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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 平成21年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

制度改革促進基金造成事業により造成された制度改革促進基金の効果的な活用について


(6) 制度改革促進基金造成事業により造成された制度改革促進基金の効果的な活用について

1 本院が表示した意見

 国は、信用補完制度の下で、中小企業者が金融機関から受ける融資について、その債務を保証する信用保証協会(以下「協会」という。)と金融機関とが適切な責任共有を図ることを促進するため、平成17年度以降に全国52の協会が引き受けた部分保証方式による保証(以下「部分保証」という。)から生ずる損失を処理するための制度改革促進基金(以下「促進基金」という。)を造成するための補助金を各協会に対して交付している。しかし、各協会における補助金交付額や促進基金残高は、部分保証の実績に即した的確な配分や適正な規模になっておらず、促進基金の必要額を過去の実績等に基づき試算すると、必要額を超えて保有されているものと認められる。また、促進基金を取り崩した後の回収金のうち、促進基金に戻し入れることとする必要があると認められる額が促進基金に戻し入れられることなく協会の一般財源となっている。
 したがって、経済産業省において、各協会の促進基金が必要額を超えて過大に保有されることのないよう補助金の交付の在り方等について見直しを行うなどすることにより、促進基金の効果的な活用を図るよう、経済産業大臣に対して22年7月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、協会と金融機関とが適切な責任共有を図る保証制度(以下「責任共有制度」という。)の利用をより一層促進するため、23年2月に補助金の交付要綱を改正するなどして、23年度以降、部分保証から生ずる損失に加えて、部分保証とともに責任共有制度の一環をなす負担金方式による保証から生ずる損失についても促進基金の取崩し対象とするなどの制度改正を行うことにより、促進基金の効果的な活用を図り、促進基金が適正な規模となり、必要額を超えて過大に保有されることのないようにする処置を講じていた。
 また、中小企業庁は、促進基金を取り崩した後の回収金の取扱いについて、戻入れに伴う事務負担も考慮して、促進基金の取崩し時に、回収金のうち促進基金に戻し入れることが必要となる額に相当する額を取崩額からあらかじめ減額して取崩しを行うことによって、戻入れと実質的に同じ効果をもたらすこととし、23年2月に促進基金の事務取扱要領を改正して、23年度以降、促進基金の取崩額は損失の一定割合の額を限度とするよう改め、協会に通知を発してその旨を周知する処置を講じていた。