号)を定め、同規程に基づいて技術提供料等の算定及び徴収を行うこととしている。そして、外部の者が協会の保有する特許等を利用した際の特許料等は、これら規程に基づき算定され、上記の業務委託を受けた関連団体を通して、協会へ納付されることとなっており、当該関連団体は、徴収した特許料等を四半期又は半年ごとにまとめて、そのまま協会へ納付することになっている。
 したがって、前記の二次使用料収入とは異なり、技術協力収入は、当該関連団体が外部の者から受領した額のすべてが協会に納付されている。
 上記の(ア)及び(イ)のように、協会が関連団体から収納する副次収入には、その内容によって、収納額の算定基準に様々な考え方や方法があるが、二次使用料収入のように、関連団体が外部から徴収した額の一部が当該関連団体の事務処理費用等として控除される場合には、その額が当該関連団体に過剰な利益を与えることにならないよう、今後も算定基準をより合理的なものとしていく必要があると認められた。

(4) 協会による関連団体に対する指導・監督等の状況

 協会が関連団体を指導、監督する制度のうち、運営基準に基づく指導、監督及び放送法等に基づく監事の子会社調査権の実施状況は、それぞれ次のとおりとなっている。

ア 運営基準に基づく指導・監督の状況

(ア) 基本契約

 協会は、運営基準において、関連団体との間で基本契約を締結することを定めている。基本契約は、協会と関連団体が相互に遵守すべき基本的事項を定めるもので、協会は、14年7月(その後合併したエンタープライズほか1社は17年4月)、関連団体のうち海外子会社2社と福利厚生2団体を除く30団体との間でそれぞれ基本契約を締結している。そして、この基本契約の内容は、各団体とも基本的に同じものとなっていて、運営基準の遵守、関連団体の業務範囲、協会からの職員の出向、協会との協議会の設置、実施報告書等や決算書類の提出等で各団体に共通する事項を規定している。

(イ) 連絡協議会

 協会は、運営基準において、関連団体との連絡協議会を定期的に開催すること を定めている。連絡協議会には、「関連団体協議会」、「NHKグループ会議」のほか、放送分野など関連団体の業務分野ごとの連絡協議会がある。このうち、「関連団体協議会」は、協会からは会長及び関係役員が、関連団体からは各団体の社長又は理事長が出席し、協会の経営計画、収支予算、事業計画等の重要事項を議題として、年2回程度開催されている。また、「NHKグループ会議」は、協会及び関連団体から議題に応じた担当役員等が出席して奇数月に開催されており、関連団体の業務分野ごとの連絡協議会は、関係者によりそれぞれ隔月で開催されている。

(ウ) 事前協議等

 協会は、運営基準において、関連団体が合併・解散、重要な人事、配当の実施、決算、年度事業計画、中間営業報告等の事項について、該当する事象が発生した都度、事前協議、事前説明又は報告を行うこと、関連団体の事業運営状況及び上記事前協議等の概要を協会の理事会に定期的に報告することを定めており、関連団体からの理事会への報告は年に3回実施されている。

イ 監事の子会社調査の状況

 前記のとおり、協会の監事には、監事の子会社調査権が認められている。
 監事は、毎年度監事監査基本方針及び監査実施計画を策定し、これに基づき監査を実施している。17年度の監事監査基本方針において、子会社に関しては「NHKの関連団体として、公共放送にふさわしい適正で透明性の高い事業活動を行っているか」が重点監査事項として挙げられており、17年9月から18年1月までの間に、子会社5社について業務概要の聴取を行っていた。17年度の業務報告書に添付する監事の意見書では、各社に対する個別の具体的指摘事項等の記載はなく、子会社の事業運営について協会の執行部が留意すべき事項の概括的な記載となっていた。
 なお、業務概要の聴取は、15年度10社、16年度6社について実施しているが、両年度の監事の意見書においても具体的指摘事項の記載はない。