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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第57 関西国際空港施設エンジニア株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

空港施設の維持管理等に係る契約の実施に当たり、競争の利益を享受するため、契約方式を見直すなど契約事務を適切に実施するよう改善させたもの


空港施設の維持管理等に係る契約の実施に当たり、競争の利益を享受するため、契約方式を見直すなど契約事務を適切に実施するよう改善させたもの

科目
外注費
部局等
関西国際空港施設エンジニア株式会社
契約名
平成19年度関西国際空港旅客ターミナル地区清掃業務(その1)等201件
契約の概要
関西国際空港における滑走路、建築物、道路等施設の維持管理、運用及び改良に関する業務を行うもの
検査の対象とした契約件数及び契約金額
201件
54億0780万余円
(平成19事業年度)
競争契約とすることが可能であった契約件数及び契約金額
34件
14億8857万円
(平成19事業年度)

1 関西国際空港施設エンジニア株式会社の概要

 関西国際空港施設エンジニア株式会社(以下「関空エンジニア」という。)は、関西国際空港における滑走路、建築物、道路等施設の維持管理、運用及び改良に関する業務等を行うことを目的として、平成5年7月に、国が資本金の3分の2を出資している関西国際空港株式会社(以下「関空会社」という。)及び民間会社11社の出資により、関空会社グループの一員として設立された。その後、関空会社は、15事業年度から3か年の「経営改善計画」を策定して、経営の抜本的合理化等による収益体質の強化を図る一環として、17年4月に関空エンジニアの発行済株式の全部を取得した。これにより、関空エンジニアは、同月以降、関空会社全額出資の子会社となった。なお、関空会社は、上記の経営改善計画後の中期計画として、18事業年度から3か年の「関空新中期計画」を策定して、この中で、子会社を含めた関空会社グループ全体での経営改善方策等を定めている。
 関空エンジニアは、前記の関西国際空港における施設の維持管理等の業務を、設立以降16事業年度までは、空港土木施設、建築施設等の保守管理業務、建築施設清掃業務等の業務項目別にそれぞれ随意契約により関空会社から請け負っていたが、関空会社の完全子会社となった17事業年度からは、「関西国際空港の施設等に係る運用、保守管理等に関する協定書」を関空会社と締結して、これらの業務を1本の契約で包括的に受託している。そして、関空エンジニアが関空会社から受託している業務は、年々増加しており、19事業年度におけるこの受託業務に係る売上は99億7889万余円であり、これは関空エンジニアの売上の95.9%を占めている。
 関空エンジニアは、上記の受託業務を自ら実施する業務と民間会社等(以下「業者」という。)に発注する業務に分けて実施しており、このうち業務を業者へ発注する場合の契約事務は、関西国際空港施設エンジニア株式会社契約規程(平成5年10月制定)及び関西国際空港施設エンジニア株式会社契約規程運用基準(平成5年10月制定)に基づき行われている。そして、これらによれば業務を業者へ発注する場合の契約事務は、原則として競争契約によるものとされているが、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、契約に係る見込価格が少額である場合等においては随意契約によることができることとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 前記のように、関空エンジニアは、関空会社の完全子会社であり、関空会社は、関空新中期計画において、経費節減の一方策として、本社業務の子会社への移譲、子会社と共同しての業務原価、調達方法等の見直しなどを検討することとしている。
 そこで、本院は、19事業年度に関空エンジニアが随意契約により業者と締結している契約のうち、契約に係る見込価格が少額のものを除いた201件(契約金額計54億0780万余円)を対象として、合規性、経済性等の観点から、競争による利益の享受が可能なものはないかなどに着眼して、関空エンジニア本社において、協定書、契約書等の書類により会計実地検査を行うとともに、随意契約の理由について報告を求めて、その理由別に分類して分析を行うなどの方法により検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 関空エンジニアは、上記の201件の契約については、契約の性質又は目的が競争を許さない場合などに該当するとして業務開始当初から業務を受注している業者と随意契約を締結していた。そして、これらのうち61件について随意契約を適用した具体的な理由として、履行上の経験、知識を特に必要とする場合又は現場の状況等に精通している者に履行させる必要がある場合に該当するとしていた。
 しかし、上記61件のうち34件の契約(計14億8857万余円)は、旅客ターミナルビルの清掃、電気設備等の運用保守管理等の業務に係るものであり、業務に必要な仕様書又は作業マニュアル等を整備したり、新規参入者に対して指導、研修及び監督を適切に行ったりすることなどにより、他の業者でも履行できると認められた。
 したがって、これらの契約は、随意契約ではなく競争契約の適用が可能であると認められた。
 この競争契約の適用が可能である契約件数及び契約金額を業務の種類別に示すと、次表のとおりである。

表 競争契約の適用が可能である契約件数及び契約金額
(単位:件、円)
業務の種類
契約件数
契約金額
建築施設清掃業務
7
1,012,048,800
空港土木施設等保守管理業務
14
347,056,500
電気設備等運用保守管理業務
4
79,710,750
建築施設保守管理業務
9
49,759,500
合計
34
1,488,575,550

<事例>

 建築施設清掃業務(以下「清掃業務」という。)は、旅客ターミナル地区、貨物地区等での清掃、鼠(ねずみ)害虫駆除等を行うもので、対象施設を7つの業務地区に分割して、清掃業者7社との間で、それぞれの地区ごとに随意契約(平成19事業年度契約金額計10億1204万余円)を締結していた。
 関空エンジニアは、随意契約を締結している理由として、6年9月の開港時に、企画書等を提出させて評価検討の上で選定した業者であること、また、一般のオフィスビルとは違い、特にターミナル地区においては旅客等を意識した快適な清掃レベルが求められるという空港の特殊性等もあり、現場の状況等に精通している者に履行させる必要があることから、契約の性質又は目的が競争を許さない場合に該当するとしていた。
 しかし、この清掃業務は、契約の履行に関して関空エンジニアが設定する入札参加資格に基づき、入札参加者の履行能力の審査を十分に行うなどして契約相手方を決定して、その者が一定規模の一般商業施設の清掃業務を受注した実績等のある者であれば、新規参入業者であっても、作業マニュアル等により適切な指導、研修等を行うことにより、十分に履行できる業務であると認められた。

 このように、関空エンジニアにおいて、契約方式の適用等について十分な検討を行わないまま、契約の性質又は目的が競争を許さない場合に該当するとして随意契約を締結していて、競争性が確保されておらず競争の利益を享受できないものとなっている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、関空エンジニアにおいて、契約事務の執行に当たり、競争性を確保することの重要性についての認識が十分でなく、合規性及び経済性の確保を図るための検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、関空エンジニアは、契約事務における競争性を確保するため、競争契約の導入について検討するなどして、前記34件のうち、更新期限の到来した29件の契約をすべて競争契約に改めた。また、20年9月に前記の運用基準を改定して、関係する各部長、室長あてに通知を発して、同月以降新たに発生する契約についても競争契約の拡大が図られるよう周知徹底を図る処置を講じた。