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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (2) 補助対象事業費を過大に精算するなどしていたもの

農村活性化人材育成派遣支援モデル事業の事業費を過大に精算するなどしていたもの


 農村活性化人材育成派遣支援モデル事業の事業費を過大に精算するなどしていたもの

(2件 不当と認める国庫補助金 40,413,184円)

 農村活性化人材育成派遣支援モデル事業は、農村地域において農村の活性化に向けた取組に従事することを希望する都市部等の人材(以下「研修人材」という。)の活用を主な目的とする人材育成システムの構築に向け、人材の育成や都市と農村をつなぐ能力を持った仲介機関に対して支援を行い、人材の育成・確保を安定的に支える仕組みの構築を図ることを目的とするものである。そして、農林水産省は、公募により選定した大学、企業等の事業主体に対して、事業の実施に要した経費を助成している。
 事業主体は、研修人材の募集を行い、研修人材の受入先(以下「研修受入先」という。)となる地区を決定した上で、受入地区において実践的な研修を実施することとされている。
 本院が、前記の補助事業について、5事業主体において会計実地検査を行ったところ、2事業主体において、本件補助事業の実施期間内に発生したものではない経費等を補助対象事業費に計上するなどしていたため、補助対象事業費が過大に精算されるなどしていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2事業主体において本件補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、農林水産本省において実績報告書の審査及び確認並びに2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(212) 農林水産本省 株式会社インテリジェンス
(事業主体)
農村活性化人材育成派遣支援モデル 21、22 51,737 45,838 26,970 26,423

 株式会社インテリジェンスは、平成21、22両年度に、香川県小豆郡小豆島町及び土庄町において研修人材計33人に対する研修を事業費計51,737,641円(国庫補助対象事業費同額)で実施したとして、農林水産本省に実績報告書を提出して、これにより国庫補助金計45,838,876円の交付を受けていた。
 しかし、同会社は、本件補助事業の実施期間内に発生したものではない研修手当、委託料等の経費について、実施期間内に発生したものであるとする虚偽の領収書等を作成するなどして国庫補助対象事業費に含めていた。また、同会社は、担当職員が本件補助事業に従事した時間を記録する日報等の書類を作成しておらず、出張記録等の他の書類により確認できた分を除いて、担当職員の本件補助事 業への従事状況が確認できない状況となっていた。
 したがって、本件補助事業の実施期間内に発生したものではない経費や、担当職員が本件補助事業に従事していたことが確認できない時間に係る人件費を除くなどして適正な国庫補助対象事業費を算定すると計24,767,410円となり、前記の国庫補助対象事業費計51,737,641円との差額計26,970,231円が過大に精算されるなどしていて、これに係る国庫補助金相当額計26,423,638円が不当と認められる。

(213) 農林水産本省 学校法人京都精華大学
(事業主体)
農村活性化人材育成派遣支援モデル 20〜22 28,707 24,704 16,603

13,989

 学校法人京都精華大学(以下「京都精華大学」という。)は、平成20年度から22年度までの間に、長野県下水内郡栄村及び京都府舞鶴市において研修人材計33人に対する研修を事業費計28,707,430円(国庫補助対象事業費同額)で実施したとして、農林水産本省に実績報告書を提出して、これにより国庫補助金計24,704,115円の交付を受けていた。
 しかし、京都精華大学の事業担当者は、自ら理事を務める特定非営利活動法人栄村ネットワーク(以下「栄村ネットワーク」という。)が業者に対して負っている債務の弁済に充てるなどするために、架空の書籍購入等に係る請求書等を自ら作成し又は業者に作成させ、これにより京都精華大学の経理担当者に購入代金等を支払わせていた。また、京都精華大学は、実際には研修に参加していなかった者や、研修実施以前から研修受入先の活動に従事しているなどしていて研修人材に選定することが適正とは認められない者に対する研修の実施に要したとする経費等を補助対象事業費に含めていた。さらに、栄村ネットワーク等に委託したとしている業務に係る委託料等については、その算出根拠とされていた証拠書類に記載された業務内容及び金額の根拠が明確となっておらず、業務の実態が確認できない状況となっていた。
 したがって、虚偽の請求書等により支払われていた経費、補助の対象とは認められない研修手当等及び本件補助事業の実施に係る経費と確認できない経費を除くなどして適正な国庫補助対象事業費を算定すると計12,104,391円となり、前記の国庫補助対象事業費計28,707,430円との差額計16,603,039円が過大に精算されるなどしていて、これに係る国庫補助金相当額計13,989,546円が不当と認められる。

(212)(213)の計         80,445 70,542 43,573 40,413