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保安警備業務の請負契約において、端末機器費の積算が適切でなかったため、契約額が割高となっているもの[独立行政法人防災科学技術研究所本所](572)


(572) 保安警備業務の請負契約において、端末機器費の積算が適切でなかったため、契約額が割高となっているもの

科目 経常費用
部局等 独立行政法人防災科学技術研究所本所
契約名 保安警備(機械警備)
契約の概要 研究交流棟等10棟を対象として機械警備業務、巡回警備業務等を行うもの
契約の相手方 新安全警備保障株式会社(平成16年7月以前は株式会社安全警備)
契約 平成15年4月ほか 随意契約
支払額 34,776,000円 (平成15年度〜20年度)
割高になっている契約額 4,100,000円 (平成15年度〜20年度)

1 保安警備業務の概要

(1) 契約の概要

 独立行政法人防災科学技術研究所(以下「研究所」という。)は、研究所本所に所在する研究交流棟等計10棟を対象として、毎年度、保安警備業務を、随意契約により新安全警備保障株式会社(平成16年7月以前は株式会社安全警備。以下「警備会社」という。)に請け負わせて実施しており、15年度から20年度までの契約金額は各年度とも5,796,000円、6か年で計34,776,000円となっている。
 本件保安警備業務は機械警備業務、巡回警備業務等を行うもので、このうち機械警備業務は、警報端末機器(以下「端末機器」という。)を設置し、各棟で発生した異常事態を検知して警備会社に自動的に通報するものである。この業務に使用される端末機器は、警備会社が所有するもので、昭和53年度に設置して以来、建物の新設等に伴って順次増設され、平成15年度以降は703個設置されている。
 そして、研究所は、機械による警備はシステムの互換性が低いなどのため、仮に他のシステムを採用している業者が本件保安警備業務を受注した場合、既設の端末機器を撤去して新たな機器を設置しなければならないなど、多額の費用が発生するなどとして、昭和53年度以降、毎年度、警備会社と随意契約を締結している。

(2) 保安警備業務に係る予定価格の算定

 研究所は、平成15年度以降の本件契約に係る予定価格について、毎年度、警備会社から提出される見積書の各項目に記載された端末機器の単価、警備員人件費等をそのまま採用して、見積書の総額と同一金額の5,796,000円とし、これと同額で本件契約を締結している。
 このうち、端末機器費については、各年度とも研究交流棟等計10棟に設置されている703個の端末機器の取得価格計14,990,050円(15年度以降同額)を5年で除するなどして、2,698,212円と積算している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、研究所において、経済性等の観点から、予定価格の算定が適切に行われているかなどに着眼して、15年度から20年度までの契約を対象に、契約書、仕様書、予定価格調書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
 すなわち、前記のとおり、研究所は、端末機器の取得価格を5年で除するなど、設置から5年で更新を繰り返すことを前提として、年間に要する端末機器費を積算している。
 そこで、端末機器の更新状況について調査したところ、警備会社は、端末機器を最初に設置した昭和53年度以降、設置後5年を経過したことを理由として端末機器の更新を行ったことは一度もなく、設置後5年経過していて、上記の積算上、取得に要した費用が既に回収済みとなっていることとなる端末機器をそのまま使用している状況となっていた。そして、端末機器の交換は、端末機器が故障した場合などにのみ行っていて、交換の実績を平成11年度から20年度までの10か年間についてみると、年間で平均8.9個、これに係る費用も47万円程度にとどまっており、予定価格の算定に用いている年間の端末機器費2,698,212円はこれを大幅に上回っていた。
 以上のように、端末機器については故障のない限り交換しない実態となっているのに、設置後5年で更新することを前提として端末機器費の積算を行っている事態は適切とは認められない。
 したがって、上記の端末機器の交換の実態を踏まえ、年間の端末機器費を設置後5年間は取得価格を5年で除した額とし、設置後5年経過後は再リース(リース期間満了後)の料金設定の方法を参考にして、設置後5年間の年間端末機器費の10分の1の額とするなどして、本件契約の予定価格を修正計算すると計30,668,400円(15年度から20年度まで)となり、本件契約額計34,776,000円はこれに比べて約410万円割高になっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、研究所において、予定価格の算定に当たり見積書の内容や業務の実態についての検討が十分でなかったことなどによると認められる。