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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成24年10月

研究機関における文部科学省の公的研究費の不正使用等の防止に関する体制が整備され、その適切な運用が図られるよう文部科学大臣に対して改善の処置を要求し及び意見を表示したもの


研究機関における文部科学省の公的研究費の不正使用等の防止に関する体制が整備され、その適切な運用が図られるよう文部科学大臣に対して改善の処置を要求し及び意見を表示したもの

部局等 文部科学本省
公的研究費の概要 文部科学省所管の競争的資金等を財源とする研究資金及び国立大学法人の財務諸表に計上された研究経費
検査を実施した研究機関の数及び当該機関に配分された文部科学省所管の競争的資金等の額 65研究機関  2191億0432万円 (背景金額)(平成22年度)
65研究機関のうち国立大学法人の数及び当該法人の財務諸表に計上された研究経費の額 33研究機関  1616億1368万円 (背景金額)(平成22年度)
65研究機関のうち補完的な措置を十分に講じないまま一部の研究用物品に対する検収業務を省略していた研究機関の数及び検収業務を省略していた研究用物品に係る科学研究費補助金の支出額 16研究機関     6億5930万円 (平成22年度)

【改善の処置を要求し及び意見を表示したものの全文】

公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について

(平成24年10月3日付け 文部科学大臣宛て)

 標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求し及び意見を表示する。

1 公的研究費の不正使用等の防止に関する取組の概要

(1) 公的研究費の概要

 貴省並びに貴省が所管する独立行政法人日本学術振興会及び独立行政法人科学技術振興機構(以下、これらを合わせて「貴省等」という。)は、科学技術基本法(平成7年法律第130号)等に基づき、科学技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進する科学技術振興施策の一環として、大学等の研究機関に所属する研究者等に競争的資金(注1) を中心とした公募型の研究資金(以下「競争的資金等」という。)を配分しており、その額は平成22年度で約3908億円(当初予算額)に上っている。競争的資金等の主なものは、貴省及び独立行政法人日本学術振興会が研究機関に所属する研究者等に交付する科学研究費補助金2000億円(同)や独立行政法人科学技術振興機構が貴省から交付される運営費交付金を財源として研究機関に所属する研究者等に配分する戦略的創造研究推進事業約525億円(同)である。
 貴省は、全国の86国立大学法人が継続的・安定的に教育研究活動を実施するための基盤的経費として、国立大学法人運営費交付金(22年度計1兆0675億余円)を交付している。そして、各国立大学法人は、同交付金の一部等及び競争的資金等を財源として研究活動を実施しており、86国立大学法人の22年度の財務諸表に計上された研究経費(以下「国大研究経費」という。)は、約2353億円となっている(以下、競争的資金等及び国大研究経費を総称して「公的研究費」という。図1 参照)。

 競争的資金  資金配分主体が広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む多数の者による科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金

図1  公的研究費の概念図

図1公的研究費の概念図

(注)
 国立大学法人の損益計算書において業務費のうち研究経費として区分された費用であり、国立大学法人運営費交付金の一部等及び国立大学法人に交付された競争的資金等を財源としており、研究者個人に対して交付される科学研究費補助金等は国大研究経費の財源には含まない。

(2) 公的研究費に関する本院の検査

 本院は、公的研究費の不適正な経理処理について不当事項として決算検査報告に掲記してきており、近年、競争的資金等の経理において、複数の研究機関で不適正な経理処理が相次いでいたことなどから、18年次の検査において、特に設備備品及び消耗品(以下「研究用物品」という。)の購入に係る納品検査は適切に行われているかなどに着眼して検査を実施した。そして、納品検査が適切に行われておらず、事実と異なる会計経理が行われていて科学研究費補助金が適切に管理されていない事態を本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として平成17年度決算検査報告に掲記 しており、その中で、貴省は研究用物品の納品検査を確実に実施する事務処理体制を整備するなどの処置を講じたとしている。

(3) 公的研究費の不正使用等の防止に関する取組等

 内閣府の総合科学技術会議は、研究者等による公的研究費の不正使用等が後を絶たないことなどから、18年8月に「公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について(共通的な指針)」を決定し、公的研究費の不正使用等を防止し、研究費の効率的な執行を図るため、関係する府省、研究機関等において、競争的資金等を中心に、研究費の使用ルールの整備・明確化や研究費の管理・監査体制の整備等を推進することとした。
 貴省は、上記の指針を踏まえて、19年2月に「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月文部科学大臣決定。以下「ガイドライン」という。)を制定している。
 そして、貴省は、ガイドラインにおいて、研究機関や貴省等が実施するべき次の事項を示している。

ア 各研究機関は、競争的資金等の管理を当該研究機関の責任において行うこと

イ 各研究機関の責任者は、不正を誘発する要因を除去し、抑止機能のある環境・体制の構築を図ること

ウ 各研究機関は、研究者と業者の癒着を防止する対策を講ずるとともに、発注・検収業務について当事者以外によるチェックが有効に機能するシステムを構築・運営すること

エ 各研究機関は、検収業務において、事務部門による検収業務が実務上困難な場合においても、発注者の影響を排除した実質的なチェックを行うこと

オ 各研究機関は、内部監査制度を整備し、会計書類のチェックのほか、体制の不備の検証を行うこと

カ 貴省は、年に1回程度、各研究機関に対して、ガイドラインに基づく体制整備等の実施状況について、書面による報告(以下「実施状況報告書」という。)を求めること

キ 貴省等は、実施状況報告書の確認や現地調査の結果、体制整備等の状況に問題が認められる場合には、当該研究機関に対して問題点を指摘し、改善計画の作成及び同計画の実施を求めること

 さらに、貴省等は、競争的資金等の管理体制の整備を各研究機関に確実に実施させるために、競争的資金等の公募要領等において、ガイドラインに基づく体制整備を研究機関が競争的資金等の配分を受けるための条件としている。