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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

調査委託契約等において、委託先が実際に負担した額に基づかない時間単価により人件費を算定していたため、委託費の支払額が過大となっているもの


(457) 調査委託契約等において、委託先が実際に負担した額に基づかない時間単価により人件費を算定していたため、委託費の支払額が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)経済産業本省 (項)経済産業本省
部局等 経済産業本省
契約名 3Rシステム化可能性調査事業等6件の委託(平成18、19両年度)
契約の概要 3R(リデュース、リユース、リサイクル)に関する調査研究等
契約の相手方 財団法人クリーン・ジャパン・センター
契約 平成18年4月ほか 契約6件(随意契約4件、一般競争契約2件)
支払 平成19年4月ほか
支払額
78,652,938円
(平成18、19両年度)

過大になっている支払額
16,164,266円
(平成18、19両年度)

1 契約の概要

(1) 委託契約の概要

 経済産業本省は、平成18、19両年度に、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再資源化(リサイクル)に関する調査研究等6件の委託契約を、財団法人クリーン・ジャパン・センター(以下「財団」という。)と締結しており、委託費として計78,652,938円を支払っている。

(2) 支払額の算定等

 経済産業本省は、委託契約の支払額については、委託業務に従事する者の人件費、事業費、一般管理費等の経費の区分ごとに定めた上限額の範囲内で委託業務の実施に要した経費の額を確定し、支払うこととしている。このうち人件費については、受託者が受託業務 に従事した者の1時間当たりの人件費単価(以下「時間単価」という。)を受託単価規程等に定めている場合は、この時間単価に、実際に委託業務に従事した時間数を乗じて算出することとしている。ただし、他の団体からの出向者が委託業務に従事している場合の時間単価は、受託者がこれらの出向者について実際に負担した年間総支給額を年間所定労働時間で除するなどして算定することとしている。
 そして、経済産業本省は、本件委託契約に基づき、財団から実績報告書を提出させ、委託業務の実施に要した経費を証ひょう、帳簿等により確認したとして、委託費の支払額を確定している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、経済産業本省及び財団において、合規性等の観点から、委託業務の経理及び委託業務に要したとする経費は適正かなどに着眼して、前記の6契約を対象として、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、財団は、上記6契約の委託事業において、財団が規程で定めていた時間単価4,000円及び5,000円に、委託事業に従事した時間を乗じて、人件費を算定していた。
 しかし、委託事業に従事していた者のうちには、他の団体からの出向者が含まれており、当該出向者の給与等については、財団と出向元との間で取り交わした出向者に関する覚書等に基づき、出向元が直接出向者に支給し、財団はその一部のみを分担金として出向元に支払うなどしていた。このため、財団が実際に負担し出向元に支払った分担金等の額に基づいて、出向者の時間単価を算出すると、1,147円から1,165円と財団が規程で定めていた上記の時間単価を大幅に下回っていた。
 したがって、財団が実際に負担した額に基づく時間単価により委託費の支払額を算定すると次表のとおり計62,488,672円となり、前記委託費の支払額との差額計16,164,266円が過大となっていて、不当と認められる。

3Rシステム化可能性調査事業等6契約における過大な支払額
(単位:円)
年度 契約件数 支払額 適正な支払額 過大な支払額
平成
18
4件 52,063,326 42,175,402 9,887,924
19 2件 26,589,612 20,313,270 6,276,342
6件 78,652,938 62,488,672 16,164,266

 このような事態が生じていたのは、財団において、委託業務における人件費の算定方法に対する理解が不足していたこと、経済産業本省において、実績報告書の内容の審査・確認が十分でなかったことによると認められる。