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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成19年10月

我が国政府開発援助における無償資金協力及び技術協力において被援助国が実施する施設の建設や資機材の調達等の契約に関する会計検査の結果について


4 落札率の状況(予定価格、入札、落札、不落随契等契約の状況)

 無償資金協力におけるコンサルタント契約及び本体契約は、被援助国政府と我が国の企業との間で締結される契約であるが、無償資金協力は国費を原資としているため、外務省及びJICAでは、基本的な考え方として、我が国の会計法令を参照して実施するとしている。
 会計法(昭和22年法律第35号)第29条の6第1項は、「契約担当官等は、競争に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとする。」と規定している。そして、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第79条は、「契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によって予定し、その予定価格を記載した書面を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。」と規定し、また、第80条第2項は、「予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。」と規定している。このように、我が国の会計法令上、予定価格は仕様書、設計書等によって作成されることとなっている。
 無償資金協力の対象となる事業は被援助国政府が実施するものであり、予定価格やその基礎となる仕様書、設計書等は被援助国政府が作成し所有するものであることから、予定価格を含む入札結果が公表されている一般プロジェクト無償、テロ対策等治安無償及び水産無償については、その公表内容に基づき落札率の状況を分析した。また、予定価格を含む入札結果が公表されていない一般文化無償については、外務省及びJICAから予定価格を含めた入札結果の分析に必要な資料情報の提出を求めるなどして、落札率の状況を分析した。
 イラク復興支援については、外務省が国民に対する説明責任を有していると判断したことから予定価格を含めて入札結果を公表しているため分析の対象に加えた。
 外務省は、食糧援助、食糧増産援助及び貧困農民支援については調達される品目が限られることから、当該品目の予定価格が容易に推測され将来の入札において競争性を確保することが困難になるおそれがあるとして、被援助国政府に対して公表の同意を求めておらず予定価格を公表していない。なお、16年度に閣議決定された食糧増産援助及び貧困農民支援については、予定価格を作成していないがこれに相当するものとして見込額を設定の上、入札会を実施している。これらのことから、個別の落札率の状況を分析することはできないため、会計検査院は外務省から全般の落札率の状況に関する説明を受けた。
 なお、防災・災害復興支援無償は18年度に新設されたもので19年6月末現在外務省による契約認証に至った案件はない。
 二国間無償資金協力のうち被援助国が実施する施設の建設や資機材の調達等の契約について予定価格を含めた入札結果の公表の有無及び会計検査院の分析対象を整理して示すと、表5のとおりである。

表5 会計検査院の分析対象
項目
分類
入札結果の公表
分析対象(注)
 
うち予定価格公表
契約の状況
落札率
一般無償のうち一般プロジェクト無償
テロ対策等治安無償
防災・災害復興支援無償
水産無償
文化無償のうち一般文化無償
イラク復興支援
食糧援助
食糧増産援助(15年度)
食糧増産援助(16年度)/貧困農民支援
×
×
×
×

 分析対象欄中、○印は対象としたもの、-印は対象外のものをそれぞれ示している。


 そして、会計検査院が分析対象とした契約件数を示すと表6のとおりである。

表6 契約件数の分類別・形態別内訳
(単位:件)
年度
分類形態
15
16
17
18
一般プロジェクト無償
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
53
89
71
103
71
49
50
43
245
284
小計
142
174
120
93
529
テロ対策等治安無償
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
1
1
1
1
小計
2
2
水産無償
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
5
0
9
3
4
0
0
0
18
3
小計
5
12
4
0
21
一般文化無償
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
1
45
1
43
0
33
2
9
4
130
小計
46
44
33
11
134
イラク復興支援
資機材の調達等に係るもの
12
33
1
0
46
食糧援助
資機材の調達等に係るもの
18
18
18
7
61
食糧増産援助/貧困農民支援
資機材の調達等に係るもの
33
37
40
11
121
256
318
216
124
914

(1) 予定価格の状況

落札率を分析する前提になる予定価格について、外務省及びJICAは、コンサルタントが詳細設計において積算した事業費を基礎にして被援助国政府が作成していると説明している。
 前記のとおり、JICAのコンサルタントに対する業務指示書では、基本設計調査における概算事業費の積算については、施設の建設に関してはその後に実施される詳細設計の事業費との差がプラスマイナス10%以内に収まるような精度を、また、資機材の調達等に関しては予定価格としての精度を、それぞれ確保することとしている。これは、為替の変動がなく、また、設計に変更がないことを前提としたものである。しかし、治安の悪化により実施が遅れた事業等で基本設計調査において概算事業費を積算した時点から相当期間が経過している場合には、その期間の為替や資材価格の変動、労働市場の変化を考慮して改めて事業費の見直しが行われている。
 そこで、外務省が入札結果の中で公表している予定価格について、表6に示した契約件数計914件のうち概算事業費との対比が可能であった施設の建設に係るもの219件、資機材の調達等に係るもの128件、計347件を対象として、基本設計調査報告書に記載されている本体契約に係る概算事業費又は見直し後の概算事業費に対する割合を算出した。
 その結果は、図10-1 及び図10-2 に示すとおりである。

図10-1 予定価格の概算事業費に対する割合(施設の建設に係るもの 219件)

図10-1予定価格の概算事業費に対する割合(施設の建設に係るもの219件)

 施設の建設に係るものでは219件のうち、予定価格が概算事業費のプラスマイナス10%の範囲内で作成されていたものは208件(94.9%)になっていた。そのうち、プラスマイナス5%の範囲内で作成されていたものは166件(75.7%)となっていた。残りの11件(5.0%)は、予定価格が概算事業費の90%に満たないものとなっていた。

図10-2 予定価格の概算事業費に対する割合(資機材の調達等に係るもの 128件)

図10-2予定価格の概算事業費に対する割合(資機材の調達等に係るもの128件)

 また、資機材の調達等に係るものでは128件のうち、10件は予定価格と概算事業費とが同額であり、これを含め99%以上101%未満の範囲で作成されていたものは94件(73.4%)、97%以上103%未満の範囲で作成されていたものは118件(92.1%)となっており、予定価格と概算事業費に大きな差は見受けられなかった。
 以上のとおり、ほとんどの予定価格は、施設の建設に係るものでは概算事業費のプラスマイナス10%の範囲で作成され、資機材の調達等に係るものでは概算事業費との間に大きな差は見受けられない状況となっており、公表されていた概算事業費から、おおよその予定価格を推測することが可能であったと認められる。
 概算事業費が記載された基本設計調査報告書は本体契約に係る入札が実施される時点では、JICA図書館等で一般に閲覧できるようになっていたが、このような理由から、JICAは、19年4月以降、基本設計調査報告書は本体契約が認証されるまでの間は閲覧できないようにした。

