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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成24年10月

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について


第1 検査の背景及び実施状況

1 検査の要請の内容及び会計検査の実施状況

 会計検査院は、平成24年8月27日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請(以下「本件要請」という。)を受けた。これに対し同月28日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその結果を報告することを決定した。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項

 (一) 検査の対象

国会、裁判所、内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省

 (二) 検査の内容

東日本大震災からの復興等に対する事業に関する次の各事項

    〔1〕 東日本大震災に伴う被災等の状況

    〔2〕 復興等の各種施策及び支援事業の実施状況

2 平成22年度決算審査措置要求決議の内容

 参議院決算委員会は、24年8月27日に検査を要請する旨の上記決議を行っているが、同日に「平成22年度決算審査措置要求決議」を行っている。
 このうち、上記検査の要請に関する項目の内容は、次のとおりである。

1 東日本大震災復旧・復興関係経費の迅速かつ円滑な執行の確保について

 平成23年度の東日本大震災復旧・復興関係経費の執行状況については、全体予算14兆9243億円のうち、翌年度繰越額が4兆7694億円、不用額が1兆1034億円と多額に上っており、予算の執行率は約6割にとどまった。特に、復興庁所管の経費1兆3141億円のうち1兆3101億円は執行されずに繰り越され、23年度における執行率は0.02%となっており、また、国土交通省所管の経費では、災害公営住宅等整備事業費1115億円のうち、執行額等はわずか3億円であり、残り1112億円が不用額として処理されるなど、復旧・復興関係予算の執行が当初の予定どおり進んでいない事態が明らかとなっている。
 政府は、これらの事態が被災地における早期の復旧・復興や住民の生活再建の支障となることを認識し、事業の着手に必要な復興計画との調整等を速やかに実施した上で、迅速かつ円滑な予算執行に努めるべきである。また、予算の執行率が極端に低かった事業については、事業費の見積りが適切であったか検証するなどして必要な見直しを行い、多額の国民負担によって賄われている復旧・復興予算が適正、有効かつ効率的に活用されるよう、最善を尽くすべきである。

3 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

 会計検査院は、東日本大震災からの復興等に対する事業に関する各事項について、効率性、有効性等の観点から、それぞれ次の着眼点により検査を実施した。

ア 東日本大震災に伴う被災等の状況

 被災の状況はどのようなものとなっているか、また、被災に対して国はどのような施策等の対応を執っているか。

イ 復興等の各種施策及び支援事業の実施状況

(ア) 復旧・復興に係る予算はどのような経費に配分されているか、また、「東日本大震災からの復興の基本方針」における復興施策等はどのような事業により実施されているか。

(イ) 復旧・復興予算に係る復旧・復興事業は、支出、繰越しなどの執行状況からみて、円滑かつ迅速に実施されているか。

(ウ) 被災した地方公共団体において復興特別区域制度の復興推進計画、復興整備計画及び復興交付金事業計画の作成等の状況はどのようになっているか、また、これらの計画に基づく特例等はどのように適用されているか。

(エ) 被災した地方公共団体において復旧・復興事業の実施状況及び実施体制はどのようになっているか。

(2) 検査の対象及び方法

 会計検査院は、23年度に東日本大震災復興関係経費の予算が措置されている国会等16府省庁を対象として検査した。
 検査に当たっては、上記の16府省庁から調書を徴するほか、公表されている資料等を基に在庁して調査分析を行うとともに、205人日を要して16府省庁の内部部局等に対する会計実地検査を実施した。また、被災した地方公共団体のうち58市町村に対して調査票を送付して、その回答を徴するなどして調査分析を行った。
 なお、会計検査院は、東日本大震災に伴う被害の甚大さや復興等の各種施策の重要性に鑑み、本件要請を受ける以前から東日本大震災からの復興等に対する事業に関して検査を行っており、上記の検査に要した人日数等は、本件要請を受ける以前に実施した分を含んでいる。
 また、会計検査院としては、東日本大震災関係経費の予算により実施される復旧・復興事業が、各府省庁や地方公共団体等において、長期にわたり継続して実施されていること、復興事業の実施に係る諸制度の見直しなどが想定されることなどから、次年度以降も検査を実施して、その結果を報告することを予定している。