ページトップ
  • 平成22年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第2節 国会からの検査要請事項に関する報告

在外公館に係る会計経理について


在外公館に係る会計経理について

要請を受諾した年月日 平成21年6月30日
検査の対象 外務省
検査の内容 在外公館に係る会計経理についての検査要請事項
報告を行った年月日 平成23年10月5日

1 検査の背景及び実施状況

(1) 検査の要請の内容

 会計検査院は、平成21年6月29日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月30日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその結果を報告することを決定した。

一、 会計検査及びその結果の報告を求める事項
  (一) 検査の対象
     外務省
  (二) 検査の内容
     在外公館に係る会計経理に関する次の各事項
   
〔1〕  会計事務の体制の状況
〔2〕  資金の受入、保管等の状況
〔3〕  収入及び支出に係る会計処理の状況
〔4〕  施設及び物品の管理等の状況
〔5〕  監査の実施状況

 本院は、上記の要請により22年次に実施した会計検査の結果について、22年10月6日、会計検査院長から参議院議長に対して報告 した(以下、この報告を「22年報告」という。)。そして、本院は、22年報告の検査結果に基づく改善策が確実に実施されているかを確認するなど在外公館に係る会計経理に関し引き続き検査を実施し、取りまとめが出来次第報告することとした。

(2) 在外公館の概要

 外務省は、外務省設置法(平成11年法律第94号)に基づき、外国において同省の所掌事務を行うため、在外公館を設置している。在外公館には、〔1〕 大使館(141公館)、〔2〕 総領事館(63公館)及び〔3〕 政府代表部(7公館)の計211公館がある(22年度末現在)。在外公館の組織は、通常、政務班、経済班、領事・査証班、広報文化班、官房班等に分かれている。これらの班のうち、官房班は、会計(庶務を含む。)及び通信を担当することとしており、会計担当者及び通信担当者が互いに正副の担当者になってそれぞれの事務を兼務することにしている。
 在外公館には、外務省に所属する国家公務員である「外務公務員」のほか、在外公館が採用した「現地職員」等がいる。

(3) 23年次の検査における検査の観点、着眼点、対象及び方法

ア 検査の観点及び着眼点

 本院は、22年報告の検査結果に基づく改善策が確実に実施されているかを確認するための検査(以下「フォローアップ検査」という。)を実施するとともに、前記要請の趣旨を踏まえ更に検査の徹底を図るため、在外公館に係る会計経理に関する各事項について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、以下の着眼点により検査を実施した。

(ア) 会計事務の体制の状況

 会計事務の体制は、適正かつ適切なものとなっていて有効に機能しているか、特に、会計担当者の会計処理について、相互チェックが十分に行われているか、定期・不定期の検査等日常的な内部牽(けん)制が適切に行われているか。

(イ) 資金の受入、保管等の状況

 前渡資金等の資金の受入れや保管等は適正かつ経済的に行われているか、特に、送金通貨から現地通貨への交換は適切に行われているか、前渡資金等に係る外国送金の手続は、経済的なものとなっているか。

(ウ) 収入及び支出に係る会計処理の状況

 収入に係る会計処理は適正に行われているか、特に、旅券、査証及び証明書の発給等に係る手数料(以下「領事手数料」という。)の収納事務は、適切に行われているか、付加価値税等の還付等を適正に受けているか。また、支出に係る会計処理は適正かつ経済的に行われているか、特に、前渡資金等の使用残額は、適時適切に外務本省へ返納されているか。

(エ) 施設及び物品の管理等の状況

 施設は適正かつ経済的に管理されているか、物品の利用、保管等は適切か、特に、物品の取得や異動は物品管理簿等に適正に記録されているか、海外広報用の広報資料、文化啓発品等は、広報、文化交流事業等に積極的に利用されているか。

(オ) 監査の実施状況

 在外公館の監査は、計画的かつ効率的に行われて実質的な効果を上げているか、特に、外務公務員法(昭和27年法律第41号)で定められた査察として実施されている監査は適切に機能しているか、査察が実施されていない在外公館にも査察結果を周知して有効に活用する方策は執られているか。

