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情報通信格差是正事業等の実施及び経理が不当と認められるもの


(8)−(12) 情報通信格差是正事業等の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)総務本省 (項)総務本省
(項)情報通信格差是正事業費
部局等 総務本省
補助の根拠 予算補助
補助事業 情報通信格差是正
(1) 地域イントラネット基盤施設整備
電気通信格差是正
(2) 新世代地域ケーブルテレビ施設整備
(3) 地域インターネット導入促進基盤整備
補助事業の概要 地域における高度情報化社会の均衡ある発展を図るために、高度情報通信ネットワーク等先導的な情報通信基盤となる施設等を整備するもの
補助事業者 (1) 市2(2事業主体)
(2) 県1
(3) 市1、町1(2事業主体)
間接補助事業者 (2) 市1、町1
間接補助事業者
(事業主体)
(2) 第三セクター1
事業費の合計 1,467,979,757円 (平成15年度〜17年度)
上記に対する国庫補助金交付額の合計 483,612,000円
不当と認める事業費 30,423,660円 (平成15年度〜17年度)
不当と認める国庫補助金交付額 13,588,651円 (平成15年度〜17年度)

1 補助金の概要

 総務省は、地域における情報基盤を整備して高度情報化社会の均衡ある発展を図るために、情報通信格差是正事業又は電気通信格差是正事業の一環として、次のような事業を行う事業主体に対して、その事業に要する経費の一部として情報通信格差是正事業費補助金又は電気通信格差是正事業費補助金を交付している。

(1) 地域イントラネット基盤施設整備事業

 地域イントラネット基盤施設整備事業は、都道府県、市町村、連携主体(複数の市町村にまたがる区域において、都道府県又は市町村で構成される事業主体)等が地域におけるLAN(地域イントラネット)等の施設及び設備を整備するものであり、その補助対象経費は、当該事業に必要なセンター施設、光ファイバケーブル(以下「光ケーブル」という。)等から成る伝送施設、情報端末、カメラ、プロジェクター等から成る双方向画像伝送装置(以下「テレビ会議装置」という。)、送受信装置等の整備に要する経費等とされていて、保守等に係る経費は補助の対象とならないこととなっている。その補助金の交付額は、当該事業を合併後の市町村が合併年度等に行う場合及び連携主体が行う場合は補助対象経費の2分の1に相当する額となっている。

(2) 新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業

 新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業は、市町村又は第三セクターが地域住民に映像情報等を提供するケーブルテレビの施設及び設備を整備するものであり、その補助対象経費は、当該事業に必要なセンター施設、光ケーブル等から成る線路設備、インターネット設備等の整備に要する経費等とされている。その補助金の交付額は、当該事業を第三セクターが行う場合は施設を整備する地域の区分に応じて補助対象経費の4分の1、6分の1又は8分の1に相当する額となっており、都道府県、市町村を通じて交付されることとなっている。

(3) 地域インターネット導入促進基盤整備事業

 地域インターネット導入促進基盤整備事業は、過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)や山村振興法(昭和40年法律第64号)に基づき過疎地域や振興山村に指定されている地域等(以下「特定地域」という。)に該当する市町村が、各種行政分野においてインターネットを活用して地域住民に行政サービスを提供するなどの施設及び設備を整備するものであり、その補助対象経費は、当該事業に必要な伝送施設、テレビ会議装置、送受信装置等の整備に要する経費とされている。なお、事業主体が当該補助事業に併せて単独事業(事業主体が国の補助金等を受けずに実施する事業)を実施する場合には、補助事業と単独事業に共通して要した経費を、補助事業と単独事業との割合等により案分して補助対象経費を算定することになっている。その補助金の交付額は、当該事業を特定地域に該当する市町村が行う場合は補助対象経費の2分の1に相当する額となっている。
 そして、事業主体は事業内容やテレビ会議システム等の利用見込み件数等を記載した交付申請書を総務省に提出して、同省はその内容を審査した上で補助金の交付決定を行うこととなっている。また、事業主体は補助事業の完了後に実績報告書を同省に提出して、同省はその内容の審査を行うとともに必要に応じて現地調査等を行うこととなっている。
 本件事業のうち前記(1)及び(3)の事業については、平成14年次の会計実地検査において、テレビ会議装置の利用が低調な事態等が見受けられたので、本院がその利用状況等を改善するよう指摘したところ、総務省が事業主体に対して需要を的確に把握することを周知徹底するなどの処置を講じたことから、平成13年度決算検査報告において、当該事態を「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として掲記している。

2 検査の結果

 本院は、総務省、15県並びに同管内の市町村、連携主体及び第三セクターにおいて会計実地検査を行った。そして、市町村、連携主体及び第三セクターの計121事業主体が14年度から19年度までの間に実施した170件の補助事業について、合規性、経済性、有効性等の観点から、補助事業に併せて単独事業を実施する場合の補助対象経費は適切に算定されているか、上記の処置が講じられた後に整備されたテレビ会議装置は所期の目的に沿って利用されていて補助の目的は達せられているかなどに着眼して、実績報告書等の書類により検査した。検査したところ、5事業主体が実施した5件の補助事業(補助対象事業費計1,467,979,757円)において、事業主体が、補助対象経費を補助事業と単独事業との割合で案分して算定していなかったり、テレビ会議装置を全く利用していなかったりなどしていた。このため、補助対象事業費30,423,660円が過大になっていたり、補助の目的を達していなかったりしていて、これに係る国庫補助金相当額13,588,651円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、総務省において当該事業に係る事業主体への指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを事業主体の所在する県別に示すと次のとおりである。

