ページトップ
  • 平成23年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第2節 国会からの検査要請事項に関する報告

独立行政法人における不要財産の認定等の状況について


第7 独立行政法人における不要財産の認定等の状況について

要請を受諾した年月日 平成23年12月8日
検査の対象 全独立行政法人
検査の内容 独立行政法人における不要財産の認定等の状況についての検査要請事項
報告を行った年月日 平成24年10月17日

1 検査の背景及び実施状況

(1) 検査の要請の内容

 会計検査院は、平成23年12月7日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月8日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその結果を報告することを決定した。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項
  (一) 検査の対象
     全独立行政法人
  (二) 検査の内容
     独立行政法人における不要財産の認定等に関する次の各事項
   
〔1〕  政府出資及び保有資産の状況
〔2〕  不要財産の認定の状況
〔3〕  不要財産の処分の状況
〔4〕  国庫納付の状況

(2) 独立行政法人制度等の概要

 独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される法人である。
 独立行政法人の運営の基本その他制度の基本となる共通の事項については、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)において定められており、各独立行政法人の目的及び業務の範囲については、各法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下「個別法」という。)等において定められている。
 通則法は22年に改正され、同法第8条第3項の規定により、独立行政法人は、業務の見直し、社会経済情勢の変化その他の事由により、その保有する重要な財産であって主務省令(当該独立行政法人を所管する内閣府又は各省の内閣府令又は省令をいう。)で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、当該財産(以下「不要財産」という。)を処分しなければならないこととされている。そして、通則法第46条の2第1項の規定により、不要財産であって政府からの出資又は支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るもの(以下「政府出資等に係る不要財産」という。)については、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付する(以下、同項の規定に基づく国庫納付を「現物納付」という。)こととされている。また、通則法第46条の2第2項の規定により、政府出資等に係る不要財産(金銭を除く。)の国庫への納付に代えて、主務大臣の認可を受けて、政府出資等に係る不要財産を譲渡し、これにより生じた収入の額の範囲内で主務大臣が定める基準により算定した金額を国庫に納付する(以下、同項の規定に基づき算定した金額による国庫納付を「譲渡収入の納付」という。)ことができることとされており、この場合において、政府出資等に係る不要財産の譲渡により生じた簿価超過額があるときは、同条第3項の規定により、これを遅滞なく国庫に納付することとされている。さらに、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成22年法律第37号。以下「改正法」という。)附則第3条(以下「附則第3条」という。)の規定により、施行日(22年11月27日)前に独立行政法人が行った財産の譲渡であって、施行日において通則法第46条の2第1項に規定する政府出資等に係る不要財産(金銭を除く。)の譲渡に相当するものとして主務大臣が定めるものは、施行日においてされた同条第2項の規定による政府出資等に係る不要財産の譲渡とみなすこととされており、この場合において、同条第2項の規定に基づき算定した金額を国庫に納付することとされている。
 独立行政法人の保有資産については、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月閣議決定。以下「合理化計画」という。)、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月閣議決定。以下「基本方針」という。)等において、その見直しが図られており、合理化計画では、独立行政法人は、保有する合理的理由が認められない土地・建物等の実物資産の売却、国庫返納等を着実に推進して適切な形で財政貢献を行うことなどが、また、基本方針では、各独立行政法人は、幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行うことなどが定められている。

(3) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

ア 検査の観点及び着眼点

 本院は、独立行政法人における不要財産の認定等に関する各事項について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の着眼点により検査を実施した。

(ア) 政府出資及び保有資産の状況

 各法人に対する政府出資額及び各法人が保有する資産はどのように推移しているか、保有資産のうち土地及び建物については、未利用又は低利用となっているものはないか、保有資産のうち現金預金、有価証券(投資有価証券を含む。以下同じ。)等の金融資産については、業務に有効に活用されていないものはないか。

(イ) 不要財産の認定の状況

 合理化計画、基本方針等で国庫返納が求められた資産は、その後どのようになっているか、法人が独自に不要財産として認定した資産にはどのようなものがあるか、法人の保有する資産のうち、不要財産と認められるものはないか。

(ウ) 不要財産の処分の状況

 各法人が不要財産を譲渡している場合、資産ごとの譲渡の方法はどのようになっているか、譲渡の手続は適切なものとなっているか。

(エ) 国庫納付の状況

 各法人が国庫納付等を行った資産について、その納付額、納付方法等はどのようになっているか、国庫納付に関連する資産売却等の際の会計処理に関連して、法人内部に留保されている資金はないか。

