ページトップ
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成19年10月

平成13年度から18年度までの間に内閣府が実施したタウンミーティングの運営に関する請負契約に関する会計検査の結果について


2 契約金額、支払金額など契約執行の状況

(1) 13年度のタウンミーティングの運営に関する請負契約について

ア 契約金額

 13年度の契約は、随意契約による総価契約であり、契約書、請求書等により確認したところ、その契約金額386,473,217円(前期)及び552,802,943円(後期)は、支払金額(消費税(地方消費税を含む。)を含む。以下同じ。)と同額となっていた。そして、この契約金額は、前記のとおり、支出負担行為決議書の起案が、実際にはタウンミーティングの事業の終了後であったと認められることなどから、請負業務を了した後に確定させていたと認められた。
 そして、各契約に係る仕様書は、前記のとおり、実際にはタウンミーティングの事業の終了後に決定されたものであり、内閣府及び電通によれば、請負業務の内容は、内閣府が基本的な事項を指示し、開催の細部については内閣府と電通で適宜打合せを行いながら決定していたとのことであった。
 また、予定価格は、前記のとおり、13年度前期はタウンミーティングの事業の開始後に、13年度後期は予定価格調書に記載された日付よりも後に決定されたものであったと認められることなどから、本件2件の契約においてどのような位置付けであったかは明らかでない。なお、この予定価格について内閣府では、他の契約の予定価格を類推させるおそれがあるとして、公表していない。
 その上で、13年度の契約金額に係る予定価格の積算についてみると、単価に関し表7のとおり、旅費、会場費、ISDN工事・通信料及び新聞広告掲載料以外は、すべて契約の相手方である電通又はその再請負先であるA社が作成した人件費等単価表又は人件費等単価証明書が根拠となっており、他の取引の実例価格を調査してそれを考慮することは行われていなかった。

表7 平成13年度の契約金額に係る予定価格の積算項目、積算の根拠
項目
積算の根拠
13年度前期
13年度後期
1
企画運営費
人件費等単価表(電通・A社)
人件費等単価証明書(電通)
人件費等単価表(A社)
2
全体共通制作費
人件費等単価表(A社)
人件費等単価表(A社)
3
旅費(機材運搬費含む)
内閣府資料、市販の積算資料
内閣府資料、市販の積算資料
4
タウンミーティング開催経費
〔1〕 人件費
〔2〕 アナライザー関係費
〔3〕 映像システム関係費
〔4〕 会場費
〔5〕 事務局経費
 
 
〔6〕 会場設営費
〔7〕 音響照明費
〔8〕 運営スタッフ費
〔9〕 ISDN工事・通信料
 
人件費等単価表(A社)
人件費等単価表(A社)
人件費等単価表(A社)
インターネット情報
人件費等単価表(電通)、
内閣府資料
 
人件費等単価表(電通)
人件費等単価表(電通)
人件費等単価表(電通)
ISDNサービス業者資料
 
(項目なし)
(項目なし)
人件費等単価証明書(電通)
インターネット情報
人件費等単価証明書(電通)、
人件費等単価表(A社)、
内閣府資料
人件費等単価証明書(電通)
人件費等単価証明書(電通)
人件費等単価証明書(電通)
(項目なし)
5
アンケート集計費
人件費等単価表(A社)
人件費等単価表(A社)
6
新聞広告掲載料
平成13年度新聞による政府広報広告掲載契約の契約単価
平成13年度新聞による政府広報広告掲載契約の契約単価等
7
ビデオ制作費
人件費等単価表(A社)
(項目なし)
8
一般管理費
1〜7までの合計額に所定の率を乗じたもの
1〜5までの合計額に所定の率を乗じたもの
9
消費税及び地方消費税
3を除く合計額の5%
3及び8を除く合計額の5%

 また、13年度の予定価格算定に用いられた単価についてみると、表8のとおり、14年度以降の単価契約において設定されている単価項目とおおむね対応すると思料される項目において、一般競争契約となった14年度以降の契約単価より高額となっていたり、14年度以降には見られない項目に高額な単価が設定されていたりしているものがあった。

表8 平成13年度の予定価格算定に用いられた単価の例
(単位:円)
13年度の項目
13年度
14年度
15年度
 
(契約
単価)
14年度以降の項目
前期
(契約
単価)
後期
(契約
単価)
(参考)請負業者
電通
朝日広告社
電通
電通
受付スタッフ
20,000
20,000
5,000
15,000
一般参加者・マスコミ・関係者受付、配布資料封入
クロークスタッフ
20,000
20,000
5,000
15,000
クローク
ケータリングスタッフ
20,000
20,000
5,000
15,000
出席閣僚等・随行者ケータリング
警備員
45,000
20,000
18,000
25,000
警備員
看板(L)
150,000
190,000
80,000
80,000
ステージ上吊り看板
看板(M)
60,000
100,000
30,000
70,000
場外看板
看板(S)
30,000
6,500
5,000
5,000
会場内案内看板
トランシーバー
20,000
5,600
5,000
10,000
スタッフ場内通信用トランシーバー
弁当(閣僚等)
2,000
2,000
2,000
2,000
出席閣僚等、随行者、コーディネーター、司会者用弁当
局次長
100,000
14年度以降は項目該当なし
部長
70,000
同上

 13年度前期、後期とも同一の単価である。


イ 支払金額

(ア) 総額及び1回当たりの平均金額

 タウンミーティングの運営に関する請負契約について、13年度前期及び後期の契約金額、支払金額及び支払金額のうち14年度以降の契約に含まれていない新聞広告掲載料相当額を除いた金額をそれぞれのタウンミーティングの開催回数で除した1回当たりの平均金額は表9のとおりである。そしてこのうち、1回当たりの平均金額についてみると、13年度前期が2184万余円、後期が1329万余円となっており、前期が後期に比べて800万円以上高額となっており、また、いずれも一般競争契約となった14年度以降の1回当たりの平均金額1008万余円と比べて、高額となっていた。

表9 契約金額及び支払金額(平成13年度)
年度
開催回数(a)
契約金額(円)
支払金額(円)
1回当たりの平均金額(b/a)
 
うち、新聞広告掲載料相当額を除いた金額(b)
13年度
前期
16回
386,473,217
386,473,217
349,559,942
2184万余円
後期
34回
552,802,943
552,802,943
452,023,365
1329万余円
14〜18年度
122回
1,230,580,810
1,230,580,810
1008万余円

(イ) 電通からの請求金額

 契約書によれば、請負業者は、運営業務が終了し、内閣府の検査が完了した後、代金を内閣府に請求するものとされている。そして、本契約は金額の確定した総価契約であることから、予定回数の変更等の特段の事情がない限り、契約金額と同額の支払が行われることとなり、13年度前期、後期ともに、請負業者である電通から、契約金額と同額の請求書が内閣府に提出されていた。
 なお、13年度の契約書では、請負業務の実施に当たって再請負の可否を明記した条項はなく、再請負が行われた場合においても特段の手続は執られていなかった。

(ウ) 13年度前期と後期の1回当たりの費用の比較

 前記のとおり、新聞広告掲載料相当額を除いた支払金額をタウンミーティングの開催回数で除した1回当たりの平均金額について、13年度前期と後期を比較すると前期が800万円以上高額となっていた。
 上記について、請求内訳の項目ごとに1回当たりの平均金額を計算すると、表10のとおりとなっており、「全体運営制作費(出張費分除く)」及び「全体運営制作費(出張費分)」について、13年度前期の1回当たりの平均金額が13年度後期をそれぞれ566万余円、110万余円上回っていた。
 これらは、電通の説明によれば、13年度前期に使用していたアナライザー(注1) を後期は使用しなかったことや、前期は舞台上の進行・演出等を重視し演出プロデューサー、舞台監督等の専門スタッフを東京から開催地に派遣していたが、後期は専門スタッフの派遣をなくしたこと、前期は映像システムに係る機材を東京から搬入していたが、後期はこれを開催地で手配することにしたことなどによるとのことであった。