(2) 入札、落札、不落随契等の状況

 分析対象とした契約件数914件から、契約の性質若しくは目的が競争を許さないという理由等により入札会を行うことなく当初から随意契約とした24件を除いた890件について、入札から契約に至るまでの状況を示すと表7-1のとおりである。これを無償資金協力の分類ごとに整理して示すと表7-2から表7-8のとおりである。

表7-1 入札から契約に至るまでの状況〔分析対象全体〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
251
308
209
123
891
 
落札
当初〔1〕
141
147
108
82
478
再度〔2〕
37
52
26
13
128
不調
73
109
75
28
285
 
不落随契〔3〕
52
75
60
21
208
キャンセル
1
2
2
0
5
第2回入札会
20
36
13
7
76
 
落札
当初〔4〕
11
26
5
4
46
再度〔5〕
3
2
5
1
11
不調
6
8
3
2
19
 
不落随契〔6〕
5
8
3
2
18
第3回入札会
1
0
0
0
1
 
落札
当初〔7〕
1
0
0
0
1
落札契約 計(〔1〕+〔2〕+〔4〕+〔5〕+〔7〕)
193
227
144
100
664
不落随契 計(〔3〕+〔6〕)
57
83
63
23
226
契約 合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+〔5〕+〔6〕+〔7〕)
250
310
207
123
890

(注)
 契約合計の計890件が第1回入札会の計891件から減少しているのは、不調となった1件が分割されて3件になった入札会が2件あること及び不調となった後キャンセルとなったものが5件あることによるものである。


表7-2 入札から契約に至るまでの状況〔一般プロジェクト無償〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
141
171
117
93
522
 
落札
当初〔1〕
94
88
56
62
300
再度〔2〕
19
31
21
11
82
不調
28
52
40
20
140
 
不落随契〔3〕
24
38
35
16
113
第2回入札会
4
16
5
4
29
 
落札
当初〔4〕
1
9
0
2
12
再度〔5〕
2
1
3
0
6
不調
1
6
2
2
11
 
不落随契〔6〕
0
6
2
2
10
第3回入札会
1
0
0
0
1
 
落札
当初〔7〕
1
0
0
0
1
落札契約 計(〔1〕+〔2〕+〔4〕+〔5〕+〔7〕)
117
129
80
75
401
不落随契 計(〔3〕+〔6〕)
24
44
37
18
123
契約 合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+〔5〕+〔6〕+〔7〕)
141
173
117
93
524

(注)
 契約合計の計524件が第1回入札会の計522件から増加しているのは、第1回入札会において不調となった1件が第2回入札会で分割されて3件になったことによるものである。


 一般プロジェクト無償についてみると、第1回入札会を行ったもの522件、そのうち契約締結に至らず第2回入札会を行ったもの29件、更に第3回入札会を行ったもの1件、計552件の入札会が行われている。そして、その結果として、落札401件、落札に至らず価格交渉による随意契約いわゆる不落随契123件、計524件の契約が締結されている。

表7-3 入札から契約に至るまでの状況〔テロ対策等治安無償〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
2
2
 
落札
当初
2
2
落札契約
2
2
契約
合計
2
2

表7-4 入札から契約に至るまでの状況〔水産無償〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
5
12
4
0
21
 
落札
当初〔1〕
1
5
0
0
6
再度〔2〕
3
6
2
0
11
不調
1
1
2
0
4
 
不落随契〔3〕
1
1
2
0
4
落札契約
計(〔1〕+〔2〕)
4
11
2
0
17
不落随契
計(〔3〕)
1
1
2
0
4
契約
合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕)
5
12
4
0
21

表7-5 入札から契約に至るまでの状況〔一般文化無償〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
43
41
27
10
121
 
落札
当初〔1〕
8
2
4
4
18
再度〔2〕
13
11
3
2
29
不調
22
28
20
4
74
 
不落随契〔3〕
22
28
18
4
72
第2回入札会
0
0
2
0
2
 
落札
当初〔4〕
0
0
1
0
1
不調
0
0
1
0
1
 
不落随契〔5〕
0
0
1
0
1
落札契約
計(〔1〕+〔2〕+〔4〕)
21
13
8
6
48
不落随契
計(〔3〕+〔5〕)
22
28
19
4
73
契約
合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+〔5〕)
43
41
27
10
121

表7-6 入札から契約に至るまでの状況〔イラク復興支援〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
10
31
1
0
42
 
落札
当初〔1〕
9
18
1
0
28
再度〔2〕
0
3
0
0
3
不調
1
10
0
0
11
 
不落随契〔3〕
1
7
0
0
8
第2回入札会
0
3
0
0
3
 
落札
当初〔4〕
0
1
0
0
1
不調
0
2
0
0
2
 
不落随契〔5〕
0
2
0
0
2
落札契約
計(〔1〕+〔2〕+〔4〕)
9
22
1
0
32
不落随契
計(〔3〕+〔5〕)
1
9
0
0
10
契約
合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+〔5〕)
10
31
1
0
42

表7-7 入札から契約に至るまでの状況〔食糧援助〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
18
18
18
7
61
 
落札
当初〔1〕
16
17
17
7
57
再度〔2〕
1
1
0
0
2
不調
1
0
1
0
2
 
不落随契〔3〕
1
0
0
0
1
第2回入札会
0
0
1
0
1
 
落札
当初〔4〕
0
0
1
0
1
落札契約
計(〔1〕+〔2〕+〔4〕)
17
18
18
7
60
不落随契
計(〔3〕)
1
0
0
0
1
契約
合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕)
18
18
18
7
61

表7-8 入札から契約に至るまでの状況〔食糧増産援助/貧困農民支援〕
(単位:件)
入札・契約区分
15年度
16年度
17年度
18年度
第1回入札会
34
35
42
11
122
 
落札
当初〔1〕
13
17
30
7
67
再度〔2〕
1
0
0
0
1
不調
20
18
12
4
54
 
不落随契〔3〕
3
1
5
1
10
キャンセル
1
2
2
0
5
第2回入札会
16
17
5
3
41
 
落札
当初〔4〕
10
16
3
2
31
 
再度〔5〕
1
1
2
1
5
不調
5
0
0
0
5
 
不落随契〔6〕
5
0
0
0
5
落札契約
計(〔1〕+〔2〕+〔4〕+〔5〕)
25
34
35
10
104
不落随契
計(〔3〕+〔6〕)
8
1
5
1
15
契約
合計(〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+〔5〕+〔6〕)
33
35
40
11
119

