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  • 平成22年度|
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  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

省エネ推進協業体活動支援事業等の実施に当たり、漁業者グループに対する経費の助成等が適切に実施されていないなどしていたもの


(5) 事業の一部を実施していなかったもの及び補助の対象とならないもの

2件 不当と認める国庫補助金 85,355,568円

省エネ推進協業体活動支援事業等の実施に当たり、漁業者グループに対する経費の助成等が適切に実施されていないなどしていたもの

(2件 不当と認める国庫補助金 85,355,568円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
        千円 千円 千円  千円
(331) 水産庁 社団法人大日本水産会 全国漁業協同組合連合会4漁業協同組合及び2漁業協同組合連合会
(事業主体)
省エネ推進協業体活動支援事業(省エネ推進協業体活動事業) 20、21 705,938 678,709 36,280 33,810
(332) 特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構 4漁業協同組合及び2漁業協同組合連合会
(事業主体)
資源回復・漁場生産力強化事業(漁業者等地域活動事業) 21、22 1,150,430 1,134,327 54,974 51,544
(331)(332)の計 1,856,369 1,813,037 91,255 85,355

 省エネ推進協業体活動支援事業(省エネ推進協業体活動事業)(以下「省エネ事業」という。)は、漁業者による燃油消費量削減又は生産性向上のための取組を緊急に実施するために、県域の漁業協同組合(注1) (以下「県域漁協」という。)又は漁業協同組合連合会(以下、これを「県漁連」といい、県域漁協と県漁連を合わせて「県漁連等」という。)に対して、社団法人大日本水産会(以下「水産会」という。)が全国漁業協同組合連合会(以下「全漁連」という。)を通じて助成金を交付するものである。
 また、資源回復・漁場生産力強化事業(漁業者等地域活動事業)(以下「資源回復事業」という。)は、漁業者等による資源回復又は漁場生産力の向上のための取組を促進するために、県漁連等に対して、特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構(以下「機構」という。)が直接助成金を交付するものである。
 水産庁は、これら助成金の財源に充てるため、水産会又は機構に対して国庫補助金を交付して水産業燃油高騰緊急対策基金又は水産業体質強化総合対策事業基金を造成させるなどしており、水産会及び機構は、これらの基金を取り崩すなどして県漁連等に対して助成金を交付している。

 県域の漁業協同組合  漁業協同組合合併促進法(昭和42年法律第78号)に基づく合併により設立された「県下一円」又は広範囲の地域を定款上の「地区」とする漁業協同組合をいう。

 「水産業燃油高騰緊急対策事業実施要領」(平成20年19水漁第3248号農林水産事務次官依命通知)等によると、県漁連等は、漁業者等により構成されるグループ(以下「漁業者グループ」という。)が、燃油消費量削減等のために輪番制休漁等を導入する協定を漁業者間で締結して、県漁連等が策定した活動計画に基づいて休漁中に海岸清掃等の漁場生産力の向上の取組を行う場合には、漁業者グループに対する経費の助成を行うとともに、自ら又は漁業者グループ構成員以外の第三者に指導・監視を委託(以下、この委託を受けた者を「指導・監視員」という。)して、取組の実施状況の管理を実施することとされている。
 前記助成の対象となる経費は、〔1〕 人件費、船舶借料、漁業者グループの負担した燃料費及び資材費等の、漁業者グループによる漁場生産力向上の取組に係る経費、〔2〕 県漁連等が漁業者グループ構成員以外の第三者に指導・監視を委託して行った場合の指導・監視員に係る雇用賃金等の、取組の実施状況の管理に係る指導・監視経費とされており、県漁連等の事務費については、助成の対象とされていない。
 4県域漁協(注2) 及び2県漁連(注3) (以下、これらを合わせて「6県漁連等」という。)は、平成20年度から22年度までの間に全漁連又は機構に対して、省エネ事業を計705,938,812円、資源回復事業を計1,150,430,413円、合計1,856,369,225円で実施したとして事業実施報告書を提出し、これにより全漁連から計678,709,432円、機構から計1,134,327,988円、合計1,813,037,420円の助成金の交付を受けていた。
 しかし、6県漁連等が提出した事業実施報告書に記載された事業費には、漁業者グループに対する経費の助成等が適切に実施されていないものや全漁連又は機構の助成の対象とならないものが含まれていた。

(注2)
 4県域漁協  石川県、山口県、佐賀県有明海、大分県各漁業協同組合
(注3)
 2県漁連  福岡県、佐賀県玄海両漁業協同組合連合会

これらを経費別・態様別に示すと次のとおりである。

ア 漁業者グループによる漁場生産力向上の取組に係る経費について

(ア) 協定不締結及び休漁・取組一部不参加
漁業者グループが協定に基づく取組を実施したとして県域漁協が助成金の交付を受けていたが、実際には県域漁協の支所が漁業者に無断で協定書を作成していたり、漁業者グループ構成員の一部が、休漁していなかったり、取組に参加していなかったりしていたもの

(イ) 交付決定前の経費等に対する交付
本件助成金の交付決定前に漁業者グループが購入した資材等に係る経費又は県域漁協若しくは地方公共団体が負担していて漁業者グループが負担していない資材費等に係る経費について、県域漁協が助成金の交付を受けていたもの

(ウ) 漁業者人件費等未払
県漁連等が漁業者グループに人件費、船舶借料等の経費を助成したとして助成金の交付を受けていたが、助成したとする経費の全部又は一部が漁業者グループに支払われていなかったり、一旦漁業者グループに支払われた後に徴収されたりしていて、県域漁協の支店若しくは支所又は県漁連の会員である地域の漁業協同組合(注4) (以下「地域漁協」という。)の事務費等に充てられていたもの