イ 検査の対象及び方法

 検査に当たっては、23年度末現在における全独立行政法人102法人を対象として、合理化計画や基本方針における指摘、過去の本院の検査の結果、独立行政法人における国庫納付の実績等を踏まえ、独立行政法人の保有資産のうち、政府からの出資又は支出に係る(以下「政府出資等に係る」という。)資産であって、検査の必要性が高いと判断した資産に対して重点的に検査を実施した。そして、原則として、政府出資及び保有資産の状況並びに不要財産の認定の状況については、23年度末時点の状況を検査し、不要財産の処分の状況及び国庫納付の状況については、23年度末までに通則法第46条の2及び第46条の3に基づき国庫納付等が行われた資産の状況を検査することとし、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき各独立行政法人から本院に提出された財務諸表等のほか、不要財産の認定等について本院が作成及び提出を求めた調書等を在庁して分析するとともに、317.0人日を要して、47法人に対する会計実地検査を行った。

2 検査の結果

(1) 政府出資及び保有資産の状況

ア 政府出資等の状況

(ア) 政府出資金、総資産等の推移

 検査対象とした102法人(19年度から21年度までは96法人。以下同じ。)の19年度から23年度までの間の年度末における政府出資金及び総資産の合計額の推移をみると、政府出資金は、23年度末で102法人のうち96法人において計上されており、その額は計24兆0689億円となっていて、19年度末の計16兆1236億円と比較して7兆9453億円増加している。一方、総資産は、23年度末で計324兆4594億円となっていて、19年度末の計414兆7107億円と比較して90兆2513億円と大幅に減少している。

(イ) 政府支出額等の推移

 検査対象とした102法人の19年度から23年度までの政府支出額等(運営費交付金、施設整備費補助金及びその他の国庫補助金等)の合計額の推移をみると、23年度で計3兆3309億円となっていて、19年度の計2兆8899億円に比較して4410億円増加している。

イ 保有資産の状況

(ア) 法人が保有する土地及び建物の状況

 102法人のうち100法人が、土地又は建物を保有しており、23年度末における価額は、全体で土地計21兆2211億円、建物計5兆9084億円、合計27兆1296億円となっており、同年度末における102法人の総資産額324兆4594億円の8.36%(土地又は建物を保有する100法人の総資産額324兆3974億円の8.36%)となっていた。
 これらの土地及び建物には、法人がその目的とする事業を実施するために保有しているもののほか、法人の役員や職員に使用させるための宿舎及び宿泊施設、体育施設等(以下「福利厚生施設」という。)の用に供するために保有しているものもある。

a 法人が保有する土地及び建物の現況

 政府出資等に係る土地及び建物(販売用の資産を除く。)の現況についてみたところ、事業用の土地及び建物が1年以上にわたり有効に利用されていない事態が9法人において見受けられ、23年度末における帳簿価額は、土地計105億円、建物計0.7億円となっている。また、宿舎の跡地等(建物を取り壊した跡地や新たに施設を建設する予定で承継するなどした土地をいう。)が1年以上にわたり有効に利用されていない事態が7法人において見受けられ、23年度末における帳簿価額は、土地計29億円となっている。

b 法人が保有する宿舎の入居の状況及び福利厚生施設の稼働状況等

(a) 宿舎について

 政府出資等に係る宿舎の入居の状況についてみたところ、23年度末で1年以上にわたり入居者がいない宿舎が、11法人において727戸あり、23年度末の帳簿価額は、土地計53億円、建物計4億円、合計58億円となっている。
 上記の宿舎を形態別にみると、集合住宅型宿舎は7法人において503戸、戸建型宿舎は8法人において215戸、マンションの一室等の区分所有型宿舎は2法人において9戸となっている。また、これらについて、入居者がいない期間別に分類したところ、2年以上3年未満のものが210戸(28.8%)と最も多くなっている。
 また、23年度末の保有戸数に対する入居戸数の割合(以下「入居率」という。)が50%未満であり、かつ、23年4月から24年3月までの12か月間の入居率も50%未満となっている宿舎(23年4月から24年3月までの期間を通じて入居者がいない宿舎を除く。)が、15法人において2,295戸あった。これらの宿舎の23年度末の帳簿価額は、土地計140億円、建物計34億円、合計175億円となっていて、入居率が30%以上40%未満のものが全体の28.1%と最も多くなっている。

(b) 福利厚生施設について

 政府出資等に係る福利厚生施設の保有状況についてみると、23年度末において、22法人が福利厚生施設を保有していた。施設の種類別にみると、主に職員が業務に伴う出張等で使用する宿泊施設を保有する法人が2法人で10施設(帳簿価額、土地計2億円、建物計1億円、合計3億円)、主に職員の健康増進等のためテニスコート等の体育施設を保有する法人が20法人で172施設(同、土地計218億円、建物計25億円、合計244億円)、主に職員が集会所として利用する会合施設を保有する法人が6法人で26施設(同、土地計27億円、建物計2億円、合計30億円)となっている。
 そして、宿泊施設の23年度の稼働状況(年間宿泊可能人日数に対する実際の利用人日数(以下「稼働率」という。))についてみると、2法人の10施設は、いずれも稼働率が40%を下回っていた。
 また、体育施設及び会合施設の管理状況についてみると、法人において利用状況を確認することとしていないなどのため、利用状況の確認ができないとする施設が、12法人において57施設見受けられた。保有する体育施設及び会合施設の全部又は一部について利用状況が確認できた16法人についてみると、自法人以外の者の利用が50%を超えている施設が、7法人において19施設見受けられた。