(注)
 契約合計の計119件が第1回入札会の計122件から減少しているのは、第1回入札会において不調となった1件が第2回入札会で分割されて3件になったこと及び第1回入札会において不調となりキャンセルしたものが5件あったことによるものである。



ア 入札の状況

 入札会の主催者は発注者である被援助国政府であるが、コンサルタントの手引によれば、コンサルタントにはその受任者として公正で透明性を確保した入札を円滑に行う責務があるとされている。入札会は被援助国(現地)で実施されることを前提としているが、入札業務を迅速に推進し、競争性を広く確保するなどの観点から、我が国国内で実施することも認められている。そして、実際には、入札会の参加者である我が国の企業の負担を軽減し入札会への参加を容易にするため、ほとんどの入札会が我が国国内で実施されており、その実施箇所は表8のとおりである。

表8 入札会の実施箇所
(単位:件)
実施箇所
件数
割合
被援助国(現地)又は近隣国
38
3.9%
我が国
コンサルタント会社内
783
80.8%
その他(ホテル会議室等)
147
15.1%
968
100.0%

 前記の分析対象とした890件の契約に係るすべての入札会968件において、入札会に参加した者の数の状況を示すと表9-1のとおりである。これを施設の建設に係るものと資機材の調達等に係るものに大別し、無償資金協力の分類ごとに整理して示すと表9-2及び表9-3のとおりである。

表9-1 入札会参加者数(分析対象全体)
(単位:件、者)
年度
入札件数
1者
2者
3者
4者
5者
6者
7〜11者
平均
15
272
84
78
58
24
11
6
11
2.5
16
344
129
74
77
27
15
12
10
2.4
17
222
70
48
58
27
9
8
2
2.5
18
130
39
50
25
8
5
2
1
2.2
968
322
250
218
86
40
28
24
2.4
割合
100.0%
33.2%
25.8%
22.5%
8.8%
4.1%
2.8%
2.4%
累計
322
572
790
876
916
944
968
累計割合
33.2%
59.0%
81.6%
90.4%
94.6%
97.5%
100.0%

表9-2 入札会参加者数(施設の建設に係るもの)
(単位:件、者)
分類
年度
入札件数
1者
2者
3者
4者
5者
6者
7〜11者
平均
一般プロジェクト無償
15
54
12
13
24
5
0
0
0
2.4
16
73
13
11
44
5
0
0
0
2.5
17
74
18
18
34
4
0
0
0
2.3
18
54
22
22
8
1
1
0
0
1.8
255
65
64
110
15
1
0
0
2.3
割合
100.0%
25.4%
25.0%
43.1%
5.8%
0.3%
0.0%
0.0%
累計
65
129
239
254
255
255
255
累計割合
25.4%
50.5%
93.7%
99.6%
100.0%
100.0%
100.0%
テロ対策等治安無償
18
1
0
1
0
0
0
0
0
2.0
1
0
1
0
0
0
0
0
2.0
割合
100.0%
0.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
累計
0
1
1
1
1
1
1
累計割合
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
水産無償
15
5
0
2
3
0
0
0
0
2.6
16
9
3
1
5
0
0
0
0
2.2
17
4
0
1
3
0
0
0
0
2.7
18
0
0
0
0
0
0
0
0
-
18
3
4
11
0
0
0
0
2.4
割合
100.0%
16.6%
22.2%
61.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
累計
3
7
18
18
18
18
18
累計割合
16.6%
38.8%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
一般文化無償
15
1
0
0
1
0
0
0
0
3.0
16
1
0
0
1
0
0
0
0
3.0
17
0
0
0
0
0
0
0
0
-
18
2
1
1
0
0
0
0
0
1.5
4
1
1
2
0
0
0
0
2.2
割合
100.0%
25.0%
25.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
累計
1
2
4
4
4
4
4
累計割合
25.0%
50.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
合計
15
60
12
15
28
5
0
0
0
2.4
16
83
16
12
50
5
0
0
0
2.5
17
78
18
19
37
4
0
0
0
2.3
18
57
23
24
8
1
1
0
0
1.8
278
69
70
123
15
1
0
0
2.3
割合
100.0%
24.8%
25.1%
44.2%
5.3%
0.3%
0.0%
0.0%
累計
69
139
262
277
278
278
278
累計割合
24.8%
50.0%
94.2%
99.6%
100.0%
100.0%
100.0%

