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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

工事の設計が適切でないもの落橋防止システムの設計が適切でないもの


(2) 工事の設計が適切でないもの  7件 不当と認める国庫補助金 60,364,057円

 落橋防止システムの設計が適切でないもの

(3件 不当と認める国庫補助金 36,819,697円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(497) 静岡県 静岡市 平成17年度河第26号準用河川安東川改修その2工事 17、18 91,204
(58,412)
19,470 19,536
(12,512)
4,170
(498) 京都府 木津川市(注) 市道久保川南線道路改築 17〜19 87,597
(87,597)
48,155 36,235
(36,235)
19,926
(注)  平成19年3月11日以前は相楽郡木津町   
(499) 奈良県 奈良県 枚方大和郡山線地方道路交付金事業(道路改良)他 19、20 26,906
(26,906)
14,705 23,279
(23,279)
12,722
(497)—(499)の計        205,707
(172,916)
82,331 79,050
(72,026)
36,819

 これらの補助事業は、1県2市が、橋りょうを新橋に架け替えるために、下部工として橋台の築造けた又は上部工としてプレストレストコンクリート桁(けた)の製作、架設等を実施したものである。
 これらの橋りょうの設計は、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づいて行われている。そして、示方書によると、設計で想定されない地震動が作用するなどした場合でも上部構造の落下を防止することができるように、落橋防止システムを設けることとされている。この落橋防止システムの構成は、落橋防止構造、桁かかり長(注) 等の中から、橋りょうの形式、地盤条件等に応じて適切に選定することとされている。
 このうち落橋防止構造は、上部構造の両端が剛性の高い橋台に支持されていて上部構造の長さが25m以下の橋りょうについては、橋軸方向の変位が生じにくい橋りょうに該当して、その設置を省略することができることとされている。ただし、地震時に橋りょうに影響を与える液状化が生ずる砂質土層等の不安定となる地盤がある場合には、予期しない大きな変位が生ずることがあるため、落橋防止構造の設置を省略してはならないとされている。
 しかし、1県2市は、地震時に液状化が生ずる砂質土層等の不安定となる地盤がある場合であるのに落橋防止構造の設置を省略していて、橋りょう上部工等(事業費相当額計79,050,974円、うち国庫補助対象額計72,026,000円)の所要の安全度が確保されていない状態になっており、これらに係る国庫補助金相当額計36,819,697円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、1県2市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのにこれに対する検査が十分でなかったこと、示方書についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

 落橋防止構造、桁かかり長  桁と橋台の胸壁をPC鋼材で連結するなどして、上下部構造間に予期しない大きな相対変位が生じた場合に、これが桁かかり長(桁端部から下部構造頂部縁端までの長さ)を超えないようにする構造

(参考例)

落橋防止構造、桁かかり長概念図