(イ) 金融資産の状況

a 現金預金、有価証券、関係会社株式、敷金等の推移

 法人が保有する金融資産のうち、過去の検査結果や不要財産の国庫納付の実績等を踏まえ、19年度から23年度までの間の年度末における現金預金、有価証券、関係会社株式、敷金・保証金(以下「敷金等」という。)の推移をみると、現金預金は、全ての法人が保有しており、23年度末における金額は38兆2629億円で、総資産に占める割合は11.79%となっている。有価証券は、23年度末で49法人が保有しており、その金額は12兆5689億円で、総資産に占める割合は3.87%となっている。関係会社株式は、23年度末で9法人が保有しており、その金額は3208億円で、総資産に占める割合は0.09%となっている。敷金等は、23年度末で52法人が保有しており、その金額は391億円で、総資産に占める割合は0.01%となっている。

b 現金預金及び政府出資等に係る金融資産の状況

(a) 現金預金の保有状況

 現金預金の年度末における保有状況を検査したところ、1法人において、使用を想定していない現金預金が独立行政法人設立以降23年度末まで留保されていた事態が見受けられた。この法人では、本院の検査を踏まえて、当該資金を不要財産として認定し、国庫納付することとした(前掲本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項参照 )。また、1法人において、主要な事業が終了した業務に係る前中期目標期間繰越積立金について、当該事業終了後も継続して保有し、通則法の改正の趣旨及び基本方針等にのっとって速やかに国庫納付することを十分に検討していなかった結果、今中期目標期間(主務大臣が定めた3年以上5年以下の期間において達成すべき業務運営に関する目標の期間をいう。以下同じ。)の終了する年度まで留保されることが見込まれる状況となっていた事態が見受けられた。この法人では、本院の検査を踏まえて、当該資金を不要財産として認定し、国庫納付した(前掲本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項参照 )。
 さらに、法人が保有している23年度末の現金預金について、年度末で計上される未払金や運営費交付金債務等の負債項目及び積立金等の資本項目との対応関係をみたところ、年度末で保有している現金預金の具体的な用途が定まっていないものが見受けられ、この現金預金の財源をみたところ、現金預金の財源を把握するための十分な管理がなされていなかったことから、会計実地検査時に財源を明らかにできず、財源の把握に時間を要していた事態が1法人において見受けられた。財源が明らかにできない状況下では、当該現金預金はその財源の性質に応じた用途を決めることや、不要財産としての国庫納付を行うことが困難であると考えられる。

(b) 政府出資等に係る定期預金の保有状況

 政府出資等に係る定期預金を保有している法人数は、23年度末で28法人となっていて、その額は計7303億円となっている。23年度末から満期日までの残存期間が1年以内の定期預金が全体の約92%を占めており、大部分が余裕金の一時的な運用のための保有となっているが、独立行政法人の評価の期間的な単位となる中期目標期間の上限である5年を超える定期預金を保有している法人が4法人あり、特に当該中期目標期間を大幅に超える、満期まで約25年となる定期預金を保有している法人が1法人見受けられた。
 残存期間が5年超の定期預金について更にみたところ、為替相場やTIBOR(Tokyo Inter-Bank Offered Rate。東京の銀行間取引金利)といった指標により利率が変動したり、銀行が満期日前に払い戻す権利(中途解約権)を有していたりする預金(以下「仕組預金」という。)を保有している法人が見受けられた。この仕組預金は、〔1〕 払込み、利払い及び払戻しが日本円で行われ、預入期間が約10年から約30年と長期に及ぶ、〔2〕 利払日における利率が、変動のものもある、〔3〕 利率の上限(キャップ)及び下限(フロアー)が定められているものもある、〔4〕 法人側から満期日前に解約することが困難であり、仮に解約できた場合でも、預入金額(投資元本)を払戻額が下回るリスクを有している、という特性も有している。政府出資等に係る仕組預金は、3法人が計9口を保有しており、23年度末の貸借対照表価額は計123億円となっている。