表9-3 入札会参加者数(資機材の調達等に係るもの)
(単位:件、者)
分類
年度
入札件数
1者
2者
3者
4者
5者
6者
7〜11者
平均
一般プロジェクト無償
15
92
19
31
17
13
7
3
2
2.7
16
114
34
33
13
15
10
6
3
2.6
17
48
9
9
10
15
3
1
1
3.0
18
43
8
18
10
5
1
0
1
2.4
297
70
91
50
48
21
10
7
2.7
割合
100.0%
23.5%
30.6%
16.8%
16.1%
7.0%
3.3%
2.3%
累計
70
161
211
259
280
290
297
累計割合
23.5%
54.2%
71.0%
87.2%
94.2%
97.6%
100.0%
テロ対策等治安無償
18
1
0
0
0
1
0
0
0
4.0
1
0
0
0
1
0
0
0
4.0
割合
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
累計
0
0
0
1
1
1
1
累計割合
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
水産無償
15
0
0
0
0
0
0
0
0
-
16
3
2
1
0
0
0
0
0
1.3
17
0
0
0
0
0
0
0
0
-
18
0
0
0
0
0
0
0
0
-
3
2
1
0
0
0
0
0
1.3
割合
100.0%
66.6%
33.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
累計
2
3
3
3
3
3
3
累計割合
66.6%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
一般文化無償
15
42
35
5
2
0
0
0
0
1.2
16
40
39
1
0
0
0
0
0
1.0
17
29
24
4
1
0
0
0
0
1.2
18
8
4
3
1
0
0
0
0
1.6
119
102
13
4
0
0
0
0
1.1
割合
100.0%
85.7%
10.9%
3.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
累計
102
115
119
119
119
119
119
累計割合
85.7%
96.6%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
イラク復興支援
15
10
0
2
3
2
3
0
0
3.6
16
34
15
8
8
1
2
0
0
2.0
17
1
0
0
1
0
0
0
0
3.0
18
0
0
0
0
0
0
0
0
-
45
15
10
12
3
5
0
0
2.4
割合
100.0%
33.3%
22.2%
26.6%
6.6%
11.1%
0.0%
0.0%
累計
15
25
37
40
45
45
45
累計割合
33.3%
55.5%
82.2%
88.8%
100.0%
100.0%
100.0%
食糧援助
15
18
0
2
2
2
0
3
9
6.4
16
18
0
1
1
1
2
6
7
6.0
17
19
0
0
0
6
6
6
1
5.1
18
7
0
0
2
0
3
2
0
4.7
62
0
3
5
9
11
17
17
5.7
割合
100.0%
0.0%
4.8%
8.0%
14.5%
17.7%
27.4%
27.4%
累計
0
3
8
17
28
45
62
累計割合
0.0%
4.8%
12.9%
27.4%
45.1%
72.5%
100.0%
食糧増産援助/貧困農民支援
15
50
18
23
6
2
1
0
0
1.9
16
52
23
18
5
5
1
0
0
1.9
17
47
19
16
9
2
0
1
0
1.9
18
14
4
5
4
1
0
0
0
2.1
163
64
62
24
10
2
1
0
1.9
割合
100.0%
39.2%
38.0%
14.7%
6.1%
1.2%
0.6%
0.0%
累計
64
126
150
160
162
163
163
累計割合
39.2%
77.3%
92.0%
98.1%
99.3%
100.0%
100.0%
合計
15
212
72
63
30
19
11
6
11
2.6
16
261
113
62
27
22
15
12
10
2.4
17
144
52
29
21
23
9
8
2
2.5
18
73
16
26
17
7
4
2
1
2.5
690
253
180
95
71
39
28
24
2.5
割合
100.0%
36.6%
26.0%
13.7%
10.2%
5.6%
4.0%
3.4%
累計
253
433
528
599
638
666
690
累計割合
36.6%
62.7%
76.5%
86.8%
92.4%
96.5%
100.0%

 入札会の参加者数は、分析対象全体では平均2.4者となっている。
 これを一般プロジェクト無償についてみると、施設の建設に係るものでは15年度閣議決定案件以降2.4者、2.5者、2.3者、1.8者で推移しており、資機材の調達等に係るものでは同じく2.7者、2.6者、3.0者、2.4者で推移していて、各年度とも資機材の調達等に係るものが施設の建設に係るものを若干上回っていた。また、入札会を開催しても1者しか参加しない場合があり、施設の建設に係るものでは全体の25.4%、資機材の調達等に係るものでは全体の23.5%を占めていた。外務省及びJICAは様々な取組を行っているが増加の傾向は見られず、外務省はこのような状況について、被援助国内で実施される事業は国内の公共事業等とは大きく異なり事業開始時に想定し得ない事業に関する行政手続の変更、治安の悪化等被援助国側に起因する事業実施上のリスクが存在することから、開発途上国で事業を行うことを躊躇する企業が多いなどのためと思われると説明している。
 また、一般文化無償には、博物館等の建設や遺跡の修復・保存用機材の調達のための贈与の限度額が1件当たり3億円を上限として資金を供与する案件と、日本語学習機材、スポーツ機材、視聴覚機材等の調達のための原則5000万円を上限として資金を供与する案件(以下「文化機材案件」という。)がある。
 一般文化無償では、資機材の調達等に係る入札会119件のうち102件(85.7%)は1者だけが参加して行われたものであり、平均の参加者数は1.1者であった。そして、この102件の入札会はすべて文化機材案件に係るものであった。外務省はこれについて、文化機材案件は一般プロジェクト無償案件と比べて1件当たりの金額が少額であり、入札者の関心が集まりにくいというような事情があったのではないかと思われると説明している。

 入札参加者には、前記のとおり、技術札として提出した書類に形式上の不備があったり、入札図書で求めている仕様を満たしていなかったりなどの理由により失格になる者があり、失格者数、失格理由等を各分類ごとに示すと表10-1及び表10-2のとおりである。

表10-1 入札会参加者のうちの失格者数(施設の建設に係るもの)
(単位:件、者)
分類
入札件数
参加者数
失格者数
 
書類不備
仕様不適格
一般プロジェクト無償
255
588
3
2
1
テロ対策等治安無償
1
2
0
0
0
水産無償
18
44
0
0
0
一般文化無償
4
9
0
0
0
278
643
3
2
1

表10-2 入札会参加者のうちの失格者数(資機材の調達等に係るもの)
(単位:件、者)
分類
入札件数
参加者数
失格者数
 
書類不備
仕様不適格
書類不備及び仕様不適格
理由不明
一般プロジェクト無償
297
812
97
48
44
5
0
テロ対策等治安無償
1
4
0
0
0
0
0
水産無償
3
4
0
0
0
0
0
一般文化無償
119
140
2
1
1
0
0
イラク復興支援
45
108
5
2
3
0
0
食糧援助
62
354
3
2
0
0
1
食糧増産援助/貧困農民支援
163
316
44
8
12
12
12
690
1,738
151
61
60
17
13

また、再度入札の辞退者数は表11に示すとおりである。

表11 再度入札を辞退した者の数
(単位:件、者)
分類
再度の入札
入札件数
参加者数
 
辞退者数
入札者数
 
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
一般プロジェクト無償
233
470
134
128
6
336
テロ対策等治安無償
0
0
0
0
0
0
水産無償
15
35
13
13
0
22
一般文化無償
103
108
2
1
1
106
イラク復興支援
15
20
0
0
0
20
食糧援助
4
14
0
0
0
14
食糧増産援助/貧困農民支援
60
97
1
0
1
96
430
744
150
142
8
594

 失格者は表10-2に示すとおり、資機材の調達等に係るもので多くなっており、一方、辞退者数は表11に示すとおり、施設の建設に係るもので多くなっている。JICAはこれについて以下のとおり説明している。
〔1〕 資機材の調達等に係るものは、被援助国政府から提出を求められている技術札のうち、機材供給証明書等の添付漏れなど書類不備による失格者が多い。
〔2〕 施設の建設に係るものは、事業開始時には想定し得ない事業に関する行政手続の変更、治安の悪化等、被援助国側に起因するリスクが存在する中で、現地に一定期間留まり現地等の下請業者に請け負わせるなどして工期を遵守し事業を実施していくものであり、既にこれらのリスクを勘案の上、価格札を入れているので、それよりも低い価格で入札すると企業として採算が取れなくなるとして、再度入札を辞退する者が多いと思われる。

