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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第33 独立行政法人都市再生機構|
  • 不当事項|
  • 役務

個人向宅地募集等の業務に係る予定価格の積算に当たり、月額単価の適用や所要人数の算定を誤っていたため、委託費の支払額が割高となっていたもの


(415) 個人向宅地募集等の業務に係る予定価格の積算に当たり、月額単価の適用や所要人数の算定を誤っていたため、委託費の支払額が割高となっていたもの

科目 (宅地造成等経過勘定) (項)市街地整備特別業務費
部局等 独立行政法人都市再生機構募集販売本部(平成23年7月1日以降は同機構首都圏ニュータウン本部)
契約名 (1)  募集販売本部個人向用地募集・契約等業務(平成20年度)、募集販売本部個人向宅地募集・契約等業務(平成21、22両年度)
(2)  募集販売本部個人向宅地等管理業務(平成21、22両年度)
契約の概要 (1)  募集販売本部での個人向宅地分譲等に係る契約等や、同本部所管エリアの常設案内所及び現地案内所での募集案内・申込受付等に係る業務を行うもの
(2) 募集販売本部及び支社で、個人向宅地の管理及び顧客サービスの管理等に係る業務を行うもの
契約の相手方 株式会社URリンケージ
契約 (1)  平成20年7月、21年4月、22年4月 企画競争契約
(2)  平成21年4月、22年4月 企画競争契約
支払額 (1) 929,673,199円 (平成20年度〜22年度)
(2) 388,185,310円 (平成21、22両年度)
1,317,858,509円  
割高となっていた支払額 (1) 5110万円 (平成20年度〜22年度)
(2) 1590万円 (平成21、22両年度)
6700万円  

1 委託業務契約の概要

 独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)の募集販売本部(平成23年7月1日以降は首都圏ニュータウン本部)は、20年度から22年度までの間に、募集販売本部、常設案内所、現地案内所、支社等において、個人向宅地の募集案内、申込受付、契約、顧客サービスの管理等を行うため、募集販売本部個人向宅地募集・契約等業務等5件を、企画競争契約により株式会社URリンケージに契約額計1,337,694,059円で委託している。そして、業務終了後、確定した業務量に基づく精算により、委託費として計1,317,858,509円を支払っている。
 これらの委託業務契約に関して、機構の本社は、毎年度、予定価格の積算に用いる1か月当たりの人件費単価(以下「月額単価」という。)等を募集販売本部等に示している。そして、募集販売本部は、各業務に必要となる業務従事者の人数(以下「所要人数」という。)を算出し、これに月額単価を乗ずるなどして、委託業務契約の予定価格を積算している。
 このうち、所要人数については、各業務に必要となる年間延べ労働時間を、機構の所定内労働時間と同じ7時間40分を基に算出した1人当たりの年間総労働時間で除するなどして算出している。
 また、募集販売本部個人向宅地募集・契約等業務等においては、販売する宅地等のある地区に常設案内所等を開設し募集案内等の業務を行うこととされていて、その業務に必要となる年間延べ労働時間は、業務従事者の勤務時間に常設案内所等の開設日数等を乗じて算出しており、業務従事者の1日当たりの勤務時間は、上記と同じ7時間40分としている。
 そして、募集販売本部は、前記により算出した所要人数に、本社が示している月額単価を乗ずるなどして、本件各委託業務契約の予定価格を計1,372,519,875円と積算している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、募集販売本部において、経済性等の観点から、各委託業務契約に係る予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、契約書、仕様書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 本社が募集販売本部に示している月額単価は、業務の程度に応じて4つのランクに区分されている。そして、それぞれの月額単価(20年度から22年度までの単価は最も低いランクで463,300円〜477,500円、最も高いランクで880,200円〜905,000円)は、機構職員の本給等に、1か月当たりの時間外勤務を18時間とした時間外勤務手当(29,082円〜52,607円)を加算するなどして算定されたものであるのに、募集販売本部は、前記のとおり、これをそのまま機構の所定内労働時間を基に算出した所要人数に乗じて予定価格を過大に積算していた。
 また、20年度の募集販売本部個人向用地募集・契約等業務契約の予定価格の積算においては、さらに、一部の業務従事者に適用する月額単価を本来最も低いランク(477,500円)とすべきところ、誤って最も高いランク(905,000円)としていた。

イ 募集販売本部個人向宅地募集・契約等業務等における常設案内所等の業務従事者の勤務時間は、仕様書によると、常設案内所等の箇所により9時30分から16時30分までなどとなっており、休憩時間を考慮すると、1日の勤務時間は6時間15分、7時間15分又は7時間45分となるのに、前記のとおり、これを一律7時間40分としていた。
 そして、上記のように、常設案内所等の勤務時間について仕様書と異なる勤務時間を一律に適用したことなどにより、所要人数を過大に算出して予定価格を積算していた。

 したがって、本件各委託業務契約について、確定した業務量による委託費を、時間外勤務手当を含まない月額単価及び適正な所要人数等により修正計算すると、顧客対応業務のために必要とされる労働時間が過小となっていたことによる経費を考慮しても、計1,250,781,825円となり、前記の支払額計1,317,858,509円は、これに比べて約6700万円割高となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、募集販売本部において、予定価格の積算に当たり、本社が定めている月額単価や仕様書の内容等についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。