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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第9 文部科学省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金 |
  • 補助事業 の実施及び経理が不当と認められるもの

(2) 義務教育費国庫負担金が過大に交付されていたもの[4都県](29)-(32)


4件 不当と認める国庫補助金 669,951,985円

義務教育費国庫負担金(以下「負担金」という。)は、義務教育費国庫負担法(昭和27年法律第303号)に基づき、義務教育について、義務教育無償の原則にのっとり、国が必要な経費を負担することによって教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的として、都道府県に対して交付するものである。また、負担金により国が負担する経費は、公立の義務教育諸学校(小学校、中学校、中等教育学校の前期課程(以下、これらを合わせて「小中学校」という。)並びに特別支援学校の小学部及び中学部)に勤務する教職員の給与及び報酬等に要する経費とされており、その額は、都道府県の実支出額と「義務教育費国庫負担法第二条ただし書の規定に基づき教職員の給与及び報酬等に要する経費の国庫負担額の最高限度を定める政令」(平成16年政令第157号。以下「限度政令」という。)に基づいて算定した額(以下「算定総額」という。)とのいずれか低い額の3分の1とするとされている。

限度政令によれば、算定総額は、小中学校の教職員に係る基礎給料月額等に同教職員に係る算定基礎定数を乗ずるなどして得た額と、特別支援学校の小学部及び中学部の教職員に係る基礎給料月額等に同教職員に係る算定基礎定数を乗ずるなどして得た額とを合算して算定することとされている。

このうち、基礎給料月額等は、「義務教育費国庫負担法第二条ただし書の規定に基づき教職員の給与及び報酬等に要する経費の国庫負担額の最高限度を定める政令施行規則」(平成16年文部科学省令第28号)等に基づき、各都道府県において当該年度の5月1日に在職する教職員を対象として、教職員の経験年数別の実数等を勘案して同省令で定めるところによるなどして算定した教職員一人当たりの給料等の単価とされている。そして、算定の対象とする5月1日に在職している教職員とは、限度政令に規定する一般教職員から休職者、育児休業者等を除いたものとされているが、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第22条第2項に基づいて臨時的に任用した者(以下「臨時的任用者」という。)は除外の対象とされていない。

また、算定基礎定数については、当該年度の5月1日現在において、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)に基づいて算定した教職員の定数に、産休代替教職員及び育児休業代替教職員の実数を加え、育児休業者の実数を差し引くなどして算定することとされている。

本院が、25都道府県において会計実地検査を行ったところ、4都県において、誤って、臨時的任用者を除外して基礎給料月額等を算定していたり、当該年度の5月2日以降に産前産後休業を取得した教職員に係る産休代替教職員を含めるなどして算定基礎定数を算定していたりしていたため、負担金計669,951,985円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、上記の4都県において、基礎給料月額等の算定方法や算定基礎定数の算定方法についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

新潟県は、平成19年度36,156,605,417円、20年度35,805,979,714円の負担金の交付を受けていた。

しかし、新潟県は、基礎給料月額等の算定に当たり、当該年度の5月1日に在職している教職員から誤って臨時的任用者を除外していた。この結果、算定総額の算定に用いていた基礎給料月額等が過大に算定されており、負担金19年度283,065,038円、20年度345,745,702円が過大に交付されていた。

また、新潟県は、23年度に32,933,977,056円の負担金の交付を受けていた。

しかし、新潟県は、算定基礎定数の算定に当たり、誤って当該年度の5月2日以降に産前産後休業を取得した教職員に係る産休代替教職員1人を含めていたため、負担金1,704,242円が過大に交付されていた。

上記により、負担金計630,514,982円が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 算定総額 左に対する負担金交付額 不当と認める算定総額 不当と認める負担金交付額 摘要
千円 千円 千円 千円
(29) 東京都 東京都 22 338,720,094 112,906,698 14,254 4,751 算定基礎定数の算定が過大となっていたもの
(30) 新潟県 新潟県 19、20、23 314,687,485 104,896,562 1,891,544 630,514 基礎給料月額等の算定及び算定基礎定数の算定が過大となっていたもの
(31) 愛知県 愛知県 20〜23 1,006,570,1355 335,523,014 98,815 32,938 算定基礎定数の算定が過大となっていたもの
(32) 滋賀県 滋賀県 20 59,119,043 19,706,278 5,241 1,747
(29)—(32)の計 1,719,096,759 573,032,553 2,009,855 669,951