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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第14 環境省|
  • 不当事項|
  • 予算経理

物品の購入等及び調査・研究等の請負又は委託に当たり、事実と異なる内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って試験研究費、公害調査等委託費等を支払っていたもの


(812)—(821) 物品の購入等及び調査・研究等の請負又は委託に当たり、事実と異なる内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って試験研究費、公害調査等委託費等を支払っていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)環境本省 (項)環境政策基盤整備費 等
  (組織)地方環境事務所 (項)地方環境対策費 等
  (平成19年度以前は、 (項)地方環境事務所)
  エネルギー対策特別会計
    (勘定)エネルギー需給勘定
     (項)エネルギー需給構造高度化対策費 等
部局等 環境本省、9事務所等
経費の概要 物品の購入等及び調査・研究等の請負又は委託に係る試験研究費、公害調査等委託費等
不適正な会計経
理により支払わ
れた金額
1,517,384,839円(平成18年度〜21年度)

1 国の契約等の手続の概要

 環境省は、環境本省(以下「本省」という。)、地方環境事務所等において、支出負担行為担当官等の会計機関を設置し、廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化対策、生物多様性の保全、水俣病に関する国際的な調査・研究等の業務の実施に必要な物品の購入等に係る契約及び調査・研究等の請負又は委託に係る契約を多数締結しており、その経費を物品の購入等に係る契約については試験研究費等から、調査・研究等の請負又は委託に係る契約については、公害調査等委託費等から支払っている。
 これらに係る国の会計経理については、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等により、国の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までと定められており、原則として、各会計年度における経費は当該年度の歳入をもって支弁しなければならないなどとされている。また、歳出の会計年度所属区分が定められており、物件の購入代価等で相手方の行為の完了があった後交付するものはその支払をなすべき日の属する年度とされている。
 そして、国の会計機関が契約を締結した場合には、原則として、給付の完了を確認するため必要な検査(以下「検収」という。)を行い、所定の検査調書を作成しなければならず、この検査調書に基づかなければ当該契約の代金を支払うことができないなどとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、物品の購入等及び調査・研究等の請負又は委託は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、平成18年度から21年度までの物品の購入等に係る契約及び調査・研究等の請負又は委託に係る契約を対象として、本省及び6事務所等(注1) において支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行うとともに、4事務所等(注2) については書類の提出を受けて検査した。

(2) 検査の結果

 検査したところ、本省及び9事務所等(注3) において、18年度から21年度までの契約について、事実と異なる内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って試験研究費、公害調査等委託費等を支払っていたものが、計150件、1,517,384,839円あった。
 これを契約別、態様別に示すと次のとおりである( 参照)。

ア 物品購入等契約について

 本省及び3事務所等(注4) において、物品の購入等に係る契約について、不適正な会計経理を行って試験研究費等を支払っていたものが、次のとおり、計98 件、21,476,694円あった。

(ア) 翌年度納入

 物品等が翌年度に納入されているのに、検査調書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が現年度に納入されたこととして試験研究費等を支払っていたもの

3事務所等、83件、支払額19,229,629円

(イ) 契約前納入

 年度内において、契約手続を行わないまま物品等を納入させていたのに、検査調書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が契約締結後に納入されたこととして試験研究費等を支払っていたもの

本省、2事務所等、15件、支払額2,247,065円

イ 調査・研究等契約について

 本省及び7事務所等(注5) において、調査・研究等の請負又は委託に係る契約の成果物(調査・研究等の成果を取りまとめた紙媒体と電子媒体(CDーROM等)の報告書)が翌年度以降に納入されているのに、検査調書等の書類に実際の納入日より前の日付を検収日として記載することなどにより、現年度に納入されたこととする不適正な会計経理を行って公害調査等委託費等を支払っていたものが、計52件、1,495,908,145円あった。この中には、年度を越えてから2年5か月後に納入されている成果物があった。

 不適正な会計経理により支払われた試験研究費、公害調査等委託費等の事務所等別・態様別内訳

 
態様
事務所等名
年度 ア 物品購入等に係るもの イ 調査・研究等
に係るもの
合計
(ア) 翌年度納入 (イ) 契約前納入 小計 翌年度納入
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
(812) 環境本省
平成
19、20

0

0

2

171,392

2

171,392

36

1,192,306,045

38

1,192,477,437
(813) 皇居外苑管理事務所 19 1 4,200,000 1 4,200,000
(814) 生物多様性センター 19、20 2 30,591,000 2 30,591,000
(815) 国立水俣病
総合研究センター
19、20 64 17,870,201 11 1,971,965 75 19,842,166 0 0 75 19,842,166
(816) 関東地方環境事務所 21 1 4,455,000 1 4,455,000
(817) 近畿地方環境事務所 19、20 2 32,015,000 2 32,015,000
(818) 中国四国
地方環境事務所
18〜20 7 518,333 2 103,708 9 622,041 5 87,393,100 14 88,015,141
(819) 高松事務所 18〜20 12 841,095 0 0 12 841,095 0 0 12 841,095
(820) 九州地方環境事務所 19、20 2 10,195,000 2 10,195,000
(821) 那覇自然環境事務所 20、21 3 134,753,000 3 134,753,000
  83 19,229,629 15 2,247,065 98 21,476,694 52 1,495,908,145 150 1,517,384,839

 これらの事態は、本省及び9事務所等において、契約した物品、成果物等が納入されていないのに納入されたこととして事実と異なる内容の関係書類を作成するなど、不適正な会計経理を行って試験研究費、公害調査等委託費等計1,517,384,839円を支払っていたもので、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、本省及び9事務所等において、物品の購入等及び調査・研究等の請負又は委託に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することの認識が欠如していたこと及び内部牽(けん)制が十分機能していなかったこと、また、本省において、本省各部局及び9事務所等の会計経理に対する実態把握や会計事務処理手続の適正な執行についての指導監督等が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
6事務所等  皇居外苑管理事務所、生物多様性センター、国立水俣病総合研究センター、中国四国、九州両地方環境事務所及び高松事務所
(注2)
4事務所等  関東、中部、近畿各地方環境事務所及び那覇自然環境事務所
(注3)
9事務所等  皇居外苑管理事務所、生物多様性センター、国立水俣病総合研究センター、関東、近畿、中国四国、九州各地方環境事務所、那覇自然環境事務所及び高松事務所
(注4)
3事務所等  国立水俣病総合研究センター、中国四国地方環境事務所及び高松事務所
(注5)
7事務所等  皇居外苑管理事務所、生物多様性センター、関東、近畿、中国四国、九州各地方環境事務所及び那覇自然環境事務所