 アナライザー  司会の質問に対し、参加者から選択式の回答を押しボタン方式で得るため、テレビのリモコンのような装置を使って回答を収集集計する装置


表10 請求内訳の項目ごとの1回当たりの平均金額(平成13年度)
(単位:円)
項目
13年度前期の
1回当たりの
平均金額
13年度後期の
1回当たりの
平均金額
差額
1事業費
(1)企画・運営費
(2)出張費
(3)全体運営制作費(出張費分除く)
(4)全体運営制作費(出張費分)
(5)全体共通制作物関係費
(6)アンケート集計費
(7)各地方会場作業費
(8)タウンミーティングビデオ制作費
小計
2一般管理費
3消費税
 
1,798,750
152,238
6,331,696
1,127,217
369,062
202,500
8,318,237
753,750
19,053,451
1,905,345
888,699
 
1,339,705
204,142
667,656
22,786
145,985
292,941
8,897,348
-
11,570,566
1,157,056
567,181
 
459,045
△51,904
5,664,040
1,104,431
223,077
△90,441
△579,111
753,750
7,482,885
748,289
321,518
21,847,496
13,294,804
8,552,692

 1回当たりの平均金額は円未満を切り捨てているので、合計しても一致しない。


(2) 14年度から18年度までのタウンミーティングの運営に関する請負契約について

ア 契約金額及び支払金額

 14年度から18年度までのタウンミーティングの運営に関する請負契約は、前記「1(2)ア 契約方式及び契約形態」及び「1(2)イ 仕様書の作成、予定価格の算定、入札及び落札者の決定」で記述したとおり、落札者は、タウンミーティング1回当たりの金額について入札を行うことにより決定するが、契約形態は単価契約であるため、契約期間中の総額やタウンミーティング1回当たりの金額が契約金額として定められていない。
 また、支払金額は、前記のとおり単価項目部分、実費精算部分及び追加費用の合計額となっている。
 そこで、契約書、請求書等により、各契約ごとの支払金額を単価項目部分、実費精算部分、請求書において追加費用が明らかとなるよう単価項目とは別に設けられた項目(以下「追加項目」という。)の部分に分類して整理し、また、支払金額と請負業者が落札したタウンミーティング1回当たりの価格に開催回数を乗じた金額を比較すると、表11のとおり、14年度前期を除き入札の対象となった単価項目部分の支払金額が落札価格に開催回数を乗じて得た金額よりも多額となるなどの状況となっていた。

表11 支払金額(平成14年度以降)
(単位:回、円)
年度
開催回数
支払金額
落札価格(上段)
 
落札価格×開催
回数(下段)
 
うち単価項目部分
うち追加項目部分
うち実費精算部分
14年度
 
11
 
79,114,457
 
63,970,907
 
0
 
15,143,550
6,892,180
75,813,980
 
15
 
114,296,212
 
92,047,675
 
0
 
22,248,537
4,982,650
74,739,750
15年度
 
28
 
297,112,917
 
230,059,964
 
0
 
67,052,953
5,824,750
163,093,000
16年度
 
26
242,186,845
153,352,619
36,420,268
52,413,958
4,669,750
121,413,500
17年度
 
23
 
295,540,185
 
204,158,939
 
33,229,494
 
58,151,752
4,559,500
104,868,500
18年度
 
19
 
202,330,194
 
118,323,453
 
35,614,687
 
48,392,054
4,879,750
92,715,250

 落札価格は、落札金額に謝礼金を除き100分の105を乗じた金額である。ただし、14年度前期は実費精算部分も含めて入札しているが、表中の金額は、落札価格のうち、単価項目に係る部分の金額である。
 14年度前期及び17年度は、落札者決定後に単価項目の追加が行われているが、表中の金額は、当該追加を反映した後の金額である。
 14年度前期の参加者募集チラシはモデル員数が仕様書において示されていないことから、14年度後期以降と同様の1,000枚として計算した。
 17年度の支払金額には、タウンミーティングの延期により生じた費用が含まれている。 

 14年度以降の各契約においては、モデル員数を前提とした単価項目部分のみについて入札を行い契約の相手方を決定することとしていることから、追加費用については競争の原理が機能しておらず、また、入札は各単価項目ごとに定められたモデル員数を前提として行われていることから、モデル員数と支払の対象となった員数(以下「精算員数」という。)との間に大幅なかい離が生じた場合には、結果として最も経済的に事業を行う業者が選定されなくなるおそれもある。
 そこで、単価項目部分の支払金額についてモデル員数による支払金額と員数の増加による支払金額とに分け、また、各契約に係る支払金額には次回の契約期間中に実施されるタウンミーティングの準備に係るものも含まれていることなどから必要な調整を行った上で、実費精算部分を除いた支払金額の構成についてみると、表12のとおりとなっていた。

表12 実費精算部分を除いた支払金額の構成(平成14年度以降)
(上段:構成比率、下段:支払金額)
年度
モデル員数による単価項目部分の支払金額
員数の増加による単価項目部分の支払金額
追加費用の支払金額
14年度
前期
(118.5%)
75,813,980円
(△18.5%)
△11,843,073円
(-)
0円
後期
(84.7%)
74,739,750円
(15.2%)
13,424,080円
(-)
0円
15年度
(70.5%)
163,093,000円
(21.2%)
49,161,274円
(8.1%)
18,873,225円
16年度
(63.7%)
121,413,500円
(17.1%)
32,565,370円
(19.1%)
36,420,268円
17年度
(48.4%)
104,868,500円
(26.3%)
56,905,478円
(25.2%)
54,561,662円
18年度
(55.8%)
92,715,250円
(22.7%)
37,784,633円
(21.4%)
35,614,687円
 モデル員数による単価項目部分の支払金額は、表11の「落札価格×開催回数」の金額と同額である。
 員数の増加による単価項目部分の支払金額は、精算員数がモデル員数に比べ少なかった場合はマイナスで集計しており、増減を合算した増額分である。
 各契約に係る支払金額に含まれている次回の契約期間中に実施されるタウンミーティングの準備に係る支払金額は、次回の契約に係る支払金額として集計している。
 17年度の支払金額に含まれているタウンミーティングの延期により生じた費用は、分析から除外している。
 後掲「オ(イ)bハイヤー等以外の追加費用の単価項目への上乗せについて」の15年度及び17年度において請負業者が追加作業を単価項目の員数に上乗せして請求を行った金額は、追加費用の支払金額として集計している。
 ハイヤー等については後掲「オ(イ)aハイヤー等の員数の上乗せについて」の事態も含め、単価項目部分の支払金額として集計している。

 上表によれば、員数の増加による単価項目部分の支払金額は14年度後期以降、追加費用の支払金額は16年度以降において、それぞれ相当な割合(前者は15.2%〜26.3%、後者は19.1%〜25.2%)を占めている。
 このようにモデル員数と精算員数との間に大幅なかい離が生じている状態は、最も経済的に事業を行う業者が選定されなくなるおそれがあると認められ、また、追加費用の支払金額については、前記のとおり競争の原理が機能していないことから、事前に実施が予想される項目についてできる限り事前に仕様書に反映させ、入札の対象とする必要があると認められた。
 なお、14年度から18年度までにおけるタウンミーティングの開催日、開催地、名称・テーマ、参加者数、単価項目部分、追加項目部分、実費精算部分ごとの開催費用等を請負業者から内閣府に提出された請求書等に基づいて、各回ごとに整理すると巻末の別表3 のとおりである。

