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  • 平成19年度|
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  • 補助金

公営住宅において高齢者に対する福祉サービスを提供するために整備された高齢者生活相談所が、整備目的に沿った利用がされておらず、補助の目的を達していないもの


(796) 公営住宅において高齢者に対する福祉サービスを提供するために整備された高齢者生活相談所が、整備目的に沿った利用がされておらず、補助の目的を達していないもの

会計名及び科目
(2) 一般会計 (組織)建設本省 (項)住宅建設等事業費
(2) 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)住宅建設等事業費
部局等 滋賀県
補助の根拠 公営住宅法(昭和26年法律第193号)
補助事業者
(事業主体)
滋賀県栗東市(平成13年9月30日以前は栗太郡栗東町)
補助事業 シルバーハウジング・プロジェクトによる公営住宅整備
補助事業の概要 高齢者の生活特性に配慮した住宅及び附帯施設の供給並びに福祉サービスの提供を行う公営住宅を整備する事業
事業費
(1) 539,175,000円 (平成10、11両年度)
  (うち国庫補助対象額536,130,000円)
(2) 662,630,300円 (平成13、14両年度)
  (うち国庫補助対象額654,660,000円)
1,201,805,300円 (うち国庫補助対象額1,190,790,000円)
上記に対する国庫補助金交付額
(1) 268,065,000円  
(2) 327,330,000円  
595,395,000円  
不当と認める事業費
(1) 9,600,000円 (平成10、11両年度)(全額国庫補助対象額)
(2) 13,490,520円 (平成13、14両年度)
  (うち国庫補助対象額13,328,299円)
23,090,520円 (うち国庫補助対象額22,928,299円)
不当と認める国庫補助金相当額
(1) 4,800,000円 (平成10、11両年度)
(2) 6,664,149円 (平成13、14両年度)
  11,464,149円  

1 補助事業の概要

 この補助事業は、滋賀県栗東市(平成13年9月30日以前は栗太郡栗東町)が、シルバーハウジング・プロジェクトによる公営住宅整備事業として、10、11両年度に手原団地において公営住宅(鉄筋コンクリート造6階建て、管理戸数35戸、高齢者生活相談所1か所)を事業費539,175,000円(うち国庫補助対象額536,130,000円、国庫補助金268,065,000円)で、13、14両年度に下戸山団地において公営住宅(鉄筋コンクリート造3階建て、管理戸数36戸、高齢者生活相談所1か所)を事業費662,630,300円(うち国庫補助対象額654,660,000円、国庫補助金327,330,000円)で整備したものである。そして、同市は、手原団地については12年4月、下戸山団地については14年7月から管理を開始している。
 シルバーハウジング・プロジェクトは、高齢者が地域社会の中で自立して安全かつ快適な生活を営むことができるよう、その在宅生活を支援するために、高齢者の生活特性に配慮した住宅(以下「シルバーハウジング」という。)及び附帯施設の供給を行うとともに、ライフサポートアドバイザー(以下「LSA」という。)により、シルバーハウジングに入居する高齢者(以下「入居者」という。)に対して、生活指導・相談、安否の確認等の福祉サービスの提供を行う事業である。
 シルバーハウジング・プロジェクトの実施に当たっては、「シルバーハウジング・プロジェクトの実施について」(平成13年国住備発第51号、厚生労働省老発第114号国土交通省住宅局長及び厚生労働省老健局長通知)等に基づき、事業主体がシルバーハウジング及び附帯施設の供給に関する事項やLSAにより提供される福祉サービスに関する事項等について事業計画を策定しなければならないこととされている。
 同市は、本件補助事業の実施に当たり、10年10月にシルバーハウジング・プロジェクトの事業計画を手原団地を対象として策定し、さらに、13年7月に下戸山団地を対象として追加する変更を行い、手原団地については35戸のうち11戸を、下戸山団地については36戸のうち12戸をシルバーハウジングとすることとしていた。そして、当該事業計画において、同市は、附帯施設として、LSAが入居者の生活指導・相談等を行ったり、LSA及び入居者の管理の下に入居者の相互の交流の場所として利用したりする高齢者生活相談所を両団地内に設置して、原則として平日の日中にLSAをこれらの高齢者生活相談所に派遣することとしていた。
 同市は、上記の事業計画に基づき、本件補助事業において、高齢者生活相談所を、手原団地については10、11両年度に1か所(62.2m )、下戸山団地については13、14両年度に1か所(81.6m )それぞれ整備していた。

2 検査の結果

 本院は、滋賀県及び栗東市において、有効性等の観点から、高齢者生活相談所の利用状況等に着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、事業計画書、福祉サービスの提供状況等に関する書類等により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、同市は、10年度に手原団地の高齢者生活相談所の整備に着手した後、12年4月の同団地の管理開始に伴う福祉サービスの提供方法の具体的な運用について、住宅担当部局と福祉担当部局で協議を行い、福祉サービスの提供に係る費用等を考慮した結果、LSAの派遣を見送り、将来検討することとしていた。
 しかし、その後、同市が福祉サービスの提供方法の具体的な運用について何ら見直しを行っていなかったため、LSAの派遣は、管理開始当初から会計実地検査時点(19年11月)までの間、実績がない状況となっていた。
 また、同市は、下戸山団地の管理開始に伴う福祉サービスの提供方法の具体的な運用の協議を行っていなかったため、LSAの派遣は、手原団地と同様に、14年7月の管理開始当初から会計実地検査時点までの間、実績がない状況となっていた。
 このため、両団地の高齢者生活相談所は、整備目的である入居者の生活相談や相互の交流の場所として、全く利用されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、同市において、シルバーハウジング・プロジェクトの趣旨を十分理解していなかったこと、滋賀県において、同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、LSAによる福祉サービス等の提供施設として手原団地及び下戸山団地において整備された高齢者生活相談所(事業費9,600,000円(全額国庫補助対象額)及び13,490,520円(うち国庫補助対象額13,328,299円)、計23,090,520円(うち国庫補助対象額22,928,299円))は、整備目的に沿った利用が全くされていないことから、本件補助事業の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額4,800,000円及び6,664,149円、計11,464,149円が不当と認められる。