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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金

強い農業づくり交付金による農業・食品産業強化対策整備事業の実施に当たり、交付の対象とならない施設の工事費を含めるなどして交付額を算出していたため、同交付金が過大に交付されているもの


(731) 強い農業づくり交付金による農業・食品産業強化対策整備事業の実施に当たり、交付の対象とならない施設の工事費を含めるなどして交付額を算出していたため、同交付金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農業・食品産業強化対策費
部局等 九州農政局
交付の根拠 予算補助
補助事業者 鹿児島県
間接補助事業者 鹿児島県川辺郡知覧町(平成19年12月1日以降は南九州市)
間接補助事業者
(事業主体)
有限会社サンエッグ
交付金事業 農業・食品産業強化対策整備
交付金事業の概要 産地競争力を強化することを目的として、平成18年度に、鶏卵処理施設における処理の効率化、品質の向上等のための施設整備を行うもの
事業費 861,048,500円 (うち交付対象事業費796,876,852円)
上記に対する交付金交付額 298,953,000円  
不当と認める交付対象事業費 30,209,479円  
不当と認める交付金相当額 10,000,247円  

1 交付金事業の概要

 この交付金事業は、有限会社サンエッグ(鹿児島県川辺郡知覧町(平成19年12月1日以降は南九州市)。以下「会社」という。)が、強い農業づくり交付金による農業・食品産業強化対策整備事業の一環として、産地競争力を強化することを目的として、18年度に、鶏卵処理施設4,256.7m 、通路の舗装等を整備したものである。
 会社は、強い農業づくり交付金交付要綱(平成17年16生産第8261号農林水産事務次官依命通知)、強い農業づくり交付金実施要領(平成17年16生産第8262号大臣官房国際部長、総合食料局長、生産局長、経営局長通知。以下「実施要領」という。)等に基づき、本件交付金事業を事業費861,048,500円(うち交付対象事業費796,876,852円)で実施したとして、川辺郡知覧町を通じて鹿児島県に実績報告書を提出して、同県は国に実績報告書を提出していた。そして、同県は、国から交付金298,953,000円の交付を受けて、同町を通じて会社に同額の補助金を交付していた。
 実施要領等によれば、鶏卵処理施設のうち交付金の交付対象施設は、鶏卵の洗浄等の作業を行う洗卵洗浄室、洗卵選別包装室、冷蔵庫室等の鶏卵処理における洗卵選別の衛生保持機能に一体として必要な施設とされており、また、通路の舗装等は交付対象施設とされていない。

2 検査の結果

 本院は、鹿児島県、川辺郡知覧町及び会社において、合規性等の観点から、交付対象事業費は適正に算定されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件交付金事業について、実績報告書、設計図面等の書類及び現地の状況を検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

(1) 交付の対象とならない施設を含めていたもの

 会社は、交付対象施設に、代金決済室及び代金決済書類保管室計186.0m 並びに鶏卵を運搬するトラック等が使用する通路の舗装等を含めていた。しかし、代金決済室及び代金決済書類保管室(工事費16,752,436円)は、会計等の事務を専門に行う事務室であり、洗卵選別の衛生保持機能に一体として必要な施設であるとは認められず、また、通路の舗装等(工事費13,173,300円)は、前記のとおり交付対象施設とされていないのに、これらに係る工事費を交付対象事業費に含めて交付金の額を算定していたのは適切とは認められない。

(2) 交付対象外施設との共用部分に係る工事費を案分していなかったもの

 会社は、鶏卵処理施設4,256.7m のうち会議室等及び研修室計181.2m を交付対象外施設として洗卵洗浄室等の交付対象施設と合体して整備していたが、玄関・ホール等計137.0m の共用部分に係る工事費12,343,664円を、交付対象施設と交付対象外施設の延床面積の割合により案分すべきであったのに、案分せずにすべてを交付対象事業費に含めて交付金の額を算定していたのは適切とは認められない。
このような事態が生じていたのは、事業主体である会社において、交付対象施設の範囲についての認識が十分でなかったこと、同町において、本件交付金事業に対する審査等が十分でなかったこと、同県において、本件交付金事業の審査、確認及び事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、適正な交付対象事業費は766,667,373円となり、前記の交付対象事業費796,876,852円との差額30,209,479円に係る交付金相当額10,000,247円が過大に交付されていて、不当と認められる。