イ 仕様書

 前記のとおり、内閣府は、タウンミーティング開催1回当たりに必要となる標準的な個々の業務と各業務ごとのモデル員数を仕様書に記載している。そして、内閣府ではモデル員数を前提としてタウンミーティング開催1回当たりの金額の総額について、予定価格を算定するとともに入札を行い契約の相手方を決定している。
 各年度の仕様書について、14年度から18年度までにおける各業務の内容がどのように記述されているかを各年度別に比較して整理すると巻末の別表4 のとおりである。そのうち、18年度のものの概要を例として示すと、表13のとおりとなっている。

表13 仕様書に記載されている業務等の概要(平成18年度の例)
1 前提条件
(1)
開催スケジュール
4月から今年度末までに25回程度開催予定。 外
(2)
1回当たり開催規模
定員500名の会場を借上げ。 外
(3)
1回当たり出席閣僚等関係
出席閣僚等は、3名(閣僚2名、副大臣1名or民間人有識者1名)。 外
(4)
各開催のスケジュール
会場設営は開催日の前日より開始。
開催日は土曜日又は日曜日、実施時間は午後2時から午後4時の2時間。 外
2 1回当たり実施事務
(1)
会場借上げ関係
主会場(500名収容)(1室)
出席閣僚等控室(30名収容)(1室)
託児室(未就学児5名程度収容)(1室) 外
(2)
開催当日の動員関係
出席閣僚等送迎対応(空港(又は駅)での閣僚等お迎え・お見送り、会場まで誘導)(3名)
会場内での出席閣僚等対応(会場出入口でのお迎え・お見送り、閣僚控室まで誘導、出席閣僚等の個別担当、ハイヤー・駐車場管理)(3名)
会場受付業務(一般参加者・マスコミ・関係者受付・クローク、配布資料封入)(13名)
会場内整理業務(場内整理、事務補助、会場発言者マイク係)(10名)
警備員(10名) 外
(3)
ハイヤー借上げ関係
ハイヤー(3台) 外
(注)閣僚等が使用するハイヤーの車種については、安全面を考慮すること。 外
(4)
会場設営、記者会見場設営関係
舞台(1式)
照明・音響(1式)
託児室の設置(保育士の雇用、ベビーベット・遊具等の設置を含む)(1式) 外
(5)
中継カメラ周辺機材関係
カメラ周辺機材(1式) 外
(6)
企画・調整関係
開催会場候補リストの作成(1式)
運営マニュアル(当日の事務作業・留意事項等の一切を取りまとめたもの)作成(1式)
開催地警察との事前調整
内閣府(内閣府の指定する業者等を含む。)との事前調整(作成した資料及び補助業務に関する報告を含む。) 外
(7)
備品等
パンフレット作成・印刷(600枚) 外
(8)
ケータリング関係
出席閣僚等、随行者、コーディネーター、司会者用弁当(15個) 外
(9)
民間人有識者等謝礼金、交通費等
民間人有識者謝礼金 外
(10)
参加者募集関係
参加者募集用ポスター作成・印刷(100枚)
ポスター・チラシ梱包発送 外
(11)
議事録等記録関係
タウンミーティング当日議事概要(タウンミーティング(記者会見除く)終了後30分以内に電子媒体で原案納品)(1式) 外
(12)
事前参加申込・タウンミーティングサポーター関係
タウンミーティング開催決定後における事前申込者・タウンミーティングサポーターへの案内状の作成・送付(100通) 外
3 指定単価
コーディネーターへの謝礼金は50,000円とする。
民間人有識者謝礼金は30,000円とする。
依頼登壇者謝礼金等及びその他協力者謝礼金等については、20,000円、5,000円とする。 外
4 注意事項
上記員数は仮置きとし、内閣府の指示により行うものとする。
会場借上及び民間人有識者交通費、ポスター・チラシ梱包は、実費精算する。
本仕様に記載のない事務についても、内閣府の指示があった場合には、これに従い、速やかに対応すること。ただし、費用は別途協議する。 外

 表13のうち、「2 1回当たり実施事務」についてみると、記載されている業務には、「出席閣僚等送迎対応」のようにモデル員数が人数等で示されている項目と、「運営マニュアル作成」のようにモデル員数が1式とされている項目と、「内閣府との事前調整」のように仕様書にはモデル員数が記載されていないが入札時の説明書に添付された契約単価内訳書の様式においてモデル員数が1式とされている項目とがある。
 そして、員数を式数で設定しているもののうち、「内閣府との事前調整」の項目のように対象となる作業の内容が示されていなかったり、「託児室の設置」の項目のように保育士の雇用、ベビーベッド・遊具等の設置を含む旨の説明はあるがどのような場合に員数を増加させるかの説明がなかったりしているなど、単価設定の前提となる条件が明確ではない項目も見受けられた。
 内閣府では、この仕様書は、14年度前期は、13年度のタウンミーティングの開催を担当したTM室の主担当等からの聴取等を基に、タウンミーティングの開催に係る業務とそれに係る員数等がタウンミーティング開催1回当たりの標準的なモデルとなるようにTM室で作成したとしている。そして14年度後期以降は、毎年、それぞれの前回の契約時に作成した仕様書を基にして、TM室室員の意見等を聴取して業務を追加、削除するなどして見直しを行ったとしている。このうち、開催当日の動員関係の16年度と17年度の仕様書を比較すると、表14のとおりとなっている。

表14 仕様書の見直しの例(平成16年度と17年度の開催当日の動員関係)
16年度
業務
員数
〔1〕
空港(又は駅)での閣僚等お迎え・お見送り、ハイヤーまで誘導
3名
〔2〕
会場出入口でのお迎え・お見送り、エレベーターまで誘導、ハイヤー・駐車場管理
3名
〔3〕
エレベーター手動
2名
〔4〕
エレベーターから控室まで誘導
2名
〔5〕
各出席閣僚等の個別担当
5名
〔6〕
閣僚控室内の連絡要員
3名
〔7〕
出席閣僚等・随行者ケータリング
3名
〔8〕
一般参加者・マスコミ・関係者受付、配布資料封入(パンフレット(1枚もの)・会場アンケート(1枚もの)・会場内注意事項(1枚もの)・一般参加者用筆記用具(ボールペン)等)(600セット)
10名
〔9〕
クローク
5名
〔10〕
場内整理、事務補助
10名
〔11〕
会場発言者マイク係
3名
〔12〕
警備員
10名
〔13〕
コーディネーター
1名
〔14〕
司会者
1名
〔15〕
手話通訳者
3名
64名


17年度
業務
員数
〔1〕
出席閣僚等送迎対応(空港(又は駅)での閣僚等お迎え・お見送り、会場まで誘導)
4名
〔2〕
会場内での出席閣僚等対応(会場出入口でのお迎え・お見送り、閣僚控室まで誘導、出席閣僚等の個別担当、ハイヤー・駐車場管理)
4名
〔3〕
出席閣僚等への送迎・閣僚控室内対応の事務補助要員
2名
〔4〕
出席閣僚等・随行者ケータリング
3名
〔5〕
会場受付業務(一般参加者・マスコミ・関係者受付・クローク、配布資料封入(パンフレット(1枚もの)・会場アンケート(1枚もの)・会場内注意事項(1枚もの)・一般参加者用筆記用具(ボールペン)等))(600セット)
13名
〔6〕
会場内整理業務(場内整理、事務補助、会場発言者マイク係)
10名
〔7〕
警備員
10名
〔8〕
コーディネーター
1名
〔9〕
手話通訳者
3名
 
