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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • (第53 首都高速道路株式会社)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

警備業務等請負契約について、市場価格を反映させるなどして警備業務の直接人件費の積算を適切なものとするよう改善させたもの


警備業務等請負契約について、市場価格を反映させるなどして警備業務の直接人件費の積算を適切なものとするよう改善させたもの

科目
管理費用
部局等
首都高速道路株式会社本社、3管理局
契約名
本社事務所守衛及び田無寮管理業務等8件
契約の概要
本社並びに西東京、東東京及び神奈川の各管理局における警備業務等を請け負わせるもの
契約金額
5億1333万余円
(平成19、20両年度)
契約の相手方
千代田ビル管財株式会社、富士管財株式会社
契約
平成19年3月、20年3月 随意契約
警備業務の直接人件費の積算額
3億5361万余円
(平成19、20両年度)
低減できた警備業務の直接人件費の積算額
6510万円
(平成19、20両年度)

1 警備業務等の概要

 首都高速道路株式会社(以下「会社」という。)は、本社並びに西東京、東東京及び神奈川の各管理局(以下「本社等」という。)の社屋等への社員等の出入管理、来訪者の受付・案内、モニターによる監視、社屋内外の定期的な巡回監視等を行う警備業務等を、平成17年10月の民営化以前から随意契約により、千代田ビル管財株式会社及び富士管財株式会社に請け負わせており、19年度及び20年度における契約件数、契約金額は、19年度4件、2億6054万余円、20年度4件、2億5278万余円、計8件、5億1333万余円となっている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 会社は、中期経営計画においてコスト削減の推進を掲げ、高速道路の建設費・管理費についてコスト削減施策に取り組んできており、民営化を契機としてより一層コスト管理を徹底するなどして、可能な限り経営の合理化に努めることとしている。
 そこで、本院は、本社等において、経済性等の観点から、本件契約の予定価格の算定が適切に行われているかなどに着眼して、前記の8契約を対象として、契約書、仕様書、設計書等の書類及び業務実態を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 本件契約の予定価格の算定に当たり、警備業務の直接人件費は、社屋等の各警備箇所ごとに必要な警備員の人数を算定して、その合計人数に警備員1人当たりの年間人件費を乗じて積算されており、その積算額は、19年度1億7886万余円、20年度1億7475万余円、計3億5361万余円となっている。
 しかし、上記警備員1人当たりの年間人件費は、過去に警備員を職員として直接雇用していたことがあって、その当時の給与の額を参考にするなどして算定したものであり、現在においては外部の業者に請け負わせていることから、市場価格が反映された労務単価を採用するなどして警備業務の直接人件費を積算すべきであると認められた。
 したがって、警備業務の直接人件費の積算に当たり、過去に警備員を職員として直接雇用していた当時の給与の額を参考にするなどして算定している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(低減できた積算額)

 上記の市場価格が反映された労務単価として、国土交通省が毎年実施している建築保全業務労務単価実態調査に基づいて決定した施設警備業務の労務単価が公表されている。この労務単価は、同省が一般的な施設警備業務を想定して定めた建築保全業務積算基準を基に業務委託する際の委託費の算出に用いられるものとして公表されているものであることから、同積算基準及び同労務単価により警備業務の直接人件費を積算すると、19年度1億5114万余円、20年度1億3732万余円、計2億8847万余円となり、前記の積算額を19年度約2770万円、20年度約3740万円、計約6510万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、本件警備業務等を外部の業者に請け負わせているのに、警備業務の直接人件費の積算において、市場価格が反映された労務単価を採用することなどについての検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、会社は、21年度契約に係る予定価格の算定に当たって、前記の国土交通省の建築保全業務積算基準及び労務単価を採用することとし、21年8月には、関係部署に対して通知を発して、22年度契約以降の予定価格の算定についても、同積算基準及び同労務単価によることとする処置を講じた。
 また、会社は、契約方式について、本院の指摘を受け、22年度契約から競争性のある契約方式に移行することとしている。