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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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職員の不正行為による損害が生じたもの


(33)−(36) 職員の不正行為による損害が生じたもの

会計名及び科目 一般会計  国税収納金整理資金 (款)還付金
   (項)各税還付金
部局等 8税務署(職員4人)
不正行為期間 平成5年7月〜19年6月
損害金の種類 損害金の種類 還付金
損害額 343,116,142円

 本院は、8税務署における不正行為について、会計検査院法第27条の規定に基づく財務大臣からの報告及び予算執行職員等の責任に関する法律(昭和25年法律第172号)第4条第4項の規定に基づく同大臣からの通知を受けるとともに、東京、大阪、福岡各国税局及び8税務署において、合規性等の観点から不正行為の内容がどのようなものであるかなどに着眼して会計実地検査を行った。
 上記の不正行為により損害が生じたものは4件(同一人が複数の税務署において損害を与えたものがあるため、件数と税務署数は符合しない。)、損害額で343,116,142円あり、いずれも不当と認められる。
 これらについては、平成20年9月末現在でいずれも損害の補てんが終わっていない(うち補てん済みの額49,493,204円)。
 この4件を示すと、次のとおりである。

部局等 不正行為期間 損害額
年月
(33)  雪谷税務署
 大和税務署
18.14から
19.16まで
3,602,003

 本件は、上記の両部局において、財務事務官郡某が、国税資金支払命令官等の補助者として国税の還付事務に従事中、国税の各種事務を処理するシステムの端末機を不正に使用することにより、自己名義の預金口座を振込先とする架空の還付金データを入力して、虚偽の還付金の支払決議書等を作成するなどして当該口座に振り込ませて、還付金計3,602,003円を領得したものである。
 なお、本件損害額は、平成20年9月末現在で補てんが全くされていない。

(34)  東村山税務署
 小田原税務署
 甲府税務署
15.17から
17.16まで
17,459,581

 本件は、上記の各部局において、財務事務官(平成13年1月5日以前は大蔵事務官)横山某が、国税資金支払命令官の補助者等として国税の還付事務に従事中、国税の各種事務を処理するシステムの端末機を不正に使用することにより、自己名義の預金口座を振込先とする架空の還付金データを入力して、虚偽の還付金の支払決議書等を作成するなどして当該口座に振り込ませて、還付金計17,459,581円を領得したものである。
 なお、本件損害額は、20年9月末現在で補てんが全くされていない。

(35)  左京税務署
 中京税務署
11.18から
19.14まで
314,432,344

 本件は、上記の両部局において、財務事務官(平成13年1月5日以前は大蔵事務官)山本某が、国税資金支払命令官の代行機関の補助者等として国税の還付事務に従事中、国税の各種事務を処理するシステムの端末機を不正に使用することにより、実在する法人を支払先とする郵便局払の架空の還付金データを入力して、虚偽の還付金の支払決議書等を作成するなどした上で、郵便局で当該法人の代表者を装い還付金の支払を受けて、還付金計314,432,344円を領得したものである。
 なお、本件損害額については、20年9月末までに43,807,553円が同人から返納されている。

(36)  大牟田税務署 19.16 7,622,214

 本件は、上記の部局において、財務事務官今道某が、国税資金支払命令官の補助者として国税の還付事務に従事中、国税の各種事務を処理するシステムの端末機を不正に使用することにより、自己名義の預金口座を振込先とする架空の還付金データを入力して、虚偽の還付金の支払決議書等を作成するなどして当該口座に振り込ませて、還付金計7,622,214円を領得したものである。
 なお、本件損害額については、平成20年9月末までに5,685,651円が同人から返納されている。

(33)−(36)の計 4件 343,116,142

 なお、国税庁は、平成18年度決算検査報告に掲記した柏、麻布両税務署における不正行為が発覚した後の19年2月に、全国の12国税局等に対して還付事務の適正化を図るための指示文書を発するなどしたが、その後も行われていた雪谷、左京、大牟田各税務署における不正行為を含む8税務署における不正行為が発覚したことから、同年12月に新たな適正化を図るための指示文書を発したり、国税の各種事務を処理するシステムを改善したりするなどの再発防止策を執っている。
 本院としては、国税庁における再発防止策の実施状況について引き続き注視していくこととする。