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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第23 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構|
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地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業の実施に当たり、共同研究に要する経費の計上が適正を欠いたため、負担額の支払が過大となっていたもの


(401) 地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業の実施に当たり、共同研究に要する経費の計上が適正を欠いたため、負担額の支払が過大となっていたもの

科目 (エネルギー需給勘定) 業務経費
部局等 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構本部
契約名 地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業/籾(もみ)殻の熱分解ガスを熱源とした籾乾燥システムのフィールドテスト事業
契約の概要 籾殻の熱分解ガスを熱源とした籾乾燥システムを実際に設置して運用した上で運転データの収集、分析等を行うもの
契約の相手方 株式会社サタケ
契約 平成19年1月 随意契約
支払 平成19年4月ほか
負担額 57,547,532円 (平成18年度〜20年度)
過大となっていた負担額 26,045,250円 (平成18年度〜20年度)

1 契約の概要

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)は、平成18年度に株式会社サタケ(以下「事業者」という。)と「地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業/籾殻の熱分解ガスを熱源とした籾乾燥システムのフィールドテスト事業」に係る共同研究契約を締結している。この共同研究は、地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業の一環として、バイオマスの熱エネルギー利用について、実際に設備を設置して運用した上で運転データの収集、分析等を行うものであり、共同研究に要する経費(以下「共同研究費」という。)の2分の1を機構が負担することとなっている。
 この共同研究において、事業者は、A農業協同組合の所有する穀物貯蔵施設に、籾殻を熱分解し、得られたガスを燃焼させて温風を籾乾燥に利用する籾殻熱分解システム(以下「システム」という。)を設置することとし、システムの製作を19年1月にB社に86,100,000円(税抜き82,000,000円)で発注し、この費用を共同研究費の機械装置等製作・購入費として計上している。そして、事業者は、21年3月に共同研究を終えて、共同研究費を計115,095,066円とする実績報告書を提出し、機構は、これを検査した上で確定して計57,547,532円を支払っている。
 また、設置されたシステムは、共同研究契約約款に基づき、機構及び事業者がそれぞれの負担割合を持分として共有する取得財産となっているが、事業者は、共同研究終了後も試験研究を続け、研究開発の実施にシステムの使用が必要不可欠であることを理由にシステムの機構持分について有償譲渡を希望する資産処分に関する要望書(以下「要望書」という。)を機構に提出し、機構は、これを受けて21年12月に事業者にシステムの機構持分の残存価額となる15,605,620円で有償譲渡を行っている。

2 検査の結果

 本院は、機構本部等において、合規性等の観点から、本件事業が共同研究契約約款等に基づき適切に実施され、その経理は適正かに着眼して、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。
 検査したところ、事業者は、前記のとおり、要望書で研究開発の実施にシステムの使用が必要不可欠であるとしていたが、実際には、B社とのシステムの製作に係る製作物等供給契約書(以下「契約書」という。)において、当該システムは、共同研究終了後に機構から有償譲渡された後、B社が買い取ることとしており、事業者は、契約書に基づき、B社からその買取金額47,355,000円(税抜き45,100,000円)の入金を受けていた。
 したがって、システムの製作に係る機械装置等製作・購入費は、システムの発注金額82,000,000円から契約書で定められたシステムの買取金額45,100,000円を差し引いた36,900,000円となり、これに基づくなどして適正な共同研究費を算定すると計63,004,566円となることから、前記の共同研究費計115,095,066円との差額計52,090,500円に係る機構負担額計26,045,250円が過大となっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業者において共同研究事業の適正な執行に対する理解が十分でなかったこと、機構において事業者に対する指導、審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。