 地域の漁業協同組合  従来の市町村等の地域を定款上の「地区」とする漁業協同組合をいい、通常、漁業協同組合連合会の会員となっている。

イ 取組の実施状況の管理に係る指導・監視経費について

(ア) 県域漁協の職員による指導・監視に対する交付
県域漁協の職員が指導・監視業務を実施していた場合には、間接補助事業者として自ら指導・監視業務を行ったものであって、これに要する経費は助成の対象とならないのに、指導・監視員に係る雇用賃金として県域漁協が全漁連から助成金の交付を受けていたもの

(イ) 指導・監視員雇用賃金未払
県漁連等が指導・監視業務を地域漁協の職員等に委託して、賃金を支払ったとして助成金の交付を受けていたが、支払ったとする賃金の全部又は一部が委託を受けた職員等に支払われていなかったもの

 したがって、上記の事態に係る事業費計91,255,091円(省エネ事業計36,280,570円、資源回復事業計54,974,521円)に対する助成金交付額計85,355,568円(省エネ事業計33,810,812円、資源回復事業計51,544,756円。国庫補助金相当額同額)が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、6県漁連等において、本件補助事業の適正な実施についての認識が欠けており、自ら補助事業の実施状況及び助成金の支払状況を確認していなかったこと、全漁連及び機構において、事業実施報告書の審査及び確認並びに県漁連等に対する指導及び監査が十分でなかったこと、水産会において、事業実施報告書の審査及び確認並びに全漁連に対する指導及び監査が十分でなかったことなどによると認められる。
 以上を、県漁連等別に示すと表のとおりである。

表 不当と認める事業費等の県漁連等別の内訳
(単位:円)

態様
県漁連等
ア 漁業者グループによる漁場生産力向上の取組に係る経費 イ 取組の実施状況の管理に係る指導・監視経費
  (ア) 協定不締結及び休漁・取組一部不参加 (イ) 交付決定前の経費等に対する交付 (ウ) 漁業者人件費等未払   (ア) 県域漁協の職員による指導・監視に対する交付 (イ) 指導・監視員雇用賃金未払
石川県漁業協同組合 2,760,882
(1,903,992)
1,104,000
(1,104,000)
1,635,882
(778,992)
21,000
(21,000)
198,400
(198,400)
198,400
(198,400)

(—)
2,959,282
(2,102,392)
1,146,996
(611,665)

(—)
1,021,996
(486,665)
125,000
(125,000)

(—)

(—)

(—)
1,146,996
(611,665)
山口県漁業協同組合 7,956,975
(6,344,107)
496,941
(493,480)
3,106,492
(1,518,183)
4,353,542
(4,332,444)
12,637,081
(12,637,081)
12,015,600
(12,015,600)
621,481
(621,481)
20,594,056
(18,981,188)
16,717,535
(13,823,101)

(—)
5,579,013
(2,684,579)
11,138,522
(11,138,522)
6,488,816
(6,488,816)

(—)
6,488,816
(6,488,816)
23,206,351
(20,311,917)
福岡県漁業協同組合連合会 2,937,429
(2,937,429)

(—)

(—)
2,937,429
(2,937,429)
131,280
(131,280)

(—)
131,280
(131,280)
3,068,709
(3,068,709)
5,378,187
(5,378,187)

(—)

(—)
5,378,187
(5,378,187)
4,315,620
(4,315,620)

(—)
4,315,620
(4,315,620)
9,693,807
(9,693,807)
佐賀県有明海漁業協同組合 1,977,680
(1,977,680)

(—)

(—)
1,977,680
(1,977,680)
1,748,400
(1,748,400)
1,748,400
(1,748,400)

(—)
3,726,080
(3,726,080)
1,055,232
(1,055,232)

(—)

(—)
1,055,232
(1,055,232)

(—)

(—)

(—)
1,055,232
(1,055,232)
佐賀県玄海漁業協同組合連合会 2,511,546
(2,511,546)

(—)

(—)
2,511,546
(2,511,546)
1,486,497
(1,486,497)

(—)
1,486,497
(1,486,497)
3,998,043
(3,998,043)
15,638,886
(15,638,886)

(—)

(—)
15,638,886
(15,638,886)
3,789,223
(3,789,223)

(—)
3,789,223
( 3,789,223)
19,428,109
(19,428,109)
大分県漁業協同組合
(—)

(—)

(—)

(—)
1,934,400
(1,934,400)
1,934,400
(1,934,400)

(—)
1,934,400
(1,934,400)
444,026
(444,026)

(—)

(—)
444,026
(444,026)

(—)

(—)

(—)
444,026
(444,026)
18,144,512
(15,674,754)
1,600,941
(1,597,480)
4,742,374
(2,297,175)
11,801,197
(11,780,099)
18,136,058
(18,136,058)
15,896,800
(15,896,800)
2,239,258
(2,239,258)
36,280,570
(33,810,812)
40,380,862
(36,951,097)

(—)
6,601,009
(3,171,244)
33,779,853
(33,779,853)
14,593,659
(14,593,659)

(—)
14,593,659
(14,593,659)
54,974,521
(51,544,756)
両事業の合計 58,525,374
(52,625,851)
1,600,941
(1,597,480)
11,343,383
(5,468,419)
45,581,050
(45,559,952)
32,729,717
(32,729,717)
15,896,800
(15,896,800)
16,832,917
(16,832,917)
91,255,091
(85,355,568)
注(1)  県漁連等の行のうち、上段は省エネ事業、下段は資源回復事業である。
注(2)  各経費欄の括弧書きは、全漁連又は機構の助成の対象とならない経費に係る助成金交付額である。