ページトップ
  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

幼稚園就園奨励費補助金が過大に交付されていたもの


(2) 幼稚園就園奨励費補助金が過大に交付されていたもの

1件 不当と認める国庫補助金 3,388,000円

 幼稚園就園奨励費補助金は、家庭の所得状況に応じて保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、公立幼稚園と私立幼稚園との間での保護者負担の較差の是正を図り、幼稚園教育の振興に資することを目的として、都道府県及び市町村(特別区を含む。)が行う就園奨励事業の経費の一部を予算の範囲内で国が補助するものである。
 この補助金の交付額は、補助対象経費である入園料と保育料の合計額に補助率3分の1以内(交付決定年度の前々年度の財政力指数(注) が1.00を超える指定都市及び特別区は4分の1以内)を乗じて得た額とすることとなっている。

 財政力指数  地方交付税法(昭和25年法律第211号)第14条の規定により算出した基準財政収入額を、同法第11条の規定により算出した基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値

 そして、文部科学省は、毎年度、園児1人当たりの国庫補助限度額を園児家庭の所得階層区分ごとに定めており、所得階層区分は、園児家庭の当該年度の市町村民税の所得割課税額(以下「所得割額」という。)等により決定することとしている。
 また、国から地方への税源移譲により、国税である所得税から控除しきれない住宅借入金等特別税額控除の額を平成20年度より地方税の所得割額等から控除(以下、この所得割額等からの控除を「住宅控除」という。)できることとなった。そこで、同省は、住宅控除の適用前の所得割額が家庭の所得状況を的確に示すものであること及び厚生労働省所管の保育所運営費国庫負担金に同様の取扱いがあることを理由として、20年度から所得階層区分の決定に用いる所得割額について、住宅控除の適用前の額とすることとしている。
 本院が、18都道府県管内の95市区町において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

部局等 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 補助対象経費

左に対する国庫補助金交付額

不当と認める補助対象経費

不当と認める国庫補助金 摘要
千円 千円 千円 千円  
(29) 神奈川県 平塚市 幼稚園就園奨励 20、21 447,875 117,297 12,915 3,388 所得階層区分の決定に用いる所得割額を誤っていたもの

 平塚市は、上記の事業における20、21両年度の補助対象経費を計447,875,700円(国庫補助金計117,297,000円)と算定していた。
 しかし、同市は、補助対象経費の算定に当たり、所得階層区分を住宅控除の適用後の所得割額により決定しており、これに基づき補助対象経費を算定していたため、補助対象経費が過大となっていた。
 したがって、住宅控除の適用前の所得割額に基づき適正な補助対象経費を算定すると、20、21両年度で計434,960,600円(国庫補助金計113,909,000円)となり、国庫補助金計3,388,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において、所得階層区分を住宅控除の適用前の所得割額により決定することについて十分認識していなかったこと、神奈川県教育委員会において、同市から提出された実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。