 
 
50名

 しかし、14年度から18年度までの各年度の契約において、次の事例のように、モデル員数と精算員数との間に継続的に後者が前者を上回るなど相当のかい離が生じている状況となっていた。

<事例1>

 「警備員」のモデル員数は、平成14年度前期から18年度まですべて10名であった。しかし、精算員数は、14年度前期から18年度まで各回の平均で、順に、9.6名、26.3名、26.9名、15.0名、18.0名、17.3名となっていた。
 なお、警備員の配置人員については、請負業者の説明によると、主に会場の規模や構造により変動し、地元警察との調整において、追加的な配置について指導を受ける場合もあったとのことであった。 
 運営マニュアルに記載された具体的な警備員の配置計画について一例を示すと表15のとおりである。

表15 警備員の配置計画の概要(例)
場外警備
一般道
警備1
・配置位置より閣僚車両を確認でき次第、警備2へ連絡
・不審者、妨害者の取り締まり(横断幕、ビラを持っている人等を発見した場合、責任者へ連絡)
1階荷捌駐車場入口
警備2
・警備1より連絡を受け次第、荷捌入口での一般車両の駐車場への進行を一時停止させ、閣僚車両を円滑に進行するよう誘導
B2地下駐車場ゴミ処理室前
警備3
・閣僚車両が円滑に進行するよう一般車両の交通整理
場内警備
B2地下駐車場Bブロック荷捌場
警備4
・地下駐車場の閣僚車両到着・出発付近の警備
・不審者、妨害者の取り締まり(横断幕、ビラを持っている人等を発見した場合、責任者へ連絡)
警備5
・基本的には警備4と連動するが、閣僚到着〜出発の間は閣僚駐車場の誘導及び警備 ※他の階・会議室からの進入を禁止
5階閣僚専用5・6エレベーター前
警備6
・閣僚エレベーター移動時の警備、非常階段警備及びカード式施錠開閉業務
5階閣僚専用15・16エレベーター前
警備7
・閣僚エレベーター移動時、関係者以外の進入を禁止(参加証、館職員の確認) ※他フロアからの進入を禁止
5階閣僚導線スペースパーテーション前
警備8・9
・関係者以外の進入を禁止(参加証、館職員の確認) ※一般参加者の進入を禁止
5階非常扉前(ステージ下手側)
警備10
・関係者以外の進入を禁止(参加証、館職員の確認) ※一般参加者の進入を禁止
5階連絡ブリッジ前
警備11
・ブリッジ進入禁止(参加証、館職員の確認)
6階閣僚専用5・6エレベーター前
警備12
・閣僚エレベーター使用時の警備、及び関係者以外の進入を禁止(参加証、館職員の確認)
6階閣僚専用15・16エレベーター前
警備13
・閣僚エレベーター移動時、関係者以外の進入を禁止(参加証、館職員の確認 )※他フロアからの進入を禁止
金属探知機前
警備14・15
(女性)
警備16・17
・金属探知機の運営を行う
・金属探知機1機につき男性1名(通過案内)+女性1名(手荷物用、反応した方への対応)計2名
ホール内
(タウンミーティング時)
警備18・19
・出席閣僚の護衛(ステージへの飛び込み防止)
警備20・21
・不審者、妨害者の取り締まりを客席後方より警備
ホール内
(記者会見時)
※警備20・21
・会見中の閣僚、及び参列関係者の護衛
・野次、不規則発言に関しては、妨害対応担当者が受付で配布した注意書きを見せ、1回目の警告、2回目警告は退場となる旨警告。退去を求める場合は、自主的な退去を促すが、従わない場合は警備員が誘導スタッフと連携して退場させる
・暴力行為が発生した場合は、内閣府の要請にもとづき、場内配置の警察が出動
・横断幕やビラは即座に退去を求める
 ※警備18・19・20・21はホール内に配置、有事の対応時にはすぐ警備
14と連携し対応(警備14は会場内中央扉裏でスタンバイ)

<事例2>

 「会場内案内看板」のモデル員数は、平成14年度前期から18年度まですべて20枚であった。しかし、精算員数は、14年度前期から18年度まで各回の平均で、順に、31.8枚、21.8枚、26.8枚、28.4枚、31.4枚(注2) 、32.5枚となっていた。

<事例3>

 「スタッフ場内通信用トランシーバー」のモデル員数は、平成14年度前期から18年度まですべて10台であった。しかし、精算員数は、14年度前期から18年度まで各回の平均で、順に、10.0台、29.1台、32.4台、24.4台、26.0台、26.3台となっていた。

<事例4>

 「参加者募集用チラシ作成・印刷」のモデル員数は、平成14年度後期から18年度まですべて1,000枚であった。しかし、精算員数は、14年度前期から18年度まで各回の平均で、順に、1,427.2枚、3,873.3枚、3,667.8枚(注2) 、6,906.2枚、6,648.6枚、6,647.3枚となっていた。 
 なお、特にチラシの新聞折込を行った場合など、大量の枚数を印刷した場合に、実際の枚数に契約単価を乗ずると非常に多額になることから、請負業者が実際に要した費用を勘案して実際の枚数に契約単価を乗じた金額よりも割り引いた金額を精算金額とする場合が生じており、上記の精算員数は、そのような場合に支払の対象とした金額を契約単価で割り戻した数で算定している。  
 例えば、17年度に東京都千代田区で行われた第148回のタウンミーティング(この回の請求金額は13,816,960円)において、請負業者の朝日広告社は、折込チラシ577,650枚を含め、582,920枚のチラシの作成・印刷を行っており、この枚数に17年度の1枚当たりの契約単価120円を乗ずると、この項目の請求金額が6900万円以上の金額となるが、朝日広告社では、請求員数を1式とし、請求金額を2,800,000円(消費税を除く。)として請求を行っていた。  
 そして、このような請求を行った理由は、朝日広告社によれば、大幅に想定枚数を超える枚数の指示があった場合、契約単価で請求すると非常に多額の請求となることから内閣府に相談したところ、自主減額した請求金額で請求するよう指示を受けたとのことであった。

<事例5>

 「エレベーター手動」のモデル員数は、平成14年度前期から16年度まですべて2名であった。しかし、精算員数は、14年度前期から16年度まで各回の平均で、順に、0.8名、0.6名、1.2名、1.4名となっていた。なお、この項目は、17年度からは設けられなくなっている。

<事例6>

 「場内整理、事務補助」及び「会場発言者マイク係」のモデル員数は、平成14年度前期から16年度までそれぞれすべて10名及び3名であった。そして、その精算員数は14年度前期から15年度までは各回の平均で、順に8.7名及び2.5名、11.5名及び3.5名、12.2名(注2) 及び4.0名であったが、16年度は17.1名及び7.0名と急増していた。
 そして、上記の両項目を整理して17年度から設けられた「会場内整理業務」のモデル員数は17、18両年度とも10名であったが、17、18両年度の精算員数は各回の平均で24.2名及び15.0名であった。 
 なお、これらの員数が増加する理由は、16年度以降の請負業者である朝日広告社によれば、16年度になってからTM室の主担当からリハーサルをきちんと実施するよう指示されたため前日にもリハーサルを実施するようになり、その人員についても、仕様書上明記されていないが、タウンミーティング当日の請求人員に含めて請求することとしたとのことであった。

