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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第15 日本年金機構|
  • 不当事項|
  • 役務

年金相談センター運営業務委託において、委託費の対象とはならない研修に係る経費を委託費の対象経費として支払っていたもの


(397) 年金相談センター運営業務委託において、委託費の対象とはならない研修に係る経費を委託費の対象経費として支払っていたもの

科目 業務経費
部局等 日本年金機構本部
契約名 年金相談センター運営業務委託
契約の概要 全国51か所の年金相談センターの運営業務を委託するもの
契約の相手方 全国社会保険労務士会連合会
契約 平成22年1月 随意契約
支払額 2,020,587,780円 (平成22年度)
上記のうち47都道府県の社会保険労務士会に再委託して実施した研修に係る経費の支払額 20,608,000円  
上記のうち委託費の対象とはならない研修に係る経費の支払額 5,976,000円  

1 年金相談業務等の概要

(1) 年金相談センター運営業務委託契約の概要

 日本年金機構(以下「機構」という。)は、年金見込額、年金記録の確認、年金の裁定請求等に関する情報を提供するため、国民年金及び厚生年金保険の被保険者、年金受給者等に対する年金相談業務を年金事務所において実施するほか、これを補完する目的で27都道府県に51年金相談センター(以下「センター」という。)を設置している(年金相談業務の概要等については、後掲の「年金相談業務に係る契約の実施に当たり、契約の履行確認を徹底するなどするよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに委託する年金相談窓口数の見直しを行うなどして、年金相談業務の実施等が経済的なものとなるよう意見を表示したもの」 参照)。機構は、センターを運営するため、平成22年1月に、全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)と、随意契約により、同年1月から25年3月までの間を委託期間とする年金相談センター運営業務委託契約を契約金額6,502,553,418円で締結しており、22年度に委託費として計2,020,587,780円を支払っている。

(2) 相談員研修の概要

 機構は、本件業務の委託に当たり、「年金相談センター運営業務委託標準仕様書」及び「年金相談センター運営委託要領」(以下、これらを合わせて「仕様書」という。)を定めており、仕様書によると、年金相談等への対応業務等を委託業務の内容としている。
 そして、仕様書により、連合会は、本件委託業務において、年金相談業務に必要な知識等の統一化を図るため、センターで年金相談業務に従事する相談員等を対象として、年金相談の実務に関する研修等(以下「相談員研修」という。)を実施することとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、機構本部及び連合会において、各センターで年金相談業務に従事する相談員等に対して、仕様書で定められた相談員研修が適切に実施されているかなどに着眼して、前記の契約を対象として、契約書、仕様書等により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 連合会は、本件委託業務において、センターが設置されている27都道府県の社会保険労務士会に再委託して相談員研修を実施しているが、これと同様の研修を相談員ではない社会保険労務士を対象としてセンターが設置されていない20県の社会保険労務士会に再委託して実施していた。そして、これらに係る経費として、22年度に計20,608,000円を委託費の対象経費として支払っていた。
 しかし、上記20県の社会保険労務士会に再委託した研修は、センターが設置されていない県で実施されていて、センターの相談員等を対象としたものではないため、仕様書に定められた相談員研修とは認められない。
 したがって、上記20県の社会保険労務士会が実施した研修に係る経費5,976,000円を委託費の対象経費としていたことは不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、連合会が仕様書を十分に理解していなかったことにもよるが、機構において、連合会に対する指導及び委託業務の履行の確認が十分でなかったことなどによると認められる。