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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成23年11月

情報システムに係る契約における競争性、予定価格の算定、各府省等の調達に関する情報の共有等の状況について


4 所見

 内閣に設置されている高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部は、23年8月に、「電子行政推進に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)を策定している。そして、基本方針において、IT投資によって得られる効果を最適化するためには、IT投資管理の確立・強化が必要となるとし、そのためには、成果目標の明確化、投資額の妥当性、リスク分析等の事前評価等が必要であるなどとして、IT投資管理を適切に行うための具体策を早急に検討し、順次導入するなどとしている。また、電子行政の取組を迅速かつ強力に推進していくため、政府の電子行政推進に係る実質的な機能を有する司令塔として政府CIO制度を導入するなどとし、政府CIO制度の役割等として、政府全体のIT投資の管理等を行う方向で検討するとしている。
 情報システムに係る契約は、今後とも多額に上ることが見込まれ、各府省等が情報システムに係る契約を実施するに当たっては、前記のとおり、18年報告と比べて競争契約の割合が増加してきているものの1者応札の割合も依然として大きく、競争性が十分確保されていない状況となっており、国の厳しい財政状況等を鑑みると、効率的な予算執行に努めることが重要である。
 また、情報システムに係る契約における予定価格の算定の在り方は、前記のとおり、基本指針においても明確に示されておらず、政府全体を横断的にみると、各府省等で割引率や人件費単価等が区々となっていたり、各府省等が保有する有用な情報を政府全体として共有できる体制となっていなかったり、それらを政府内で調整する府省等が明確になっていなかったりしていた。
 さらに、調達事例DBについては、基本指針において登録することとされているものが登録されていなかったり、各府省等がどのような情報を必要としているのか十分検討されていなかったりしていて、情報の共有が十分達成されていない状況であった。
 したがって、政府は、基本方針に沿った電子行政を推進するに当たり、次のような取組を進め、もって国の情報システムに係る契約の経済的及び効率的な執行に努めることが必要である。

ア 1者応札への対応や契約の競争性の確保について引き続き努力すること

イ 予定価格の算定に関する情報について、政府全体として情報を共有し活用することについて、情報の種類、内容等も含めて検討すること

ウ 上記イの検討等を担当する部署について、政府内での調整等を行うこと

エ 調達事例DBについては、各府省等が必要とする情報を十分把握するなどして、各府省等が保有する情報を登録して有効に活用できるよう検討すること

 会計検査院としては、電子行政の推進や政府CIO制度の導入に向けた政府の動きについて注視するとともに、国の情報システムについて、今後とも多角的な観点から引き続き検査していくこととする。