イ 検査の対象及び方法

 本院は、22年次に検査を実施した51公館等に引き続き、外務本省及び在カンボジア日本国大使館等計40公館を対象として検査を実施した。検査の実施に当たっては、在庁して外務省から提出された書類による書面検査を行うとともに、外務本省において、各在外公館の会計事務の状況について資料を基に説明を受け、また、上記の各在外公館において、調書を徴するとともに個別の会計事務について説明を受けるなどして、計365.5人日を要して、会計実地検査を行った。
 また、このほかに、フォローアップ検査のみのために4公館において計5人日を要して会計実地検査を行った。さらに、フォローアップ検査については、22年報告を受けて講じた処置について外務本省において確認するとともに、必要に応じて上記以外の在外公館についても調書を徴するなどして各在外公館の対応状況について確認を行った。
 なお、「在〇〇日本国大使館」については、以下「〇〇大使館」という。

2 検査の結果

(1) 会計事務の体制の状況

ア 会計機関及び会計担当者の事務分掌等

 国の会計事務は、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)等の会計法令により、適正な執行が担保される仕組みとなっている。会計法令は、歳入徴収官、契約担当官等の会計機関を設けることを定め、これにより国の会計に係る事務・事業を遂行する際の責任の明確化を図ったり、職務の分担による相互牽制の機能を持たせたり、各種帳簿の作成を義務付けたりしており、一連の会計事務の最終段階では、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき、計算書、証拠書類等(以下、これらを合わせて「計算証明書類」という。)を本院に提出することとしている。
 在外公館の会計事務は、我が国とは言語、通貨、法制度、慣習等が異なる環境の中で、会計法令に基づき適正かつ適切に行うことが求められている。そして、在外公館の長(以下「館長」という。)が歳入徴収の職務と現金出納の職務を特例的に兼ねることができるとされていることのほか、前渡資金による支払が行われていることなどの特色がある。
 館長は、原則として歳入徴収官、契約担当官等の会計機関に指定されており、また、本院に計算証明書類を提出する際の証明責任者となっている。また、これらの会計機関とは別に、館長は、報償費の取扱責任者にもなっている。さらに、館長は、在外公館の事務を統括する責任者として、会計経理に対する指導・監督を行うこととされている。

イ フォローアップ検査

 22年報告において外務省が留意すべきとして報告した事項及びそのフォローアップ検査の結果の主なものは、以下のとおりである。

(ア) 本院は、会計担当者が正副2人の在外公館では、会計副担当者が会計事務に従事しておらず、相互チェックが十分に機能していない事態も見受けられたことから、定期・不定期の検査等を通じて内部牽制等が十分機能するようにすべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、会計担当者に対する内部牽制等が十分機能するように、会計担当者の充実を図るなどの体制整備を引き続き検討するとしている。

(イ) 本院は、在外公館の計算証明書類の提出が遅滞している状況が見受けられたことから、在外公館の事務処理の機械化、電子化等を通じて、外務本省との間の連絡調整、書類のやり取りなどに要する時間を短縮して、提出期限を遵守すべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、23年1月に外務本省が内容の確認等を行う際に用いている検査要領の統一等を行い、計算証明書類の早期提出に向けた改善策を講じたとしている。

(ウ) 本院は、物品管理事務をより効率的に執行するため、21年8月に運用を開始した新しい物品管理システムについて、物品のデータ入力が完了していなかったことから、早期に全ての物品のデータ入力を完了して、十分な活用を図るべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、22年10月に同システムへのデータ入力を早急に行うよう通知を発したが、23年6月末現在、全在外公館のうち、約3割の在外公館においてデータ入力が完了していなかった。