(c) 政府出資等に係る有価証券(債券)の保有状況

 政府出資等に係る債券を保有している法人数は、23年度末で30法人となっていて、その額は計1兆7611億円となっている。これらの債券は、通則法第47条に基づく主務大臣の指定する有価証券として保有するものが7473億円と最も多額となっており、その内容は主に社債となっている。
 また、中期目標期間の上限である5年を大幅に超えて、償還までに20年を超える債券を保有している法人が9法人見受けられた。なお、当該債券の中には、独立行政法人に移行する前の中期目標期間の定めがない特殊法人当時に購入されたものが含まれている。
 債券の保有状況を更にみたところ、主に外国債券で為替相場の変動に応じて債券の利率が変化する条件で発行された債券(以下「仕組債」という。)を保有している法人が見受けられた。政府出資等に係る仕組債は、6法人が計36銘柄を保有しており、23年度末の貸借対照表価額は計431億円となっている。これらの仕組債は、主に外国債券であり、通貨による分類では、払込み、利払い及び償還が日本円で行われる円建外債に分類されている。
 仕組債を保有する6法人のうち5法人は、債券から得られる利息収入を事業の原資に充てる目的で保有している。これらの仕組債の利払日における利率は、一定の日における為替相場の水準による一定の算式に基づいて決定されるが、上限(キャップ)及び下限(フロアー)が定められているものもある。このため、上限利率及び下限利率の範囲では、為替相場の変動により利払日の利率が変動するなどのリスクを有しており、仕組債の保有期間を通じて安定した利息収入を得られるとは限らない。
 そこで、仕組債の23年度末における適用利率の状況についてみたところ、仕組債が有する為替水準の変動による利率変動リスクが顕在化したために、3法人で計9銘柄、貸借対照表価額計164億円の仕組債が利息を全く受け取れなくなっており、4法人で計8銘柄、貸借対照表価額計112億円の債券が適用利率1%以下となっている。
 また、仕組債は、利率の変動リスク以外に、〔1〕 債券の発行から償還までの期間が約20年から約30年と長期に及ぶ、〔2〕 債券の発行体が、償還日前に早期償還できる権利(オプション)を保有している、〔3〕 償還日前に売却又は解約することが困難であり、仮に売却又は解約できた場合でも、市場の状況によっては、投資元本を下回り、損失が発生するリスクを有している、という特性も有しているが、1法人では、事業経費等に資金を直接充当することを予定する勘定において仕組債を保有していた。
 これら仕組債の23年度末における時価の状況をみると、利率が米ドル等の為替相場で決定される仕組債の時価が貸借対照表価額を総額で約74億円下回っており、36銘柄中30銘柄で時価が貸借対照表価額を下回っている。

(d) 仕組債等の問題点等について

 仕組債及び仕組預金(以下「仕組債等」という。)は、安定かつ確実な利息収入が継続して得られるとは限らない債券等であり、利率変動リスクが顕在化した場合は、出資目的に沿った効果が十分に発現しないものとなる。また、流動性が低いことから、仕組債等を購入等した法人が何らかの対応を自主的に執ることが困難である。そして、償還等までの期間が長期間であることから、特殊法人当時から仕組債を保有している法人もあり、また、同期間が中期目標期間を大幅に超えていることから、法人の事業見直しなどに伴い事業原資の整理等を行う必要が生じた場合に支障を来すおそれがある。

c 関係会社株式等の保有状況

 政府出資等に係る関係会社株式等については、23年度末で8法人が170社(投資事業組合等を含む。)の株式を保有しており、取得価額の合計は3693億円、実質価額(出資先の純資産価額に法人の出資割合を乗じた金額)の合計は3277億円となっている。
 関係会社株式等の中には、実質価額が取得価額を大幅に超過しているものの、出資先から受取配当金収入を得ていないもの(1法人)や、出資先の会社において余裕資金の一時的な運用のために購入した債券の発行体が債務不履行に陥ったため、出資先が計上した債券の評価損による純資産価額の減少が原因となって実質価額が減少したもの(1法人)が見受けられた。

(2) 不要財産の認定の状況

ア 法人において行った不要財産の認定の状況

(ア) 政府から指摘を受けて行った不要財産の認定の状況

 各法人が23年度までに不要財産と認定して国庫納付したものは8685億円(現物納付した実物資産の簿価は含まない。)となっており、このうち、政府から不要資産として指摘を受けたものなどが8218億円となっていて、国庫納付された不要財産のほとんどが政府から指摘された事項に係るものとなっている。
 そして、基本方針の別表「各独立行政法人について講ずべき措置」において「不要資産の国庫返納」が必要とされた102事項の中で、22年度中又は23年度中に実施することとされたものは64事項あり、これらのうち、23年10月に解散した雇用・能力開発機構に係る事項を除いて、22年度中又は23年度中に実施することとされている事項であって、23年度末までに国庫返納されていない不要資産は6法人の6事項となっていた。そして、政府から不要資産として具体的に指摘を受けた資産の中には、市場性がないため売却することが難しく、仮に売却できた場合でも元本割れになる可能性がある仕組債が含まれていて、国庫納付に支障がある事態が見受けられた。

(イ) 法人が独自に行った不要財産の認定の状況

 各法人が独自に不要財産と認定して、23年度末までに国庫納付したものは12法人で計57億円となっており、政府から不要資産として指摘を受けたものに係る国庫納付額に比べて少額にとどまっている。