 文化機材案件の当初入札の価格についてみると、交換公文上の贈与の限度額から、被援助国政府と外務省が推薦した我が国の企業との間で締結された入札の実施に係る業務委託契約の金額を控除した金額となっていたものが118件のうち80件(67.7%)あった。外務省はこれについて、上記の業務委託契約の内容は特に変更されてきていないため、入札参加者による予定価格の上限の推測が可能であったと思われると説明している。

イ 落札の状況

 入札により落札者が決定された664件について、施設の建設に係るものと資機材の調達等に係るものに大別し無償資金協力の分類ごとに整理して、落札価格の予定価格に対する割合である落札率を示すと表12のとおりである。

表12 落札率の状況
(単位:件、%)
分類
年度
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
入札件数
落札件数
落札率
入札件数
落札件数
落札率
入札件数
落札件数
平均落札率
最低
平均
最高
最低
平均
最高
一般プロジェクト無償
15
54
37
81.54
98.34
99.99
92
80
26.09
84.94
99.77
146
117
89.18
16
73
40
83.25
99.06
99.98
114
89
40.36
87.09
99.95
187
129
90.80
17
74
37
72.91
96.45
99.94
48
43
54.76
81.72
99.99
122
80
88.53
18
54
34
61.12
92.88
99.98
43
41
68.42
89.13
99.94
97
75
90.83
255
148
61.12
96.81
99.99
297
253
26.09
85.83
99.99
552
401
89.88
テロ対策等治安無償
15
16
17
18
1
1
99.92
99.92
99.92
1
1
99.13
99.13
99.13
2
2
99.53
1
1
99.92
99.92
99.92
1
1
99.13
99.13
99.13
2
2
99.53
水産無償
15
5
4
99.41
99.75
99.97
0
0
5
4
99.75
16
9
8
98.38
99.57
99.97
3
3
99.34
99.66
99.84
12
11
99.60
17
4
2
99.28
99.59
99.89
0
0
4
2
99.59
18
0
0
0
0
0
0
18
14
98.38
99.63
99.97
3
3
99.34
99.66
99.84
21
17
99.63
一般文化無償
15
1
0
42
21
70.83
94.65
99.99
43
21
94.65
16
1
1
99.95
99.95
99.95
40
12
99.08
99.77
99.99
41
13
99.78
17
0
0
29
8
56.18
91.31
99.96
29
8
91.31
18
2
2
99.22
99.47
99.72
8
4
83.60
92.28
99.91
10
6
94.68
4
3
99.22
99.63
99.95
119
45
56.18
95.21
99.99
123
48
95.49
イラク復興支援
15
10
9
50.22
61.11
78.60
10
9
61.11
16
34
22
51.46
79.63
99.62
34
22
79.63
17
1
1
99.57
99.57
99.57
1
1
99.57
18
0
0
0
0
45
32
50.22
75.04
99.62
45
32
75.04
食糧援助
15
18
17
78.50
89.65
99.11
18
17
89.65
16
18
18
76.46
90.05
98.76
18
18
90.05
17
19
18
82.14
91.41
98.75
19
18
91.41
18
7
7
77.13
87.32
99.44
7
7
87.32
62
60
76.46
90.03
99.44
62
60
90.03
食糧増産/貧困農民
15
50
25
52.09
90.73
99.95
50
25
90.73
16
52
34
34.84
88.73
100.00
52
34
88.73
17
47
35
47.10
91.90
100.00
47
35
91.90
18
14
10
89.10
96.14
100.00
14
10
96.14
163
104
34.84
90.99
100.00
163
104
90.99
合計
15
60
41
81.54
98.48
99.99
212
152
26.09
86.35
99.99
272
193
88.93
16
83
49
83.25
99.16
99.98
261
178
34.84
87.85
100.00
344
227
90.29
17
78
39
72.91
96.61
99.94
144
105
47.10
87.68
100.00
222
144
90.10
18
57
37
61.12
93.43
99.98
73
63
68.42
90.40
100.00
130
100
91.52
278
166
61.12
97.12
99.99
690
498
26.09
87.68
100.00
968
664
90.04

 一般プロジェクト無償についてみると、施設の建設に係るものでは平均96.81%、資機材の調達等に係るものでは平均85.83%で、両者の間には平均落札率に10ポイント以上の開きが見られる。外務省及びJICAは、資機材の調達等では輸送のほかに現地での据付け作業を伴うことがあるがこれは比較的短期間で済む一方、施設の建設では現地に一定期間留まり工事を行うことになるため、施設の建設と資機材の調達等とでは契約内容、現地事情等を勘案した場合契約履行のための前提条件に少なからず相違があり、施設の建設の方がより多くのリスクを勘案して価格札に反映されている可能性が高いと思われると説明している。
 また、一般文化無償の資機材の調達等に係るものでは平均95.21%となっていた。閣議年度別、無償資金協力の分類別、施設の建設に係るものと資機材の調達等に係るものの別に、個別の案件の国名、案件名、入札参加者数、予定価格、落札価格及び落札率を整理して示すと、別表1(51ページ)のとおりである。

 落札率と落札件数の関係を示すと表13-1及び表13-2のとおりであり、資機材の調達等に係るものでは落札率99%以上のものは全体の21.6%であるが、施設の建設に係るものでは落札率99%以上のものは全体の67.4%を占めている。

表13-1 落札率と落札件数の関係(施設の建設に係るもの)
(単位:件、%)
年度
100%
99%以上100%未満
98%以上99%未満
97%以上98%未満
96%以上97%未満
95%以上96%未満
90%以上95%未満
80%以上90%未満
70%以上80%未満
60%以上70%未満
40%以上60%未満
40%未満
15
0
26
9
1
1
0
3
1
0
0
0
0
41
16
0
44
2
0
1
0
1
1
0
0
0
0
49
17
0
27
4
1
1
0
1
3
2
0
0
0
39
18
0
15
6
3
2
2
1
2
4
2
0
0
37
0
112
21
5
5
2
6
7
6
2
0
0
166
割合
0.0
67.4
12.6
3.0
3.0
1.2
3.6
4.2
3.6
1.2
0.0
0.0
100.0
累計
0
112
133
138
143
145
151
158
164
166
166
166
累計割合
0.0
67.4
80.1
83.1
86.1
87.3
90.9
95.1
98.7
100.0
100.0
100.0

