ページトップメイン
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成21年10月

防衛装備品の商社等を通じた輸入による調達に関する会計検査の結果について


第1 検査の背景及び実施状況

1 検査の要請の内容

 会計検査院は、平成20年6月9日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月10日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその検査の結果を報告することを決定した。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項

(一)検査の対象

 防衛省

(二)検査の内容

 防衛装備品の商社等を通じた輸入(以下「一般輸入」という。)による調達についての次の各事項

〔1〕  一般輸入を含めた防衛装備品調達全般の状況

〔2〕  一般輸入による調達の契約方法、契約手続、予定価格の算定などの状況

〔3〕  一般輸入に係る過大請求事案の状況及びこれに対する防衛省の対応策の実施状況

2 国会における質疑の状況

 18年11月に株式会社富士インダストリーズ(以下「富士インダストリーズ」という。)が防衛省(19年1月8日以前は内閣府防衛庁。13年1月5日以前は総理府防衛庁)との契約において価格を水増しして過大請求を行っていたことが判明して、防衛省はその事実を公表した。その後の19年11月にも株式会社山田洋行(以下「山田洋行」という。)による過大請求が判明するなど過大請求の発覚が続き、国会の各委員会で審議が行われて、契約の在り方等について質疑が行われた。

3 20年次の会計検査の実施状況

 会計検査院は、上記のような状況を踏まえ、20年次(検査実施期間19年11月から20年7月まで)に本件検査要請に関連した会計検査を実施しており、その状況については、平成19年度決算検査報告に「国会からの検査要請事項に関する検査状況」として掲記した(平成19年度決算検査報告「防衛装備品の一般輸入による調達について」 参照)。
 この掲記事項の所見は、次のとおりであり、会計検査院としては、引き続き検査を実施して、取りまとめが出来次第報告することとした。

 防衛省は、防衛装備品の調達を国内調達及び輸入調達により行っており、輸入調達のうち一般輸入調達は、19年度の調達額が1326億円、調達額総額に占める割合は約6%となっている。一般輸入調達について、商社の過大請求事案が発覚したことから、防衛省は、その対応について商社等を介在しない直接契約の検討等を行っているところであるが、商社等を通じた一般輸入調達は当分の間、継続していくと考えられる。
 20年次において、一般輸入調達について検査した状況は次のとおりである。

ア 防衛省は、財務大臣通知の方針を踏まえて、商社等との契約方式について、一般競争の拡大を図っている。しかし、商社等は外国製造会社の日本国内における販売権を有している場合が多いことから、一般競争に参加できる他の商社等が少なく、1者応札であったり、不落随契となる契約が多数あることから実質的な競争が行われていなかったりしている状況が見受けられた。このため、一般輸入調達について一般競争契約の競争性を高めるための方策等について引き続き検査を実施する。

イ 契約相手方から徴取する価格を証明する書類は、原則として外国製造会社が発行する見積書としているが、外国製造会社以外が発行するものも見受けられたことから、防衛省に提出される見積書の妥当性の検証方法等について引き続き検査を実施する。

ウ ウェブ・フリスは国防省価格等を入手できる情報源であるが、国防省価格と比較するだけでは直ちに防衛省調達価格の妥当性を判断するのは困難なことから、ウェブ・フリスの有効な活用方法について引き続き検査を実施する。

エ 防衛省は、過大請求事案の調査を継続して、一般輸入調達問題に対する対応も執っていることから、これらの実施状況について引き続き検査を実施する。

 本院は、20年次の検査を踏まえつつ、国会からの検査要請について引き続き検査を実施して、取りまとめが出来次第報告することとする。

4 国の契約事務の概要

 国の物品購入等の契約に係る会計事務手続は、会計法(昭和22年法律第35号)等に基づき行われることとなっている。国の契約事務の概要は次のとおりである。

(1) 契約方式

 契約方式は、公告により申込みをさせることによる一般競争によることが原則とされている。ただし、契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で一般競争に付する必要がない場合等においては、指名競争によるものとされている。また、契約の性質又は目的が競争を許さない場合等においては、随意契約によるものとされている。なお、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができるものとされている(以下、このような随意契約を「不落随契」という。)。

