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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第51 首都高速道路株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

構造物点検業務における大型橋りょう点検車の運転経費の積算に当たり、大型橋りょう点検車の仕様を踏まえた日業務量とすることにより、経済的なものとするよう改善させたもの


構造物点検業務における大型橋りょう点検車の運転経費の積算に当たり、大型橋りょう点検車の仕様を踏まえた日業務量とすることにより、経済的なものとするよう改善させたもの

科目
管理費用
部局等
首都高速道路株式会社本社、3管理局
契約名
構造物点検(平成18年度定期点検)等2件
契約の概要
橋りょうの床版、けた、橋脚等構造物等の定期点検を行うもの
契約金額
55億5849万円(平成18、19両年度)
契約の相手方
財団法人首都高速道路技術センター
契約
平成18年3月、19年3月 随意契約
大型橋りょう点検車の運転経費の積算額
1億9611万余円
(平成18、19両年度)
低減できた大型橋りょう点検車の運転経費の積算額
9255万円
(平成18、19両年度)

1 構造物点検業務の概要

(1) 構造物点検業務

 首都高速道路株式会社(以下「会社」という。)西東京、東東京、神奈川各管理局は、橋りょうの床版、けた、橋脚等の構造物等の損傷等の有無を的確に把握して、損傷等の状況に応じた応急措置、補修補強、取替えなどの適切な対応策を迅速かつ確実に行い、すべての構造物等を常に良好で安全な状態に保つために、毎年度、構造物点検業務を実施している。そして、平成18年度は東東京管理局が、19年度は神奈川管理局が、他の管理局分を含めて3管理局管内の構造物等の定期点検に係る契約を締結して、それぞれ、22億7955万円、32億7894万円、計55億5849万円で財団法人首都高速道路技術センターに請け負わせて実施している。

(2) 定期点検で使用する足場

 会社制定の「構造物等点検要領」によれば、定期点検で使用する足場には、吊(つり)足場、リフト車、橋りょう点検車等があり、このうち、橋りょう点検車は、高架下が河川であったり、車線規制が困難な街路であったりするなど、リフト車が使用できない箇所等において、高速道路上からブームを伸縮させるなどしてブーム先端の歩廊(ほろう)部等を橋りょう下面側に張り出させて、点検作業員が歩廊部を歩くなどして点検対象箇所に接近して点検を行う際に使用する車両である。
 そして、会社の構造物点検業務においては、上記の箇所等のうち、1回の車線規制で複数の車線分の構造物等の点検を効率的に行うことができる箇所において、歩廊部の長い大型の橋りょう点検車(以下「大型橋りょう点検車」という。)を使用している(参考図参照 )。

(3) 橋りょう点検車の運転経費の積算

 会社は、構造物点検業務に係る費用の積算を、会社制定の「工事設計積算基準」(以下「積算基準」という。)に基づき行うこととしている。これによると、大型橋りょう点検車を含めた橋りょう点検車の運転経費は、1日当たりの車両の運転労務費、燃料費及び機械賃料を合計した運転単価に、運転日数を乗じて算出することとされている。
 また、運転日数については下記のとおり算定している。
〔1〕  当該年度における点検対象箇所を選定して、点検対象の構造物等を特定する。
〔2〕  点検対象の構造物等ごとに、使用する足場の種類別に点検対象面積等を集計する。
〔3〕  〔2〕 で集計した点検対象面積等を、1日当たりの作業量(以下「日業務量」という。)で除する。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 会社は、毎年度、多額の費用をかけて構造物等の点検業務を実施している。
 そこで、本院は、本社及び3管理局において、経済性等の観点から、構造物点検業務のうち、大型橋りょう点検車の運転経費の積算は、大型橋りょう点検車の仕様を踏まえた経済的なものとなっているかなどに着眼して、大型橋りょう点検車の運転経費の積算額(18年度1億0323万余円、19年度9287万余円、計1億9611万余円)を検査の対象として、点検業務設計書、積算基準等の書類により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、会社の積算基準に定められた橋りょう点検車の日業務量は、大型橋りょう点検車も含めて、歩廊部に1作業班(積算上の1作業班の点検作業員数は3人)が乗って点検を行った場合を前提として設定されたものとなっていた。
 しかし、大型橋りょう点検車の仕様を確認したところ、その歩廊部の最大積載荷重は800kg、歩廊部の延長は15.0m、幅は1.4mであり、歩廊部には少なくとも点検作業員6人(2作業班)が同時に乗って点検を行うことができると認められた。
 現に、18、19両年度の定期点検において、点検作業員6人(2作業班)が同時に乗って点検を行っている状況も見受けられた。
 したがって、1台の大型橋りょう点検車に2作業班が乗って並行して点検を行うこととすれば、その場合の日業務量は、積算基準に定められた日業務量の2倍となり、この結果、大型橋りょう点検車の運転日数が2分の1になることから、運転経費は2分の1の額となる。
 このように、積算基準において、1作業班による作業を前提とした日業務量しか設定しておらず、大型橋りょう点検車の仕様を踏まえて、2作業班で作業を行うことを前提とした日業務量を示していないことは適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(低減できた積算額)

 18、19両年度の構造物点検業務において、大型橋りょう点検車の運転経費を、2作業班で点検を行うこととして算定すると、前記の運転経費の積算額は、18年度5552万余円、19年度4802万余円となり、それぞれ4771万余円、4484万余円、計9255万余円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、積算基準における大型橋りょう点検車を使用する場合の日業務量の設定に当たり、大型橋りょう点検車の仕様を踏まえた経済的な積算の検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、会社は、20年9月に、構造物点検において大型橋りょう点検車を使用する場合の運転経費の積算に当たっては、日業務量を2倍した値により算出するよう積算基準を改訂して、同月から適用する処置を講じた。

(参考図)

2作業班による作業の概念図