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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第3節 不当事項に係る是正措置等の検査の結果

本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に係る処置の履行状況について


第2 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に係る処置の履行状況について

検査対象 37省庁等

検査の概要

本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの

改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数

95件(検査報告平成14年度〜22年度)

上記のうち改善の処置が一部履行されていなかった件数 1件

1 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に関する検査の概要

(1) 検査の概要

 本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁及び団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を講じたものを、検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として掲記している。
 一方、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映され実効あるものとなるように、その後の是正改善等を継続して検査することとしている。検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が制度を改めるなどの改善の処置が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により初めて実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。

(2) 平成22年度決算検査報告に掲記した改善の処置の履行状況

 本院は、平成22年度決算検査報告に、平成14年度から21年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、平成21年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていた98件から、制度の廃止により処置済事項となったものなど5件を除いた93件についての検査の結果を掲記した。
 その内訳は、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が47件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が41件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)が5件となっており、改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)は皆無となっていた。
 そして、上記の検査分履行済41件と一部不履行5件との計46件及び平成22年度決算検査報告に新たに掲記した処置済事項54件の合計100件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした。

2 検査の結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して、上記の100件のうち、検査報告掲記時点で既に履行済であったため検査の必要がなかった5件を除いた95件について、平成23年8月から24年7月までの間に、関係する37省庁等のうち、36省庁等において会計実地検査を行うとともに、1団体については、報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

 (検査の結果)

 上記の95件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が61件、検査分履行済が33件、一部不履行が1件となっており、不履行は皆無であった。これを、平成22年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況と、平成14年度から21年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況とに分けて記述すると、次のとおりである。

(1) 平成22年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

 平成22年度決算検査報告に掲記した処置済事項54件のうち、検査報告掲記時点で既に履行済であったため検査の必要がなかった5件を除いた49件について検査したところ、履行済が34件、検査分履行済が14件、一部不履行が1件となっていた。

(2) 平成14年度から21年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

 平成14年度から21年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていた46件について検査したところ、履行済が27件、検査分履行済が19件となっていた。
 なお、平成22年度決算検査報告の一部不履行5件については、改善の処置が履行されていたことから、上記の履行済27件に含まれている。
 上記の(1)及び(2)に係る改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1 及び表2 のとおりである。

表1  検査報告年度別の改善の処置の履行状況
(単位:件)

検査報告年度  
改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした処置済事項数(A) 検査報告掲記時点で既に履行済であったため検査の必要がなかったものの事項数(B)  
検査対象の処置済事項数(A)—(B)
改善の処置の履行状況
履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
平成14年度 1 1 1
15年度 4 4 3 1
16年度 3 3 3
17年度 8 8 7 1
18年度 6 6 5 1
19年度 8 8 4 4
20年度 8 8 2 6
21年度 8 8 2 6
46 46 27 19
22年度 54 5 49 34 14 1
合計 100 5 95 61 33 1
表2  省庁等別の改善の処置の履行状況
(単位:件)

省庁等名 (平成24年7月31日現在) 検査対象の処置済事項数 改善の処置の履行状況
履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
内閣府(警察庁) 2 1 1
総務省 3 3
法務省 6 1 5
外務省 1 1
財務省 2 2
文部科学省 3 1 2
厚生労働省 7 3 4
農林水産省 18 14 4
経済産業省 3 1 2
国土交通省 4 2 2
環境省 1 1
防衛省 7 6 1
日本銀行 2 2
東日本高速道路株式会社 1 1
中日本高速道路株式会社 2 2
西日本高速道路株式会社 2 2
本州四国連絡高速道路株式会社 1 1
独立行政法人森林総合研究所 1 1
独立行政法人国立印刷局 1 1
独立行政法人国際協力機構 1 1
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 1 1
独立行政法人日本学術振興会
1 1
独立行政法人理化学研究所
1 1
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
1 1
独立行政法人労働者健康福祉機構
2 2
独立行政法人海洋研究開発機構
1 1
独立行政法人中小企業基盤整備機構
1 1
独立行政法人日本原子力研究開発機構
1 1
独立行政法人国立循環器病研究センター
1 1
独立行政法人勤労者退職金共済機構
1 1
日本放送協会
1 1
首都高速道路株式会社
2 2
阪神高速道路株式会社
2 2
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
1 1
東日本電信電話株式会社
4 2 2
西日本電信電話株式会社
5 1 4
株式会社かんぽ生命保険 1 1
95 61 33 1
 独立行政法人勤労者退職金共済機構に係る処置済事項は、平成23年10月1日に独立行政法人雇用・能力開発機構が解散したことに伴い、独立行政法人勤労者退職金共済機構が改善の処置を行うこととなったものである。

3 本院の所見

 一部不履行1件については、関係団体において改善の処置について更なる徹底を図るなどして、改善の処置が確実に履行されることが肝要である。
 本院は、上記の一部不履行1件、前期の検査分履行済33件及び平成23年度決算検査報告に掲記した処置済事項53件の計87件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。