 追加作業をしたことによる上乗せ員数(後掲オ(イ)b参照) を控除した後の平均値である。


ウ 予定価格

 予定価格は、前記のとおり、基本的に、タウンミーティング開催1回当たりの費用のうち実費精算とする項目以外についての合計額となっており、予定価格の算定に必要なタウンミーティング開催1回当たりの各項目及びその員数は、TM室が仕様書で設定した業務及びモデル員数によっている。
 そして、内閣府では、各年度の予定価格は、各業務ごとに算出した単価に、モデル員数を乗じて合計するなどして算定している。なお、この予定価格について内閣府では、他の契約の予定価格を類推させるおそれがあるとして、公表していない。
 また、予定価格の算定方法を各年度ごとについてみると、次のようになっていた。

(ア) 14年度前期の契約

 一般競争契約を最初に導入した14年度前期は、当初の契約において予定価格算定のための単価を設定した74の項目のうち、「クローク」、「警備員」、「場外看板」など54の項目において、13年度の請負業者である電通及びその再請負先であるA社の人件費等単価証明書に記載された単価に一定の割引率を乗ずるなどしてそれぞれの予定価格算定のための単価を算出し、これにモデル員数を乗ずるなどして予定価格を算定していた。
 そして、内閣府では、単価については、14年度から一般競争契約となり競争原理が働くこと、また、電通等からの人件費等単価証明書に記載された単価に一定の割引率を乗ずることにより、適正な単価を設定したとして、他の取引の実例価格を調査してそれを考慮することは行っていなかった。
 また、一般管理費は、会場借上げ関係費など契約上実費精算となっている部分も含めた金額の合計に一定の率を乗じて算出している。

(イ) 14年度後期、15年度及び16年度の契約

 14年度後期においては、基本的に、その直近の契約に当たる14年度前期の各項目の契約単価を該当する項目の予定価格算定のための単価として、これにモデル員数を乗ずるなどして予定価格を算定していた。
 そして、15、16両年度は、基本的にそれぞれ直近の契約時の予定価格算定時に用いた単価にモデル員数を乗ずるなどして予定価格を算定していた。そのため、14年度後期から16年度までの予定価格は基本的にいずれも14年度前期の契約単価を用いて算定する結果となっていた。
 これについて内閣府では、当時の物価変動幅が極めて小幅だったことから、14年度前期の契約単価を採用することが適当であると総合的に判断したとして、他の取引の実例価格を調査してそれを考慮することは行っていなかった。

(ウ) 17年度及び18年度の契約

 17、18両年度は、それまでの各年度における契約単価にばらつきが見受けられており、基本的に、直近3契約分の契約単価を平均して予定価格算定のための単価を算出し、これにモデル員数を乗ずるなどして予定価格を算定していた。そして、他の取引の実例価格を調査してそれを考慮することは行っていなかった。

 予決令第80条第2項の規定によれば、予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、数量の多寡等を考慮して適正に定めなければならないとされている。しかし、本件では、前記のとおりモデル員数と精算員数との間に継続的に後者が前者を上回るなど相当のかい離が生じていたり、単価が他の取引の実例価格を調査してそれを考慮したものとはなっていなかったりしている状況となっていた。

エ 契約単価

 14年度以降の契約においては、前記のとおり、落札者は開札後速やかにあらかじめ仕様書に示されたモデル員数にそれぞれ単価を乗じた合計額が落札金額と一致する範囲内で自由に単価を設定した契約単価内訳書を提出することとされ、契約単価は、この契約単価内訳書に記載された単価を用いることとなっていて、内閣府が関与することなく落札者が決定する仕組みとなっていた。
 そして、単価項目及び契約単価の14年度以降の推移について、契約書等により確認したところ、次の事例のように、16年度までにおいて単独で項目を設定することが疑問である項目が見受けられた。

<事例7>

 平成14年度から16年度までの契約において、「空港(又は駅)での閣僚送迎等」、「会場における送迎等」、「エレベーター手動」、「エレベーターから控室まで誘導」の項目が設けられているが、これらは、それぞれ独立して単価項目を設けることの必要性が乏しいと思料された。

 そして、次の事例のように、特に16年度までにおいて契約単価が大幅に変動しているものが見受けられた。また、一般管理費についてみると、契約単価内訳書には独立した項目が設定されていないことなどから、どの単価項目にどの程度一般管理費が計上されているか不明となっていた。

<事例8>

 「会場発言者マイク係」のモデル員数は、平成14年度から16年度まですべて3名であった。そして、この項目の契約単価は14年度から16年度までの間で、5,000円から20,000円までと大きく変動していた。

<事例9>

 「内閣府との事前調整」は、仕様書において対象となる作業の内容が示されていない。そして、この項目の契約単価は平成14年度から18年度までの間で、200,000円から940,900円までと大きく変動していた。

 このような契約単価の決定方法の下では、ある単価を高額に設定した場合、他の単価が低額に設定されることとなることから、ある特定の単価が高額であることが直ちに支払金額の総額の増加となるものではない。しかし、内閣府が関与することなく落札者が契約単価を決定する方法は、落札者が予定価格算定に用いた単価よりも大幅に高い契約単価を設定した項目について精算員数が増加した場合に、当初の想定より大幅に高い費用を負担するリスクを内閣府が負うこととなる。
 そして、モデル員数に比べて精算員数が多くなると予想される項目について、落札者がその項目の単価を意図的に高額に設定するおそれも生じ得ることから、モデル員数の正確な予測が一層重要であるが、前記「イ 仕様書」で記述したとおり、モデル員数と精算員数との間に継続的に後者が前者を上回るなど相当のかい離が生じている状況となっていた。
 単価項目及び契約単価の14年度から18年度までの各年度ごとの推移については、巻末の別表5 のとおりである。

オ 精算

(ア) 員数の指示等の記録について

 単価項目については、契約書付属の仕様書に記載されているモデル員数は仮置きであって、実際のタウンミーティングに当たっての員数は内閣府の指示によるものとされている。また、契約書付属の仕様書において、追加作業についても、内閣府の指示があった場合には、これに従い、速やかに対応することとされ、追加費用は別途協議することとされている。そして、この単価項目に係る業務についての員数の指示や、追加作業を行わせる内閣府の指示がどのように行われているか検査したところ、請負業者に対する指示は適宜口頭で、あるいは打合せを経るなどして伝えられているとしているが、これらの指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものは作成されていなかった。なお、当日の事務作業予定等を取りまとめたものとしてタウンミーティングの実施のために請負業者が事前に作成する運営マニュアルがあるが、これは精算のために作成されるものではなく、また、運営マニュアルの作成後内閣府が追加指示を行っていることもあることなどから、運営マニュアルの記載内容が単価項目に対応していなかったり、内閣府の指示をすべて反映したものとなっていなかったりしていて、員数等の指示の事後的な確認のために使用できるものとはなっていなかった。
 また、追加費用については、内閣府と請負業者の間で別途協議することとされているが、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法、請求に当たって付すべき資料等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録はほとんどの場合において作成されていなかった。