ウ 23年次の検査の結果

 会計事務の体制について検査した結果、スイス大使館において、会計担当者に会計経理を適正に行う認識が欠如していたこと、出納官吏に公金の取扱いに関する認識が十分なかったこと、館長及び出納官吏のそれぞれの職責に応じた会計経理に対する指導・監督が十分でなかったことなどのため、歳出を異なる会計年度から行ったり、歳入徴収官、資金前渡官吏等が自ら行うべき事務が当該者により行われていなかったりするなどの事態が見受けられた。
 在外公館の会計経理において、歳入徴収官、資金前渡官吏等が自ら行うべき事務が当該者により行われていなかったり、会計法令等に従った会計事務の処理が行われていなかったりしていた事態については、本院は、平成15年度決算検査報告に「在外公館における出納事務について、内部統制等を十分機能させることなどにより、その適切及び適正な執行を図るよう是正改善の処置を要求したもの」 を掲記している。そして、この処置要求の結果、外務省は、是正改善の処置を講じていたが、スイス大使館では、この処置が遵守されていなかったため、不適正な会計処理により前渡資金を支払うなどの誤った会計経理が継続して行われていた。(前掲不当事項参照)97

(2) 資金の受入、保管等の状況

ア 在外公館で取り扱う資金の概要

 在外公館で取り扱う資金は、収入金、前渡資金及び報償費がある。収入金は領事手数料等の在外公館が収納した資金であり、前渡資金は所在国において各種経費の支払を行うための資金であり、報償費は情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用する資金である。

イ 資金の交付、受入れ及び保管

 外務省は、収入金のうち領事手数料については、収入官吏が収納した領事手数料を一旦手許の金庫に保管しておき、一定額に達したときなどに、在外公館が開設した収入金を取り扱う銀行口座へ入金することとしている。
 前渡資金については、在外公館が開設した前渡資金を取り扱う銀行口座に日本銀行が外国送金することにより交付され、在外公館は、交付された前渡資金をこの口座で保管するとともに、必要に応じて手許に現金で保管することとしている。
 報償費については、外務本省の官署支出官から取扱責任者(館長)に対して交付することとしている。報償費は、報償費を取り扱う銀行口座へ外国送金され、取扱責任者がこの口座で保管している。
 また、外務省は、在外公館への資金の交付に当たり、現地通貨による外国送金ができないため米ドル等の通貨で送金したり、所在国の金融機関の信頼性が低いなどとして、アメリカやヨーロッパ諸国等に開設した銀行口座に送金したりしており、送金を受けた在外公館は、業務に必要な都度、適時に送金通貨から現地通貨に交換して各種経費の支払に充てている。

ウ フォローアップ検査

 22年報告において外務省が留意すべきとして報告した事項及びそのフォローアップ検査の結果の主なものは、以下のとおりである。

(ア) 本院は、在外公館の前渡資金について、日本銀行から市中金融機関を通じて定期又は臨時に外国送金されていて、この送金手続に係る送金手数料は日本銀行が負担しているが、1件当たりの送金額、資金の残額等が考慮されずに臨時配賦が行われており、それらの中には少額のものがあったことから、業務に支障が生じない範囲でまとめて行うなどの措置を実施すべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、送金回数の縮減について、22年8月に通知を発し、それまで週2回であった送金日の設定を緊急の場合を除き原則として週1回にするなどして送金手数料が経済的になるよう処置を講じた。その結果、送金回数は通知を発した後の9か月間において対前年度比及び対前々年度比で1割から2割程度減少し、本院の試算では、日本銀行が負担している送金手数料は、同期間において対前年比約400万円、対前々年比約600万円節減できた。

(イ) 本院は、在外公館における会計事務処理において公金と職員の私金等公金以外の現金とが混同すると、公金の適正な管理に支障を来すおそれがあるが、領事手数料に係る釣銭を私金で用意して、一時的ではあるものの私金と公金を混同している在外公館があったことから、領事手数料に係る釣銭の用意の仕方等について、公金と私金が混同することにならないような方策を検討すべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、領事手数料の釣銭について、申請者の手許に高額紙幣しかないなどの場合、この高額紙幣を過日に収受した収入金を用いて両替することも可能とするなどとし、公金と私金が混同することにならないよう処置を講じた。

エ 23年次の検査の結果

(ア) 送金通貨から現地通貨への交換について

 一部の在外公館は、前記のとおり、外務本省から前渡資金等を米ドル等の送金通貨で受け入れた後、現地通貨に交換している。そして、通貨交換の際の外国為替レートには、市中金融機関の外国為替取引手数料(以下「両替手数料」という。)が上乗せされている。
 しかし、前渡資金等の使用残額や送金通貨による支払が多額に上ると見込まれていたのに、必要以上に現地通貨に交換したため、前渡資金等の使用残額の返納や送金通貨による支払の際に、現地通貨から送金通貨に再度交換していた在外公館が4公館あった(節減できた両替手数料計約43万円)。

