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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (1) 補助の対象とならないもの

集落リーダーとしての活動が行われておらず事業の一部が補助の対象とならないもの


集落リーダーとしての活動が行われておらず事業の一部が補助の対象とならないもの (1件 不当と認める国庫補助金 9,223,217円)   部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額             千円 千円 千円 千円 (614) 関東農政局 埼玉県担い手育成総合支援協議会 (事業主体) — 集落営農育成・確保緊急支援 18 38,140 38,140 9,223 9,223

 この補助事業は、埼玉県担い手育成総合支援協議会(以下「協議会」という。)が、集落営農経営の実現に向けた体制の確立を図るため、集落営農の組織化・法人化に向けた活動を行ったものである。
 「農業経営強化対策事業推進費補助金交付要綱」(平成12年12構改B第350号農林水産事務次官依命通知)等によると、この補助事業に対する国庫補助金は、地区ごとに事業主体が公募により登用し地方農政局長等が任命した集落営農の組織化・法人化を推進するリーダー(以下「集落リーダー」という。)が当該地区において集落営農組織の設立等の活動を行った場合に、その活動に要した経費(以下「集落リーダー活動費」という。)等に対して交付(1地区当たりの交付上限額は40万円)することとされている。
 協議会は、埼玉県内の200地区において延べ201名の集落リーダーにより、規約等を有する集落営農組織の設立等の活動を事業費計38,140,562円で実施したとする実績報告書を関東農政局に提出して、同額の国庫補助金の交付を受けていた。
 しかし、上記の延べ201名の集落リーダーのうち埼玉中央農業協同組合(以下「埼玉中央農協」という。)の推薦に基づき任命されていた25地区の17名(8名は2地区を兼務)は、協議会からの集落リーダーの公募に応じた事実はあるものの、埼玉中央農協の職員1名(以下「農協職員」という。)が関東農政局長からの任命書を隠ぺいしていたため、自らが集落リーダーに任命された事実を承知しておらず、集落リーダーとしての活動を一切実施していなかった。そして、農協職員は、上記17名の集落リーダーが集落リーダーとしての活動を実施した事実がなく、集落リーダー活動費が発生していないことを認識していたにもかかわらず、集落リーダー活動費9,223,217円が発生したとして活動終了報告書等を偽造して協議会に提出し、協議会はこれに基づき国庫補助金の交付を受け集落リーダー活動費を交付していた。そして、農協職員は交付された集落リーダー活動費を詐取したり本件補助事業とは関係のない使途に費消したりしていた。
 したがって、本件補助事業により交付された上記25地区17名の集落リーダーに係る集落リーダー活動費計9,223,217円は補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金計9,223,217円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、農協職員が、集落リーダー活動費を詐取する目的で、活動終了報告書等を偽造して協議会に提出し、集落リーダー活動費の交付を受けていたことにもよるが、協議会において、集落リーダーの活動状況等の把握が十分でなかったこと、関東農政局において、本件補助事業の審査、確認及び協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。