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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金

災害復旧事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの


(800) 災害復旧事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)河川等災害復旧事業費
部局等 宮崎県
補助の根拠 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)
補助事業者
(事業主体)
宮崎県
補助事業 16年発生道路災害復旧
補助事業の概要 被災した道路を復旧するために、平成17年度に土留対策工等を施工するもの
事業費 76,714,000円  
上記に対する国庫補助金交付額 51,168,238円  
不当と認める事業費 69,945,000円  
不当と認める国庫補助金相当額 46,653,315円  

1 補助事業の概要

 この補助事業は、宮崎県が、平成16年9月の台風により被災した一般国道448号の災害復旧事業の一環として、串間市市木地内において、崩壊した道路を復旧するために、17年度に、土工、土留対策工等を工事費76,714,000円(国庫補助金51,168,238円)で実施したものである。
 本件工事のうち、土留対策工は、H形鋼(高さ350mm、幅350mm)を建て込むなどして構築する山留壁からアンカー16本を地山に打ち込み、アンカー頭部に腹起し材、鋼製台座等を設置して擁壁を築造するものである。このうち、腹起し材は、アンカーの張力を山留壁に伝えるためにH形鋼を水平に設置するものである(参考図 参照)。
 本件擁壁の設計に当たっては、「グラウンドアンカー施工のための手引書」(社団法人日本アンカー協会編)等(以下「手引書等」という。)に基づいて行っている。そして、腹起し材については、手引書等に基づき設計計算を行い、高さ250mm、幅250mmのH形鋼を使用すれば、H形鋼に生ずる曲げ応力度(注) 161.5N/mm が許容曲げ応力度(注) 210N/mm を下回ることから、応力計算上安全であるとして、これにより施工していた。

2 検査の結果

 本院は、宮崎県において、合規性等の観点から、設計が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面、設計計算書等の書類により検査したところ、腹起し材の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件擁壁は恒久的に供用される構造物であり、手引書等によると、腹起し材に使用するH形鋼の許容曲げ応力度は140N/mm とされているのに、誤って、仮設構造物等に適用される許容値210N/mm を用いて設計していた。
 そこで、改めて本件擁壁について、再計算等の詳細な報告を求めて、その報告内容を確認するなどした。その計算結果によると、腹起し材に生ずる曲げ応力度は161.5N/mm となり、許容曲げ応力度140N/mm を上回ることになり、応力計算上安全な範囲に収まっていなかった。
 このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件擁壁(工事費相当額69,945,000円)は設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額46,653,315円が不当と認められる。

 曲げ応力度・許容曲げ応力度  「曲げ応力度」とは、材が曲げられたとき、曲がった内側に生ずる圧縮力又は外側に生ずる引張力の単位面積当たりの大きさをいい、その数値が設計上許される上限を「許容曲げ応力度」という。

(参考図)

アンカー付山留壁概念図、アンカー頭部拡大図