(イ) 外務本省から在外公館への送金について

 外務本省から在外公館への送金は、前記のとおり、日本銀行により市中金融機関を通じて在外公館の銀行口座に米ドル等の送金通貨で外国送金されている。
 20、21両年度における全在外公館への外国送金の状況についてみたところ、在外公館に十分な資金の残額があるのに送金がなされた結果、在外公館へ送金された資金が使用されずに、外務本省に返納されているものがあり、在外公館への送金や使用残額の返納の際に要した両替手数料は、本院の試算によると、計約90万円となっていた。

(3) 収入及び支出に係る会計処理の状況

ア フォローアップ検査

 22年報告において外務省が留意すべきとして報告した事項及びそのフォローアップ検査の結果の主なものは、以下のとおりである。

(ア) 本院は、領事手数料を収納した際に発行する収入金領収証(1冊100枚綴り)について会計担当者が、受払簿を作成していなかったり、収入金領収証を領事担当者に引き渡す際に一連番号を付していなかったりなどしている在外公館があったことから、未使用の収入金領収証が無断で持ち出されて不正に使用されることがないように、会計担当者は、厳重に保管することに留意するとともに、受払簿を作成するなどしてその管理を徹底すべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、22年12月に在外公館に通知を発し、〔1〕 収入金領収証は受払簿を作成して適切に管理すること、〔2〕 領事担当者は、未使用の収入金領収証を受領する際には、会計担当者により一連番号が付されていることを確認することとするなどの処置を講じた。

(イ) 本院は、在外公館における契約の実施等について、不要な駐車場の借上契約を継続していたり、電話契約について、通話実績に比べて著しく高額な料金を支払っていたりしている在外公館があったことから、駐車場の借上契約について、必要台数を十分に検討したり、在外公館の電話契約について、使用状況に応じた適切なものとしたりすべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、駐車場の借上契約については、自動車を通勤に利用していない職員等を考慮して借上台数を検討したり、随時利用状況を確認の上、借上台数の見直しを実施したりするよう在外公館に指示するとともに、電話契約については、22年10月に、現行の基本契約、通信サービス内容等を精査の上、より経済的な契約となるよう見直しを行うこととする処置を講じた。

イ 23年次の検査の結果

(ア) 収入について、付加価値税の還付等を一部受けていなかった在外公館が7公館(還付等を受けていなかった付加価値税計82万余円)あり、また、過去に遡及して付加価値税の還付を受けることができたのに還付を受けていなかった在外公館が2公館(還付等を受けていなかった付加価値税計108万余円)あった。また、コロンビア大使館において、現地職員が領事手数料66万余円を領得する事態があった(前掲不当事項参照)101

(イ) 支出について、以下の事態があった。

a 現地職員の年末手当等の支給額の算定に当たり、在職期間を誤って計算するなどしたため、過大に支給していた在外公館が5公館あった(過大額計83万余円)。

b 日本人学校等が現地で採用した教員等の給与に対する援助の実施に当たり、夏期休暇等で給与が支払われていないのに、日本人学校等の運営主体が援助を請求し、在外公館がその事実を十分確認しないまま援助を行ったなどのため、計256万余円が過大となっている事態があった(21年度6公館(8校)161万余円、22年度5公館(7校)95万余円)。

(ウ) 前渡資金の使用残額の処理について

 全在外公館の20、21両年度の前渡資金の使用残額(20年度計17億5412万余円、21年度計20億3221万余円)の国庫への返納が大幅に遅延していて、早期に活用されるべき資金が在外公館の口座に長期間滞留するなどしていた。

(4) 施設及び物品の管理等の状況

ア 施設及び物品の管理の概要

(ア) 国有財産等の管理の概要

 22年度末現在、全在外公館のうち126公館は、国有財産法(昭和23年法律第73号)に基づき、事務所、公邸等の用に供するための土地、建物等を国有財産として管理しており、それらの国有財産台帳価格は、計1670億5013万余円に上っている。また、34公館(国有財産を管理している26公館を含む。)は、土地、建物等のリース権を国有財産に準じて管理しており、それらの台帳価格は計127億5093万余円に上っている。