(イ) 単価項目の員数について

 単価項目について、精算員数が本来精算されるべき員数と異なっているものの有無について検査した。そして、前記(ア)で記述したとおり、員数の指示について後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものがなかったこと、また、請負業者が保管している再請負先からの請求書についても、請負業者の説明によれば、再請負先の請求上の員数は請負先と再請負先との交渉の過程で再請負先が実際に調達した員数と異なったものとなる場合があるとのことなどから、検査に当たっては、精算員数に不自然な点がないかに着眼したり、請負業者から当時の請求の実態について事情を聴取したりしながら確認を行った。その結果、次のa、b、cの事態が見受けられた。

 a ハイヤー等の員数の上乗せについて

 表16のとおり、ハイヤー及び閣僚使用車の伴走車(以下「ハイヤー等」という。)の精算台数が運営マニュアルに添付されている閣僚等の行程表又は再請負先からの請求書により確認できた台数と異なっている事態(これに係る精算金額8,413,100円(消費税を除く。以下(イ)において同じ。))が43回のタウンミーティングにおいて見受けられた。

表16 ハイヤー等の台数について
(朝日広告社分)
(単位:台、円)
開催地
精算台数
閣僚等の行程表等による確認台数
開差
精算金額
再請負先への支払金額
開差に係る精算金額
ハイヤー 伴走車 ハイヤー 伴走車 ハイヤー 伴走車
59
足利市
1.7
1
1
1
0.7
0
93,100
124,000
30,100
108
津市
5
8
3
3
2
5
310,000
308,190
160,000
111
松山市
6
3
5
2
1
1
240,000
221,850
50,000
112
熊本市
2
2
2
1
0
1
100,000
86,250
20,000
113
新潟市
2
3
2
2
0
1
120,000
93,000
20,000
114
青森市
2
2
1
1
1
1
100,000
60,000
50,000
121
京丹後市
4
2
2
2
2
0
160,000
221,360
60,000
122
鹿児島市
6
1
4
1
2
0
200,000
179,940
60,000
123
千代田区
6
0
3
0
3
0
180,000
125,660
90,000
124
和歌山市
6
1
3
1
3
0
200,000
287,840
90,000
125
別府市
6
1
3
1
3
0
200,000
251,500
90,000
126
神戸市
6
2
2
1
4
1
220,000
126,000
140,000
127
千代田区
6
1
2
1
4
0
200,000
85,360
120,000
128
大垣市
6
1
1
1
5
0
200,000
90,000
150,000
129
高松市
6
1
2
1
4
0
200,000
93,800
120,000
130
千代田区
6
0
0
0
6
0
180,000
0
180,000
131
松江市
4
1
3
1
1
0
140,000
132,500
30,000
132
横浜市
5
2
2
1
3
1
190,000
160,210
110,000
133
大阪市
4
4
2
2
2
2
200,000
180,000
100,000
134
千代田区
1
1
0
1
1
0
50,000
45,000
30,000
135
宇都宮市
7
3
3
1
4
2
270,000
263,200
160,000
136
広島市
7
4
3
1
4
3
290,000
263,200
180,000
137
静岡市
15
6
3
1
12
5
570,000
518,000
460,000
138
札幌市
4
5
1
3
3
2
220,000
218,900
130,000
139
金沢市
8
4
3
1
5
3
320,000
301,400
210,000
141
鹿児島市
4
2
2
1
2
1
160,000
76,000
80,000
142
福岡市
4
4
2
2
2
2
200,000
187,790
100,000
143
八王子市
4
4
3
2
1
2
200,000
155,800
70,000
144
秩父市
8
5
2
2
6
3
340,000
210,900
240,000
145
港区
2
3
1
0
1
3
120,000
35,000
90,000
146
那覇市
3
7
5
2
-2
5
230,000
177,000
40,000
147
京都市
4
3
2
1
2
2
180,000
170,000
100,000
148
千代田区
4
0
2
0
2
0
120,000
100,000
60,000
149
別府市
3
3
2
1
1
2
150,000
140,000
70,000
150
神戸市
3
3
1
1
2
2
150,000
141,650
100,000
151
枚方市
4
5
3
2
1
3
220,000
212,000
90,000
152
仙台市
3
2
2
1
1
1
130,000
99,500
50,000
153
東大阪市
5
5
3
1
2
4
250,000
126,620
140,000
154
大垣市
5
4
3
1
2
3
230,000
225,000
120,000
155
宮崎市
5
3
3
1
2
2
210,000
180,000
100,000
157
千代田区
4
0
2
0
2
0
120,000
90,000
60,000
158
富山市
4
2
2
1
2
1
160,000
128,000
80,000
計42回
200.7
114
96
50
104.7
64
8,323,100
6,892,420
4,430,100
 表中の金額は消費税を含まない金額である。
 追加作業をしたことによる上乗せ員数(後掲b参照) を控除した後の数字である。
 開差の台数にそれぞれの契約単価を乗じて得た金額である。

(電通分)
(単位:台、円)

開催地
精算台数
閣僚等の行程表等による確認台数
開差
精算金額
再請負先への支払金額
開差に係る精算金額
ハイヤー 伴走車 ハイヤー 伴走車 ハイヤー 伴走車
79
つくば市
4
1
2
1
2
0
90,000
120,000
40,000
 表中の金額は消費税を含まない金額である。
 開差の台数にそれぞれの契約単価を乗じて得た金額である。 

 上記の精算台数は、請負業者の請求台数のとおりに精算されたものであることから、閣僚等の行程表等に記載されている台数より多い台数を請求書に記載した理由を朝日広告社から聴取したところ、次のように説明があった。
 〔1〕 応札した時点で朝日広告社が想定していた配車の条件は、5ナンバー車で最寄りの空港(又は駅)からタウンミーティング会場への単純往復であったところ、TM室の主担当から、3ナンバー車のハイヤーを手配すること、閣僚等の行程に合わせ前日等からの手配や視察等の遠距離移動がある場合でも対応することを指示されたほか、ハイヤー等を現地で調達できず遠方から調達した場合も生じていた。
 〔2〕 〔1〕により要した経費の請求に関し、内閣府に相談したところ、TM室の会計担当から契約単価で割り戻して台数を計上するよう指示され、所要経費に一般管理費を加えた金額を契約単価で割り戻して精算台数を算出した。
 一方、内閣府に対しても上記に関し事情を聴取したところ、上記〔2〕に関しては確認できないとの説明があった。
 そして、朝日広告社が前記の42回分のハイヤー等の調達に関し、ハイヤー等の調達を行った再請負先に支払った金額は、再請負先から朝日広告社への請求書により確認したところ、前記表16(朝日広告社分)のとおり計6,892,420円となっていたが、内閣府と朝日広告社との間で、どのような協議を経て表16(同)に記載された精算台数(これに係る精算金額計8,323,100円)となったかについては、書面による記録がないなどのため、確認できず、その妥当性について検証することは困難な状況であった。
 また、電通から閣僚等の行程表等に記載されている台数より多い台数を請求書に記載した理由を聴取したところ、次のように説明があった。
 〔1〕 ハイヤー等の調達に関し、仕様書では「閣僚等の行きの空港(又は駅)到着から、帰りの空港(又は駅)到着まで、常時直ちに利用可能な状態としておくこと」となっているところ、登壇者2名について、自宅から会場の往復で手配した。
 〔2〕 〔1〕により要した経費の請求に関し内閣府と交渉した結果、ハイヤーの精算台数を4台とすることを認められた。
 一方、内閣府に対しても上記に関し事情を聴取したところ、上記〔2〕に関しては確認できないとの説明があった。
 そして、電通が上記のハイヤー等の調達に関し、ハイヤー等の調達を行った再請負先に支払った金額は、再請負先から電通への請求書により確認したところ、その額は前記表16(電通分)のとおり120,000円となっていたが、内閣府と電通との間で、どのような協議を経て表16(同)に記載された精算台数(これに係る精算金額90,000円)となったかについては、書面による記録がないなどのため、確認できず、その妥当性について検証することは困難な状況であった。
 このように、ハイヤー等については、契約単価の中で行うべき業務と追加作業の区別が明確でなかったり、請負業者が追加作業として行った事務が、請求書において追加項目として明示されず、単価項目の員数に上乗せすることにより請求、精算が行われ、追加費用が明確とならなくなったりしていた事態が見受けられた。
 このような事態が生じていたのは、内閣府において、各契約の仕様書でハイヤー等については「ハイヤー及び伴走車は閣僚等の行きの空港(又は駅)到着から、帰りの空港(又は駅)到着まで、常時直ちに利用可能な状態としておくこと」と定めてはいたが、その車格や標準的な移動距離等を仕様書において明示していなかったこと、追加費用の算定方法等を明確にしていなかったこと、追加費用を追加項目で請求することを明示していなかったことなどによると認められた。