表13-2 落札率と落札件数の関係(資機材の調達等に係るもの)
(単位:件、%)
年度
100%
99%以上100%未満
98%以上99%未満
97%以上98%未満
96%以上97%未満
95%以上96%未満
90%以上95%未満
80%以上90%未満
70%以上80%未満
60%以上70%未満
40%以上60%未満
40%未満
15
0
34
9
8
6
2
28
23
21
9
10
2
152
16
1
43
14
8
6
8
24
36
17
9
10
2
178
17
2
16
6
8
6
4
22
19
8
6
8
0
105
18
1
11
5
6
1
3
7
21
7
1
0
0
63
4
104
34
30
19
17
81
99
53
25
28
4
498
割合
0.8
20.8
6.8
6.0
3.8
3.4
16.2
19.8
10.6
5.0
5.6
0.8
100.0
累計
4
108
142
172
191
208
289
388
441
466
494
498
累計割合
0.8
21.6
28.5
34.5
38.3
41.7
58.0
77.9
88.5
93.5
99.1
100.0

 資機材の調達等に係るものについて、契約の細分化の実施状況及び落札率の状況を示すと表14のとおりである。

表14 契約の細分化の実施状況及び落札率の状況(資機材の調達等に係るもの)
(単位:件、%)
年度
契約件数
契約の細分化実施
契約の細分化不実施
件数
最低
平均
最高
件数
最低
平均
最高
15
152
95
26.09
83.76
99.95
57
52.27
90.67
99.99
16
178
124
34.84
85.89
100.00
54
56.30
92.34
99.99
17
105
68
47.10
85.49
100.00
37
56.18
91.70
99.96
18
63
39
68.42
90.63
100.00
24
70.47
90.02
99.91
498
326
26.09
85.75
100.00
172
52.27
91.33
99.99

 契約の細分化は、資機材の調達等に係るもの計498件のうち326件(65.4%)で実施されており、これに伴う落札率は、最低26.09%、平均85.75%、最高100.00%となっていて、契約の細分化が行われていないもの(平均91.33%)に比べ平均5.58ポイント低くなっている。なお、案件により細分化された契約数は異なっていて最大で8契約に細分化されている。

 落札に至った入札における参加者数(失格者を除く。)と落札率の関係を無償資金協力の分類ごとに示すと別表2-1から別表2-3まで(73ページ〜75ページ)のとおりである。
 落札に至った入札における入札参加者数(失格者を除く。)と落札率の関係は、分析対象全体についてみると、おおむね参加者数の増加に反比例して落札率が低下する傾向となっていた。この傾向は、一般プロジェクト無償を含む分類ごとにみても、施設の建設及び資機材の調達等の別にみても、同様となっていた。

 詳細設計を行ったコンサルタント(共同企業体を除く。)と平均落札率等の状況を示すと表15-1及び表15-2のとおりである。

表15-1 コンサルタントと落札率の状況(施設の建設に係るもの)
(単位:件、億円、%)
コンサルタント名
落札により締結した本体契約
落札率
件数
金額
金額割合
累計金額割合
最低
平均
最高
(株)片平エンジニアリングインターナショナル
14
150
17.8
17.8
79.74
97.55
99.88
八千代エンジニヤリング(株)*
8
108
12.8
30.6
97.61
99.44
99.95
日本工営(株)*
8
57
6.8
37.4
73.00
90.35
99.79
(株)エヌジェーエスコンサルタンツ
3
43
5.0
42.5
99.22
99.62
99.97
(財)日本造船技術センター
2
39
4.6
47.2
99.56
99.74
99.92
(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル*
7
33
3.9
51.2
98.26
99.37
99.93
(株)三祐コンサルタンツ
3
30
3.6
54.8
98.57
99.33
99.92
(株)建設企画コンサルタント
3
30
3.6
58.5
97.48
99.01
99.98
(株)大建設計
6
29
3.5
62.0
98.66
99.26
99.81
(株)江平建築事務所
1
27
3.2
65.3
99.77
99.77
99.77
(株)毛利建築設計事務所
5
22
2.6
67.9
80.70
87.30
99.83
日本テクノ(株)
5
21
2.4
70.4
94.34
98.44
99.93
(株)梓設計
5
20
2.3
72.8
98.90
99.49
99.95
(株)日水コン*
1
19
2.3
75.2
73.27
73.27
73.27
(株)山下設計
3
19
2.2
77.4
99.92
99.95
99.98
上位15社計
74
654
77.4
73.00
96.86
99.98
その他21社計
39
190
22.5
61.12
95.25
99.97
合計
113
844
100.0
100.0
61.12
96.31
99.98
 *印は、各社が公表している直近の年間売上高が100億円以上のコンサルタントを示す。
 このほかコンサルタントが共同企業体を組織して詳細設計を行ったものが53件ある。

表15-2 コンサルタントと落札率の状況(資機材の調達等に係るもの)
(単位:件、億円、%)
コンサルタント名
落札により締結した本体契約
落札率
件数
金額
金額割合
累計金額割合
最低
平均
最高
日本工営(株)*
15
250
29.8
29.8
52.27
89.02
99.62
(財)日本国際協力システム
244
189
22.4
52.2
34.84
90.35
100.00
八千代エンジニヤリング(株)*
16
59
7.0
59.3
66.76
91.77
99.93
(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル*
18
37
4.4
63.8
70.91
89.74
99.82
(株)建設企画コンサルタント
12
28
3.3
67.2
73.05
87.96
99.60
(財)日本消防設備安全センター
7
20
2.4
69.6
78.98
84.05
97.28
東電設計(株)*
1
19
2.2
71.9
99.95
99.95
99.95
ビンコー(株)
6
16
1.9
73.9
87.89
96.62
99.73
システム科学コンサルタンツ(株)
7
15
1.8
75.8
76.06
96.14
99.99
(株)建設技研インターナショナル
4
15
1.8
77.6
82.37
88.52
99.76
(株)NHKアイテック*
3
15
1.8
79.5
94.01
96.80
98.80
(株)片平エンジニアリングインターナショナル
19
14
1.7
81.2
54.76
75.13
99.74
(株)福渡建築コンサルタンツ
2
12
1.4
82.7
94.23
96.39
98.55
(株)三祐コンサルタンツ
3
12
1.4
84.1
89.91
96.41
99.95
日本テクノ(株)
6
11
1.4
85.6
71.32
90.95
99.28
上位15社計
363
719
85.6
34.84
89.70
99.98
その他26社計
70
121
14.3
38.02
86.57
99.97
合計
433
840
100.0
100.0
34.84
89.19
100.00