(イ) 物品の管理の概要

 外務大臣は、外務省所管に係る重要物品について、物品増減及び現在額報告書を作成することとなっている。そのため、在外公館は、毎会計年度末の重要物品の物品管理簿に基づいて同報告書作成のための資料を外務本省に提出している。その資料によると、全在外公館における重要物品の数量及び価格は、22年度末現在で計7,138個、164億9824万余円となっている。

イ フォローアップ検査

 22年報告において外務省が留意すべきなどとして報告した事項及びそのフォローアップ検査の結果の主なものは、以下のとおりである。

(ア) 本院は、長期間利用されていない行政財産や用途廃止したが処分されないままとなっている土地、建物等の普通財産等を管理している在外公館が見受けられたことから、22年10月に会計検査院法第36条の規定により、長期間利用しておらず今後も利用する見込みのない行政財産について早期に用途廃止することを検討するとともに、用途廃止した土地、建物等の普通財産等についてはより積極的に不動産仲介業者等に処分を委託するなど、これらの国有財産等について早期処分に向けた措置を講ずるよう意見を表示 した。
 これについて外務省は、長期間利用されておらず今後も利用する見込みのない行政財産について、用途廃止後売却するとの方針を決定し、用途廃止の手続を行うとともに、用途廃止したが処分されていない普通財産等については、23年3月に国有財産等の売払手続に関するマニュアルを改正することなどにより、これまで不動産仲介業者等に委託していなかった在外公館も不動産仲介業者等に処分を委託するなどして、より速やかに売却手続を進めるようにした(前掲平成21年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果 参照)。

(イ) 本院は、在外公館における会食、レセプション、贈呈等に使用するワイン等の酒類については、不要不急のものを購入せず過去の払出実績を考慮した適正な本数の保有に努める必要があるのに、年間の払出本数に対して5倍以上も保有していた在外公館が見受けられたことから、在庫が過剰となっている酒類については、他の在外公館へ管理換するなどの措置を実施すべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、21年度の払出本数の5倍以上の残高を当該年度末で保有していた3公館について、在庫が過剰になっていたワインを今後3年程度で適正な在庫量とするため、他の在外公館へ管理換する処置を執っていた。

ウ 23年次の検査の結果

(ア) 施設の管理状況

 国有財産台帳に記載されている価格が、改修工事による減額を反映しておらず、国有財産増減及び現在額報告書の記載に正確性を欠いていた在外公館が1公館あった。

(イ) 物品の管理状況

a 物品の物品管理簿への記録について

 外務本省で購入し在外公館へ送付する(以下、このことを「購送」という。)物品について外務本省内で通信機器等に係る管理換の手続が行われていなかったため、外務本省の物品管理簿に記録されたままとなっているものが、重要物品で5公館、計5個、451万余円、一般物品で12公館、計102個、2985万余円あった。また、外務本省が購入時に物品管理簿に記録しておらず、外務本省の物品管理官が在外公館の物品管理官に管理換を通知していない一般物品が5公館で計140個、1827万余円あった。

b 美術品の管理について

 他の在外公館では美術品として管理している文化功労者等の作品を美術品として管理していない在外公館が5公館あった。また、独立行政法人国際交流基金に貸し付けている美術品について、所定の手続をとらず、物品として管理していなかった在外公館が2公館あり、これらの美術品の中には同基金の倉庫に保管されたままのものもあった。

c 文化啓発品の利用及び広報啓発品の配布について

 外務本省から購送を受けた展示用又は貸出用の文化啓発品(計4個、取得価格49万余円)をほとんど利用していなかった在外公館が3公館あった。また、購送を受けてから1年以上経過したイベント等で配布する広報啓発品(計2,943個、取得価格165万余円)を保有していた在外公館が4公館あった。

d 広報資料の配布について

 会計実地検査時点で取得から1年以上が経過した広報資料について、その購送部数又は印刷部数の20%以上を配布することなく保有していた在外公館が4公館あった(計6,178部、調達価格82万余円)。