イ 政府出資等に係る資産の売却等によって得られた収入に係る不要財産の認定の状況

(ア) 実物資産の売却による収入について

 財源が政府出資に係る資産を売却した場合、譲渡収入が当該資産の簿価を上回った売却益に相当する額については、損益計算上の収益となるが、当該資産の簿価相当額等は、損益計算上の収益としては計上されないため、法人内部に留保されることになる。
 法人設立以降23年度末までの間に、処分時の帳簿価額が1件で50万円以上の土地、建物等の実物資産(政府からの出資又は支出が含まれないものなどを除く。)を売却したことにより、総額で1000万円以上の収入を得た法人のうち、23年度末までの間に通則法第46条の2(附則第3条によるものを含む。)の規定により国庫納付していたのは34法人で、その額は387億円となっている。
 また、譲渡収入額等についてみたところ、1法人において、資金が法人内部に留保されている事態が見受けられた。この法人は、本院の検査を踏まえて、当該資金を不要財産として認定し、国庫納付した(前掲本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項参照 )。

(イ) 敷金等の返戻による収入について

 法人の中には、法人設立時及び設立後に民間業者等から事務所や宿舎を借り上げていたが、事務及び事業の効率化に伴う支部の統廃合、借上面積の縮小、会議室の廃止等により、賃借する際に差し入れていた敷金等の返戻を受けているものがある(以下、返戻を受けた資金を「返戻金」という。)。こうした法人の中には、返戻金を不要財産として国庫納付している法人が見受けられ、法人設立以降23年度末までの間に、総額で1000万円以上の敷金等(政府からの出資又は支出が含まれないものを除く。)の返戻金を受けている法人のうち、23年度末までの間に通則法第46条の2の規定により国庫納付していたのは6法人で、その額は157億円となっている。
 敷金等に係る会計処理は、「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」」(平成12年2月独立行政法人会計基準研究会策定)によると、差入れの際に運営費交付金から支出されたと合理的に特定できる場合で、その支出が中期計画の想定の範囲内であるときに限り、差入金額を運営費交付金債務から資本剰余金に振り替えることとされている。
 一方、返戻金の財源が政府出資の場合又は運営費交付金であって会計処理において資本剰余金に振り替えている場合には、返戻時に損益計算上の収益としては計上されないこととなり、返戻金を新たに発生する敷金等の財源に充てるなどしない限り、当該返戻金は法人内部に留保されることになる。この留保された資金に関して、2法人が、本院の検査を踏まえて、当該資金を不要財産として認定し、国庫納付することとした(前掲本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項 2か所参照 1  2 )。

(ウ) 清算分配金等による収入について

 法人設立以降23年度末までの間に、政府出資等に係る関係会社株式等に係る清算分配金収入や株式譲渡収入(以下、これらを合わせて「清算分配金等」という。)を得ていた法人のうち、23年度末までの間に、通則法第46条の2の規定により国庫納付していたのは6法人で、その額は23億円となっている。

(3) 不要財産の処分の状況

ア 譲渡収入額の状況

 23年度末までに国庫納付した不要財産に係る譲渡収入額は、42法人で6182億円となっている。そして、各法人は、この譲渡収入額から民間等出資(政府以外の者からの出資をいう。以下同じ。)に係る部分や譲渡に要した費用の額等を控除した金額を国庫納付している。
 処分した資産別の法人数についてみると不動産(土地、建物並びに土地及び建物と併せて譲渡した資産をいう。以下同じ。)を譲渡した法人が34法人と最も多い。譲渡収入額についてみると、有価証券の譲渡収入額が5734億円となっていて、割合でみても全体の92%とそのほとんどを占めている。
 譲渡収入額について、通則法及び改正法の国庫納付の根拠条文別にみると、不動産の譲渡収入額については、附則第3条に基づく譲渡収入額が355億円となっており、改正法の施行日前に行われた財産の譲渡のうち、主務大臣が不要財産の譲渡とみなすと定めたものに係る譲渡収入額を国庫納付することとなったものが大半を占めている。
 また、通則法第46条の2第1項に基づく譲渡収入額が1968億円となっている。これは、改正法の施行日前に譲渡収入額の一部を事業費に充当するなどしたため、譲渡収入額から当該費用等を控除し、通則法第46条の2第1項の規定に基づく現金預金の現物納付として国庫納付しているものである。

イ 不動産及び動産等の処分の状況

(ア) 不動産及び動産等の処分の概要

 不動産を不要財産として処分した法人は34法人で、その譲渡収入額は441億円となっており、不動産の種類別にみると、宿舎が135物件と最も多い。譲渡収入額と帳簿価額との差額についてみると、全体としては、譲渡収入額が帳簿価額を85億円上回っている。
 動産等(有価証券を除く資産のうち、不動産以外のものをいう。以下同じ。)を不要財産として処分した法人は15法人となっており、その処分の内訳は各法人で様々であり、譲渡収入額は船舶や機械装置等の事業用の資産によるものがほとんどを占めている。

