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自動車等を使用して通勤する職員に対する通勤手当の支給が過大となっているもの


(14)−(27) 自動車等を使用して通勤する職員に対する通勤手当の支給が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)矯正官署 (項)矯正官署
部局等 14刑事施設
自動車等に係る通勤手当の概要 自動車等を使用して通勤する職員が一定の要件を満たした場合に、通勤に係る手当を支給するもの
通勤手当の支給額 894,998,593円 (平成15年4月〜20年9月)
上記のうち過大となっている通勤手当の支給額 30,045,700円  

1 通勤手当の概要

(1) 支給要件の概要

 全国の刑事施設、少年院及び少年鑑別所(以下、これらを合わせて「刑事施設等」という。)は、国家公務員法(昭和22年法律第120号)、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「給与法」という。)等に基づき、職員に対して俸給及び通勤手当等の諸手当を支払っている。
 そして、給与法によれば、自動車その他の交通の用具(以下「自動車等」という。)を使用することを常例とする職員に支給する通勤手当(以下「通勤手当」という。)については、徒歩により通勤するものとした場合の距離が片道2km以上であるときなどに支給することとされており、その支給額は、次表の区分に応じて定められることとなっている。

 自動車等の使用距離別の通勤手当

使用距離
(片道)
5km未満 5km以上
10km未満
10km以上
15km未満
15km以上
20km未満
20km以上
25km未満
25km以上
30km未満
30km以上
35km未満
35km以上
40km未満
40km以上
45km未満
45km以上
50km未満
50km以上
55km未満
55km以上
60km未満
60km以上
手当額 2,000円 4,100円 6,500円 8,900円 11,300円 13,700円 16,100円 18,500円 20,900円 21,800円 22,700円 23,600円 24,500円

 給与法の改正により平成16年4月から45km以上の4区分が追加された。

(2) 通勤手当の認定

 刑事施設等は、通勤手当の支給に当たり、給与法第12条等に定められた所定の基準(以下「認定基準」という。)によって、通勤の方法、経路、距離及び支給額の認定を行うこととなっている。
 認定基準によれば、徒歩により通勤した場合の距離及び自動車等の使用距離(以下、両者を合わせて「計測距離」という。)は、一般に利用することができる経路のうち、最短の経路の長さとされている。そして、通勤手当の認定を行う者(以下「認定者」という。)は、経路の長さを測定するに当たり、職員から提出された通勤届等を基に、実測によるほか、便宜的に一定条件の下で国土地理院発行の地形図等を用いて測定できることとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、通勤手当が認定基準に照らして適切に認定されているか、支給要件や支給額に関する事後確認は適切に実施されているかなどに着眼して検査した。
 検査に当たっては、全国の178刑事施設等における平成19年度の通勤手当を対象として、23刑事施設等において、通勤手当の認定の基礎となる資料の提示を受けたり、計測すべき距離を実測したりするなどの方法により会計実地検査を行った。また、それ以外の155刑事施設等については、認定の基礎となる資料等を取り寄せて検査を行った。そして、19年度分の通勤手当について適切でない事態が見受けられた者については、職員別給与簿が保存されている15年度から18年度までの4か年度分及び20年4月から9月までの6か月分についても検査することとした。

(2) 検査の結果

 検査したところ、認定者は、一般に利用することができる経路のうち最短の経路を認定すべきであるのに、職員が届け出た経路や通勤届に記載した距離を十分に精査することなく認定するなどしていたため、経路や計測距離の認定が適切に行われていないものが見受けられた。
 そこで、改めて正しい経路及び計測距離により通勤手当を算定すると、14刑事施設の276人に係る通勤手当額は、自動車等の使用距離区分が下位の区分に該当することとなり、この結果、15年4月から20年9月までの間においてこれらの職員に対して支給された通勤手当のうち、計30,045,700円が過大に支給されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、認定者が職員が届け出た経路及び通勤届に記載した距離を十分に精査することなく認定していたこと及び刑事施設が事後確認を十分行っていなかったことなどによると認められる。
 なお、これらの過大支給額を刑事施設ごとに示すと次のとおりである。

刑事施設名 通勤手当受給者数 過大受給者数 通勤手当支給額 左に係る過大支給額
(14) 函館少年刑務所 70 11 16,237,608 1,272,400
(15) 千葉刑務所 105 15 63,409,029 1,568,300
(16) 新潟刑務所 132 17 64,231,610 2,200,300
(17) 長野刑務所 87 18 50,752,317 2,301,600
(18) 神戸刑務所 125 34 60,163,929 3,406,400
(19) 加古川刑務所 72 11 43,903,852 1,180,800
(20) 岡山刑務所 129 16 71,016,580 1,575,300
(21) 徳島刑務所 130 18 61,109,995 1,548,000
(22) 高松刑務所 133 9 63,501,806 1,136,100
(23) 福岡刑務所 224 44 100,571,316 4,605,000
(24) 宮崎刑務所 114 11 50,117,080 1,204,800
(25) 鹿児島刑務所 124 11 74,888,640 1,053,300
(26) 沖縄刑務所 173 36 85,240,106 4,069,100
(27) 福岡拘置所 122 25 89,854,725 2,924,300
(14)−(27)の計 1,740 276 894,998,593 30,045,700