県名 事業主体 補助事業 年度 事業費
(補助対象事業費)
左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金 摘要
千円 千円 千円 千円
(8) 福島県 南会津郡只見町 地域インターネット導入促進基盤整備 17 48,499
(48,499)
24,249 11,026 5,513 精算過大

 この補助事業は、上記の事業主体が、防災映像情報提供システム等を構築するために、町庁舎や地区センター等の施設へのサーバや防災カメラの整備、これらの施設を接続する光ケーブルの敷設工事等を単独事業の実施に併せて行ったものである。事業主体は、本件事業費を48,499,500円(補助対象事業費同額)として、国庫補助金24,249,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、光ケーブルの材料費やその敷設工事等の実施設計費に係る補助対象経費の算定に当たって、補助事業と単独事業がそれぞれで使用する心数や事業費の割合により案分すべきであったのに、補助事業で使用する心数の光ケーブルのみを敷設した場合における材料単価を基に算定した材料費や実施設計費の全額を補助対象経費としていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は37,472,887円となり、11,026,613円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金5,513,000円が過大に交付されていた。

(9) 和歌山県 橋本市 (注) 地域イントラネット基盤施設整備 17 155,165
(155,165)
77,582 3,146 1,573 補助の対象外

 この補助事業は、上記の事業主体が、行政情報提供・行政相談システム等を構築するために、センター施設や公共施設への無停電電源装置、情報端末等の整備等を行ったものである。事業主体は、本件事業費を155,165,144円(補助対象事業費同額)として、国庫補助金77,582,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、補助の対象とならない無停電電源装置等の保守等に係る経費3,146,594円を上記の補助対象事業費に含めていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は152,018,550円となり、前記の補助対象事業費155,165,144円との差額3,146,594円に係る国庫補助金1,573,000円が過大に交付されていた。

 平成18年2月28日以前は橋本市及び伊都郡高野口町から成る連携主体


(10) 岡山県 岡山ネットワーク株式会社 新世代地域ケーブルテレビ施設整備 15 1,001,500
(1,001,500)
250,375 6,493 1,624 補助金の過大交付

 この補助事業は、上記の事業主体が、既設線路設備の広帯域化及び線路設備の新設のために、岡山市及び瀬戸町(平成19年1月22日以降は岡山市)において、光ケーブルを敷設するなどしたものである。事業主体は、本件事業費を1,001,500,000円(補助対象事業費同額)として、国庫補助金250,375,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記の設備等を整備するための工事費について、実態に即した202日の工期及び11,497mの光ケーブルの敷設長を基に算定すべきであるのに、誤って、予定工期である315日及び6,017mが重複計上となっている17,514mを基にこれを算定していたため工事費が過大となっており、その結果、補助対象経費が過大に算定されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は995,006,850円となり、前記の補助対象事業費1,001,500,000円との差額6,493,150円に係る国庫補助金相当額1,624,000円が過大に交付されていた。

(11) 広島県 三原市 (注) 地域インターネット導入促進基盤整備 16 43,991
(43,991)
21,995 7,150 3,575 目的不達成

 この補助事業は、上記の事業主体が、教育TV会議システム等を構築するために、情報センターへのサーバ等の整備や学校施設へのテレビ会議装置(6台)等の整備等を行ったものである。事業主体は、本件事業費を43,991,913円(補助対象事業費同額)として、国庫補助金21,995,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記のテレビ会議装置について、その需要を的確に把握せずにこれを整備していて、また、整備後においても利用状況の改善策を講じなかったため、事業完了の平成17年3月から20年2月の会計実地検査までの間(35か月間)、これを全く利用していない状況であった。
 したがって、本件事業により整備した上記のテレビ会議装置(整備費7,150,500円)は補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額3,575,250円が不当と認められる。

 平成17年3月21日以前は賀茂郡大和町


(12) 徳島県 阿波市 地域イントラネット基盤施設整備 17 264,314
(218,823)
109,411 2,606 1,303 目的不達成

 この補助事業は、上記の事業主体が、複数校で双方向の遠隔授業を行うなどの学校間コミュニケーションシステム等を構築するために、センター施設の整備や学校施設へのテレビ会議装置(15台)等の整備等を行ったものである。事業主体は、本件事業費を264,314,000円(補助対象事業費218,823,200円)として、国庫補助金109,411,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記のテレビ会議装置について、その需要を的確に把握せずにこれを整備していて、また、整備後においても利用状況の改善策を講じなかったため、事業完了の平成18年3月から20年5月の会計実地検査までの間(25か月間)、これを全く利用していない状況であった。
 したがって、本件事業により整備した上記のテレビ会議装置(整備費2,606,803円)は補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額1,303,401円が不当と認められる。

(8)−(12)の計 1,513,470
(1,467,979)
483,612 30,423 13,588