(イ) 譲渡の方法

 不動産の譲渡について、一般競争契約により譲渡を行っている法人は19法人で、契約件数は68件となっており、このうち、一括売却により譲渡を行っている法人は4法人で契約件数は10件となっている。随意契約により譲渡を行っている法人は22法人で、契約件数は51件となっており、地方公共団体から道路拡張等の要請を受けたことにより、資産を譲渡しているものが多くを占めている。
 また、不動産の譲渡に当たり、当該譲渡に係る事務の補助に関する委託契約を結ぶなどして、仲介業者を使用している法人は15法人あり、不動産の売却に係る知見がないなどの理由から、仲介業者を使用している。委託手数料の算定方法についてみると、契約内容の違いなどがあるため、一概には比較できないが、手数料率では最も高いもので3%となっている。仲介業者との契約についてみたところ、1法人において、契約書の作成が適切でない事態が見受けられた。
 動産等の譲渡について、一般競争契約により譲渡を行っている法人は8法人で契約件数は19件となっており、指名競争契約により譲渡を行っている法人は1法人で契約件数は1件となっている。随意契約により譲渡を行っている法人は9法人で契約件数は26件となっており、研究を委託している業者に対して委託契約の規定に基づき譲渡したものや、少額随意契約によるものが大半を占めている。

ウ 有価証券の処分の状況

(ア) 有価証券の処分の概要

 有価証券を不要財産として処分した法人は10法人となっており、多くの法人が帳簿価額以上の金額で譲渡しているが、2法人において、帳簿価額よりも低い価格で有価証券を譲渡していた。

(イ) 譲渡の方法

 各法人の有価証券の譲渡先は、全て証券会社となっており、譲渡先の選定方法についてみると、多くの法人において、入札や引き合いを行って競争性を確保しているが、入札や引き合いを行っていない法人が2法人見受けられた。引き合いを行っていない2法人を除いた8法人の有価証券の譲渡の方法についてみると、個別売却のみの譲渡を行っている法人が3法人、一括売却のみの譲渡を行っている法人が3法人、個別売却、一括売却両方の方法により譲渡を行っている法人が2法人となっている。
 有価証券の譲渡の方法については、銘柄数や譲渡規模、買手側の需要の状況が様々であるため、一概には比較できないが、有価証券の譲渡収入額は5734億円と多額に上っており、また、1銘柄当たりの譲渡収入額(平均で約10.6億円)も大きいことなどを踏まえると、有価証券の売却に際しては、譲渡取引において十分な競争性を確保することが必要である。

(4) 国庫納付の状況

ア 国庫納付等の状況

(ア) 国庫納付、民間等出資の払戻し及び減資の状況

 22、23両年度に、通則法第46条の2(附則第3条によるものを含む。)に基づいて50法人が計9730億円を国庫納付しており、通則法第46条の3に基づいて5法人が計17億円の民間等出資の払戻しを行っている。
 そして、国庫納付に対応して41法人が計9353億円を減資しており、民間等出資の払戻しに対応して5法人が計19億円を減資している。

(イ) 資産別の国庫納付方法及び国庫納付額

 不動産の国庫納付は現物納付と譲渡収入の納付の双方が見られるものの、動産等及び有価証券の国庫納付は譲渡収入の納付のみとなっている。
 資産別の国庫納付額をみると、現金預金の現物納付が4553億円と最も多額になっており、このうち、譲渡収入に係る現金預金を現物納付として国庫納付している法人が10法人、計1963億円となっている。当該10法人のうち、不要財産として有価証券を譲渡することにより得た現金預金を国庫納付する際に、譲渡収入を国庫納付する場合の根拠条文である通則法第46条の2第2項及び第3項を適用せずに、現物納付する場合の根拠条文である同法第46条の2第1項に基づき国庫納付している事例が、3法人で見受けられた。この場合、簿価超過額(売却益相当額)が生じたときには、当該金額が国庫納付されずに中期目標期間の終了時まで法人内部に留保されることがある。

(ウ) 資産別の民間等出資の払戻額

 22、23両年度に民間等出資の払戻しを行った法人は5法人あり、払い戻した額は計17億円となっている。資産別では、有価証券を譲渡した現金預金で払戻しを行った法人が2法人で計8億円、保有していた現金預金で払戻しを行った法人が4法人で計9億円となっている。

(エ) 国庫納付等の予定

 23年度末までに国庫納付の申請書を提出済みで、国庫納付を予定している資産に係る国庫納付予定額の総額は計119億円で、このうち不動産の譲渡収入に係るものが72億円と最も多額となっている。
 民間等出資の払戻しを予定している法人は1法人で、24年度以降、出資者に対し催告を行い、請求のあった者に出資比率に応じた払戻しを行うこととしている。