 *印は、各社が公表している直近の年間売上高100億円以上のコンサルタントを示す。
 このほかコンサルタントが共同企業体を組織して詳細設計を行ったものなどが65件ある。

 また、本体契約のうち、施設の建設に係る契約者(共同企業体を除く。)を、売上高が1兆円を超える大手総合建設業者、売上高が1000億円以上1兆円未満の中規模総合建設業者及びその他に区分し、資機材の調達等に係る契約者(同)を、売上高が1兆円を超える大規模総合商社及びその他に区分し、本体契約の契約者と平均落札率等の状況を示すと表16-1及び表16-2のとおりである。

表16-1 本体契約の契約者と落札率の状況(施設の建設に係るもの)
(単位:者、件、億円、%)
区分
入札参加者数
落札により締結した契約
落札率
件数
金額
金額割合
最低
平均
最高
大手総合建設業者
4
22
266
23.1
73.27
96.90
99.95
中規模総合建設業者
16
72
434
37.7
94.34
99.36
99.99
その他
17
57
451
39.1
61.12
95.28
99.98
37
151
1,152
100.0
61.12
97.46
99.99

 共同企業体17社に係る15契約を除く。


表16-2 本体契約の契約者と落札率の状況(資機材の調達等に係るもの)
(単位:者、件、億円、%)
区分
入札参加者数
落札により締結した契約
落札率
件数
金額
金額割合
最低
平均
最高
大規模総合商社
6
312
815
72.2
34.84
89.58
99.99
その他
25
184
312
27.7
26.09
84.32
100.00
31
496
1,127
100.0
26.09
87.63
100.00

 共同企業体2社に係る2契約を除く。


 表15-1、表15-2、表16-1及び表16-2に示すとおり、コンサルタントと落札率の状況、また、本体契約の契約者と落札率の状況をそれぞれ検討したところ、いずれも大きな差異は見受けられなかった。

ウ 不落随契の状況

 コンサルタント業務の手引では、入札は再度までに限定されており、前記のとおり、再度入札の価格のすべてが予定価格を上回った場合には、最低入札価格を提示した入札者と予定価格以下になるまで価格交渉を行うなどしている。
 予算決算及び会計令第99条の2において、競争に付しても落札者がないとき、又は再度入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができるといういわゆる不落随契の制度を設けている。ただし、この場合最初に競争に付するときに定めた予定価格を変更することができないこととされている。
 そして、国内では、入札契約手続における競争性・透明性の確保に努め、一層の入札競争手続の適正化を図る観点から、近年、不落随契の本来の趣旨を踏まえ、競争入札によることが困難な場合の真にやむを得ない措置となるよう厳正化に取り組む動きが広がってきている。
 JICAは前記のとおり、我が国の会計法令が不落随契の制度を設けていること、過去の入札会において3度以上の入札を行っていたが落札者を決定するには至らなかったこと、及び価格交渉は予定価格を下回るまで実施することで、入札を再度までに限定したとしても合理的かつ効率的なものになっているとの見解を採っている。
 各分類ごとの不落随契の件数及び割合を示すと表17のとおりである。

表17 不落随契の件数及び割合
(単位:件、%)
分類
施設の建設に係るもの
資機材の調達等に係るもの
割合
年度
割合
年度
割合
15
16
17
18
15
16
17
18
一般プロジェクト無償
落札契約
37
40
37
34
148
60.9
80
89
43
41
253
90.0
401
76.5
不落随契
16
30
33
16
95
39.0
8
14
4
2
28
9.9
123
23.4
53
70
70
50
243
100.0
88
103
47
43
281
100.0
524
100.0
テロ対策等治安無償
落札契約
1
1
100.0
1
1
100.0
2
100.0
不落随契
0
0
0.0
0
0
0.0
0
0.0
1
1
100.0
1
1
100.0
2
100.0
水産無償
落札契約
4
8
2
0
14
77.7
0
3
0
0
3
100.0
17
80.9
不落随契
1
1
2
0
4
22.2
0
0
0
0
0
0.0
4
19.0
5
9
4
0
18
100.0
0
3
0
0
3
100.0
21
100.0
一般文化無償
落札契約
0
1
0
2
3
75.0
21
12
8
4
45
38.4
48
39.6
不落随契
1
0
0
0
1
25.0
21
28
19
4
72
61.5
73
60.3
1
1
0
2
4
100.0
42
40
27
8
117
100.0
121
100.0
イラク復興支援
落札契約
9
22
1
0
32
76.1
32
76.1
不落随契
1
9
0
0
10
23.8
10
23.8
10
31
1
0
42
100.0
42
100.0
食糧援助
落札契約
17
18
18
7
60
98.3
60
98.3
不落随契
1
0
0
0
1
1.6
1
1.6
18
18
18
7
61
100.0
61
100.0
食糧増産援助/貧困農民支援
落札契約
25
34
35
10
104
87.3
104
87.3
不落随契
8
1
5
1
15
12.6
15
12.6
33
35
40
11
119
100.0
119
100.0
合計
落札契約
41
49
39
37
166
62.4
152
178
105
63
498
79.8
664
74.6
不落随契
18
31
35
16
100
37.5
39
52
28
7
126
20.1
226
25.3
59
80
74
53
266
100.0
191
230
133
70
624
100.0
890
100.0

 再度入札を行っても落札者がないとして不落随契としているものは全体で226件(25.3%)となっていた。
 一般プロジェクト無償についてみると、資機材の調達等に係るものは28件(9.9%)であるのに対し、施設の建設に係るものは95件(39.0%)と高くなっていた。また、一般文化無償についてみると、121件に占める不落随契は73件(60.3%)となっていた。
 入札会を実施した結果再度入札も不調に終わり、予定価格を増額して新たに作成し、工期の遵守を最優先して価格交渉したものを不落随契として公表しているものが一般プロジェクト無償で1件見受けられ、その契約認証に至るまでの入札状況等は次に示すとおりである。

