ページトップ
  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 物件

社会保険業務センター業務部の一部移転に伴う備品の調達等の契約において、諸経費の積算を誤ったため、契約額が割高になっていたもの


(116) 社会保険業務センター業務部の一部移転に伴う備品の調達等の契約において、諸経費の積算を誤ったため、契約額が割高になっていたもの

会計名及び科目 年金特別会計(業務勘定)
(項)業務取扱費
部局等 社会保険庁(平成22年1月1日以降は厚生労働本省)
契約名 社会保険業務センター業務部の一部移転に伴う備品の購入一式
契約の概要 社会保険業務センター業務部の一部が移転することに伴い、備品の調達等を行うもの
契約の相手方 株式会社カラサワ
契約 平成21年12月 一般競争契約
契約額 20,923,140円 (平成21年度)
割高になっていた契約額 310万円
(平成21年度)

1 契約の概要

 社会保険庁が従来所掌していた厚生年金保険及び国民年金の事業等に関する事務は、平成22年1月1日に同庁が廃止されたことに伴い厚生労働省が所掌することとなり、これらの事務の一部は、同日に設立された日本年金機i構に委任又は委託されることとなった。
 そして、同機構の本部が、それまで社会保険庁社会保険業務センターが設置されていた高井戸庁舎内に設置されることになったことから、社会保険庁は、21年10月に、それまで同庁舎に設置されていた同センター業務部の一部を近隣のビルに移転させた。
 これに伴い、同庁は、移転先で新たに必要となる書棚等の備品の調達等に係る契約を、21年12月に、一般競争契約により株式会社カラサワと契約額20,923,140円で締結している。
そして、本件契約の予定価格の積算に当たっては、同庁の物品調達契約における従前の例に従い、備品の調達額に、運搬、設置等に要する費用として諸経費を加えるなどして、予定価格を20,976,060円と算定していた。

2 検査の結果

 本院は、社会保険庁が締結した本件契約を対象として、経済性等の観点から予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、厚生労働本省において、契約書、予定価格調書等の書類により、会計実地検査を行った。
 検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
 すなわち、社会保険庁は、本件契約の予定価格の積算に当たり、備品の運搬、設置等に係る諸経費について、備品の調達額15,295,540円に10%の諸経費率を乗じて1,529,554円と算定した上で、運搬、設置等の作業に3日間を要すると見込まれたことから、この額を3倍して、4,588,662円と算出していた。
 しかし、諸経費は、本来、運搬、設置等に要する期間のいかんにかかわらず、備品の調達に関連して必要となる運搬、設置等に要する費用として、全備品の調達額に諸経費率を乗ずることにより算出されるものであることから、上記のように備品の調達額に諸経費率を乗じた額を更に3倍して諸経費を算定していたのは適切とは認められない。
 したがって、備品の調達額に10%の諸経費率を乗じた額を諸経費として予定価格を修正計算すると、適正な予定価格は17,763,996円となり、本件契約額20,923,140円はこれに比べて約310万円割高になっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同庁において、適切な予定価格の積算を行うという認識が欠けていたこと、予定価格の積算における審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。