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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

身体障害者保護費負担金が過大に交付されていたもの


(23) 身体障害者保護費負担金が過大に交付されていたもの

2件 不当と認める国庫補助金 7,362,658円

 身体障害者保護費負担金(以下「負担金」という。)は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)に基づき、身体障害者の福祉の増進を図ることを目的として、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、身体障害者に対して補装具の交付等をした場合、都道府県知事の指定する身体障害者更生施設等から身体障害者施設支援等(以下「指定施設支援等」という。)を受けた身体障害者に対して指定施設支援等に要した費用について施設訓練等支援費等を支給した場合等に、その費用の一部を国が負担するものである。
 そして、負担金は18歳以上である身体障害者に係る費用を交付対象としており、18歳未満である身体障害児に係る補装具の交付等に要する費用(以下「障害児補装具費」という。)等については、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等により身体障害児援護費負担金の交付対象とされていて、本件負担金の交付対象とはされていない。
 負担金の交付額は、交付要綱等に基づき、補装具給付費、施設訓練等支援費等などの種目ごとに次のように算定することとなっている。
〔1〕  所定の方式によって算定した基準額と、対象経費の実支出額から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕  施設訓練等支援費等を含む一部の種目については、〔1〕 により選定された額から、所定の方式によって算定した身体障害者等が負担する額等を控除する。
〔3〕  〔1〕 又は〔2〕 により算定された額を国庫負担対象事業費として、これに補助率10分の5を乗じて得た額を交付額とする。
 なお、負担金の交付対象である補装具給付費、施設訓練等支援費等などは、平成18年10月以降、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づく障害者自立支援給付費負担金の交付対象となり、本件負担金の交付対象ではなくなった。
 本院が、24都道府県の187市区町村において会計実地検査を行ったところ、2県の2市において、負担金の算定に当たり、誤って対象外経費を計上したり、対象経費の集計を誤ったりなどしていたため、負担金7,362,658円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2市において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額の調査確認が十分でなかったこと、2県において、事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

 松阪市は、対象経費の実支出額の算定に当たり、誤って、負担金の交付対象とならない障害児補装具費を計上するなどしていた。
 この結果、国庫負担対象事業費が11,316,889円過大に算定されており、これに係る負担金5,658,444円が過大に交付されていた。

 以上を県別・事業主体別に示すと次のとおりである。

県名 補助事業者
(事業主体)
年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額 摘要
千円 千円 千円 千円
(595) 三重県 松阪市 18 178,407 89,203 11,316 5,658 対象外経費を計上していたものなど
(596) 熊本県 八代市 18 256,270 128,135 3,408 1,704 対象経費の集計を誤っていたものなど
(595)(596)の計 434,678 217,339 14,725 7,362