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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成21年10月

精液採取用種雄牛の貸付けに当たり、貸付けを無償とせず貸し付けた牛から生産される凍結精液の販売による収入に応じ対価を徴収するなどするとともに、貸付先の選定を競争により行うなどして増収を図るよう独立行政法人家畜改良センター理事長に対して改善の処置を要求したもの


 精液採取用種雄牛の貸付けに当たり、貸付けを無償とせず貸し付けた牛から生産される凍結精液の販売による収入に応じ対価を徴収するなどするとともに、貸付先の選定を競争により行うなどして増収を図るよう独立行政法人家畜改良センター理事長に対して改善の処置を要求したもの

科目 事業収益
部局等 独立行政法人家畜改良センター本所
業務の概要 優良な家畜の普及を図るなどのために、精液採取用種雄牛の貸付けを行うもの
貸し付けた精液採取用種雄牛から生産された精液の販売収入額の合計 33億7579万円(背景金額) (平成15年度〜19年度)

【改善の処置を要求したものの全文】

 精液採取用種雄牛の貸付けの有償化について

(平成21年9月3日付け 独立行政法人家畜改良センター理事長あて)

 標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。

1 業務の概要

 貴法人は、独立行政法人家畜改良センター法(平成11年法律第185号)に基づき、優良な家畜の普及及び飼料作物の優良な種苗の供給の確保を図ることを目的として、家畜の改良及び増殖並びに飼養管理の改善、種畜(繁殖用の家畜)の貸付け等の業務を行っている。このうち、種畜の貸付けの業務については、貴法人の前身の農林水産省家畜改良センター及び種畜牧場(以下「旧センター等」という。)が、「家畜等の無償貸付及び譲与等に関する省令」(昭和25年農林省令第43号。平成13年4月1日廃止。以下「旧省令」という。)等に基づいて行っていたのを、平成13年4月1日の旧センター等の独立行政法人化に伴い、貴法人が引き継いだものである。そして、貴法人がこの業務を行うに当たっては、貴法人が旧省令等に倣って定めた「独立行政法人家畜改良センター業務方法書」及び「種畜等、家畜受精卵、種卵及び精液の配布並びに種畜の貸付け実施要領」(以下、これらを「業務方法書等」という。)に基づき行っている。

(1) 種畜の貸付けについて

 貴法人は、旧センター等から引き継いで行っている種畜の貸付けについて、旧センター等が旧省令の「農林水産大臣は、家畜の改良又は増殖を図るため、牛、馬、めん羊等を無償で貸し付けることがある」との規定に基づき無償で行っていたのを受け、業務方法書等で種畜の貸付けは無償とする旨規定して、旧センター等当時と同様に無償で行っている。
 そして、貸付けを受けることができる者は、独立行政法人、地方公共団体等、その他貴法人が適当と認める公益法人等としている。また、貸付期間は、牛にあっては4年以内等としているが、必要に応じて更新することができるとしている。そして、病気や繁殖能力の低下などにより貸付けの目的を達することができなくなった場合には、貴法人は、貸付けを終了し、返還された種畜を売却するなどしている。

(2) 精液採取用種雄牛の貸付けについて

 貴法人が無償で貸付けを行っている種畜のうち、凍結精液を生産するための精液採取用の種雄牛(以下「精液採取用種雄牛」という。)は、乳用種については乳質等、肉用種については肉質等、それぞれの能力検定の成績が上位であるとして選抜された優良な牛である。貴法人は、精液採取用種雄牛から生産された凍結精液は、全国を対象に配布する必要があり、偏った配布等を抑制する必要があるとして、所有する精液採取用種雄牛を自らの費用で一定の段階まで育成し、社団法人家畜改良事業団(以下「事業団」という。)に無償で貸し付けている。
 このように、精液採取用種雄牛の無償貸付けを事業団のみに対して行っているのは、優良な種雄牛の凍結精液を畜産農家等にあっせんし全国的に配布する公益法人として昭和40年度に設立された事業団が、当時、全国に凍結精液を配布することが可能な唯一の団体であったことから、旧センター等が事業団を唯一の貸付先として無償貸付けを始めたのをそのまま引き継いだものであるとしている。
 そして、事業団は、貴法人から無償で貸付けを受けているこれらの精液採取用種雄牛(以下「貸付牛」という。)から生産された凍結精液(以下「貸付牛に係る凍結精液」という。)のほか、自ら所有する種雄牛から生産された凍結精液等を全国に販売している。

(3) 閣議決定により要請されている自律化への取組

 平成19年12月に閣議決定された「独立行政法人整理合理化計画」の中で、独立行政法人の自律化に関し「自己収入の増大に向けた取組を推進することを通じて、中期的には国への財政依存度を下げることを目指す」などとされているように、自己収入の増大に向けた取組を推進することは、独立行政法人の自律化につながると同時に、国からの運営費交付金の減少に資することともなるものである。