b ハイヤー等以外の追加費用の単価項目への上乗せについて

 上記a以外で本来精算されるべき員数と異なった員数で精算されていた単価項目の有無について、電通及び朝日広告社に対し当時の事情を聴取するなどして検査した。その結果、両社の説明等によれば、電通では15年度の15回、朝日広告社では17年度の11回のタウンミーティングにおいて、いずれも追加作業が、追加項目として明示されず、単価項目の員数に上乗せした請求が行われ、それに沿って精算が行われていた。追加作業及び内閣府への請求の状況を年度別、回別に整理すると巻末の別表6 のとおりであり、上乗せして請求した金額は合計40,710,500円となっていた。
 上記の事態についても、前記のハイヤー等の場合と同様に、追加費用が明確とならなくなっていたものである。
 また、内閣府が支払った費用の妥当性については、内閣府の員数の指示及び追加作業の指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものがないことや、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録がないことなどから、検証することは困難な状況であった。

c  員数が式数で設定されている単価項目の精算が統一的な方法により行われていないものについて

 仕様書において員数を式数で設定しているもののうち、上記bで記述した追加費用が上乗せされていたものを除き、複数式による精算があった項目としては、検査したところ、「託児室」「プロジェクター」「進行台本作成」「タウンミーティング当日議事概要」等が見受けられた。
 このうち、「託児室」及び「タウンミーティング当日議事概要」について、次のように式数の算定方法が仕様書等において明確に示されておらず、統一的な方法で精算が行われていない事態が見受けられた。

(a) 託児室について

 託児室については、各年度の仕様書において、未就学児5名程度収容の部屋を1室借り上げることとされており、その部屋の借上げに要する費用自体は他の会場借上げに関する費用と併せて実費精算することとされている。
 一方、保育士の雇用、ベビーベッド・遊具等の設置を含む託児室の設置(それらの機材等に関する準備、運搬、搬入、設置、当日の調整・操作、片付け、撤去等一切の作業を含む。)に関する費用は、別途独立の項目が設けられ、毎回の契約において、1式当たりの契約単価が定められているが、どのような場合に式数を増加させるかなど、式数の算定方法については明確に示されていなかった。
 そして、託児室の精算員数についてみると、複数式で精算が行われたタウンミーティングが表17のとおり見受けられた。

表17 複数式の計上(託児室)
年度
項目
14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
精算員数が複数式となっていた回数(回)
0
1
12
10
3
複数式の精算により増加した金額(円)
0
50,000
1,080,000
560,000
280,000

 複数式の請求を行った理由は、請負業者の説明によれば、15年度の請負業者である電通では、託児希望者が会場借上げに関し仕様書に記載された5名を超え、これに対応するためとのことであり、また、16年度から18年度までの請負業者である朝日広告社では、手配した保育士・介護士等の派遣した人数をもって式数としたとのことであった。
 なお、内閣府では、18年度の第4回(全体では159回)以降のタウンミーティングに係る分について、精算を行う際には、事前に託児室の利用を希望する者5名を1式として複数式の請求を認めることとした。

(b) タウンミーティング当日議事概要について

 タウンミーティング当日議事概要については、15年度以降の各年度の仕様書において、タウンミーティング(記者会見を除く。)終了後30分以内に電子媒体で原案を納品することとされており、毎回の契約において、1式当たりの契約単価が定められているが、どのような場合に式数を増加させるかなど、式数の算定方法については明確に示されていなかった。
 そして、タウンミーティング当日議事概要の精算員数についてみると、前記「bハイヤー等以外の追加費用の単価項目への上乗せについて」で記述した追加費用がタウンミーティング当日議事概要の項目の員数に上乗せされていたものを除き、複数式で精算が行われたタウンミーティングが、表18のとおり見受けられた。

表18 複数式の計上(タウンミーティング当日議事概要)
年度
項目
14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
精算員数が複数式となっていた回数(回)
0
0
12
3
複数式の精算により増加した金額(円)
0
0
390,000
90,000

 複数式の請求を行った理由は、16年度以降の請負業者である朝日広告社の説明によれば、タウンミーティング当日議事概要に更なる精度と速さを求められたため、ライターを2名に増員し、これにより2式として請求したなどとのことであった。
 一方、電通が請負業者となった15年度においては、タウンミーティング当日議事概要の精算員数はすべて1式であり、これに関し電通の説明によれば、ライターが2名いた場合もあったがその人数にかかわらず、常に1式で請求を行っていたとのことであった。
 なお、内閣府では、18年度の第4回(全体では159回)以降のタウンミーティングに係る分について、精算を行う際には、タウンミーティング当日議事概要については複数式の請求は認めていない。

(ウ) 追加項目について

 追加費用について、単価項目の員数に上乗せして精算を行っていた事態については前記のとおりであるが、多くの場合追加費用は、請求書において、追加項目として明示されて請求されている。
 そして、追加項目として明示されている追加費用は16年度以降の各年度において表19のとおり見受けられ、これらの金額、内容等について検査したところ、各年度ごとに次のようになっていた。

表19 追加項目として明示されている追加費用
年度
回数
請負業者から内閣府への請求金額(円)
内閣府から請負業者への支払金額(円)
16年度
26
36,420,268
36,420,268
17年度
12
33,229,494
33,229,494
18年度
19
52,184,400
35,614,687

a 16年度

 16年度は、26回の開催すべてで請求書に追加項目が計上されており、その総額は3642万余円となっていた。そして、内閣府では、請負業者の朝日広告社からの請求金額と同額の支払を行っていた。
 また、請求書に計上されていた追加項目は、各回ごとに「追加展示施工・運営費」、「追加運営項目関係費」等が設定されていた。
 そして、各回の請求書には、追加項目の内訳が記載されている請求明細書が添付されていたことから、これにより追加項目の内訳をみると、「追加展示施工・運営費」には、タウンミーティングの開催が100回を突破したことを記念して作成されたCD-ROMを来場者が閲覧することができるコーナーの設置等に係る費用や、「追加運営項目関係費」には、閣僚の導線の確保や閣僚控室に必要な備品類の調達等に係る費用が計上されていた。
 しかし、追加作業を行わせる内閣府の指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものがなく、また、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録もなかった。
 また、各回の請求書には、前記の請求明細書のほか、内閣府の指示により、朝日広告社の再請負先のB社から朝日広告社あての「領収明細証明書」も添付されていた。そして、この「領収明細証明書」に記載された金額は、朝日広告社から内閣府への請求書及び請求明細書に記載された金額と一致していたが、朝日広告社に保存されていたB社から朝日広告社への請求書及び朝日広告社の説明によると追加作業に関し朝日広告社からB社に支払った金額は2396万余円となっていて、上記の金額と一致していなかった。
 上記について事例を示すと次のとおりである。