<16年度ガーナ共和国「幹線道路改修計画」>

 本件は、国際幹線道路の一部として最重要路線の舗装等の改修に必要な資金を供与するものである。

年月日
事項
17.3.7
・第1回入札会実施(予定価格3,462,628,000円)
 当初入札は、3者により実施するも不調。
 再度入札は、1者が辞退し2者により実施するも不調。
・最低価格で入札した者と不落随契の価格交渉を開始したが、入札会の不調は、予定価格の作成後にガーナ共和国政府による原油統制価格の大幅な値上げが起因していたことが判明し、価格交渉を断念。
17.3.8〜11
・原油統制価格の値上げを勘案し、予定価格を新たに交換公文上の贈与の限度額から、コンサルタント契約額を控除した金額にまで増額して作成する。(新たな予定価格3,564,950,000円。増額102,322,000円)
・第2回入札会を実施するには、その手続に長時間を要することから、工期の遵守を最優先とし、新たに作成した予定価格に基づき、第1回入札会で決定した第1契約交渉権者と価格交渉を実施、交渉成立。
・契約締結(契約価格3,562,750,000円)
17.4.18
外務省による契約認証

 また、第1回入札会の当初入札において第1契約交渉権者となった者が仕様不適格により失格となったため、第2契約交渉権者を契約の相手方とした不落随契が一般文化無償で1件見受けられ、その契約認証に至るまでの入札状況等は次に示すとおりである。

<16年度 イラン・イスラム共和国「バム遺跡修復・保存機材整備計画」>

 本件は、15年12月26日に発生した地震により8割以上崩壊した、世界最大級の土の建造物であるバム遺跡の復旧・保存用の機材の購入に必要な資金を供与するものである。

年月日
事項
17.5.20
・入札会実施
・当初入札で2者が参加し、うち1者が予定価格を下回る入札を行い第1契約交渉権者となる。
17.5.20〜26
・当該第1契約交渉権者の仕様について再度確認したところ、仕様不適格と判断したため失格。
・残りの1者の仕様について再確認したところ、仕様が適格であったため価格交渉を行い、予定価格以下で交渉成立。
17.5.27
残り1者と契約締結
17.6.15
外務省による契約認証

 不落随契の相手方が行った当初入札及び再度入札における入札の状況をみる指標として、入札価格の予定価格に対する割合(以下「入札率」という。)を算出しその状況を示すと図11 及び図12 のとおりである。

図11 当初入札における入札率の状況

図11当初入札における入札率の状況

図12 再度入札における入札率の状況

図12再度入札における入札率の状況

 入札率の状況についてみると、施設の建設に係るもの及び資機材の調達等に係るものともに、100%以上102%未満が最も多くなっていた。これらは、入札会終了後に予定価格以下となるまで価格交渉を行い契約を締結している。

エ イラク復興支援

 我が国政府は、15年10月15日、イラクの復興に対する当面の支援として、総額15億ドルの資金を供与することを発表した。支援の分野としてはイラクの生活基礎の再建及び治安の改善に重点を置いているが、現地の治安の状況、通信の状況等から詳細な現地調査が極めて困難な中で迅速な支援が必要とされたことから、支援の内容としては詳細な現地調査を必要としない資機材の調達等に係る案件が中心となった。
 イラク復興支援の支出額を二国間協力、国際機関経由の別に示すと表18のとおりである。

表18 イラク復興支援の支出額
(単位:円)
年度
二国間協力
国際機関経由
15
16
17
3,099,000,000
79,473,376,000
12,701,878,000
56,571,558,590
1,693,102,730
1,540,588,889
59,670,558,590
81,166,478,730
14,242,466,889
95,274,254,000
59,805,250,209
155,079,504,209

 また、イラク復興支援については緊急性が高いため、援助の実施を決定すると外務大臣が閣議にて発言し、その後口上書を取り交わし、各案件ごとに資金を一括供与している。閣議発言ごとの二国間協力の支出額等を示すと表19のとおりである。

表19 イラク復興支援 閣議発言ごとの二国間協力の支出額
(単位:円)
閣議発言
案件名
支出額
16.1.16
警察車両供与計画
3,099,000,000
16.3.26
移動式変電設備整備計画ほか3件
21,771,184,000
16.6.29
北部地域主要病院整備計画ほか5件
31,929,553,000
16.10.12
中部地域主要病院整備計画ほか2件
15,797,248,000
16.12.28
サマーワ市ゴミ処理機材供与計画ほか3件
9,975,391,000
17.5.27
サマーワ大型発電所建設計画
12,701,878,000
計19件
95,274,254,000

 上表19における案件のうち、警察車両供与計画に係る6契約の締結に至るまでの入札状況等を示すと次のとおりである。

<15年度イラク「警察車両供与計画」>

 本件は、イラク全土を対象に、現地の治安維持を目的とした警察車両の購入とバグダッドの自動車整備工場に必要な整備器具の購入に必要な資金を供与するものである。

年月日
事項
16.1.16
・外務大臣閣議発言
・財団法人日本国際協力システムがイラク内務省の調達代理機関として入札公示
16.2.4
契約1から契約4について入札会を開催
16.2.12
契約1から契約4について契約を締結
16.2.13
契約5及び契約6について随意契約を締結
16.5月上旬
輸送会社、警備会社等が一堂に会し、輸送の方法や緊急連絡体制などを確認
16.10.6
警察車両及び自動車整備器具の輸送完了
入札者A
入札者B
入札者C
入札者D
入札者E
契約1
◎落札
契約2
◎落札
契約3
◎落札
契約4
×
◎落札

 16年2月4日に開催された契約1から契約3までに係る入札会にはそれぞれ同一の5者が参加し、いずれもBが落札者となった。契約4に係る入札会にはBを除く4者が参加し、Eが落札者になった。この結果を受け、2月12日に契約1から契約4について契約が締結された。
 契約1から契約4までの落札率は下表に示すとおり50.22%から55.22%であり、落札価格が予定価格を大幅に下回ったため、追加調達をすることにした。そして、特別に緊急性が高いという理由により、契約5はBと、また、契約6はEとそれぞれ、入札会を行った契約と同じ条件で翌13日に随意契約を締結したものである。

(単位:円、%)
契約件名
契約額
予定価格
落札率等
契約1
契約2
契約3
契約4
契約5
契約6
499,714,600
285,900,017
348,100,000
341,713,086
910,200,000
301,664,000
904,982,240
522,985,500
636,678,000
680,382,000
910,200,000
301,664,000
55.21
54.66
54.67
50.22
随意契約
随意契約


 このように、イラク復興支援は外務大臣の閣議発言を受け、緊急無償資金協力として各案件ごとに資金を一括供与して実施されたものであるが、資機材の調達等に係る案件が中心であり、入札の結果、落札価格が予定価格を大幅に下回ったため追加調達をすることにし、特別に緊急性が高いという理由により随意契約を締結したものがある。