イ 固定資産売却損等の状況

 前記の(3)イ でみたとおり、独立行政法人は、政府出資等に係る不要財産の国庫への現物納付に代えて、譲渡収入の納付を行うことができる。そして、この際に行う資産の売却等において、売却による収入金額が当該資産の取得価額を下回る場合は、損益計算書にキャッシュ・フローを伴わない費用として固定資産売却損を計上するなどしている例が見受けられる。この場合、当該損益計算において、固定資産売却損等と同額で現金の裏付けのある収益が相殺され、この収益に相当する額は、利益処分において積立金として整理されないこととなる。その結果、積立金として整理されなかった資金は、個別法に基づく中期目標期間終了後の国庫納付がされず、法人内部に現金預金等として留保されることとなる。
 固定資産売却損の会計処理については、23年6月に「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」(平成12年8月総務省行政管理局、財務省主計局、日本公認会計士協会策定)が改訂される前は、譲渡した資産が国から現物出資された資産のうち、その減価に対応すべき収益の獲得が予定されないものとして特定された資産(以下「特定の資産」という。)であり、その譲渡収入で代替資産の取得を予定している場合は、譲渡差額を損益計算上の費用には計上せず資本剰余金を減額するものとして整理されていた。一方で、特定の資産であり、その譲渡収入により代替資産を取得することが予定されない場合や特定の資産に該当しない通常の資産の場合は、損益計算書に固定資産売却損を計上することとされていた。したがって、特定の資産の売却に際して固定資産売却損を計上している場合には、当該固定資産売却損を計上することにより法人内部に資金が留保される一方、法人において、当該資金等を元に、代替資産を取得することが予定されていなかったと考えられる。そこで、23年度末までに、附則第3条により、政府出資等に係る不要財産の譲渡に相当するものとして譲渡収入を国庫納付していた法人のうち、1000万円以上の譲渡差額を損益計算書に固定資産売却損等として計上している法人について検査したところ、4法人において、固定資産売却損等と同額で現金の裏付けのある収益が相殺され、積立金として整理されていなかった。そして、その結果、個別法に基づく中期目標期間の終了後の国庫納付がされず、法人内部に資金が留保されている状況となっていた。これらの4法人は、本院の検査を踏まえて、当該留保資金を不要財産として認定し、国庫納付することとした(前掲本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項 4か所参照 1  2  3  4 )。

3 検査の結果に対する所見

 独立行政法人は、その行う事務及び事業が確実に実施されることが必要であり、そのための財産的基礎を有しなければならないとされている。さらに、毎年度、政府から運営費交付金を始めとする多額の財政支出が充てられているが、現下の財政事情が極めて厳しい状況にあることに鑑みると、各法人は、必要最小限の財務基盤で効率的な業務運営を行うことが求められている。
 このような中で、各法人は、合理化計画や基本方針等に基づき、その保有資産の見直しに取り組んでいるところである。
 しかし、今回の検査で、独立行政法人の不要財産の認定等について更なる改善が求められる事態や、今後引き続き留意しなければならない状況が見受けられた。
 したがって、各法人においては、合理化計画、基本方針等に基づく取組を引き続き進めるとともに、22年の通則法の改正の趣旨に鑑み、次の点に留意し、効率的な業務運営が担保されるよう、不断の見直しを実施していくことが重要である。

(1) 政府出資及び保有資産の状況

ア 法人が保有する土地及び建物の状況

 合理化計画において、各独立行政法人は、保有する合理的理由が認められない土地・建物等の実物資産の売却、国庫返納等を着実に推進し、適切な形で財政貢献を行うこととされている。ついては、有効に利用されていない土地及び建物については、全てが直ちに売却等が可能なものではないが、各法人において、その取扱いを検討し、具体的な利用の計画がないなど将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合は、当該土地及び建物について速やかに不要財産と認定するなどして現物納付、譲渡収入の納付等を行う。
 また、土地の全体でなく、その一部が有効に利用されていない場合であっても、当該部分の保有の必要性について不断に見直しを実施し、今後の利用見込みがなく、当該部分が公道に面しているなどの場合には、現物納付や譲渡収入の納付を検討する。

イ 法人が保有する宿舎の入居の状況

 「独立行政法人の職員宿舎の見直し計画」(平成24年4月行政改革実行本部決定)等においては、独立行政法人の宿舎については、その必要性を厳しく見直す必要があるなどとされている。法人が保有する宿舎については、23年度末時点で1年以上にわたり入居者がいないものや、23年4月から24年3月までの12か月間の入居率が50%未満となっているものが見受けられた。これらの宿舎については、全てが直ちに売却等が可能なものではないが、宿舎の必要性の見直しに際しては、こうした利用状況も勘案した上で各法人においてそれらの廃止や集約等その取扱いを検討し、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合は、当該宿舎について速やかに不要財産と認定するなどして現物納付、譲渡収入の納付等を行う。
 また、事業所の敷地内の宿舎についても、その保有の必要性について不断に見直しを実施し、今後の利用見込みがなく、当該部分が公道に面しているなどの場合には、現物納付や譲渡収入の納付を検討する。