(2) 予定価格の算定

 契約担当官及び支出負担行為担当官は、競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によって予定することとされている。
 そして、この予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならないとされている。
 また、随意契約によろうとするときも、あらかじめ予定価格を定めなければならないとされている。

(3) 公共調達の適正化の概要

 国が締結している随意契約の適正化に向けた取組として、財務大臣は各省各庁の長あてに、「公共調達の適正化について」(平成18年8月25日財計第2017号。以下「財務大臣通知」という。)を通知している。
 財務大臣通知では、原則として一般競争入札(総合評価方式を含む。以下同じ。)による調達を行うこととされており、従来、競争性のない随意契約を行ってきたものについては、一般競争入札又は企画競争若しくは公募(注1) を行うことにより、競争性及び透明性を担保することとされている。

 公募  行政目的達成のため、どのような設備又は技術等が必要であるかをホームページ等で具体的に明らかにした上で、参加者を募ること

5 防衛装備品調達の概要

 防衛省は、装備品等及び役務(以下「防衛装備品」という。)の調達を行っている。防衛装備品の調達は、防衛省が国内において製造、販売されている防衛装備品について国内製造会社等から行う調達(以下「国内調達」という。)と防衛省が外国から直接又は輸入業務を行う企業(以下「商社等」という。)を通じて行う調達(以下「輸入調達」という。)とに区分される。さらに、輸入調達は商社等を通じた輸入(以下「一般輸入」という。)による調達(以下「一般輸入調達」という。)と「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」(昭和29年条約第6号)等に基づくアメリカ合衆国政府(以下「合衆国政府」という。)からの有償援助(Foreign Military Sales)による調達(以下「FMS調達」という。)とに区分される。
 また、調達業務を実施している装備施設本部(19年8月31日以前は装備本部。18年7月30日以前は契約本部。13年1月5日以前は調達実施本部)及び各自衛隊の部隊等(以下、これらを合わせて「調達実施機関」という。)別にみると、装備品等及び役務の調達実施に関する訓令(昭和49年防衛庁訓令第4号)の別表に定める品目等について装備施設本部が行う調達(以下「中央調達」という。)と、上記の訓令の別表に定められていない品目、訓令で定める品目であっても1件150万円以下のものなどについて各自衛隊の部隊等が自ら行う調達(以下「地方調達」という。)とに区分される。

6 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 会計検査院は、20、21両年次において、合規性、経済性、効率性等の観点から、契約事務が適切に行われて、公正性、競争性及び透明性が確保されているかなどに着眼して、防衛省の防衛装備品の一般輸入調達契約を対象として要請のあった〔1〕 一般輸入を含めた防衛装備品調達全般の状況、〔2〕 一般輸入による調達の契約方法、契約手続、予定価格の算定などの状況、〔3〕 一般輸入に係る過大請求事案の状況及びこれに対する防衛省の対応策の実施状況について検査した。
 そして、検査に当たっては、17年度から20年度までの一般輸入調達契約について調書を徴して契約の実施状況、競争性の状況、見積書価格の確認状況等を分析した。
 また、防衛省内部部局、海上幕僚監部、航空幕僚監部及び調達実施機関9か所(注2) において予定価格算定時の見積書、支払金額確定時の請求書等を確認するなどして、287人日を要して会計実地検査を行った。さらに、契約相手方である山田洋行等16の商社等に対して会計検査院法第23条第1項第7号の規定により検査することに決定して、外国製造会社等が発行した見積書、請求書等を確認するなどして、輸入品の請求書等の書類を改ざんして過大請求しているものはないかなどに着眼して、231人日を要して会計実地検査を行った。さらに、合衆国政府がインターネット上で公表している防衛装備品の価格についてアメリカ合衆国国防省関係部局へ赴くなどして調査を行った。

 調達実施機関9か所  装備施設本部、陸上自衛隊補給統制本部、海上自衛隊補給本部、同自衛隊航空補給処、同自衛隊艦船補給処、航空自衛隊第1補給処東京支処、同自衛隊第2補給処、同自衛隊第3補給処、同自衛隊第4補給処