(5) 監査の実施状況

ア 在外公館に対する監査の概要

 在外公館に対する監査には、外部監査に相当する本院による会計検査及び総務省による行政評価・監視と内部監査に相当する査察使による査察等がある。このうち、在外公館に対する内部監査としての会計監査は、査察使による実地監査が行われている。
 査察使には、主として、査察担当大使や外務省大臣官房監察査察官が任命されているが、査察担当大使の在任期間は1年以内となっていて人数に変動があり、また、監察査察官は、在外公館を対象とする査察のほかに外務本省内の各部局を対象とする監察の業務にも携わっている。査察の実施日程等を決定する際には、このような査察担当大使の在任状況や監察査察官の業務の状況を勘案する必要があることなどのため、年度により査察の施行率等にばらつきが生じていた。

イ フォローアップ検査

 22年報告において外務省が留意すべきとして報告した事項及びそのフォローアップ検査の結果の主なものは、以下のとおりである。

(ア) 本院は、査察の結果のうち他の在外公館にも関係する事項を取りまとめて全ての在外公館に周知することは行われていなかったことから、監査結果を取りまとめて周知するなどの監査結果を有効に活用するための措置を確実に実施すべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、22年8月に、21年度の会計経理に関する査察の結果のうち各在外公館に共通的に見られる事項を取りまとめて周知していた。このうち、帳簿金庫検査の適切な実施などの一部の事項については、査察実施の有無にかかわらず、自主的に点検するよう、全ての在外公館に指示するなどの処置を講じた。

(イ) 本院は、査察のフォローアップが継続的に行われていなかったり、指摘内容の事後の調整・検証が十分でなかったりなどしたため、査察実施後長期間が経過しているのに事態が十分に改善されていない在外公館が見受けられたことから、監査結果のフォローアップを適切に行い、査察で指摘した事態を確実に改善させるべき旨の報告をした。
 これについて外務省は、査察で指摘した事態が確実に改善されるようにするため、23年7月、監察及び査察に関する訓令(平成23年外務省訓令第10号)において、査察で指摘を受けた場合、事態を改善してその結果を正しく報告する義務があることなどを明示する処置を講じた。

3 所見

 外務省は、在外公館の会計経理に関して、これまでの本院の検査の結果を踏まえるなどして改善を図ってきている。そして、本院が、22年報告の検査結果に基づく改善策が確実に実施されているかを検査したところ、その多くについて既に取組が行われていた。しかし、今回の検査において、在外公館に係る会計経理に関して更に改善すべき事態が見受けられた。これらの事態の多くは、国内とは環境の異なる海外における事務処理の困難さにもよるが、外務本省の在外公館に対する指導が一部において徹底を欠いていたこと、在外公館の定期・不定期の検査等を通じて内部統制を十分機能させていなかったことなどによる。
 したがって、外務省は、今回の検査結果を踏まえ、以下の点に留意することなどにより、在外公館に係る会計経理について、その事務処理を一層適切かつ効率的に執行するよう努める必要がある。

(1) 会計事務の体制の状況

ア 計算証明書類の提出期限を遵守し、また、物品管理システムへのデータ入力を早期に完了して十分な活用を図るようにする。

イ 平成15年度決算検査報告に掲記した在外公館における出納事務についての処置要求を受けて外務省が執った処置について、更に在外公館において遵守されるよう徹底する。

 以上のようにして、会計事務の体制を整備し、その機能が十分に発揮できるようにする。

(2) 資金の受入、保管等の状況

ア 送金通貨から現地通貨への交換について、前渡資金等の使用残額や送金通貨による支払が多額に上ると見込まれる場合は、必要以上に現地通貨に交換しないようにして、両替手数料の節減に努めるようにする。

