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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
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  • 平成21年9月

還付金が高額となっている申告について他の還付申告と区分するなどして支払事務に要する日数を短縮することなどにより、還付加算金の節減を図るよう国税庁長官に対して改善の処置を要求したもの


 還付金が高額となっている申告について他の還付申告と区分するなどして支払事務に要する日数を短縮することなどにより、還付加算金の節減を図るよう国税庁長官に対して改善の処置を要求したもの

会計名及び科目 一般会計 国税収納金整理資金 (款)還付金
     (項)各税還付金
部局等 国税庁
還付金の根拠 国税通則法(昭和37年法律第66号)
高額還付金支払金額 2兆1198億5637万余円 (平成20年1月〜12月)
上記のうち還付加算金額 118億5261万余円  
上記のうち節減できたと認められる還付加算金額 27億8942万円  

【改善の処置を要求したものの全文】

還付金の支払事務について

(平成21年7月14日付け 国税庁長官あて)

 標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。

1 還付金の概要

(1) 国税の還付

 国税の納税者は、国税通則法(昭和37年法律第66号。以下「通則法」という。)等の定めるところにより、課税標準額、税額等を記載した確定申告書を法定申告期限までに税務署長に提出して、国税を納付しなければならないこととされている。
 一方、納税者は、国税として納付した税額が本来納税すべき税額より多いためその全部又は一部について還付を求める場合などには、還付金額を記載した確定申告書(以下「還付申告書」という。)を税務署長に提出することとされている。
 そして、税務署長は、当該還付申告書に記載された還付金額を還付金として遅滞なく納税者に支払うこととされている。

(2) 還付加算金

 税務署長は、国税を還付する場合には、通則法第58条等の規定により、還付することとなった国税の申告期限の日など所定の日の翌日から還付金の支払決定日までの日数に応じて、還付金の額に一定の割合を乗じて計算した金額を還付加算金として、当該還付金に合わせて支払うこととされている。この割合は、本来、通則法第58条の規定により年7.3%とされているが、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第95条の規定により、毎年、各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法(平成9年法律第89号)第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合とされており、20年分については年4.7%、21年分については年4.5%とされている。
 この還付加算金は、納税者が国税の納付を遅延した場合に延滞税が課されることなどとのバランスを考慮したもので、一種の利子に相当するものとされている。

(3) 還付金の支払事務

 貴庁は、納税者から還付申告書の提出を受けた場合の税務署における還付金の支払事務を、おおむね次のとおり行うこととしている。

ア 国税の調査、課税処理を行う賦課部門において、提出を受けた還付申告書に記載されている事項の確認等を行い、税目別等に区分した後、還付申告書に記載されている事項を国税総合管理システム(Kokuzei Sougou Kanriシステム。以下「KSKシステム」という。)に入力するために、還付申告書の写しである「整理表」を分離する。
 そして、整理表を還付申告書の受付順に50枚程度の1単位(以下「バッチ」という。)に取りまとめて、光学式文字読取装置(Optical Character Reader。以下「OCR」という。)等を使用してKSKシステムにデータ入力を行い、その後、整理表を還付金の支払等を行う管理部門に送る。

イ 管理部門において、上記のアで入力されたデータを「還付金照合リスト」としてKSKシステムから出力して、当該還付金照合リストと賦課部門から送られてきた整理表とを個別に照合して、入力誤りや他の税目の未納の有無等の確認を行った上で、還付金の支払を行う。

(4) 還付保留

 貴庁は、国税の不正な還付や誤った還付を防止するなどのために、申告書の記載内容に誤りがある場合など一定の場合には、還付金の支払を保留する取扱い(以下、この取扱いを「還付保留」という。)としている。
 還付保留とした申告については、前月分のすべてのバッチに係るデータ入力を終了した後に行う当該蓄積データの一括処理(以下「月次処理」という。)によりKSKシステムから出力される「還付保留法人調査票」(以下「調査票」という。)等に基づき、賦課部門において還付保留を解除するための審査を行うこととしている。
 そして、過去の税務調査の実績や申告内容等から見て還付することが相当と認められるものについては、還付保留の解除を決定して、その旨を遅滞なく管理部門に連絡することとしている。
 なお、資本金額が1億円以上の法人等に係る還付保留については、各税務署は、当該税務署を管轄する国税局又は沖縄国税事務所(以下「国税局等」という。)に還付申告書と併せて調査票等を送付して、国税局等の調査部がその調査票等に基づき還付保留を解除するための審査を行うこととしている。
 また、貴庁は、平成20年5月から、上場法人等(注1) については、法人の実態の検討や還付理由の解明など還付保留を解除するための審査を簡素化するとともに、納税者が国税電子申告・納税システムを利用して提出した還付申告書(以下「還付申告書(電子)」という。)に係る還付保留については、従来、月次処理によってしか出力することができなかった調査票等を、月次処理を待つことなく随時に出力することができるように、KSKシステムを変更している。

 上場法人等  証券市場での株式の売買が可能である法人や、当該法人が株式の過半を保有する子会社等

(5) 輸出業者の消費税に係る還付金

 消費税の納付税額は、消費税法(昭和63年法律第108号)の定めるところにより、課税期間中の課税売上げに係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除した税額となっている。すなわち、課税仕入れに係る消費税額が課税売上げに係る消費税額より多い場合には、その差額が還付されることとなっている。
 また、消費税は国内において行う取引に対して課税されるものであることから、その取引が輸出等の国外における取引に該当する場合には、売上げに係る消費税を免除することとなっている。このため、国外における取引が多い輸出業者については、課税仕入れに係る消費税額が課税売上げに係る消費税額より恒常的に多くなり、その差額を還付することとなる。
 消費税の課税期間は、原則として、個人事業者は暦年、法人は事業年度とされているが、恒常的に消費税の還付を生ずる輸出業者については、還付金が還付されるまでの間の課税仕入れに係る資金負担の軽減を図ることを目的として、消費税法第19条の規定により、課税期間を1か月(年12回申告)又は3か月(年4回申告)に短縮することができる特例が設けられている。