この交付金事業は、柳田営農組合が、積極的に農業用機械の整理・合理化を進めることにより、生産性の高い水田農業を確立し作業形態の省力化を図るため、農業用機械の整理合理化計画(以下「整理合理化計画」という。)の策定及び高生産性農業用機械の購入による新規導入を行ったものである。そして、同組合は、本件交付金事業により策定した整理合理化計画に基づき、高生産性農業用機械として自脱型コンバイン及び汎用コンバイン各一式を新規に導入することとしていた。
同組合は、本件交付金事業を23,572,679円(交付対象事業費同額)で実施したとして、奥州市に実績報告書を提出して、これにより交付金11,786,000円の交付を受けていた。
しかし、同組合は、前記のコンバインのうち、自脱型コンバインについて、平成19年8月に売買契約を締結したものの、購入代金を支払わないまま、交付金の額の確定を受けた後の20年12月にこの売買契約を解除して、同月以降は、リース会社とリース契約を締結して借り受けていた。
したがって、本件交付金事業で購入により導入したとしていた自脱型コンバイン一式(事業費11,200,000円)については、補助の対象とは認められず、これに係る交付金相当額5,600,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同組合において、交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、岩手県及び奥州市において、本件交付金事業の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。