<事例10>

 平成16年度に京都府京丹後市で行われた第121回タウンミーティングにおいて、請負業者の朝日広告社は、「追加展示施工・運営費」として1,345,800円及び「追加運営項目関係費」として468,100円、計1,813,900円(消費税を除く。以下事例10において同じ。)を、追加項目として明示して内閣府に請求していた。
 そして、請求書に添付された朝日広告社からの請求明細書によれば、「追加展示施工・運営費」の内訳は、プラズマディスプレイ、展示パネル等を内容とする「100回記念CD-ROM閲覧コーナー」として682,000円、展示パネルを内容とする「構造改革パネルコーナー」として180,000円、プラズマディスプレイ等を内容とする「国土交通省コーナー」として352,000円、「設置・撤去・運搬」として131,800円となっていた。また、「追加運営項目関係費」の内訳は、前日準備スタッフ人件費等を内容とする「運営関係」として228,150円、VTR用再生機材等を内容とする「映像関係」として221,000円、設営物配送費を内容とする「配送関係」として18,950円となっていた。
 そして、請求書には朝日広告社の再請負先のB社から朝日広告社あての「領収明細証明書」も添付されており、その「領収明細証明書」に記載された金額は、朝日広告社から内閣府への請求書及び請求明細書に計上された金額と一致していた。
 一方、朝日広告社に保存されていたB社から朝日広告社への請求書及び朝日広告社の説明によると追加作業に関し朝日広告社からB社に支払った金額は、1,213,780円となっていた。

b 17年度

 17年度においては、当初の11回の開催は、追加費用を単価項目の員数に上乗せした請求が行われていたことから追加項目として請求されているものはなかったが、その後の12回の開催すべてで請求書に追加項目が計上されており、その総額は3322万余円となっていた。そして、内閣府では、請負業者の朝日広告社からの請求金額と同額の支払を行っていた。
 また、追加項目として、16年度と同様に「追加展示施工・運営費」、「追加運営項目関係費」等の項目が設定されていた。
 しかし、17年度についても16年度と同様、追加作業を行わせる内閣府の指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものがなく、また、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録もほとんどの場合においてなかった。
 なお、17年度においては、各回の請求書に朝日広告社の再請負先のB社から朝日広告社あての「領収明細証明書」は添付されていなかった。

c 18年度

 18年度は、19回の開催すべてで、16、17両年度と同様に「追加展示施工・運営費」、「追加運営項目関係費」等の追加項目が設定されており、これらに係る請求金額は5218万余円となっていた。しかし、内閣府では、18年度の第4回(全体では159回)以降の追加項目については、員数は運営マニュアル等を通じた内閣府の指示・承諾の有無や機器・設備配置状況等が分かる資料により確認することとし、その価格(単価)については再請負先の会社が朝日広告社にあてた請求書等により確認して、実費精算を行うなどとして査定したことから、支払金額は3561万余円となっていた。
 なお、内閣府が上記の査定に用いたB社から朝日広告社あての「ご請求明細書」等と朝日広告社に保存されていたB社から朝日広告社への請求書は異なったものであり、当該請求書及び朝日広告社の説明によると追加作業に関し朝日広告社からB社に支払った金額は3425万余円となっていた。

 上記のとおり、追加項目として明示されている追加費用は16年度以降多額に上っているが、内閣府が支払った費用の妥当性については、各年度とも追加作業を行わせる内閣府の指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものがなく、また、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録もほとんどの場合においてないことなどから、検証することは困難な状況であった。

カ 18年度の第4回以降に実施されたタウンミーティングに係る精算

 内閣府では、タウンミーティングの運営に関し、国会等において様々な問題点が指摘されたことにかんがみ、18年11月14日にタウンミーティング調査委員会を設置した。同委員会は、13年6月から18年9月までに実施されたタウンミーティングについて調査を行い、18年12月13日に調査報告書を公表した。
 内閣府では、上記の調査報告書において精算業務の適正化に向けた措置を速やかに講じるよう指摘されたことなどを踏まえ、同調査報告書公表時に未精算であった18年度の第4回以降のタウンミーティング16回分の精算に当たっては、員数、金額等について、運営マニュアル等を通じた内閣府の指示の有無や実際に施工した再請負先の会社から朝日広告社にあてた請求書等の客観的資料を基に裏付け・確認されるものをもって、厳格に精算を行うこととした。
 そして、例えばハイヤー等については、朝日広告社を通じて、実際に配車したハイヤー会社から朝日広告社の再請負先の会社への請求書を特に徴取し、それにより実費精算を行ったり、また、追加費用については、再請負先の会社が朝日広告社にあてた請求書を徴取して、それにより実費精算を行ったりなどして、請求金額211,359,064円に対して178,968,739円を支払っていた。

(3)謝礼金について

 13年度から18年度までのタウンミーティングの開催に当たり、民間人有識者等に対し謝礼金を支払っているものがある。この謝礼金の支払状況について検査したところ、次のようになっていた。

ア 13年度における謝礼金の支払

 13年度においては、電通から内閣府に提出された請求明細書に、各回の開催ごとに「出演者謝礼」という項目があり、その総額は計11,719,287円(1回の開催で最高908,166円、最低118,000円、平均約23万円。消費税を除く。以下(3)において同じ。)であった。
 また、どのように「出演者謝礼」の算定を行ったかについては、請負業者である電通の説明によれば、各地方新聞社等が登壇者、コーディネーター、司会者、手話通訳者等に関し支払った費用を集計するなどしたものであった。

イ 14年度以降における謝礼金の支払

 仕様書及び契約単価内訳書では、民間人有識者等に対する謝礼金については内閣府が指定した単価が契約単価となっていて、その金額は「民間人有識者謝礼金」は30,000円、「依頼登壇者謝礼金等」は20,000円、「その他の協力者謝礼金等」は5,000円であった。
 そして、その支払状況を領収書等により確認したところ、表20のとおりとなっていた。

表20 謝礼金支払状況
年度
民間人有識者謝礼金(30,000円)
依頼登壇者謝礼金等(20,000円)
その他の協力
者謝礼金等
(5,000円)
合計
14
9名
270,000円
5名
100,000円
29名
145,000円
43名
515,000円
16名
480,000円
4名
80,000円
13名
65,000円
33名
625,000円
15年度
26名
780,000円
1名
20,000円
15名
75,000円
42名
875,000円
16年度
36名
1,080,000円
8名
40,000円
44名
1,120,000円
17年度
30名
900,000円
30名
900,000円
18年度
31名
930,000円
31名
930,000円
合計
148名
4,440,000円
10名
200,000円
65名
325,000円
223名
4,965,000円

 また、14年度以降の謝礼金の支払状況を上記に加え、民間人有識者等への交通費等並びにコーディネーター、司会者及び手話通訳者に係る支払金額を含めて13年度の「出演者謝礼」と比較した1回当たりの平均金額は表21のとおりとなっていた。

表21 謝礼金等支払状況
年度
支払金額
回数
1回当たり平均金額
13年度
前期
4,378,298円
16回
273,643円
後期
7,340,989円
34回
215,911円
14年度
前期
1,940,040円
11回
176,367円
後期
2,000,960円
15回
133,397円
15年度
5,480,700円
28回
195,739円
16年度
6,908,850円
26回
265,725円
17年度
5,275,860円
23回
229,385円
18年度
4,587,420円
19回
241,443円
 平成17年度の支払金額には、タウンミーティングの延期により生じた費用が含まれている。