イ 外務本省から在外公館への送金について、両替手数料の節減の見地から、在外公館における資金の残額等を十分に考慮して送金するようにする。

 以上のようにして、前渡資金等の受入れ、保管等に当たっては経済性に十分配慮する。

(3) 収入及び支出に係る会計処理の状況

ア 収入について

(ア) 付加価値税等の還付等については、支払後の還付手続等を適正に行うよう改めて周知する。

(イ) コロンビア大使館における現地職員による現金領得について、同様の事態が生じないよう今後講ずるとしている再発防止策を適切に実施していくようにする。

イ 支出について

(ア) 現地職員の給与の支給に当たっては、在外公館で現地職員の在職期間等を正確に把握し、支給額を適正に算定するよう指導を徹底する。

(イ) 日本人学校等の現地採用教員等の給与への援助の実施に当たっては、在外公館及び運営主体に対して、援助額の算定方法及びその遵守について周知徹底を図る。

ウ 前渡資金の使用残額の処理について

 在外公館の会計担当者に、前渡資金出納計算書等の作成に当たり、誤りを極力なくすよう指導・監督を行ったり、提出期限をより一層厳守させたりする。
 また、外務本省での前渡資金出納計算書等の内容確認等に当たり、計算証明書類の早期提出に向けた改善策を活用するなどして一層の効率化を図ったり、日本銀行で受領されなかった小切手の記載ミス等の事例を在外公館に周知して現地で再度小切手を作成することがないようにさせたりするなどして、前渡資金の使用残額の返納が早期に行われるよう努める。

 以上のようにして、収入については、付加価値税等の還付等を適正に行うとともに、領事手数料の収納事務を適正かつ適切に行い、支出については、適正かつ経済的な会計処理を行うとともに、資金の有効活用にも努める。

(4) 施設及び物品の管理等の状況

ア 22年報告に記述した在庫が過剰になっていた酒類については、今後3年程度で削減することとした方針に基づき、更に管理換するなどの措置を確実に実施する。

イ 改修工事等による増減額を国有財産台帳価格に適切に反映できるよう、在外公館は関係資料を全て報告するとともに、外務本省で適切に国有財産増減及び現在額を算定する。

ウ 外務本省が、在外公館に重要物品又は一般物品を購送するに当たっては、調達を依頼した部署が外務本省の物品管理官に速やかに管理換の伺いを行い、できるだけ速やかに在外公館の物品管理官に管理換を通知する。

エ ガイドラインに照らして美術品として管理する必要がある作品は、美術品として適切に管理する。また、他団体に美術品を貸し出す際には、必要な貸付けの手続をとるなど適切に管理する。

オ 在外公館は、文化啓発品の有効活用を図るとともに、購送を受けてから1年以上経過している広報啓発品について、一層の活用を図る。

カ 外務本省は、在外公館における広報資料について、その配布状況及び在庫状況を的確に把握の上、在外公館に送付し、在外公館は、広報資料の在庫状況等を勘案し、適時適切に配布することにより一層の活用を図る。

 以上のようにして、国有財産の増減及び現在額を台帳に正確に記録するとともに、物品の適切な記録、管理及び効率的な使用を行う。

(5) 監査の実施状況

ア 在外公館に対する会計監査が安定的・継続的に実施できるよう監査制度の一層の充実を図る。

イ 査察を実施する箇所の選定に当たっては、長期間にわたって査察が実施されない箇所が生じないよう努める。

ウ 監査結果のフォローアップの適切な実施について一層の改善を図る。

 以上のようにして、より効率的、効果的な会計監査の実施に努める。

 在外公館における会計経理は、遠隔地である海外において、国有財産や物品を管理し、また、外務本省から送金された多額の資金を取り扱うものであり、その適正かつ適切な執行のためには、会計法令等を理解して遵守することが強く求められる。したがって、外務省は、在外公館の会計経理に対する指示や指導を適時適切に行うとともに、その執行状況を随時監視し、また、在外公館における館長及び出納官吏によるそれぞれの職責に応じた会計経理の指導・監督を適切に行わせ、これを確認する必要がある。
 そして、外務省は、今回及び22年報告の検査の結果に対する所見において記述した事項について事態の改善に向けた処置を引き続き確実に実施するほか、情報システムの活用や監査制度の一層の充実等を通じて、在外公館に係る会計経理をより適正かつ適切なものとする必要がある。

 本院としては、今後とも、在外公館に係る会計経理が適正かつ適切に実施されているかについて、多角的な観点から引き続き検査していくこととする。