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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 平成22年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

平成22年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果


(2) 国民年金保険料収納業務の委託について

平成22年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

 日本年金機構(以下「機構」という。)は、国民年金保険料の滞納者に対する納付督励等の業務を市場化テスト事業により民間事業者に委託して実施している。しかし、納付督励が納付の増加に結びつくものとなっていなかったり、訪問督励が有効に活用されていなかったり、受託事業者の策定した督励計画が入札の際に提出した企画提案書の内容とかい離していたり、進捗管理に用いている要求水準の達成率が受託事業者の直接的な納付督励の成果を正確に把握する指標となっていなかったりなどしている事態が見受けられた。
 したがって、機構において、①機構の取組と受託事業者の納付督励との更なる連携を進めるとともに、訪問督励の効果的な活用方法等を含めた有効な納付督励の手法について十分に検討したり、②受託事業者が提出した企画提案書の内容に沿った督励計画により督励が実施されるよう、受託事業者に対する指導等の方策を検討したり、③受託事業者による直接的な納付督励の成果がより適正に反映されるような達成目標及び実績の測定・把握方法を確立し、その評価に基づいて、事業の進捗管理を行う方法について検討を行ったりするなどして、本件委託事業の業務について抜本的に見直すよう、日本年金機構理事長に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
  検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、24年10月から開始する事業の民間競争入札実施要項を定めるなどして、次のような処置を講じていた。

ア 受託事業者との連携については、月次報告に滞納者への督励に係る効果測定指標の具体的な数値を記載するように様式を定めて、その分析に基づき、年金事務所と受託事業者が行う月例打合せ会議においてより有効な納付督励の方法を互いに提案できるようにするなどした。また、納付督励の手法については、電話、文書及び戸別訪問の手法をいずれも必ず実施するとともに、納付督励の頻度を上げたり、訪問督励の取組を強化したりするなどの措置を取ることで、より有効な納付督励を実施することとした。

イ 受託事業者に対する指導等の方策については、督励計画の実施状況に関して必要があると認められるときには、契約に基づく指示ができることとするなどした。また、入札における企画提案書の内容の根拠を明確にさせるために同書の書式を定めるなどして、提案の実現可能性や、より技術の高い提案について評価できるようにした。

ウ 達成目標の設定等については、機構の中期計画に基づき設定して、達成目標をより現実的な数値とするなど、受託事業者の意欲喚起を促す措置を講じた。また、納付督励の実績の把握等については、前記のとおり頻度を上げるなど、より有効な納付督励を実施することとして、その際に各年金事務所において受託事業者の督励実施状況の管理を徹底することにより実績を的確に把握することとするなどした。