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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

障害者自立支援給付費負担金の経理が不当と認められるもの


(208)−(210)障害者自立支援給付費負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)障害者自立支援給付諸費
部局等 2県
国庫負担の根拠 障害者自立支援法(平成17年法律第123号)
補助事業者
(事業主体)
3市
障害者自立支援給付費負担金の概要 障害福祉サービス等を受けた障害者等に対して、市町村が介護給付費等を支給した場合に、その支給に要する費用の一部を負担するもの
上記に対する国庫負担金交付額 469,158,054円 (平成18年度)
不当と認める国庫負担金交付額 13,737,253円 (平成18年度)

1 負担金の概要

 障害者自立支援給付費負担金(以下「負担金」という。)は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づき、都道府県知事が指定する障害福祉サービス事業者等から居宅介護、短期入所、就労移行支援等の障害福祉サービス(以下「指定障害福祉サービス」という。)等を受けた障害者又は障害児(以下「障害者等」という。)に対して、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が介護給付費、訓練等給付費等(以下「自立支援給付費」という。)を支給した場合に、その支給に要する費用の一部を国が負担するものである。自立支援給付費は、当該指定障害福祉サービス等に通常要する費用につき、厚生労働大臣が定めた基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額となっており、残りの額は原則として障害者等が負担する(以下、この額を「利用者負担額」という。)こととなっており、利用者負担額は負担金の交付対象とはならない。
 障害者自立支援法による制度は、それまでの身体障害、知的障害等の障害の種類ごとに異なる法律に基づいて行われていた支援費制度に代えて、一元的に福祉サービス等を提供する制度として、平成18年4月に創設されたものである。
 そして、負担金の交付額については、交付要綱等に基づき、次のように算定することとなっている。
〔1〕  所定の方式によって算定した額の100分の90に相当する額等と、当該自立支援給付費の支給に要した費用(以下「対象経費の実支出額」という。)から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕  〔1〕 により選定された額を国庫負担対象事業費として補助率100分の50を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、それまでの支援費制度のうち、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)等に基づく指定施設支援等に係る給付(以下「旧法施設支援費」という。)は、18年9月までは身体障害者福祉法等の規定により身体障害者保護費国庫負担金等の交付対象であったが、同年10月以降は、障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスに要する費用として負担金の交付対象となっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、国庫負担対象事業費の算定が適正に行われているかに着眼して、24都道府県の67市区町において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査の結果、2県の3事業主体において自立支援給付費に係る国庫負担対象事業費27,474,507円が過大に算定されるなどしており、これに係る国庫負担金13,737,253円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において、対象経費の実支出額の算定に当たり、交付要綱に基づく国庫負担対象事業費の範囲及び計数について調査確認が十分でなかったこと、県において、適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを事業主体別に示すと次のとおりである。

県名 事業主体 年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金 摘要
千円 千円 千円 千円
(208) 静岡県 富士市 18 518,243 259,121 14,868 7,434 過大交付

 富士市は、対象経費の実支出額に、負担金の交付対象とならない平成18年4月から9月までの旧法施設支援費を含めるなどしていた。このため、国庫負担対象事業費が14,868,040円過大に算定されていた。
 なお、同市は、上記の旧法施設支援費について、身体障害者保護費国庫負担金等の対象経費として別途計上していた。
 したがって、適正な国庫負担対象事業費に基づいて国庫負担金を算定すると251,687,480円となり、交付額との差額7,434,020円が過大となっていた。

(209) 伊豆の国市 18 114,127 57,063 2,314 1,157 精算過大

 伊豆の国市は、対象経費の実支出額の算定に当たり、介護給付費のうち短期入所費について集計を誤っていた。このため、国庫負担対象事業費が2,314,599円過大に精算されていた。
 したがって、適正な国庫負担対象事業費に基づいて国庫負担金を算定すると55,906,518円となり、交付額との差額1,157,299円が過大となっていた。

(210) 大分県 日田市 18 301,480 150,740 10,291 5,145 過大交付

 日田市は、対象経費の実支出額に、負担金の交付対象とならない利用者負担額を含めるなどしていた。このため、国庫負担対象事業費が10,291,868円過大に算定されていた。
 したがって、適正な国庫負担対象事業費に基づいて国庫負担金を算定すると145,594,393円となり、交付額との差額5,145,934円が過大となっていた。

(208)−(210)の計 933,851 466,925 27,474 13,737