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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 財務省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

麻薬探知犬訓練センターの敷地内にある訓練場等の有効利用を図ることにより、別途訓練場として借り上げていた土地を借り上げないこととするとともに、今後は、訓練場等の施設の有効利用を図ることを十分検討した上で育成訓練計画表を適切に作成して訓練を実施するよう改善させたもの


麻薬探知犬訓練センターの敷地内にある訓練場等の有効利用を図ることにより、別途訓練場として借り上げていた土地を借り上げないこととするとともに、今後は、訓練場等の施設の有効利用を図ることを十分検討した上で育成訓練計画表を適切に作成して訓練を実施するよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)税関 (項)税関共通費
      (項)税関業務費
部局等 東京税関
麻薬探知犬の訓練場として借り上げていた土地の概要 麻薬探知犬の育成訓練等のための訓練場として借り上げていたもの
訓練場として借り上げていた土地の面積 10,899.8m2
節減できた訓練場に係る土地の賃借料等の額 2085万円(平成20年度〜23年度)

1 麻薬探知犬訓練センターの概要等

(1) 麻薬探知犬訓練センターの概要

 東京税関は、不正薬物等の摘発及び密輸入の防止並びに輸入通関手続の迅速な処理を図るため、同税関の麻薬探知犬訓練センター(以下「センター」という。)において携帯品、商業貨物、郵便物等の検査及び取締業務に従事させる麻薬探知犬を育成し、各税関に配備している。
 センターは、昭和62年10月に開設された施設であり、千葉県成田市の約48,000m の敷地内には、犬舎棟、訓練棟、訓練場等があり、このうち訓練場には、Aフィールド(面積5,689.0m )、Bフィールド(面積5,648.0m )及びCフィールド(面積1,892.0m )がある。また、東京税関は、平成8年度から日本空港ビルデング株式会社と賃貸借契約を締結して、センターの近隣の土地を第2訓練場(面積10,899.8m )として借り上げている。

(2) 訓練の概要

 東京税関は、毎年度、退役による代替配備及び新規配備のために育成が必要となる麻薬探知犬の春季及び秋季の頭数について財務省関税局から通知を受け、これに基づき、春季及び秋季に麻薬探知候補犬となる犬を調達している。
 センターでは、これらの犬に対して環境に慣れさせるためのじゅん致訓練を行い、この期間内に麻薬探知候補犬としての資質審査を行っている。 そして、資質審査に合格した麻薬探知候補犬に対して、毎季作成する育成訓練計画表に基づき、草の中に隠された薬物を探す基本訓練、壁の隙間や車両に隠された薬物を探す応用訓練、手荷物や貨物に隠された薬物を探す熟達訓練等の育成訓練を約4か月間行い、最終評価に合格した犬を麻薬探知犬に認定している。

(3) 麻薬探知犬の配備頭数等の経緯

 麻薬探知犬は不正薬物等の摘発に効果的であることなどから、6年6月の「麻薬探知犬の配備・育成及び運用方針について」(平成6年蔵関第624号)において、5年度末に45頭であった麻薬探知犬の配備頭数を15年度末までに200頭とする方針が定められた。 しかし、13年9月の米国同時多発テロ事件発生以降、テロ対策の重要性が高まり、麻薬探知犬の導入に必要な職員の増員が困難になったことなどにより、15年度末の麻薬探知犬の配備頭数は104頭にとどまっていた。
 このような状況の下、17年3月に、麻薬探知犬の配備頭数が見直され、「麻薬探知犬の配備・育成計画及び運用方針について」(平成17年関監第5号)において、当面、140頭体制を目途として麻薬探知犬の増配備をすることとし、その時々の各税関の取締需要、予算・定員事情等を踏まえつつ、着実な増配備を図ることとされた。しかし、近年の麻薬探知犬の配備頭数は、表のとおり、ほぼ横ばいとなっている。

