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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果|第1節 省庁別の検査結果|第10 厚生労働省|平成22年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 第三者行為災害に係る支給停止限度期間の設定について


平成22年度決算検査報告参照
平成23年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

第三者行為災害は、通勤途上の交通事故被害等のように労災保険給付の原因である災害が第三者の行為等によって生じて、当該災害の被災労働者等に対して第三者が損害賠償の義務を負う災害であり、被災労働者等が第三者や当該第三者の加入している保険等から損害賠償を受けたときは、国はその保険金等の額を限度として労災保険給付を行わないこと(以下「支給停止」という。)ができることとされている。しかし、厚生労働省が支給停止限度期間を一律に3年と定めていることから、都道府県労働局は、災害発生から3年経過後に支給停止を解除して労災保険給付を開始することとしていたため、同一の損害に対して保険金等と労災保険給付の二重補が生じている事態が見受けられた。

したがって、厚生労働省において、支給停止の制度の趣旨を踏まえて、被災労働者等の保護という労災保険給付の目的等も勘案して、支給停止解除後の二重補額が多額に上ることを避けるための方策を検討するよう、厚生労働大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年3月に都道府県労働局に通知を発するなどして、支給停止解除後の二重補額が多額に上ることを避けるための方策として、災害発生から3年と定められていた支給停止限度期間を7年に延長して、同年4月以降に発生した災害について適用することとする処置を講じていた。