ウ 法人が保有する福利厚生施設の稼働状況等

 基本方針において、独立行政法人が保有する施設等については、当該法人が保有する必要性があるかなどについて厳しく検証し、不要と認められるものについては速やかに国庫納付を行うこととされている。今回、法人が保有する福利厚生施設の保有状況等についてみたところ、体育施設及び会合施設の利用状況の確認ができないとする法人が見受けられたが、基本方針を踏まえると、これらの施設を保有する場合には、その必要性を厳しく検証することなどが求められると考えられることから、利用状況を把握するなど不断の見直しのための体制を整備する。そして、それにより得られる稼働率、自法人以外の者の利用状況等も踏まえ、福利厚生施設の保有の必要性を検討する。

エ 現金預金の保有状況

 現金預金について、保有状況等を踏まえた結果、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合は、速やかに不要財産と認定して国庫納付等の措置を講ずる。また、通則法では、不要財産であって、政府出資等に係るものが国庫納付の対象となっているため、不要財産に係る国庫納付の検討を行う前提として、保有資産の取得財源を明らかにできるような管理を行う。

オ 政府出資等に係る有価証券(債券)の保有状況

 法人の中に、多くのリスクを有する仕組債等を保有している法人が見受けられたことを踏まえ、各法人は、資金の運用に当たっては、リスクについて適切に評価することができる体制を確立するとともに、金融資産の購入や処分等の条件を明確に整理して規程化するなどして、当該リスクを十分に認識した資金運用・管理の方針を明確にする。そして、これらの体制及び方針に基づき、購入しようとする金融資産が通則法第3条、第29条、第30条、第35条等を踏まえて行われる独立行政法人の事務、事業と整合するものであるかどうかについて慎重に検討した上で、資金運用に係る意思決定を適切に行い、検討結果についての説明責任をより一層果たしていく。

カ 関係会社株式等の保有状況

 関係会社株式等については、保有資産の有効活用を図る観点から、実質価額が取得価額を超過している株式については、配当金の受取の可能性等について整理するとともに、出資先において余裕資金を一時的に運用する場合等には、出資者として、出資先において当初の出資目的に沿って資金が使用されていることに加えて、安全性と流動性に沿った出資資金の運用が行われているかを継続してチェックする。

(2) 不要財産の認定の状況

ア 法人において行った不要財産の認定の状況

 国庫納付された不要財産のほとんどが、合理化計画及び基本方針で政府から指摘を受けたものであり、これに比べて法人が独自に認定した不要財産は少額にとどまっている。各法人では、政府から指摘を受けた資産については着実に国庫納付を実施していくことに加え、22年の通則法の改正の趣旨に鑑み、また、基本方針で、幅広い資産を対象に自主的な見直しを不断に行うとされていることなどを踏まえ、今後、より一層保有資産の見直しを自主的、積極的に行っていく。

イ 政府出資等に係る資産の売却等によって得られた収入に係る不要財産の認定の状況

 政府出資等に係る資産の売却収入、敷金等の返戻金及び清算分配金等による収入の国庫納付を予定している法人については、遅滞なく国庫納付手続を進めるとともに、経費等に充当することを予定している法人については、これらの収入が将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなった資産に該当することとなった場合は、速やかに不要財産と認定して国庫納付等の措置を講ずる。

(3) 不要財産の処分の状況

ア 不動産及び動産等の処分の状況

 不動産及び動産等の譲渡に際しては、状況に応じた適切な契約方法を選択するとともに、不動産の処分に際して仲介業者を使用する場合が見受けられることも踏まえ、仲介業者との契約手続等についても適切に行う。

イ 有価証券の処分の状況

 有価証券の譲渡に際しては、入札や引き合いを実施するなどして、譲渡取引に係る競争性を確保する。

(4) 国庫納付の状況

ア 国庫納付等の状況

 通則法では、政府出資等に係る不要財産については、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて国庫納付することとしており、その際の方法としては、同法第46条の2第1項に基づく現物納付と同法第46条の2第2項等に基づく譲渡収入の納付とがあるが、納付方法により、簿価超過額が生じた場合に当該金額が国庫納付されずに中期目標期間の終了時まで法人内部に留保されることがあることにも留意して、国庫納付の方法について検討する。

イ 固定資産売却損等の状況

 特定の資産を売却するなどした場合に、関連して計上した固定資産売却損等のキャッシュ・フローを伴わない費用により、当該費用計上額と同額で現金の裏付けのある収益が相殺され、積立金として整理されず、法人内部に現金預金等として留保される場合があることに留意して、こうした留保された資金についても、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合は、速やかに不要財産と認定して国庫納付等の措置を講ずる。

 本院としては、独立行政法人が必要最小限の財務基盤で効率的な業務運営を行うことが求められていることを踏まえて、独立行政法人における不要財産の認定等の状況について、今後とも多角的な観点から引き続き検査していくこととする。