表 近年の麻薬探知犬の配備頭数
年度 平成20 21 22 23
配備頭数(頭) 124 127 127 127
(注) 配備頭数は、各年度末現在の頭数である。

2 検査の結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 前記のとおり、麻薬探知犬の配備頭数が見直されているなど、麻薬探知犬の育成方針等は変更されている。
 そこで、本院は、経済性、有効性等の観点から、東京税関が施設の有効利用を十分に検討した上で適切な育成訓練計画表を作成して経済的に麻薬探知犬の訓練を実施しているかなどに着眼し、20年度から23年度までの間のセンターにおける麻薬探知犬の育成に係る経費を対象として、東京税関において、育成訓練計画表、勤務日誌等の関係書類により訓練場の使用実績等を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、財務本省において、麻薬探知犬の育成方針等を聴取するなどして会計実地検査を行った。

 (検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 東京税関は、前記の6年6月の通達で麻薬探知犬の配備頭数を15年度末までに200頭とする方針が定められ、じゅん致訓練の対象となる犬の頭数(以下「じゅん致訓練頭数」という。)と育成訓練の対象となる犬の頭数(以下「育成訓練頭数」という。)の増加が見込まれたことから、センターの訓練場のみではじゅん致訓練及び育成訓練を実施する場所が不足するとして、前記のとおり、8年度に第2訓練場の土地を借り上げていた。
 しかし、東京税関は、育成訓練計画表に各訓練で使用する訓練場等を記載していないなど、センターの施設を有効に利用することについて十分に検討を行っていなかった。
 一方、センターの勤務日誌には、訓練に使用した訓練場が記載されており、これにより、23年度における第2訓練場の使用実績を確認したところ、計54日であった。 そこで、第2訓練場でのこれらの訓練について、センターの他の訓練場等で実施することができなかったのかを確認したところ、同じ日時に使用されていなかったAフィールド、Bフィールド等を使用したり、訓練の日時を変更したりなどすれば、23年度については第2訓練場を使用することなく必要な訓練を実施することができたと認められた。
 また、20年度から22年度までの間の訓練場の使用実績については、勤務日誌が保存されていないため確認できなかったが、この間の各季のじゅん致訓練頭数は24頭から42頭まで、育成訓練頭数は18頭から25頭までであり、23年度のじゅん致訓練頭数(春季39頭、秋季32頭)及び育成訓練頭数(春季24頭、秋季18頭)とおおむね同程度となっていた。 そして、その間のじゅん致訓練及び育成訓練の内容は23年度と同様であったことから、20年度から22年度までの間についても23年度と同様に第2訓練場を使用することなく必要な訓練を実施することができたと認められた。
 さらに、東京税関が23年度の勤務日誌等により訓練の実施方法を検討したところ、第2訓練場を使用しなくてもじゅん致訓練については50頭まで、育成訓練については30頭までそれぞれ対応できるとしていることから、当面、第2訓練場を使用しなくても、必要な訓練を実施できると認められた。
 このように、東京税関において、育成訓練計画表の作成に当たり使用する訓練場等の施設を記載していないなど、センターの施設を有効に利用することについての検討を十分に行わないまま、借り上げる必要がない第2訓練場の土地を引き続き借り上げている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

 (節減できた土地賃借料等)

 前記のとおり、訓練の場所や訓練の日時を変更してセンターの施設を有効に利用することにより、第2訓練場の土地を借り上げないこととすれば、20年度から23年度までの間の第2訓練場に係る土地賃借料計1872万円及び草刈等の維持費用相当額計213万余円、合計2085万余円が節減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、東京税関において、センターの施設を有効に利用することについての認識が十分でなく、施設の有効利用を十分検討した上で育成訓練計画表を作成することとしていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、東京税関は、センターの訓練場等の施設を有効に利用することについての検討を行い、24年4月から第2訓練場の土地を借り上げないこととするとともに、同年7月に通達を発するなどして、今後は、センターの訓練場等の施設の有効利用を図ることを十分検討した上で、使用する訓練場等の施設を記載した育成訓練計画表を作成して訓練を実施することとする処置を講じた。